• 2023.2.13 (月)
    Posted by 北森 雅雄

確定申告やその他の税務申告について、「いつから受け付けているのか」「いつから準備すべきか」といった疑問点や、確定申告期間内に終わらせるコツなどを解説

確定申告の提出義務がある人は、確定申告期間内に手続きを終わらせ、納税する必要があります。期限までに確実に終わらせるには、早めの準備が大切です。

当記事では、確定申告やその他の税務申告について、「いつから受け付けているのか」「いつから準備すべきか」といった疑問点や、確定申告期間内に終わらせるコツなどを解説します。

.所得税の確定申告はいつから?他の税務手続きの期限も解説

所得税の確定申告は、原則として2月16日から手続きできます。期限は3月15日までです。受付期間は約1か月あります。

所得税の確定申告の対象者は、主に次に該当する人です。

  • ●所得48万円を超える個人事業主
  • ●副業所得20万円を超える会社員(不動産収入や株取引で得た利益を含む)
  • ●公的年金等の収入金額が400万円を超える人

期限までに間に合うように、確定申告の準備を進めていきましょう。


確定申告はいつからいつまでの期間を申告すべき?

所得税の確定申告の対象となる期間は、1月1日〜12月31日の1年間です(法人の場合は1事業年度)。申告の対象期間となった年における、以下の内容を税務署へ申告します。

  • ●事業売上や不動産収入などの収入金額
  • ●収入から必要経費を差し引いた所得額
  • ●医療費控除や小規模企業共済等掛金控除など、所得から差し引ける控除額
  • ●所得金額や控除額を基に算出した所得税額および復興特別所得税
  • ●その他適用する控除の詳細や事業者自身の情報
  • ●修正申告の場合は、修正前と修正後の差額

確定申告書とは別に、青色申告であれば青色申告決算書(貸借対照表・損益計算書)、白色申告であれば収支内訳書にて、収支や利益などを報告する必要があります。

青色確定申告の対象となった年の主要簿(総勘定元帳・仕訳帳)・補助簿(現金出納帳や掛帳など)・決算書は7年間、証憑書類(請求書や領収書など)は5年間の保存が必要です。


所得税以外の確定申告はいつから?

所得税以外の税金の確定申告にも、それぞれ別途で期間が定められています。所得税以外の確定申告がいつからかを、以下の表にまとめました。

いつから いつまで 備考欄
法人税 各事業年度終了の日の翌日から 2か月以内 法人自体が納税義務者
贈与税 財産を得た翌年の2月1日から 3月15日 暦年課税選択の場合は110万円以下で確定申告が不要
消費税 翌年の税務署開庁日から 3月31日 法人は課税期間の終了日から2か月以内


確定申告はどこですればよい?

確定申告を行う場所は、原則として住所地を管轄する税務署です。2023年1月1日以降に自宅と異なる住所の事業所などを納税地とする場合は、提出する確定申告書にその旨を記載します。

2022年12月31日以前に変更する際には、「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」の提出が必要でした。しかし2022年度の税制改正により、今後は提出が不要となっています。


所得税の納付はいつからできる?

所得税の納付期限は、原則として確定申告と同じく3月15日までです。確定申告の手続きが終了し納付額が確定した時点で、所得税を納められます。

納付方法は、郵便局などの窓口での納付、QRコードによるコンビニ納付、e-Taxでの納付などがあります。

なお振替納税であれば引き落とし日が4月中旬になったり、クレジットカード納付ならクレジットの引き落とし日が納付日になったりなど、実質的に納付を遅らせることが可能です。

.所得税の確定申告はいつから?他の税務手続きの期限も解説

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確定申告書の作成自体は、数字を書き込んで計算するだけなのでそこまで時間はかかりません。また書類の不備・不足がない限りは、提出するだけで手続きは完了します。

しかし実際のところ、確定申告の準備は2月16日以前からしっかりと進めておくべきです。確定申告の準備に早めに取り掛かるべき理由を解説します。


確定申告書を作成するまでの準備が大変だから

確定申告書を作成するには、確定申告書に転記・記入する数値の基となる、帳簿・書類の準備が必要です。具体的には、主に次のものを活用します。

  • ●帳簿類(総勘定元帳や仕訳帳など)
  • ●決算書(青色申告決算書や収支内訳書)
  • ●控除証明書
  • ●源泉徴収票
  • ●取引の内容・金額がわかるもの(請求書・領収書などの証憑書類、伝票、レシートなど)

確定申告作業は、上記の帳簿・書類の準備が大半を占めます。

例えば仕訳帳は1年間分の取引内容を1つひとつ記録する必要がありますし、総勘定元帳は仕訳帳を基にして勘定科目ごとに情報をまとめる作業を行います。

総勘定元帳や仕訳帳を作成するには、売上・経費・売掛金・買掛金・貸付金・借入金・未払金など、企業の収支・収益・損失・取引内容などを記録した証憑書類が必要です。

さらに決算書の作成は、総勘定元帳や仕訳帳、証憑書類などの数値の転記・記入・計算を行わなければなりません。ここまで準備することで、ようやく確定申告書の作成をスムーズに進められます。

