• 2023.5.24 (水)
    Posted by 北森 雅雄

3通りのエクセル電子印鑑の作成手順を詳細まで徹底的に解説

「電子印鑑をエクセル(Excel)で作成しようにも作り方が分からない」とお悩みの方がいらっしゃるのではないでしょうか。

エクセルを用いて電子印鑑を作成するには3通りの方法があります。3つの方法はすべて無料で、手順も非常に簡単かつシンプルなため、思い立ったらすぐに電子印鑑を作成可能。適した形式で保存しておけば、電子印鑑が必要な際にいつでも使えて便利です。

ただ、電子印鑑をエクセルで作成した電子印鑑には大きなデメリットも存在しています。
エクセルの電子印鑑はすべての用途に使えるわけではないので、特徴をしっかりと把握しておきましょう。

本記事では、3通りのエクセル電子印鑑の作成手順を詳細まで徹底的に解説します。作成したエクセルの電子印鑑の押し方や、メリット・デメリットについても要チェックです。
ご覧になりながら実際に電子印鑑を作成できる内容になっていますので、すぐに作りたい方はぜひ参考にしてみてください。

.実物の印影をスキャンして画像データを作成する

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実物の印鑑の印影を画像データとして取り込み、エクセルに貼付して電子印鑑を作る方法です。
印影の画像をエクセルで作成する手順は以下のとおり。

  • 1.実物の印鑑で紙に押印する
  • 2.印鑑の印影をパソコンに取り込む
  • 3.エクセルに印影画像を貼付する
  • 4,印影のPDFファイルをトリミングする
  • 5.画像の背景を透過
  • 6.サイズを調整する

手順の詳細と作成する時のポイントを説明します。


実物の印鑑で紙に押印する

はじめに、電子印鑑として使用したいハンコを紙に押印します。
押印の際は、以下の2点に気をつけてください。

  • ●印鑑を押す紙は純白の色を選ぶ
  • ●はっきりと濃く押印する

押印する紙の色は、白ければ白いほど印影がくっきりと鮮やかな画像になります。できる限り純白の紙を選ぶほうがいいでしょう。
また、押印したものがそのまま電子印鑑の画像データになるため、はっきりと濃い印影になるよう丁寧に押してください。


印鑑の印影をパソコンに取り込む

印鑑の印影をスキャンして取り込むには、次の1~3順に作業を行いましょう。

  • 1.押印
  • 2.スキャン
  • 3.スナップショットツールでコピー

まず、押印した紙をスキャンし、PDFファイルとしてパソコンにインポート(取り込み)して保存します。取り込む画像は、ご使用のスキャナーを高画質モードに設定してスキャンを行うと粗さのない自然な仕上がりです。

次に、スキャンした画像をスナップショットツールでコピーします。保存したPDFファイルをAdobe Acrobat Readerで開いたあと、ツールバーからスナップショットツールを選んでカットする範囲を指定(ドラッグ)し、コピーしてください。スナップショットツールのボタンがない場合は「編集」→「詳細」→「スナップショット」と選択していけば使用できます。

なお、パソコンへの取り込みは、スマートフォンなどで撮影した画像でもかまいません。撮影した印影画像を利用する方法は、スキャナーやPDFツールを使用する必要がないぶん、スキャンより手軽に作業が行えます。

ただ、スキャンした画像は印影を撮影したものと比べ鮮明で、編集もしやすいというメリットがあります。お手持ちのツールや操作方法・仕上がりの好みによって選択してください。


エクセルに印影画像を貼付する

印影データをスキャンした場合、スナップショットツールでコピーしたあと、エクセルを開いて画像をペースト(貼り付け)します。サイズが小さい画像を使用すると画質が粗くなりやすいため、スナップショットツールでコピーする前に拡大しておきましょう。

印影写真を利用する際は、撮影した画像をエクセルに取り込みます。取り込む方法は「挿入」→「画像」から写真を選択すればOKです。


印影の画像をトリミングする

次の作業は、エクセルに貼付または挿入した画像のトリミングです。余計な部分をカットしておくと、美しい仕上がりの電子印鑑になります。
印影画像に透過処理を施す場合、大幅なトリミングは必ずしも必要ではありません。

余白のカットは、画像の上で右クリックして「トリミング」を選択すれば可能です。
円形に切り抜くには、画像を左クリック→図ツールの「書式」タブ→トリミングボタン下方「▼」→「図形に合わせてトリミング」の順に選びます。


