【保存版】会計ソフトを使わずエクセルで帳簿を作成できる?メリット・デメリットを解説
-
2023.4.17 (月)Posted by 北森 雅雄
日々の取引を記録するためには、手段はいろいろあります。会計ソフトを使うのが一番ラクな運用ではありますが、エクセルなどの表計算ソフトを使って会計業務を行っている企業・事業主もいます。
「慣れているエクセルを使いたい」
「会計ソフトの導入の方法がよくわからない」
などの理由で、エクセルでの帳簿作成を検討している方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、会計ソフトではなくエクセルで帳簿を作成するメリットやデメリットをわかりやすく解説します。エクセルを使った帳簿の作成方法についてもわかりやすく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
また、おすすめの会計ソフトを知りたい方は、以下の記事もあわせてごらんください。
\あわせて読みたい/
無料で使える会計ソフトの7つのケース!おすすめや選び方を解説
目次:
1.エクセルで帳簿を作成する方法は?
エクセルで帳簿を作成するためには、まずは日々の取引を入力するためのフォーマットを作成するところから始めます。本項では、具体的な方法を流れに沿って解説します。
1
フォーマットを作る
総勘定元帳や仕訳帳をはじめ、現金出納帳・売掛帳など、業務で作成する帳簿に応じたフォーマットを作成します。今回は、どの企業でも作成が必要な帳簿である総勘定元帳を例に解説します。
現金 | |||||
日付 | 相手科目 | 借方 | 貸方 | 残高 | 摘要 |
まずは、表の一番上に該当する勘定科目名を記載します。ここでは「現金」の総勘定元帳と仮定して解説します。
次に、各列の見出しとなる項目を入力します。各見出しの意味や記載すべき内容は、以下の通りです。
- ●日付:取引の生じた日付
- ●相手科目:相手方の勘定科目(売上、売掛金、消耗品費など)
- ●借方:借方の金額(現金が増加した場合)
- ●貸方:貸方の金額(現金が減少した場合)
- ●残高:現金の残高
- ●摘要:取引が生じた理由など
2
数式を入力する
「残高」の列のそれぞれのセルに、以下の数式を設定します。
= 前回の取引の残高 + 今回の取引の借方金額 - 今回の取引の貸方金額
これにより残高が自動的に計算され、帳簿上の残高と実際有高が一致しているかどうかチェックしやすくなります。
3
運用を開始し、定期的に整合性をチェックする
エクセルの準備が整ったら、実際に運用を開始しましょう。
総勘定元帳は1ヶ月で区切り、正しく記入できているかどうかを定期的に確認します。
現金 | |||||
日付 | 相手科目 | 借方 | 貸方 | 残高 | 適用 |
4/1 | 繰越 | 50,000 | 50,000 | 前期分繰越 | |
4/15 | 事務用品費 | 30,000 | 20,000 | 事務机 | |
4/27 | 売上 | 20,000 | 40,000 | A社 |
確認する表が上記の表である場合には、借方と貸方の金額それぞれを以下のように求めます。
- ●借方:50,000円(4/1)+ 20,000円(4/27)= 70,000円
- ●貸方:30,000円(4/15)+ 40,000円(残高)=70,000円
どちらも70,000円と一致したため、正しく入力できていることがわかりました。残高である40,000円は「次月繰越」として、翌月に繰り越します。
なお、会計上ではすべての勘定科目の整合性を確認する「試算表」もあわせて作成することが一般的です。
2.エクセルで会計業務を行うメリット
1
業務にあわせてカスタマイズできる
各帳簿は必ずしも決まったデザインで作成しなくてはいけないというわけではなく、事業に応じた様式で作成することも可能です。
企業独自のルールがあったり、好みに応じて帳簿を作成したかったりする場合にも、エクセルであれば簡単に表をカスタマイズできるでしょう。
会計ソフトではすでに帳簿画面が決まった形にデザインされているため、そのようなカスタマイズを自由に行うことが難しい傾向にあります。 反面、エクセルであれば各項目の幅や色、関数・マクロまで、作業者の好みに応じた設定を行うことができます。
2
コストがかかりにくい
エクセルをすでにインストールしている場合は、利用のために新たに費用がかかることがなく、会計ソフトを購入するよりもコストを抑えることができます。
会計ソフトは利用するユーザー数や端末数に応じて追加料金を支払うことが一般的です。その反面、エクセルを日頃から使用している企業であれば、ユーザー数などを新たに考える必要がないため、費用の節約になります。
3
環境に左右されない
エクセルは使用するパソコンやバージョンにかかわらず、ほとんど同じように表示されるため、他部署や税理士などとやりとりする時でも困ることはありません。
