デジタルセールスルーム(DSR)を解説|導入意義・メリット・選び方
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2025.2.21 (金)Posted by 北森 雅雄(kitamori masao)
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私は以前、自治体向けの営業・コンサルティングの仕事で、ある重要な学びを得ました。それは、一つ一つの商談内容を丁寧に記録し、関係者と共有することが、大きな信頼関係と成果につながるという経験です。
この「確実な情報管理とコミュニケーション」を実現する新しいプラットフォームとして、今注目を集めているのが、デジタルセールスルーム(DSR)です。
過去の経験を含めて、デジタルセールスルームの特徴となぜ注目を集めているのかを解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。
目次:
1.デジタルセールスルーム(DSR)とは
デジタルセールスルーム(DSR)は、営業担当者がお客さまごとの専用ページを作成し、提案情報を一元管理できる新しいセールステックです。顧客が見るツールでもあるため、営業が使うほど、顧客にとっても価値が生まれるのが特徴です。
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これまでのセールステックの多くは、SFAなどの社内管理用ツールでした。一方、DSRは顧客のために提案を作り込む外向きのツール。顧客との対話に使うほどデータが蓄積され、SFAへの入力もスムーズになります。
出典:デジタルセールスルーム(DSR)とは?顧客起点の営業を実現するDSRの機能と事例、活用方法や最新トレンドのまとめ
なぜ今DSRが必要とされているのか私が尊敬する営業の先輩は、「すごい営業マン」というタイプではありませんでしたが、お客さまとの商談後には必ず丁寧な議事録をメールで送り、決定事項を言語化し、ドキュメントとして残していました。
この地道な作業のおかげで、トラブル発生時も過去の合意事項を正確に振り返ることができ、最終的にはお客さまの信頼が積み重なり、大きな受注につながることもありました。こうした確実な情報管理の重要性は、デジタル化が進む現代においてむしろ高まっています。
マッキンゼーの調査によると、BtoB営業において70~80%の意思決定者が対面での会議よりもデジタルでのやり取りを好み、2025年にはBtoB営業活動の80%がデジタルチャネルで行われると予測されています。
つまり今、求められているのは「基本的な営業活動の質」と「デジタルの効率性」の両立なのです。DSRは、まさにこの課題に応える新しいソリューションといえます。
引用:These eight charts show how COVID-19 has changed B2B sales forever2.DSRの主要機能と特徴
DSRにはさまざまな機能が搭載されていますが、このセクションでは特に重要な4つの機能に焦点を当てて説明します。
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それぞれの機能がどのように営業活動を支援し、顧客との関係構築に役立つのか、実践的な視点から解説していきます。
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お客さま専用ページの作成営業の方ではお客さまごとにメールフォルダを分けて管理していることはないでしょうか?DSRでは煩雑なメールのやり取りを脱却し、お客さま専用のプライベートな提案サイト上で、お客さまとのコミュニケーション管理ができます。
- ・提案サイトを通じた、シームレスな情報連携
- ・顧客企業ごとに適切な権限設定
- ・お客さまとの振り返りを専用ページで行える
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コンテンツ管理機能かつてメールの添付ファイルとして様々な資料送ったことがあるかと思います。それらの情報を、1つのサイトにて体系的に管理できるので、資料を見つけ出せなくなることがなくなります。
- ・お客様との打ち合わせ議事の蓄積
- ・提案書・見積書等の資料共有・一元化
- ・製品資料・カタログ、サービスの情報を集約したポータルサイト
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プロジェクト・タスク管理お客さまとのコミュニケーションにて生じる議事録の蓄積に加え、タスク管理、リマインド通知などが実装されており、プロジェクト管理を効率的に実施する機能を有してます。
- ・タスク管理・設定
- ・リマインド通知機能
- ・ステータス設定
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顧客の視聴ログお客さまに提供した資料や議事録について、アクセス履歴を確認することができます。メールだけではなく人できなかったお客さまの関心事や検討状況を可視化します。
- ・共有資料の閲覧状況分析
- ・顧客エンゲージメントの可視化
- ・アクセスレポート・ダッシュボード機能
3.DSR導入のメリット
DSR導入がもたらす価値は、営業担当者と顧客の双方に及びます。このセクションでは、両者にとってのメリットを具体的に解説し、なぜDSRが営業プロセス全体の改善につながるのか、その効果について詳しく見ていきます。
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営業担当者側のメリット確実な情報管理と信頼関係の構築
お客さまとの商談では、技術的な仕様の確認から納期の調整まで、さまざまな合意事項が発生します。DSRでは、これらの内容を時系列で正確に記録し、いつでも関係者が確認できる状態を維持できます。
「あの時の約束はどうなっていたか」といった確認が瞬時に行え、それが信頼関係の構築につながります。
また、お客さまの社内での検討状況や、各部門からの要望なども一元管理できるため、複数の関係者がいる案件でも混乱なく対応できます。業務効率を改善し、PDCAを回す仕組みづくり
従来のように複数のメールやファイルを探し回る必要がなくなるだけでなく、より本質的な営業活動に時間を使えるようになります。例えば、以下のような改善が図れます。