画像の背景を透過する

より本物の印鑑に近づけるには、画像の背景を透過します。

背景の透過方法は、まず画像を左クリックすると現れる図ツールの書式タブにある「背景の削除」を選択してください。次に「保持する領域」および「削除する領域」を設定したうえ、右方にある「変更を保持」のチェックマークをクリックするだけで簡単に行えます。


サイズを調整して保存する

最後に、印鑑として使いやすいサイズに整え、保存すれば電子印鑑の完成です。

電子印鑑のデータは、PNG形式の画像ファイルとして保存しておくのがおすすめ。電子印鑑を使用するたびにエクセルファイルからコピー&ペーストすることもできますが、画像として保存しておくとすぐに取り出せるため利便性が格段にアップします。

なお、電子印鑑の画像はJPEG形式でも保存可能です。しかし、JPEG形式だと透過処理ができません。また、エクセルで作成した電子印鑑をPDFファイルに直接押印するには、PNG形式で保存している必要があります。さらに、JPEG形式は圧縮後、元の状態に復元できないというデメリットにも注意してください。

.図形の挿入機能で作成する

エクセルの図形を挿入する機能で電子印鑑が作成できます。
電子印鑑をエクセルで図形として作成する手順は、次のとおりです。

  • 1.印鑑枠を挿入する
  • 2.図形の書式を決める
  • 3.名前や日付を追加する
  • 4.図形の書式を調整してグループ化を施し保存する

以下、各手順を詳しく解説します。


印鑑枠を挿入する

はじめに、電子印鑑の枠組みを作成します。
エクセルを開き、「挿入」タブにある「図形」を選択しましょう。表示される図形から好みのものを選び、エクセルシート上で左クリックすると印鑑枠を挿入できます。
一般的な印鑑に近い上下左右が対称な円形の枠を描くには、図形を選択後、SHIFTキーを押しながらドラッグしてください。


図形の書式を決める

枠組みが定まったら、次は図形の書式を決めましょう。
枠線のカラーは、挿入した図形を選択し「書式」タブの「図形の枠線」をクリックすると変更可能です。

枠印鑑の枠組みを決めるときには、押さえておきたい2つのポイントがあります。

  • ●朱色に近いグラデーションカラーを選ぶ
  • ●枠線のスタイルを二重線にする

特に指定や好みがなければ、朱色に近いグラデーションの枠線にすると色が部分的にかすれているように見え、印鑑らしくなるのでおすすめです。また、枠線のスタイルを二重線に設定することで、本物の印鑑で押印する際に生じるブレも表現できます。

印鑑の枠内にカラーは不要なので、枠線の色と同じ手順で「図形の塗りつぶし」をクリック→「塗りつぶしなし」を選択してください。
枠線の書式設定は、対象の画像を右クリックすることでも変更できます。


名前や日付を追加する

続いては、印影の文字部分の作成手順です。
名前のみの電子印鑑の場合、まずカラーを決めた枠組み図形を選択したうえ「挿入」タブのテキストボックスをクリックします。
「縦書きテキスト」「横書きテキスト」から必要に応じたスタイルを選び、枠組み内をクリックして現れるテキストボックスをドラッグして範囲を拡大しましょう。あとはテキストボックスに氏名や会社・法人名などを入力すれば文字が追加されます。
2字以上を入力するのであれば、1つずつのテキストボックスに分けて入力すると、文字間隔のバランスを取りやすいでしょう。

日付を入れる場合は、印鑑枠の挿入後、名前を挿入する前に印鑑枠内のセルに入力してください。「=TODAY()関数」を使用すると日付が自動で表示されるため、入力の手間が省けて便利です。
続いて、日付が表示されている部分をはさむ形で、上下のセルに氏名などの文字を入れましょう。会社名と氏名を上下に分けて入力することもできます。

文字の色や塗りつぶしの変更手順は、枠組みの図形と同様です。
枠組みの書式設定と異なる点は、フォントを選択すること。ワードアート機能などで文字の装飾もできます。デフォルトのフォントも使用可能ですが、好みのフォントをダウンロードするとほかの電子印鑑との差別化を図れるでしょう。


図形の書式を調整してグループ化を施し保存する

仕上げに、印鑑の枠内で氏名などを入力したテキストボックスを適切な場所に配置します。
重要なのは、次の手順で行う図形とテキストボックスのグループ化。グループ化を施さないままだと、電子印鑑の図形を動かすたびに位置がずれてしまいます。
グループ化は、CTRLキーを押したまま枠組み図形とテキストボックスをそれぞれ左クリックしてから右クリックすると選択できるようになります。

