電子請求書発行システムの比較ポイントとは?導入メリット・デメリットも解説
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2023.8.23 (水)Posted by 北森雅雄
「電子請求書発行システムの比較ポイントとは?」
「電子請求書発行システムを導入するメリット・デメリットを知りたい」
と考えている方も多いのではないでしょうか。
2022年1月改正の電子帳簿保存法、2023年10月施行のインボイス制度によりバックオフィスの業務は煩雑化していきます。そんな業務効率化が必須な状況の中で、今注目を集めているのが電子請求書発行システムです。
当記事では、そもそもなぜ電子請求書発行システムが注目されているのか、電子請求書発行システムを導入するメリット・デメリット、電子請求書発行システムを比較する際のポイントをご紹介します。
電子請求書発行システムを選定する際のポイントやメリットデメリットを理解できる内容になっていますので、ぜひ最後までお読みください。
目次:
1.なぜ電子請求書発行システムが求められているのか
法改正による業務負荷改善、業務効率化のために電子請求書発行システムに期待が寄せられています。では、なぜ期待が寄せられているのか順を追って解説します。
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そもそも電子請求書発行システムって何ができるの?
電子請求書発行システムといっても多数のシステムがありますが、大枠で以下の3タイプがあります。
- ●オンプレミス型システム
- ●インストール型システム
- ●クラウド型システム
この中で主流なのはクラウド型システムです。なぜなら、導入企業において自前でサーバーを持つ必要がないため、ランニングコストを抑えることが可能で、かつ、法改正などがあれば随時機能アップデートがなされるため、手間がかからないからです。
クラウド型電子請求書発行システムといっても多数のシステムが存在しますが、主な機能として以下のような機能を搭載している場合が多いです。
請求情報の取込 |
上位システムの会計システムなどから請求情報を連携して、請求書を自動作成します。 |
請求書の作成 |
Excelなどで作成した請求書フォーマットをアップロードすることで、請求情報と紐づけて請求書を作成できます。 |
請求書の発行・送付 |
送付頻度などルールを決めることで、取引先ごとに自動で請求書の発行・送付ができます。 |
請求書の郵送 |
電子請求書の発行・送付だけでなく、取引先ごとに紙請求書の郵送も代行してくれます。 |
取引先の管理 |
取引先ごとに請求書の開封・返送状況などをステータス管理することができます。 |
その他 |
利用するシステムにもよりますが、入金消込、OCRによる受領した請求書のデータ化など、業務効率化につながる機能を有している場合も多いです。 |
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2023年10月施行のインボイス制度によりより正確な請求書発行が求められているから
請求書は相手方に正確な支払金額や支払期日、振込口座を提示して、支払いを円滑に薦めることを目的に発行・送付されます。
法律上、必ず発行しなくてはならない文書ではありませんが、相手方と無用なトラブルを防止する意味でも請求書の発行は非常に重要な行為です。
この請求書の発行が2023年10月のインボイス制度施行以降、義務化されます。売り手側である適格請求書発行事業者は取引先から適格請求書の発行を要求された場合、必ず適格請求書を発行しなくてはなりません。
仕入側の事業者は適格請求書を受領しなければ、2023年10月以降、仕入税額控除ができませんので、大半の取引で仕入側の事業者は適格請求書の発行を依頼するでしょう。
つまり、売り手側はこれまで以上に適格請求書の発行業務に工数がかかる上に、ミスが許されない業務になるのです。
手作業ではミスが起こる可能性が高くなるため、システムによる請求書の自動発行・送付のニーズが増えています。
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改正電子帳簿保存法対応などのためバックオフィス業務の効率化が必要だから
2022年1月に改正された電子帳簿保存法によって、電子で授受した文書は必ず保存要件を満たした形式で電子保存が義務化されました。
また、2023年10月に施行されるインボイス制度によって、特に適格請求書の受領時に事業者番号の突合などの新業務が発生するため、業務負荷が上がることが想定されています。
したがって、これまでのバックオフィス人員を増やす想定でなければ、業務効率化が必須な状況になっているのです。したがって、請求業務の効率化を期待できる電子請求書発行システムが注目されています。
2.電子請求書発行システムの導入メリットとは
電子請求書発行システムを導入することにより多数のメリットがあります。その中でも特に大きなメリットは以下の通りです。
- メリット①:請求書の発送業務効率化
- メリット②:リモートワーク促進
- メリット③:請求情報などの管理を一元化
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メリット①:請求書の作成・発送業務効率化
電子請求書発行システム上には上述で紹介したような、上位会計システム上の請求情報と紐づけた請求書の自動発行、および、相手方への自動送付、ステータス管理などの機能が搭載されています。
この一連の機能を利用することにより請求書の作成・発送業務を大きく効率化できる点がメリットです。
加えて、請求漏れや誤請求などのヒューマンエラーを防止できますので、売上債権の早期改修、売上向上を期待できる点も魅力的でしょう。
