【2023最新】中小企業の勤怠管理ってどうしてる?基礎知識をご紹介!
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2024.4.05 (金)Posted by 北森 雅雄
労働基準法上、企業は従業員の労働記録を管理する必要があります。中小企業も例外ではなく、出勤・退勤時間や有給取得状況など、法律上で細かく管理が求められています。
当記事では、勤怠管理の必要性や中小企業が適切な勤怠管理をするための4つの選択肢をご紹介します。
1.勤怠管理はなぜ必要?

勤怠管理とは従業員ごとの出勤・退勤時間や欠席・遅刻、有給含む休日の取得状況など、労働記録を管理することです。労働基準法上で企業の義務とされていることに加え、残業時間などは企業のコスト管理に直結します。
勤怠管理を適切に行っていない場合、社員の過重労働や残業代未払いなど、社会的信頼を失うトラブルが生じる可能性があります。社員はもちろん、取引先などの信頼のためにも適切な勤怠管理が必須なのです。
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労働基準法で求められる企業義務が勤怠管理
企業は従業員に対して、労働基準法上で法定労働時間が守られているかなど、適切に把握する義務が課されています。
(労働時間) |
もし、労働記録を保存していなかったり、故意に虚偽の記載をしたことが発覚した場合には、30万円以下の罰金が課されますので注意が必要です。
第百二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。 |
また、労働記録を行った労働者名簿や賃金台帳、出勤簿、タイムカードなどは5年間の保存義務があるため、長期保存ができるように整備してください。
(記録の保存) |
出所:労働基準法109条
よく「就業管理」と同一に考える企業がありますが、誤りですので注意が必要です。就業管理は従業員の働き方全般を管理する一方、勤怠管理は従業員の勤怠時間の管理に留まる点で異なります。
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労働時間と休憩時間の記録が必要
勤怠管理では以下2点の管理が求められています。
- ●労働時間の管理
- ●休憩時間の管理
何をもって労働時間とするかは悩ましいポイントですが、以下ガイドラインを参照すると「使用者の指揮命令下に置かれている時間」であれば、労働時間と判断してよいでしょう。
使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいいます(平成12年3月9日最高裁第一小法廷判決 三菱重工長崎造船所事件)。 |
出所:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
例えば、同ガイドラインを参照すると以下が労働時間に該当します。
①使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付けられた所定の服装への着替え等)や業務終了後の業務に関連した後始末(清掃等)を事業場内において行った時間 |
休憩時間とは、労働基準法上で「労働時間が6時間を超える場合には少なくても45分、8時間を超える場合には1時間を労働時間中にあたえること」と定義されています。
(休憩) |
出所:労働基準法34条
一部適用外の事業もありますが、基本的には全従業員に対して一斉に休憩時間を与える必要がある点に留意ください。
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勤怠管理の対象は一部を除くほぼすべての労働者
勤怠管理の対象となる労働者はみなし労働時間制が適用される労働者など、一部の労働者を除いたすべての労働者です。
対象となる労働者は、労働基準法第41条に定める者及びみなし労働時間制が適用される労働者(事業場外労働を行う者にあっては、みなし労働時間制が適用される時間に限る。) を除くすべての労働者です。 |
2.中小企業の勤怠管理について

中小企業の勤怠管理について、どのようなことが求められているのでしょうか。
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中小企業も適切な勤怠管理が必要
業種や業界、事業規模を問わず、従業員を雇用しているすべての企業が労働基準法上の勤怠管理を行う必要があります。
また、手元キャッシュの正確な把握のため、給与計算に利用される正確な給与情報、残業情報の取得が必要です。
給与額を誤ると社会保険料や税金にも差額が発生するため、訂正のための社内のバックオフィスコストも増加します。正確な勤怠管理を心がけましょう。
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勤怠管理する必要がある4つの項目
労働基準法上で勤怠管理が必要な項目については明記されていません。ただ、労働者の労働時間、休憩時間を管理せよと記載があるのみです。とはいえ、厚生労働省が公開しているガイドラインを参照すると以下項目の管理を推奨していることがわかります。
- ●始業・終業時間、労働時間、休憩時間
- ●時間外労働時間、深夜労働時間、休日労働時間
- ●出勤日、欠勤日、休日出勤日
- ●有給取得日数、残日数
なお、時間については正確な賃金算定や遅刻者への対処のため、1分単位での管理を推奨しています。
加えて、日数については月単位で管理するようにしましょう。年間で取得が求められている有給取得日数を消化できているか、代休はとれているかを月次で確認することで、思わぬ対応漏れを未然に防ぐことができます。
3.中小企業が可能な4つの選択肢