グループ化の作業が終われば、電子印鑑の完成です。
作成した電子印鑑は、実物の印影データを保存する場合と同じくPNG形式またはJPEG形式の図として保存しましょう。

.専用アドインをダウンロードする

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エクセルで電子印鑑を作成する3つ目の方法は、作成をサポートしてくれるソフトウェア拡張機能(アドイン)のダウンロードです。

フリーのアドインには「Excel電子印鑑」などがあります。アドインは配信サイトからダウンロードして入手し、zipファイルを解凍後パソコンにインストールすればすぐに使用可能です。ダウンロードは、アドインが有効になっていることを確認してから実行しましょう。

電子印鑑の作成を行うアドインには、認印だけでなく角印などを作れるものもあります。
アドインをダウンロードする電子印鑑の作り方は、エクセルで1から自作するより手軽で、複数の電子印鑑を作成するのにも便利です。

しかし、フリーのアドインすべてが安全であるとはいえません。無料アドインのダウンロードは、セキュリティ対策をしっかりと講じたうえ、自己責任で行う必要があります。

.エクセル(Excel)で作成した電子印鑑の押し方

エクセルで作成した電子印鑑の押し方は、以下に挙げるとおり作成方法によって異なります。

  • ●実物写真のスキャンまたは図形から作成した電子印鑑の押し方
  • ●アドインを利用して作成した電子印鑑の押し方

それぞれの押印方法について説明しますので、ぜひ参考にしてください。


実物写真のスキャンまたは図形から作成した電子印鑑の押し方

エクセルで作成した電子印鑑をPNG形式またはJPEG形式で保存していれば、押印するのは簡単です。

エクセルシートの場合、「挿入」タブから「画像」をクリックすると現れるダイアログボックスから、該当の電子印鑑画像ファイルを選択すると押印できます。

PDFファイルにエクセルで作成した電子印鑑を直接押印する方法は、エクセルシートとは異なる手順です。
まず、Adobe Acrobat ReaderでPDFを開きます。「ツール」タブ内の「スタンプ」→「カスタムスタンプ」の順にクリックし、PNG形式で保存した電子印鑑を選択します。
あとは、指示どおり操作すれば「スタンプパレット」に先ほど選んだ電子印鑑が追加されるので、押印する場所をクリックするという流れです。


アドインを利用して作成した電子印鑑の押し方

アドインごとに押印方法が異なる場合があるため一概にはいえませんが、ここでは「Excel電子印鑑」のアドインを利用した押印方法について説明します。

Excel電子印鑑のアドインをダウンロードして作成した場合、右クリックすると出現するリストに「認印押印」という項目が追加されます。押印の際は2ステップで済むので、非常にシンプルかつ明快です。

登録できる電子印鑑は1つの名称につき1種類のみに限定されているため、複数登録するには名称を変える必要があります。

電子印鑑を頻繁に使うなら、アドインの印鑑設定からリボンにオリジナルのタブを登録しておけば、クリック1回で素早く押印が可能です。

.エクセル(Excel)の電子印鑑を作成・使用するメリット

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エクセルの電子印鑑を作成・使用すると、以下のメリットを得られます。

  • ●低コストで作成できる
  • ●作り方が非常に簡単


低コストで作成できる

エクセルの電子印鑑は、コストを大幅に抑えられる作り方です。
会社・法人用のパソコンにはエクセルがインストールされている事が多いため、初期費用がかかりません。
試しに電子印鑑を作ってみたい方や個人や社内でのみ使用する簡易的なものを作成したいときには、まずエクセルの作り方から試してみるといいでしょう。

また、エクセルの電子印鑑を導入してペーパーレス化すれば、コピー用紙代やインク代にかかる費用を減らせます。エクセルの電子印鑑は、コストがかかるどころか、むしろ経費削減が狙えるツールともいえるのです。


作り方・押し方が非常に簡単

エクセルの電子印鑑は、作り方・使い方ともに非常にシンプルで簡単です。

エクセルで電子印鑑を作る方法には、難解な手順がほとんどありません。このため、あまりパソコンの操作に慣れていない方でも自分で電子印鑑を作成できます。

また、エクセルの電子印鑑は必要が生じた時に即座に作成可能です。急に電子印鑑を使うことになったり準備する期間が短かかったりする場合に間に合う作り方をお探しなら、エクセルの電子印鑑が適しています。