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メリット②:リモートワーク促進
リモートワークが推進される中で請求業務のためだけに出社するのは非効率です。この点、電子請求書発行システムを活用すれば、自宅やコワーキングスペースから請求書の作成・送付が可能ですので、経理部門や営業部門のリモートワーク化を推進できます。
また、外出先であったとしても、外出先から電子請求書発行システムを操作できるようなUIを搭載している場合も多いですので、請求までのリードタイムを大きく短縮できる点もメリットです。
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メリット③:請求情報などの管理を一元化
システム上で請求情報をやり取りし、情報を電子請求書発行システム上に集約することができますので、組織内で請求情報を一元的に共有できる点を魅力に感じる企業も多いようです。
3.電子請求書発行システムの導入デメリットとは
導入することでメリットの大きい電子請求書発行システムですが、一部導入時にデメリットがあります。デメリットは以下の通りです。
- デメリット①:取引先がアカウント作成などをする必要がある
- デメリット②:コストがかかる
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デメリット①:取引先がアカウント作成などをする必要がある
電子請求書発行システムを利用する場合、相手方の同意を得る必要があります。同意を得る際には、相手方でシステム上のアカウント作成や電子帳簿保存法などの法対応が必要になる旨を説明したうえで、対応いただく必要があるのです。
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デメリット②:コストがかかる
クラウド型電子請求書発行システムを利用する場合、初期費用に加えて月額で利用量を支払う必要があります。
各サービスでは無料版も提供している場合が多いですが、無料版であると配信数に限度がある場合が多く、ある程度規模の大きな企業であると実務が回らない可能性が高いです。
月額は多くの場合で発生しますので、コストがかかる点に留意が必要になります。
4.電子請求書発行システムの比較ポイント
電子請求書発行システムは多数あり、多数の中から比較してシステム選定する必要があります。システム選定をする際に最低限見ておきたい比較ポイントを以下の通りご紹介します。
- 比較ポイント①:効率化を期待する範囲はどこか
- 比較ポイント②:外部システムとの連携可否
- 比較ポイント③:電子帳簿保存法やインボイス制度への対応
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比較ポイント①:効率化を期待する範囲はどこか
電子請求書発行システムといっても、システムごとに搭載している機能は様々です。機能が多数搭載されるほど、月額費用は高価になる傾向がありますので、可能であれば必要な機能のみが搭載されているシステムを選びたいところです。
自社が電子請求書に求めるのは、「電子請求書の自動発行」、「電子請求書の自動送付」、「請求以外の入金消込やOCRによる請求書のデータ化」など、実現したい内容を明確にしてから業務要件・システム要件に落とし込むようにしてください。
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比較ポイント②:外部システムとの連携可否
多くの企業で請求書の自動発行が要件に入ります。請求書の自動発行を要件とする場合、どのように請求書を自動発行するのか確認が必要です。
請求情報を電子請求書発行システムに連携する方法は大きく以下3通りがあり、開発の要否に関わりますので確認をしてください。
- ●請求情報が記載されたCSVファイルなどを電子請求書発行システム上にアップロードする。
- ●会計システム上の請求情報をWebAPI経由で電子請求書発行システムに連携する。開発を必要とする。
- ●専用の連携アダプターを利用して電子請求書発行システムに連携する。開発を必要としない。
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比較ポイント③:電子帳簿保存法やインボイス制度への対応
2022年1月以降、電子で授受した請求書は保存要件を満たして電子保存が必須になりました。
また、2023年10月に施行されるインボイス制度では売り手側は一定の記載要件を満たした適格請求書を相手方に発行しなければ、相手方は仕入税額控除を受けることができません。
以上のように法律上でシステムに求められる要件がいくつかありますので、各法要件を満たしているシステムであるのかも比較ポイントになります。
5.まとめ 比較ポイントを抑えてシステムを選定しよう
バックオフィス業務を効率化するうえで電子請求書発行システムの活用は有用です。電子請求書発行システムを利用することで、業務効率化だけでなく、リモートワークの推進など働き方改革につなげられる点が大きいでしょう。
一方でコスト負担や相手方の運用負担もありますので、負担にも注意を払いながら導入を薦めることが重要です。
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この記事を書いた人
NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄
NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。
2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。
2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。