★自動走行ロボットの活用シーン3選!注目されている背景や実用化の課題についても解説

  • 2023.6.21 (水)
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自動走行ロボットの活用シーン3選!注目されている背景や実用化の課題についても解説

近年、ICT(情報通信技術)やロボット工学の発展により、工業機械や車両の自動化分野の開発が急速に進みました。また2023年4月から、自動運転が可能なロボットの公道走行が解禁され、物流業界から注目を集めています。このような状況から、自社でも自動走行ロボットを事業へ活用しようと考えている方は、多いのではないでしょうか。

しかし、自動走行ロボットの実用化には、複数の課題があります。そのため、自社の事業内容に自動走行ロボットの導入が適しているか、慎重に検討しなければいけません。そこで今回の記事では、自動走行ロボットを構成する技術や活用シーンについて詳しく解説します。自動走行ロボットの実用化に関する課題について理解できる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。

自動走行ロボットとは?注目される背景についても解説

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自動走行ロボットとは、貨物車両を無人で動かす技術です。それでは、どのような理由から自動走行ロボットが近年注目を集めているのでしょうか。本章で、詳しく見ていきましょう。

自動走行ロボットとは

自動走行ロボットとは、AI(人工知能)や移動通信システムを活用して、車両を無人で操縦する技術です。自動走行ロボットは、室内(工場や倉庫など)に加えて屋外(自社の敷地や公道)での使用が可能です。

なお自動走行ロボットは、対象との距離や形を計測する装置(光学センサーやミリ波レーダー)とAIによって、自由度の高い無人走行を実現しています。そのため、自動走行ロボットはAGV(無人搬送車)と異なり、磁気テープでルートを設定する必要がありません。

自動走行ロボットが注目される理由

法改正により2023年4月から、一定の要件(最高時速6km・車体の長さと高さ120cmかつ幅70cmなど)を満たすロボットは、届出により公道を走れるようになりました。つまり、自動走行ロボットの実用化・商用化が本格的に始まったことになります。そのため、自動走行ロボットを事業に活用しようと考えている企業から、大きな注目を集めています。

自動走行ロボットは技術レベルで種類が分けられている

自動走行ロボットは、以下のように種類が分けられています。

区分 名称 要件
監視※2 遠隔手動操作 保安要員 自律走行
遠隔から 近接から 目視外 目視内
1 自立走行型:ロボットが自ら判断して走行する。 完全
2 準完全 要※2 要※2
3 遠隔監視・操作型:離れた場所から操縦する。 完全監視
4 準監視
5 目視外遠隔手動 要※3
6 近接監視・操作型:ロボットの近くで操縦する。 近接監視・操作
7 目視内遠隔手動
8※1 みなし歩行者

※1:区分8に関しては、警察庁が該当するか判断する。

※2:監視者はロボット1台に1人必要。また監視の際は、安全のために、制動装置(ブレーキ)を操作できるようにする。

※3:通信が遅延・途絶した際に、自動走行ロボットを安全な場所で停止させられる場合は、保安要員の配置は不要。

参照元:警察庁|歩道走行型ロボットの公道実証実験に係る道路使用許可基準


現状は、特定環境下(好天候や電磁誘導線上など)における自立走行型ロボットの実用化が進んでいます。今後は、さらに人間の負担を軽減できるように、多様な環境下で動作する完全自立走行型ロボット(区分1)が開発される見込みです。

自動走行ロボットの活用シーン3選

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自動走行ロボットの活用シーンは、以下のとおりです。

  • ・物流
  • ・小売
  • ・福祉

上記の活用シーンは、それぞれに解決できる社会的な課題が異なります。本章で、詳しく見ていきましょう。

物流

自動走行ロボットは物流において、ラストワンマイル配送への活用が注目されています。ラストワンマイル配送とは、営業所と最終地点間(消費者宅や駐車場など)の物流です。

近年、配送サービスは需要が急速に拡大しており、ラストワンマイルの業務量増加によるドライバーの負担やコストが問題視されています。また物流業界は、配達ドライバーの高齢化や拘束時間が長く肉体疲労が多いことによる人材不足が深刻化しました。そこで、自動走行ロボットを導入することで、ラストワンマイル配送が効率化(自動化)され、ドライバーの負担軽減や人手不足解消が可能になります。

小売

自動走行ロボットは、小売配送(移動販売やオンデマンド宅配)への活用が期待されています。例えば、移動販売車が立ち入れない場所(路地裏や狭い小道)への配送に自動走行ロボットを導入することで、ドライバーの負担軽減が可能です。

また、自動走行ロボットは、食料品アクセス問題(高齢化や店舗減少などから、日常的な食べ物の買い出しが困難な住民が増加する事態)の解決手段として注目を集めています。注文に応じて店舗(コンビニや飲食店)から食料品を自動配送するサービスを構築することで、日常的な買い物が困難な住民が減少すると考えられています。

福祉

自動走行ロボットは、福祉サービス(警備や清掃業務)への活用に注目が集まっています。現在、警備業務では建物外周の巡回(決められたルートに沿って移動しながら監視)や入り口の立哨(定位置で立ったまま見張る)に、自動走行ロボットが利用されています。

また、自動走行ロボットは、地下道の掃除や夜間清掃業務に活用可能です。夜間や早朝の掃除などをロボットによって自動化することで、従業員の負担を軽減できます。

自動走行ロボットの実用化に関する3つの課題

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自動走行ロボットの実用化に関する課題は、以下のとおりです。