エクセルの電子印鑑は感覚的に使用できるものが多く、押印できずに困るケースはほとんどないでしょう。

.エクセル(Excel)の電子印鑑を作成・使用するデメリット

エクセルで自作した電子印鑑には、次のデメリットが存在します。

  • ●法的に保証されない
  • ●セキュリティが不安
  • ●デザインが単純になりがち

見落としてはならない重大なデメリットもあるので、エクセルの電子印鑑の使用は慎重に行いましょう。


法的に保証されない

エクセルで作成した電子印鑑は、法的に証拠として認められる根拠がありません。
法的効果のある電子印鑑の作成には、各電子印鑑の所有者が認証できる情報を組み込むことや、タイムスタンプをつけ加える必要があります。2つの要件および電子証明書の発行をもって電子署名法が定める法的根拠を満たす電子印鑑となるのです。

自作した電子印鑑は、法律が定める根拠をカバーできないため、ビジネスや取引で扱う重要な書類には押印できないことを念頭に置いておきましょう。


セキュリティが不安

エクセルで作れる電子印鑑はあくまで印影の画像データを模しただけであり、セキュリティ面に大きな不安があるのがいなめません。

エクセルの電子印鑑が押印された書類が手元にあれば、コピーや偽造が誰でも簡単にできてしまいます。エクセルの電子印鑑には、丸印などの重要なハンコの印影を使用しないようにしてください。

また、エクセルの電子印鑑を不正使用されても、いつ・誰が・どこで使用したのかも特定できません。電子印鑑を廃棄する際にも、細心の注意を払いましょう。
無料のアドインをダウンロードする場合では、インストール時に問題が発生しても保障されないケースがほとんどです。
セキュリティ強化を行ったうえで、無料のアドインをダウンロードするべきだといえます。


デザインが単純になりがち

あらかじめ備わっている機能だけでエクセルの電子印鑑を作った場合、フォントや形などが非常に単純なものになりがちです。

エクセルで作成した電子印鑑の仕上がりは、スキルの高さや使用するツールの性能で大きく異なります。パソコンに新規のフォントや作成補助ツール等を購入すると経費が余計にかさみ、電子印鑑を無料で作るはずが本末転倒になってしまいます。

.ビジネス・取引で使う電子印鑑は法的効果を持つものを!

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ビジネスにデジタル取引を取り入れるなら、法的根拠に基づくシステムが構築されている電子印鑑や電子署名などの電子決裁サービスをおすすめします。

実のところ、印鑑は実物・電子に限らず必ずしも法的効力に影響するわけではありません。
経済産業省では、特殊なケースを除き取引・契約において書類に押印する行為は必須ではないという見解が示されています。

しかし、法律で義務化されていなくとも、一定の要件を満たす電子印鑑などによる押印・サインは、電子取引における合意の証だとみなされるのも事実です。電子印鑑の効力は、電子署名法3条で示されている二段の推定に基づきます。

また、ビジネスでは信用が非常に重視されるものです。

ビジネスで取り扱う多くの書類は重要性の高いものであり、その信頼と安心を担保するのは企業・法人の責務ともいえます。

法的効力を持つ電子印鑑を作成するには、有料のサービスの利用が必須です。電子印鑑に経費がかかったとしても、ペーパーレス化によるコスト削減と業務の効率化が見込めます。

日本での電子取引は、まだ発展途上です。現在、ビジネスを含む様々な分野における手続きをデジタル化する法改正や取り組みが国を挙げて推進されています。
会社・法人には、デジタル社会を目指す時流にいち早く呼応する姿勢が求められるでしょう。

.まとめ

エクセル(Excel)を用いた電子印鑑の作り方には次の3通りがあります。

  • ●実物の印影画像データを作成する
  • ●図形の挿入機能で作成する
  • ●フリーのアドインをダウンロードする

エクセルの電子印鑑は、制作費用がいらず、総じて難しい手順はありません。作成さえしてしまえば、必要に応じていつでも手軽に利用可能です。

しかし、エクセルで作成した電子印鑑には法的な効力はなく、ビジネス上の重要書類には使えません。ただの画像データでしかないため、偽造や不正使用など多くの危険にさらされます
また、デフォルトの機能だけではこだわったデザインにできないというデメリットもあります。

エクセルで作成した電子印鑑の特徴を考慮すると、ビジネスで利用するなら有料サービスの利用がおすすめです。時流に乗って電子決裁サービスを導入し、他企業に一歩リードしてみませんか。

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この記事を書いた人

NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄

NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。

2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。

2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。2023年より、セールスイネーブル組織の立ち上げを推進。

NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。

北森雅雄 masao kitamori

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