また、端末の乗り換えや異動などが発生した際も、共有フォルダにデータを入れておくことで、どこでも変わらずに利用できるでしょう。
3.エクセルで会計業務を行うデメリット
便利なように思えるエクセルですが、会計業務を行う際はいくつかの注意点が存在します。正確性の問題や汎用性の低さなど、4つのポイントから解説します。
1
ミスが起こりやすい
会計ソフトは日々の入力から各帳簿を自動的に作成するため、計算ミスや転記ミスが防げます。
エクセルを利用する場合には、関数やマクロを使って手動で設定を行う必要があるため、会計ソフトに比べるとミスが起こる可能性が高いでしょう。
仕訳帳に入力した内容を、総勘定元帳や他の帳簿に反映させる必要もあります。時間や手間がかかる上、金額を間違えて入力したり、関数がうまく入っていなかったりと、手作業ならではのリスクが伴います。
関数やマクロを誤って崩してしまったり、シートごと削除してしまったりする可能性もあります。エクセルを使うには、ミスの防止やリカバリーにも十分に気を配る必要があるでしょう。
2
属人化しやすい
エクセルは自由にカスタマイズできる反面、担当者の使いやすいようにファイルが変化していきます。担当者以外は使いにくいものになってしまうリスクがあることを覚えておきましょう。
特に、関数やマクロを使って複雑に作成している場合などには、担当者が変わったり、フォーマットを更新する必要があったりといった際に対応できないことがあります。経理業務とエクセルのどちらにもくわしくないと対応が難しくなってしまうので、注意しましょう。
専門知識が必要
会計ソフトを使わずエクセルで帳簿を作成するためには、借方・貸方といった複式簿記や、消費税などの税務の知識が求められます。日頃の取引を入力するだけではなく、試算表や決算書の作成も行わなくてはいけないため、会計業務の経験がない方にとっては難しいでしょう。
初心者の方がエクセルで帳簿をつけようとすると、金額があわず決算時に苦労したり、正しい申告ができなかったりするリスクがあるので、注意が必要です。
法改正に対応する必要がある
会計業務は、税金や会計処理に関する法律に従って進めることが求められます。法律が改正された場合、会計ソフトであればアップデートをするだけで最新のルールに応じたシステムに更新できます。しかし、エクセルを使用していれば自力で反映する必要があります。 自分で法律の内容を調べて理解し、エクセルの設定を変更するのは、多くの時間がかかるでしょう。日頃の入力だけではなく、法改正があった場合にかかる労力についても鑑みる必要があります。
4.エクセルより会計ソフトがおすすめ!
日頃からお金の動きの少ないごく小規模の企業や、個人事業主であれば、エクセルを使用してもさほど問題ないかもしれません。
しかし、一般の企業がエクセルで会計業務を行う際のデメリットを解消するのであれば、会計ソフトの使用をおすすめします。ここでは、エクセルよりも会計ソフトが適している理由を4つ紹介します。
1
初心者でも使いやすい
会計ソフトの中には、簿記の知識がなくても利用できる工夫がされているものがあります。借方・貸方といった専門用語を使わず、家計簿をつけるような感覚で入力できるものもあるため、経験が無い方でも利用可能です。
2
ミスを減らすことができる
会計ソフトでは、入力した情報に応じて自動的に合計額などを計算してくれるため、ミスが起こる心配がありません。エクセルでありがちな関数の誤入力や対応するセルのズレなども発生しないため、エクセルよりもミスが起こりにくいと言えるでしょう。
1
業務を効率化できる
これまでに解説した通り、会計ソフトは使いやすさやミスの発生しにくさに魅力があります。ミスをした際のリカバリーや、正しく入力できているかどうかのチェックに時間を割くことも少なく、業務にかかる時間を短縮できるでしょう。
また、多くの会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードと連携することで取引を自動的に取得する機能を備えています。1件ずつ手入力する必要がない上、AIによって自動で仕訳を行うこともできるので「業務時間が大幅に削減できた」と実感する方も少なくありません。
5.会計ソフトとエクセル・手書きの併用も可能
エクセルで作成したデータをCSVに変換することで、入力した情報を会計ソフトに取り込むことも可能です。
すでにエクセルを使用し始めている場合でも、この方法を使えばそれほど違和感なく会計ソフトを使い始められるでしょう。現在の業務フローを大きく変更する必要もないため、 多くの方におすすめできる方法と言えます。
また、手書きで作成した帳簿をあらためてエクセルや会計ソフトに入力する方法もあります。
次項からは、会計ソフトとエクセル・手書きの併用がおすすめなパターンについて解説します。
パターン①
複数の拠点や店舗がある
