会計ソフトは個人事業主にもおすすめ!選び方・比較ポイントは?
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2023.4.25 (火)Posted by 北森 雅雄
個人事業主は1年間に発生したお金の取引を帳簿にまとめ、翌年に確定申告を行う必要があります。会計ソフトがあれば、画面の指示に従って入力することで、確定申告が初めてでも安心して作業を行えるでしょう。
会計ソフトにはさまざまなものがあるため、何を基準に選べばいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、会計ソフトについて検討している個人事業主の方に向けて、選び方や比較のポイント、おすすめの会計ソフトなどを紹介します。
また、おすすめの会計ソフトを知りたい方は、以下の記事もあわせてごらんください。
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この記事の監修者:藤沼寛夫(公認会計士・税理士)
藤沼会計事務所所長、アカウントエージェント株式会社代表取締役。
会計税務コンサルティング事業を展開する傍ら、Webメディア等で記事監修に携わっています。
1.会計ソフトは個人事業主も必要?
個人事業主が会計ソフトを使うべき理由について、白色申告と青色申告、2つの申告方法に分けて解説します。
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青色申告の場合
青色申告では、最大65万円の控除となる「青色申告特別控除」の仕組みがあり、利用すれば大きな節税効果となります。控除を受けるためには、借方・貸方のある複式簿記と呼ばれる方法で帳簿づけを行うことが必要です。複式簿記は手間がかかる方法であるため、できるだけ会計ソフトを利用することが望ましいでしょう。
青色申告特別控除は通常55万円の控除ですが、電子帳簿保存やe-Taxへの対応を行うことで、65万円の控除に引き上げることができます。より多くの節税効果を得るためには、会計ソフトを利用して、これらの条件を満たすことをおすすめします。
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白色申告の場合
事業規模が小さい方や、副業の方などが選ぶことの多い白色申告は、比較的簡単な単式簿記と呼ばれる方法で帳簿を作成します。エクセルや手書きのノートなどで帳簿を作成する事業者もいますが、効率を考えると、会計ソフトを導入することが望ましいでしょう。
なお、会計ソフトを導入するためのコストが大きいと、費用に見合った効果が得られない可能性があります。儲けが少なく白色申告を選択している方は、白色申告に対応した会計ソフトや、無料の会計ソフトを選ぶようにするといいでしょう。
2.会計ソフト導入のメリット
会計ソフトを導入する際のメリットを「簿記の知識がなくても安心」「効率的に入力できる」の2点から解説します。
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簿記の知識がなくても安心
日頃の帳簿付けは簿記のルールに則り行う必要があるため、簿記の知識がないと難しく感じられることがあります。
しかし、多くの会計ソフトは取引の日付や内容・金額などを入力することで、自動的に各帳簿を作成できるような仕組みを採用しています。確定申告が初めての方や、複式簿記に慣れていない方でも、帳簿の作成が行えるでしょう。
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効率的に入力できる
エクセルやノートを使って帳簿を作成すると、入力ミスや計算ミス・関数のズレからくるミスなどが発生することが多くあります。会計ソフトを導入すれば、そのようなミスが起こりにくく、スムーズな作業ができるでしょう。
また、青色申告では日々の取引を日付順に記録した「仕訳帳」と、勘定科目別に記録した「総勘定元帳」などを作成します。仕訳帳から各帳簿への転記を行う必要がありますが、会計ソフトでは転記を自動で行ってくれるため、転記漏れや金額間違いを防ぐことが可能です。
3.会計ソフトの選び方・比較ポイント
会計ソフトは多くの企業が開発を行っているため、どのソフトが自分に適しているかよくわからないという方もいるかもしれません。本項では、会計ソフトを導入する際の選び方を5つのポイントから解説します。
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有料or無料
会計ソフトは有料で使うものと、無料で使うものに分けられます。 それぞれの主な特徴やメリットについて見てみましょう。
<有料の会計ソフト>
- ●機能やデータ容量などの制限なく使える
- ●経営レポートや資金繰り表などを作成できる
- ●操作方法や簿記についてわからない場合のサポートが利用できることがある
<無料の会計ソフト>
- ●有料に比べて機能がシンプルであることが多い
- ●事業所得が少なくても気軽に利用できる
- ●無料の期間が限られている場合がある
自分の事業内容や所得に応じてどちらかを選択するといいでしょう。一般的には、本格的な事業を営む青色申告の方は有料を、事業規模が小さい白色申告の方は無料を選ぶことが多いようです。
しかし、白色申告でも今後の事業拡大を見据えて、有料のしっかりとした会計ソフトを導入する方もいます。予算や機能、今後の方向性についても加味して検討するといいでしょう。