このように確定申告書は、作成作業よりも作成のための準備に多大な労力がかかります。むしろ申告内容によっては、確定申告期間の1か月程度だと作業時間が足りなくなる可能性もあるでしょう。


必要書類が揃わない可能性があるから

確定申告書や帳簿類に記入する収入・控除額は、その数値の根拠となる書類や資料が必要です。しかし、確定申告時期のギリギリで探して集めようとすると、必要書類が見つからず揃わない可能性があります。

例えば、過去のクレジットカードの明細書が消えてしまっていたり、メールや紙で届いていたはずの領収書が見つからなかったりなどのトラブルが考えられます。

そのため期限ギリギリから必要書類を集めるのではなく、普段から必要書類のファイリングや資料のダウンロードなどを行い、整理整頓しておくのがよいでしょう。


提出が遅れると追徴課税のペナルティがあるから

確定申告期間内で確定申告が終わらないと、追徴課税と呼ばれる金銭的なペナルティが発生します。中でも無申告に関しては、納税額を過少申告したケースより重いペナルティが設定されています。

同時に申告・納税が遅れるほど納税額が増える、延滞税も支払わなければなりません。

また、青色申告が遅れると青色申告特別控除の65万円および55万円が適用できなくなります。2期連続で遅れると、青色申告の承認が取り消されます。

このように提出が遅れるペナルティは、金銭的にも事業的にもマイナス面が大きいです。確実に期間内に手続きを終わらせるためにも、確定申告期間前から早めに準備することをおすすめします。

.訂正申告は3月15日までに提出

訂正申告とは、確定申告書を提出した後、確定申告期間内で間違いに気づいたときに行う手続きです。3月15日までの修正は訂正申告扱い、16日以降は修正申告または更正の請求になります。

訂正申告は、もう一度あらためて確定申告書を提出するだけで完了です。ただし訂正の根拠となる書類の添付や、訂正前の確定申告書の提出年月日・申告額の記入などが必要になります。

16日を過ぎてから過少申告や無申告が発覚したときは、訂正申告ではなく修正申告を行います。逆に税額の過大申告をしたときは、還付申告や更正の請求を実施しましょう。

.修正申告はできるかぎり早く提出

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納税額や所得額を過少に申請したり、期限までに確定申告書を提出しなかったりなどを期間外で気づいた場合は、直ちに修正申告を行いましょう。いつまでという期限で考えるのではなく、原則として1日も早い手続きが必要です。

修正申告が遅れるほど、追徴課税の延滞税の金額が大きくなります。もし税務署の指摘で修正申告の必要性が発覚すると、自主的に修正したケースより税率が高い加算税が適用されます。

2022年の税制改正によって、修正申告書扱いだった第五表が廃止になりました。2022年度からの修正申告は、修正する数値を反映しつつ、確定申告書の書式に追加された修正申告の欄を埋めて提出しましょう。

.還付申告・更正の請求は期限に関係なくいつからでも可能

還付申告とは、確定申告の提出義務がない人でも、確定申告によって還付金が受け取れる場合に行う税務申告です。還付申告は確定申告期間に関係なく、確定申告の年の翌年1月1日から5年間は提出できます。

還付申告の主な対象者は次の通りです。

  • ●年途中で退職し年末調整を受けておらず、源泉徴収を納めすぎている人
  • ●住宅ローン控除や認定住宅新築等特別税額控除などの税額控除を受けようとしている会社員
  • ●医療費控除や寄付金控除などを適用したい人
  • ●災害や盗難などで資産に損害を受けた人

還付申告は、通常の確定申告書と同じ書式を使って行います。

一方で更正の請求とは、確定申告を終えた人が3月16日以後に、申告納税額が過大だったことに気づいたときに行う手続きです。法定申告期限から5年以内であれば、いつでも手続きできます。

更正の請求を行える人は、主に次の通りです。

  • ●計算ミスで多く納税していた人
  • ●経費の計上漏れがあった人
  • ●ふるさと納税の寄付金控除や医療費控除などを適用し忘れた人
  • ●欠損金の繰越控除の適用額が少なかった人

更正の請求を行う場合は、「所得税及び復興特別所得税の更正の請求書」を作成し提出しましょう。

.3月15日までに確定申告・納税を間に合わせる7つの方法

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確定申告や納税を3月15日までに余裕を持って間に合わせる方法として、次の7つ方法を紹介します。

  • ●日々の帳簿付けや書類整理を怠らないこと
  • ●書類をファイリングや番号付けなどしてまとめておくこと
  • ●事業用のクレジットカードや口座を作っておくこと
  • ●会計ソフトの利用などで税務を効率化すること
  • ●e-Taxによる2月15日以前の申告を行うこと
  • ●わからないことがある場合は早めに相談しておくこと
  • ●税理士に確定申告の代行を依頼すること


日々の帳簿付けや書類整理を怠らないこと

確定申告作業をスムーズにする上で一番大切なのは、日々の帳簿付けや書類整理を怠らないことです。できれば毎日帳簿付けを行い、1か月ごとに収支や書類をまとめるなど、定期的に経理作業を進めておきましょう。