厚生労働省が公開するガイドライン上では、始業・就業時刻などを記録する方法として以下いずれかの方法をとるべきであると記載があります。
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具体的に上記要件を満たした方法、かつ、中小企業で実施可能な選択肢は以下4つです。自社に適した方法を選択して勤怠管理をしてください。
- ●選択肢①:紙の出勤簿で管理する
- ●選択肢②:タイムカードで管理する
- ●選択肢③:Excelシート上で管理する
- ●選択肢④:勤怠管理システムで管理する
選択肢①
紙の出勤簿で管理する
カレンダー形式のフォーマットなど、紙フォーマット上に出勤・退勤時刻や残業時間、休憩時間などをまとめて記載をします。この方法であれば、コストをかけることなく1枚の紙上で対応が可能です。
一方で、手書きでの管理となるため、以下のようなさまざまなリスクも生じやすくなります。
- ●各月に合わせたフォーマットの用意に時間的コストがかかる
- ●リモート勤務の場合、勤怠管理ができない
- ●紛失のリスクが高まる
- ●改ざんや未申告、不正申告の可能性が高まる
- ●手集計をする場合、転記ミスや対応工数が発生する
上記のような理由により、紙の出勤簿による勤怠管理では厚生労働省が公表したガイドライン上にある「適正な労働時間の把握」は困難です。
ただし、同ガイドライン上では「自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置」も定められているため、要件を満たすことができるのであれば、客観的な証拠として認められます。
選択肢②
タイムカードで管理する
紙のタイムカードを打刻することで対応する方法です。打刻用端末とタイムカードを購入すればよいため、低コストで運用できる点がメリットです。
一方で、以下のようなリスクがあるため、対応の検討が求められます。
- ●始業・終業時間の管理しかできない、休日や外出、残業管理ができない
- ●紛失のリスクがある
- ●リモート勤務の場合、勤怠管理ができない
- ●手書きによる修正をする場合、客観的記録として認められない
- ●手集計をする場合、転記ミスや対応工数が発生する
選択肢③
Excelシート上で管理する
Excelシート上に勤怠管理情報を各従業員が入力していく方法です。勤怠管理用のエクセルテンプレート自体はWeb上に多数あるため、Excelが利用できるのであれば初期投資0円で開始できる点にメリットがあります。
一方で、以下のようなリスクがあるため、対応を検討したうえで利用可否を決める必要があります。
- ●従業員自体に入力させるため客観的な記録とはならない
- ●記入ミス、不正申告のリスクがある
- ●入力された勤怠管理情報を集計・分析するためにはExcelスキルが必要になる
- ●Excelシートの集計をし、給与計算をしなければならない
選択肢④
勤怠管理システムで管理する
DX化が推奨されている現代のビジネスシーンにおいて、勤怠管理システムの導入率が上がっています。勤怠管理用のシステムであれば、打刻、集計、分析までをシステム上で実現できるため、従来の方法で生じやすいリスクを防ぎながら勤怠管理業務の効率化を期待できます。
また、スマートフォンなど多様なデバイスから遠隔で打刻ができる上、給与システムと自動連係することで給与支払業務までも効率化できる点が魅力的です。
一方で、システム導入する場合にはコストがかかります。自社で管理している給与システムとの連携開発が必要になる場合もあるため、システムの見極めが必要になるでしょう。さらに、社員がデジタルツールに詳しくない場合、PCやスマートフォンでの操作に慣れるまでに時間がかかる可能性があります。誰でも使いやすく、すぐに慣れる操作性の良いシステムを導入することも大切です。
4.まとめ システムを利用して効率的に管理しよう

勤怠管理業務は全企業が従業員に対して実施しなくてはならないものです。対応義務が免除されることはありませんので注意ください。
NTT東日本では労働基準法に対応した、クラウド勤怠管理サービス「KING OF TIME for おまかせ はたラクサポート」を提供しています。打刻データをリアルタイムにブラウザ上で管理できるので、作業効率の向上とコスト削減の実現が可能となります。また、場所を問わず、リアルタイムに打刻を行えることで、外出先やテレワーク勤務時での勤怠管理の利便性を向上させ、働き方改革関連法の違反防止やテレワーク時の不正勤務防止にも有効です。 シンプルで慣れない方でも使いやすく、操作性がよいのも魅力です。勤怠管理システム導入をお考えの方は、ぜひ一度ご検討ください。
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この記事を書いた人
NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄
NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。
2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。
2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。