複数の拠点や店舗がある場合、それらすべての担当者に会計ソフトの権限を付与してしまうと、以下の問題が発生する可能性があります。
- ●作業時間が重なって開けない
- ●利用人数や端末が増えて、会計ソフトの利用料金がかさむ
- ●ルールの統一が難しい
そのため、複数拠点の企業は本部の経理担当者のみ会計ソフトにアクセスできる仕組みを採用していることが一般的です。
その方法を採用する場合、各拠点で発生した取引は、拠点の担当者がエクセルに入力して本部へ送ります。本部の担当者が会計ソフトにインポートすれば、各拠点の会計処理をスムーズに行うことができるでしょう。
パターン②
現金出納帳や小口現金出納帳がある
もう1つのパターンは、現金出納帳や小口現金出納帳をエクセルもしくは手書きで作成し、あらためて会計ソフトに取り込む方法です。
多くの企業は、レジや金庫などの現金を正しく管理するために出納帳をつけています。しかし、現金の入出金があるたびに会計ソフトを起動していては非効率です。
そのため、エクセルや手書きのノートに入出金の金額や日付・内容を簡単に書いておき、後でまとめて会計ソフトに入力する方法がいいでしょう。
「毎回パソコンに向かうのは億劫」という場合には、レジや金庫のそばに手書きのノートを置いておくことをおすすめします。お金を出し入れした際にすぐ記入できる上、記入漏れを防ぐことも可能です。
6.会計ソフトの選び方
エクセルだけで会計業務を行うのではなく、会計ソフトと併用することが効率的だとわかりました。最後に、 会計ソフトを導入する際の選び方を簡単に解説します。
1
自動的に仕訳をしてくれる
近年の会計ソフトの多くは、銀行口座やクレジットカードと連携して自動的に情報を取り込んでくれます。
また、取り込んだ情報をもとに自動的に仕訳をしてくれる機能も存在します。過去の入力データなどからAIが学習して、適切と思われる仕訳を行なうため、使えば使うほど効率性が高まるでしょう。
よりスピーディに会計業務を進めたい場合には、AIによる自動仕訳に力を入れている会計ソフトを選ぶことをおすすめします。
2
システム間での連携が可能
会計ソフトを提供する企業の中には、給与計算や勤怠管理をはじめとする他のシステムと連携できるものがあります。
例えば、給与計算ソフトで従業員の給与を計算した後、必要な仕訳を自動で会計ソフトに反映するといったことが可能です。
他にも、請求書作成ソフトや営業支援ツール・POSレジなど、連携できるシステムは会計ソフトによってさまざまです。すでに利用しているシステムがある場合には、会計ソフトとの連携機能があるかどうかチェックしてみましょう。
3
サポートが充実している
代表的な会計ソフトのほとんどは、操作方法や会計業務に関するサポートサービスを提供しています。わからないことがあった時に、メールやチャット・電話で質問できるため、会計ソフトの扱いに慣れていなくても安心です。
会計業務に慣れていない場合には、できるだけサポートの充実している会計ソフトを選びましょう。料金が高いプランに加入すれば手厚いサポートを受けられることが多いので、予算とのバランスを考えながら検討することが大切です。
7.まとめ
エクセルは汎用性が高く、会計業務を行うにあたって使いやすいソフトです。しかし、エクセルだけで会計業務を完結させるのは難易度が高く、非効率である場合がほとんどと言えるでしょう。
会計ソフトを導入して、必要に応じてエクセルと併用することで、より安定して作業を行うことにつながります。会計ソフトを導入して、必要に応じてエクセルと併用することで、より安定して作業を行うことにつながります。会計ソフトを導入して、必要に応じてエクセルと併用することで、より安定して作業を行うことにつながります。
弊社の提供する「おまかせはたラクサポート」は、freee会計やfreee人事労務をはじめとする各ソフトにより、バックオフィス業務を包括的にサポートします。「会計ソフトの導入を検討している」「バックオフィス業務を一元化したい」などのご希望がありましたら、お気軽にご相談ください。
-
会計ソフトならサービスとサポートをセットに!会計ソフト 無料体験申込フォーム
NTT東日本では、会計ソフトをはじめとして、バックオフィス業務効率化サービスを無料体験できるメニューを提供しています。
実際に、操作画面をみながら、導入の相談をできますので、お気軽にお問い合わせください!
この記事を書いた人
NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄
NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。
2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。
2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。