ギリギリでの準備になると、計算ミスや書類の紛失などのトラブルに対応する時間が少なくなります。また、過去の取引や収支に関する記憶が曖昧になり、思うように作業が進まなくなるリスクもあります。


書類をファイリングや番号付けなどしてまとめておくこと

請求書や領収書などの書類は、規則性を持たせたファイリングや番号付けなどを行い、一目で区別できるようにまとめることをおすすめします。

区別しておけば書類を探しやすくなるだけではなく、請求した取引に関する未入金の確認などもやりやすくなります。書類の紛失・破損なども防ぎやすくなるでしょう。


事業用のクレジットカードや口座を作っておくこと

個人事業主の確定申告の場合、事業用のクレジットカードや口座をあらかじめ作っておくのがおすすめです。事業用に分けておくメリットは次の通りです。

  • ●プライベートの収支と混ざらなくなる
  • ●クレジットカードで事業用の備品を購入したときに、購入日や金額が明確になる


クラウド型会計ソフトの利用などで会計・税務を効率化すること

確定申告を早く終わらせるには、会計・税務作業の効率化が効果的だと考えられます。

会計・税務の効率化におすすめなのは、クラウド型会計ソフトの利用です。クラウド型会計ソフトのメリットは次の通りです。

  • ●入力するだけで仕訳や計算作業をソフト側で対応してくれるため、ヒューマンエラーによる時間ロスを防ぎやすい
  • ●操作さえ覚えれば、簡単な入力作業でサクサク帳簿付けを進められる
  • ●入力データを基に確定申告書や決算書を迅速かつ自動的に作成してくれる
  • ●クラウド型であれば、インターネットがつながればいつでも数値を入力できる
  • ●証憑書類の発行・管理の実施や効率化ができるシステムを搭載している

月額の使用料や通信費がかかるものの、会計・税務作業の効率化には欠かせないツールと言えるでしょう。


e-Taxによる2月15日以前の申告を行うこと

e-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用した電子申告であれば、2月15日以前から確定申告の手続きを進められます。例えば2022年度提出分であれば、1月4日から申告が可能です。

実際に国からも、e-Taxであれば「所得税及び復興特別所得税の還付申告書は、2月15日(水曜日)以前でも提出できます。」と明言されています。なお早めに提出した場合でも、提出日の扱いは2月16日です。

また、e-Taxを使った確定申告は、他にも次のメリットが存在します。

  • ●1月4日~3月15日であれば、原則として土日祝日含む24時間利用できる(メンテナンス時間を除く)
  • ●青色申告特別控除の最大額65万円を適用できる
  • ●社会保険料控除の証明書や小規模企業共済等掛金控除の証明書などの添付書類の提出を省略できる
  • ●還付金が受け取れる場合、書面提出したときより還付金を早めに受け取れる(送信後3週間程度)
  • ●会計ソフトによっては、会計ソフトの操作画面からそのまま電子申告に移行できる

今後の年度も早めに確定申告作業を終わらせたい場合は、e-Taxを使った手続きをおすすめします。


わからないことがある場合は早めに相談しておくこと

確定申告についてわからないことがある場合は、税務署や税理士に早い時期から相談しておくのがよいでしょう。確定申告の時期になると税務署・税理士ともに忙しくなり、新規の相談対応を断られる可能性があります。

またわからないことがあるまま作業を進めると、間違いに気づかなかったり作業が滞ったりなどマイナス面が非常に大きいです。

税務署や税理士に相談する時間がない場合は、国税庁が運営する確定申告書等作成コーナーや、国税庁が発行する確定申告書の手引きなどを参考にして作業を進めましょう。


税理士に確定申告の代行を依頼すること

会社の仕事や事業が忙しすぎて確定申告に手を付けられない場合は、税理士へ確定申告の代行を依頼することをおすすめします。税理士に依頼するメリットは次の通りです。

  • ●豊富な税務知識と実務経験で、ミスのない正確な確定申告を期待できる
  • ●税理士に代行を依頼している間に、自分は他の作業に着手できる
  • ●確定申告に関する疑問や不安な点をすぐに相談できる
  • ●記帳代行から依頼できる
  • ●確定申告書の信憑度が上がり、申告内容について金融機関や税務署からの信用度が増す

.早めに準備して余裕を持って確定申告を終わらせよう

所得税の確定申告は、2月16日から受け付けています。e-Taxでの提出であれば、2月15日以前から手続きが可能です。申告期間は3月15日までの約1か月間ですが、作業量や正確性の重要度を考えると、可能な限り早くから作業に着手しておくのがよいでしょう。

確定申告を早く終わらせるには、日々の帳簿・書類の整理、事業用のクレジットカードや口座の作成、クラウド型会計ソフトや税理士の活用などが考えられます。

期限外申告による追徴課税などのペナルティを避ける意味でも、早めに準備して確定申告を終わらせることをおすすめします。

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この記事を書いた人

NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄

NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。

2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。

2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。

北森雅雄 masao kitamori

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