- ・お客さまの関心事項を分析し、次提案の質を高める
- ・類似案件での成功パターンを参照し、提案内容を改善する
- ・過去商談の振り返りと改善点の特定に時間を使える
組織的な営業力の向上
個人の経験やスキルに依存しない、組織としての営業力を築けます。
- ・成功事例のナレッジ化と共有が容易に
- ・新人でも過去の商談履歴から学習可能
- ・マネージャーが適切なタイミングでアドバイス可能
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お客さま側のメリット社内での意思決定プロセスの効率化
実際にDSRで提案を受けた企業からは、「社内稟議の時間が大幅に短縮」したという声もでてきています。これは以下のような要因によります。
- ・検討に必要な情報が体系的に整理されている
- ・関係者全員が同じ情報を共有できる
- ・過去の検討経緯を簡単に確認できる化
より戦略的な製品・サービス活用の実現
単なる情報共有の枠を超え、より価値の高い活用が可能になります。
- ・自社の課題に対する解決策を時系列で整理できる
- ・導入後のサポート情報をまとまった状態で受け取れる
4.DSRとSFAの違いについて
顧客とコミュニケーション手段をメールで運用し、その調整結果を社内の案件管理(SFA)に投入するのは、営業担当者のひと手間かかるところではないでしょうか。DSRとSFAは、それぞれ異なる目的と特徴を持つツールです。
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DSR(社外向け)DSRの主な役割は、顧客とのコミュニケーションを円滑に進め、商談の質を高めることです。具体的には以下のような機能を提供します。
お客さまとのコミュニケーション基盤
商談内容や決定事項を確実に記録し、関係者間で共有できます。営業とお客さま同士のやり取りを分散させないことで、お客さまとの円滑なコミュニケーションを実現するだけでなく、営業担当者の変更があっても過去の経緯を踏まえてお客さまへフォローすることができます。提案資料の共有・管理
過去の提案資料や見積書、契約書などを一元管理し、常に最新の状態で顧客と共有できます。資料の更新履歴も管理されるため、いつでも過去の経緯を確認することが可能です。
商談進捗の可視化
商談の各段階における顧客の反応や要望を記録し、次のアクションを明確にします。これにより、より細かい文脈が可視化され、言語化されにくい定性的な商談内容を踏まえた可能になります。
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SFA(社内向け)SFAは、営業活動の管理と分析を通じて、組織全体の営業力を向上させることを目的としています。
売上予測の精度向上
案件の進捗状況や確度を細かく管理することで、より正確な売上予測が可能になります。これは経営判断の重要な指標となります
営業活動の進捗管理
個々の営業担当者の活動状況を可視化し、適切なマネジメントを可能にします。これにより、組織全体の営業効率を向上させることができます。
5.DSR導入・運用のポイント
DSRの導入を検討する企業が直面する最大の課題は「どのように始めれば良いのか」「どうすれば組織に定着させられるのか」という点です。ツール選定のチェックポイント、さらには組織への定着化を実現するための運用方法を解説していきます。
選定のポイント
使いやすさとユーザビリティ
シンプルで直感的な操作性は重要です。また、DSRで重要なのは、お客さまと合意形成をとる議事録を、視認性の高い形で作成できることが選定のポイントになります。
テキストのメモだけ取れるだけでなく、ブログのように記載できる操作性があるかどうかも確認のポイントです。周りの評判を確認しながら、操作しやすいと感じるツールをデモ等で確認しましょう。カスタマイズ性
- お客さまの業界、商材に応じて、サイトを修正したり、テンプレートをカスタマイズできるかどうかを確認しましょう。
- ・商材タイプに応じた提案フォーマット・テンプレート
- ・顧客特性に合わせた画面構成
- ・自社のカラーにあわせたブランド感の反映可否
導入実績と信頼性
先進的なサービスだからこそ、大手企業での導入実績などを確認することは重要です。
大手導入の実績があるサービスは、細かな運用への対応ノウハウ有しており、導入がスムーズに行える可能性が高くなります。
運用成功のポイント
段階的な導入
基本から着実に進めることが成功の近道になります。少人数でのパイロット運用を始め、成功事例を徐々に蓄積することで、最終的に組織全体へ展開していくことをめざしましょう。
定期的な効果測定
具体的なKPIを設定しながら、定期的な観測を行いましょう。
アポ率、2次提案移行率、クロージング率に加え、お客さまのDSRでのサイト視聴数などもKPIを置くことで、運用上の課題の早期発見や継続的な改善活動の実施につながります。
6.効果的な営業DXの実現に向けて
DSRと組み合わせて社内の案件管理を行うには「kintone for おまかせ はたラクサポート」を活用するのがおすすめです。
kintoneによる効率的な案件管理
kintoneにて案件管理を行う際には以下のような特徴、メリットがあります。
- ・カスタマイズ可能な案件管理機能
- ・直感的な操作性
- ・柔軟なワークフロー設定
- ・豊富な連携オプション
- ・リーズナブルな導入コスト
DSRで顧客との関係構築を深めながら、kintoneで確実な案件管理を行うことで、効果的な営業DXを実現できます。これこそ、過去にエクセルなどで管理していた管理方法をデジタル時代に適応させた形といえるでしょう。
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この記事を書いた人
NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄
NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。
ビジネス開発本部では、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。
2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。
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