  • ・走行スピード
  • ・ルート設定
  • ・ルール整備

上記の課題は、自動走行ロボットの運用の生産性や安全性に深く影響します。本章で、実用化の課題について詳しく見ていきましょう。

走行スピード

自動走行ロボットのスピードは、自動車に比べてはるかに遅く設定されています。そのため、配達に時間がかかり、場合によっては生産性が導入前より下がりかねません。

また、自動走行ロボットの移動速度が上がるほど、運転の安全性確保が難しくなります。自動走行ロボットは、遠隔操作の通信が途絶したり、運転ルートに突然人間が飛び出してきたりした際に、その場で停止しなければいけません。しかし、移動速度が上がると自動走行ロボットの制動距離は長くなります。そのため、走行スピードの向上は、安全性を確保したうえで行う必要があります。

ルート設定

現在商用化が進んでいる自動走行ロボットは、事前に設定したルートどおりに配達します。そのため、イレギュラーな配達(受取者の不在・道路状況の混雑に応じたルート変更など)には対応できません。イレギュラーな配達が発生した際は、人間が自動走行ロボットをサポートする必要があります。そのため、柔軟な対応を要する現場への自動走行ロボットの導入は、配達効率の悪化を引き起こす可能性があります。

ルール整備

現状、自動走行ロボットに国内の法整備が追いついていません。そのため、自動走行ロボットが事故・違反を起こした際に、誰が責任を負うかという問題が発生する可能性があります。

また今後、多様な機能を搭載した自動走行ロボットが世界的に普及します。このような状況では、自動走行ロボットの国際ルール(多国間における規格・法律のすり合わせ)の整備が必要です。しかし、多国間のルール作りや合意には時間がかかります。そのため、実際に自動走行ロボットを使用したサービスが開始する時期は、まだ先になると考えられます。

自動走行ロボットを構成する3つの技術

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自動走行ロボットを構成する技術は、以下のとおりです。

  • ・認知
  • ・判断
  • ・制御

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

認知

自動走行ロボットの認知とは、以下のような各種センサーで、データ(周囲の歩行者や道路状況など)を収集したり、本体の位置や状態を検知したりする技術です。

項目 概要(収集するデータ)
衛星測位システム ロボットの位置を特定
SLAM 位置特定と地図作成を同時に行う
LiDAR 周囲の物体までの距離や形状を計測
ミリ波レーダー

なお近年では、周辺環境に存在する機械と車両が相互に通信する技術(V2X)が登場しています。V2Xを活用することで認知精度が向上し、自動走行ロボットの安全性がより高くなります。

判断

自動走行ロボットの判断とは、交通事故のリスクを予測したり、目的地までのルートを決定したりする技術です。自動走行ロボットが認知段階で取得したデータを、AIが受け取って分析し、車両をどのように制御(加減速やカーブ)するか決定します。

なお、自動走行ロボットのAIは、大量のデータを蓄積・高速処理しなければいけません。そのため、AIはロボット本体ではなく、通信によってアクセスできる遠隔地に配置されます。

制御

自動走行ロボットの制御とは、AIの判断を受けて車体を操縦する技術です。制御では、ソフトウェアとアクチュエーター(電気信号を物理的動作に変換する機械)によって、以下のような項目を操作します。

  • ・アクセル
  • ・ブレーキ
  • ・ステアリング

なお、自動走行ロボットの制御方法は遠隔と近接の2種類です。制御を遠隔で行う場合、操縦者とロボットをつなぐ通信網が、自動走行の安全性に大きく影響します。自動走行ロボットを安全に制御するためには、高速かつ低遅延な通信が必要です。

自動走行ロボットの通信には5Gの活用が期待されている

認知・判断・制御には通信技術が使用されており、自動走行ロボットの安全性はデータ送受信速度に大きく左右されます。そこで、高速かつ低遅延な通信が可能な5Gに近年注目が集まっています。5Gの特徴は、以下のとおりです。

  • ・高速大容量:2時間の映画を約3秒で伝送可能
  • ・低遅延:タイムラグの少ない通信を実現
  • ・多数同時接続:あらゆる機械がインターネットに接続できるようになる

なお、5Gを活用した自動走行ロボットについて詳しく知りたい方は、ぜひNTT東日本の公式サイトをご覧ください。自動走行ロボットの産業利用に関する検証事例を、ご覧になれます。

自立走行型ロボットを活用した農業現場の見える化

また、5Gは自動走行ロボット以外への活用も活発です。特に、ローカル5G(企業や自治体が独自に構築・運用する第5世代移動通信システム)は、山間部や郊外で高速通信を活用できることから、注目を集めています。

ローカル5Gについて詳しくはこちら

その他に、NTT東日本は、企業向けに低価格でローカル5Gを導入できる「ギガらく5G」を提供しています。「ギガらく5G」について興味のある企業は、ぜひ公式サイトをご覧ください。

ギガらく5Gについて詳しくはこちら

まとめ

自動走行ロボットとは、貨物車両を人工知能で動かす技術です。2023年から、一定の要件を満たすロボットは公道走行が許可されるようになりました。そのため、自動走行ロボットの実用化・商用化に注目が集まっています。

なお、自動走行ロボットは、通信品質が低いと安全に操作できません。そこで、高速かつ低遅延な通信が可能な5Gに注目が集まっています。特に、山間部や郊外にシステムを構築できる「ローカル5G」は、農業や製造業への活用が期待されています。

また、ローカル5Gの導入を検討している企業は、ぜひNTT東日本の「ギガらく5G」の導入をご検討ください。NTT東日本の「ギガらく5G」なら、導入しやすい料金で構築から運用まで一括でお任せできます。

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