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クラウド型orインストール型(買い切り型)
会計ソフトは「クラウド型」と「インストール型(買い切り型)」に分けられます。それぞれの特徴は、以下の通りです。
<クラウド型>
- ●インターネットを通じてシステムを利用する
- ●Windows、Macの両方に対応していることが多い
- ●複数の端末から利用できる
- ●初心者に扱いやすいように設計されていることが多い
<インストール型>
- ●ソフトをインストールしてから利用する
- ●Windowsのみに対応していることが多い
- ●インストールしたパソコンでしか利用できない
- ●経験者に扱いやすいように設計されていることが多い
クラウド型は簿記の知識がなくても使いやすいように設計されていることが多いため、初心者の方におすすめです。その反面、複式簿記に慣れている方や経験者の方にとっては、インストール型が使いやすく感じられることもあります。
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画面は見やすいか
会計ソフトはお金の動きがあった際に入力する必要があるため、何度も繰り返しアクセスすることになります。
そのため、会計ソフトの入力画面のデザインが好みであるかどうかというポイントも意識して検討しましょう。
入力画面は、各会計ソフトの公式ホームページなどで確認できるほか、無料期間やトライアルプランなどを利用して使い勝手を確認することもできます。
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簿記の知識は必要か
会計ソフトを開発する企業は、自社のターゲットとなるユーザーがどの程度の知識や習熟度合いであるかどうか想定しています。
例えば、経理業務を行ったことのない方を想定している会計ソフトから、ある程度の経験者であることを想定している会計ソフトなど、さまざまです。
会計ソフトを導入する際は、簿記の知識が必要とされているかどうかといった点からもチェックするようにしましょう。
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Macで使えるか
会計ソフトの中にはMacに対応していないものがあるため、注意が必要です。自身の使っているパソコンはもちろん、従業員のパソコンや、今後導入する予定のパソコンのOSなどについても含めて考えてみましょう。
4.おすすめ会計ソフト
会計ソフト | 申告方法 | 特徴 |
やよいの白色申告オンライン | 白色申告 |
・白色申告に特化した会計ソフト |
やよいの青色申告オンライン | 青色申告 |
・青色申告に特化した会計ソフト |
マネーフォワード クラウド確定申告 | 白色申告 青色申告 |
・事業規模などに応じた3段階のプラン |
弥生会計 | 白色申告 青色申告 |
・会計ソフトの定番 |
freee会計 | 白色申告 青色申告 |
・確定申告が初めてでも安心 |
会計ソフトはさまざまな企業が開発していますが、信頼性や継続性の観点から考えると、上記のような大手メーカーが開発しているものを選ぶことが望ましいでしょう。
次項から、おすすめの会計ソフトの特徴や料金などについてくわしく解説します。
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やよいの白色申告オンライン
申告方法 | 白色申告 |
利用方法 | クラウド型 |
対応端末 | Windows・Mac |
料金 |
・無料 |
おすすめの人 |
・白色申告での確定申告をとにかく簡単に済ませたい人 |
URL | https://www.yayoi-kk.co.jp/products/shiroiro_ol/ |
「やよいの白色申告オンライン」は、その名の通り個人事業主の白色申告に特化した会計ソフトです。わかりやすさや入力のしやすさを重視しているため、確定申告が初めての方や、簿記についてよく知らないという方でも安心して利用できます。
白色申告に役立つ基本的な機能を備えており、無料プランでも期間の制限や機能の制限などがありません。
会計ソフトの操作方法や、経理業務についての相談を行いたい場合には、有料プランの加入で電話・メール・チャットによるサポートを受けることもできます。
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やよいの青色申告オンライン
申告方法 | 青色申告 |
利用方法 | クラウド型 |
対応端末 | Windows・Mac |
料金 |
・1年間無料 |
おすすめの人 | 青色申告での確定申告を簡単に済ませたい人 |
URL | https://www.yayoi-kk.co.jp/products/aoiro_ol/index.html |
「やよいの青色申告オンライン」は、弥生株式会社が提供する確定申告ソフトの青色申告版です。日々の取引の入力から確定申告まで、一貫して行うことができます。
e-Taxに対応しているため、青色申告のメリットである65万円控除を受けることも可能です。
一番安いプランで年間8,800円(税抜)がかかりますが、1年もの間は無料で利用できるメリットがあります。
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マネーフォワード クラウド確定申告
申告方法 | 白色申告・青色申告 |
利用方法 | クラウド型 |
対応端末 | Windows・Mac |
料金 |
・800円〜(年額 9,600 円〜) |
おすすめの人 |
・経理業務にかかる時間を短縮したい人 |
URL | https://biz.moneyforward.com/tax_return/ |
「マネーフォワード クラウド確定申告」は、会計ソフトや家計簿アプリとして有名なマネーフォワードの確定申告版です。白色申告と青色申告のどちらにも対応しています。
銀行口座やクレジットカードと連携することで取引の情報を読み込み、 正しいと思われる仕訳を自動で入力してくれます。この機能により、経理業務にかける時間を大幅に削減することができるでしょう。
また、マネーフォワードが提供する「クラウド請求書」「クラウド給与」といったサービスとの連携も可能です。各サービスで入力した情報を、仕訳として自動で反映してくれるため、入力漏れやミスを防ぐことができます。
4
弥生会計
申告方法 | 白色申告・青色申告 |
利用方法 | クラウド型 |
対応端末 | Windows |
料金 |
・48,000円〜 |
おすすめの人 |
・事業規模が大きい人 |
URL | https://www.yayoi-kk.co.jp/products/account/index.html |
弥生会計は会計ソフトの定番であり、多くの事業者に利用されています。法人に利用されることが多いですが、事業規模が大きく、お金の取引が多く発生する個人事業主などにも好まれて利用されています。
弥生会計は幅広い場面で活用されているため、税理士などに状況を見てもらいたい時や、記帳代行を依頼したい時などに、話をスムーズに進めることが可能です。
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freee会計
申告方法 | 白色申告・青色申告 |
利用方法 | クラウド型 |
対応端末 | Windows・Mac |
料金 |
・月額980円〜 |
おすすめの人 |
・確定申告が初めての人 |
URL | https://www.freee.co.jp/accounting/individual/fr-63c0cd43/ |
freee会計は、日々の帳簿付けから確定申告まで、慣れていない人でも作業が行えることを目指して開発された会計ソフトです。確定申告は「はい」「いいえ」といった質問に答えることで行うため、そのような手続きが苦手な人でも安心して作業することができます。
スマホアプリを利用することで、レシートや領収証をカメラで撮影することもできます。画像から日付や金額などを自動で読み込むため、作業時間の短縮につながるでしょう。
5.会計ソフトは無料でもいい?注意点2つ
会計ソフトには無料のものもありますが、有料のものと比べるとサービスや機能の面で劣ることがあります。
副業の人や、事業所得が少なく白色申告で確定申告をする人などは、無料の会計ソフトでも構わないでしょう。しかし、以下などに該当する場合には、 費用をかけてより便利な会計ソフトを導入することをおすすめします。
- ●できるだけ効率的に作業を進めたい場合
- ●事業規模を拡大したい場合
- ●法人化を検討している場合
次項では、有料の会計ソフトをおすすめする理由や、無料の会計ソフトの注意点などについて紹介します。
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サポートが受けられない
有料の会計ソフトの多くは、操作方法や経理業務の進め方がわからない時に相談できるサポート体制を整えています。電話やメール・チャットなど好きな方法で相談することができるため、会計ソフトの利用に慣れていない場合の大きな味方となってくれるでしょう。
しかし、無料の会計ソフトのほとんどはこのようなサポートを受けることができません。わからないことがあっても自力で対応しなくてはならず、解決までに時間を取られてしまうこともあるでしょう。
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機能が制限されることがある
サポートの有無の他にも、機能によって有料プランと無料プランの差をつけている会計ソフトも存在します。
例えば、無料の会計ソフトでは基本的な取引の入力ができるものの、以下をはじめとする制限が設けられていることも多くあります。
- ●データを閲覧できる期間に制限がある
- ●仕訳数に制限がある
- ●データの出力ができない
- ●利用できるユーザー数、端末に制限がある
このような制限が設けられていると、日頃の業務が行いにくくなります。快適に業務を行うためにも、事業規模などに見合った費用をかけ、使いやすい会計ソフトを導入するよう心がけましょう。
6.まとめ 会計ソフトで効率化を検討しよう
会計ソフトを使うと、日頃の帳簿付けや確定申告を効率的に行うことができます。経理業務の経験がなくても操作できるように、工夫して設計されている会計ソフトも多いため、初心者の方でも安心です。本記事などを参考に、自分の事業に適した会計ソフトを選んでみましょう。
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この記事を書いた人
NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄
NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。
2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。
2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。