書類の保管期間一覧【2022年度版 】ひと目で保管期間を把握できる
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2023.2.27 (月)Posted by コワークストレージ窓口
「書類っていつまで取っておく必要があるの?」
「保管期間を知って、溜まった書類を片付けたい!」
日々増え続ける書類…取っておくにしても、会社のスペースには限りがあり、いつまでも残しておけません。保管期間を過ぎている書類は処分して、スッキリ片付けたいですよね。
書類は「法律で保管期間が決められているもの」と「それ以外」の、2つに分けられます。保管期間の決まっている書類は、「法定保存文書」と呼ばれます。以下に挙げるのは、10年の保存が定められている書類です。
10年保存する法定保存文書
分類
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書類
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具体例
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起算日
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総務・庶務 | 株主総会の議事録 | 株主総会の日 | |
取締役会の議事録 | 取締役会の日 | ||
監査役会の議事録 | 監査役会の日 | ||
監査等委員会の議事録 | 監査等委員会の日 | ||
指名委員会等の議事録 | 指名委員会等の日 | ||
経理・税務 | 会計帳簿と事業に関する重要書類 |
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会計帳簿の閉鎖日(事業年度の最終日) |
計算書類と明細書 |
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作成日 | |
製品の製造・加工・輸入・販売についての記録 |
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製造物の引き渡し |
ほかにも7年、5年、3年など、書類によって異なる保管期間が設けられています。
そこで今回は書類の保管期間を把握できるよう、以下の内容について詳しく解説していきます。
この記事のポイント
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この記事を読めば法的に定められた書類の保管期間が分かり、法的な保管期間のない書類をどう扱うべきか分かります。保管期間が分かれば不要な書類は処分でき、オフィスをきれいに片付けられるでしょう。
書類の正しい保管期間を知って、会社の書類整理を効率よく進めましょう。
1. 書類の保管期間は「法定保存文書」か否かで決まる
書類は「法定保存文書」と、それ以外の2種類に分けられます。「法定保存文書」とは、法律で保存が義務付けられている書類です。
法律では、特定の書類の保存を義務付けると同時に、保存期間を示しています。この保存期間は、法的に定められた「最低限」の保存期間です。
当記事では、法定保存文書にあたる書類の保管期間について「2.【2022年度版】法定保存文書の保存期間一覧」で紹介しています。
この一覧にある書類は法定保存文書として、それぞれ保管すべき期間が決められています。その期間中には必要となる可能性が高いからです。誤って廃棄してしまった場合、会社にとってリスクにつながる可能性があります。
法定保存文書を廃棄した場合に生じるリスク
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これらのリスクを回避するためにも、法定保存期間が過ぎるまで、廃棄せずに保存しましょう。
法定保存文書にあたらない書類も保存を検討した方がいい
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一方で法定保存文書にあたらない書類は、取っておかなくても法的には問題ありません。保存しておくかどうかは、基本的には自由で、それぞれの会社の判断に任されます。会社にとって重要な書類を明確化し、保存するようにしましょう。 法定保存文書にあたらなくても保存を検討した方がいいものとして、以下のような書類があります。
会社によっては、保管期間を定めた独自の書類規定を設けている場合もあります。もし規定がなくて業務上不便であれば、保存のルールを決めるのも一つの手です。 法定保存文書以外の書類の保存を検討する場合、「3.法定保存文書にあたらない書類の保存期間の決め方」を参考にしてくださいね。 |
2. 【2022年度版】法定保存文書の保存期間一覧
2022年 11月時点での最新のデータを基に法定保存文書の保存期間を一覧で紹介します。
ビジネスの現場で使う機会の多い書類を、保存期間ごとに一覧表でまとめています。一覧表内では書類を分類順に並べています。「〇〇に関する書類」のように特定の書類名がない場合には、具体例も挙げています。
それぞれの書類には「起算日」が設定されています。廃棄の時期を間違えないためには、保存期間の数え始めにあたる「起算日」を知っておく必要があります。保存期間と併せて確認してくださいね。
特定の書類の保存期間や起算日が知りたい場合には、ページ内検索【ショートカット:Ctrlキー+Fキー】を活用すると、より便利に使えます。
書類の保管期間を確認したい時には、ぜひお役立てください。
2-1. 永久保管する文書
ここにまとめたのは、保存期間の定めがない書類です。法律に永久保管が定められているわけではありませんが、会社にとって非常に重要な書類なので、一般的に「永久保管が妥当」だと解釈されています。
永久保管するだけの価値ある書類のため、紛失したり破棄したりしないよう、大切に扱いましょう。
分類
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書類
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具体例
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起算日
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総務・庶務 | 定款 | なし | |
株式に関する書類 |
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登記・訴訟関係書類 |
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官公庁への提出文書 |
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受領した重要書類 |
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社規・社則および通達文書 | |||
効力の永続する契約に関する文書 | 会社によって異なる | ||
知的所有権に関する書類 |
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重要な権利や財産の得喪・保全・解除および変更に関する文書 | |||
製品の開発・設計に関する重要文書 |
|
||
社報・社内報、重要刊行物 | |||
人事・労務 | 労働協約にあたる書類 (確認書・覚書) |
2-2. 40年保存する文書
分類
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書類
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起算日
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人事・労務 | 石綿健康診断個人票 | 業務に従事しなくなった日 |
2-3. 30年保存する文書
分類
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書類
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起算日
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人事・労務 | クロム酸等を扱う作業場の評価記録および空気中濃度の測定記録 | 作成日 |
特別管理物質を扱う労働者の作業記録 |
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特定化学物質健康診断個人票 | ||
電離放射線量の測定結果 | ||
緊急時電離放射線健康診断個人票 | ||
廃棄物焼却施設における空気中のダイオキシン類濃度測定結果 | ||
廃棄物焼却施設における労働者の血中ダイオキシン類濃度測定結果 | ||
解体対象設備の汚染物のサンプリング調査記録 |
参考:
特定化学物質障害予防規則 | e-Gov法令検索
電離放射線障害防止規則 | e-Gov法令検索
廃棄物焼却施設内作業におけるダイオキシン類ばく露防止対策について
2-4. 10年保存する文書
分類
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書類
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具体例
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起算日
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総務・庶務 | 株主総会の議事録 | 株主総会の日 | |
取締役会の議事録 | 取締役会の日 | ||
監査役会の議事録 | 監査役会の日 | ||
監査等委員会の議事録 | 監査等委員会の日 | ||
指名委員会等の議事録 | 指名委員会等の日 | ||
経理・税務 | 会計帳簿と事業に関する重要書類 |
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会計帳簿の閉鎖日(事業年度の最終日) |
計算書類と明細書 |
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作成日 | |
製品の製造・加工・輸入・販売についての記録 |
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製造物の引き渡し |
参考:
会社法 | e-Gov法令検索
製造物責任法 | e-Gov法令検索
2-5. 7年保存する文書
7年保存の「決算に関する作成書類」の具体例として挙げている貸借対照表、損益計算書、総勘定元帳などの書類は、10年保存の「会計帳簿と事業に関する重要書類」や「計算書類と明細書」と重複しています。
保存期間が違うのは、それぞれの根拠となる法律が異なるためです。
より長期の期間を優先し、10年保存するようにしましょう。
<b分類
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書類
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具体例
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起算日
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人事・労務 | じん肺健康診断記録およびエックス線写真 | 記録作成日 | |
空気中の粉じん濃度の測定記録および測定結果の評価記録 | |||
経理・税務 | 取引に関する帳簿書類 |
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帳簿:事業年度最終日の翌日から2か月経過した日書類:作成日か受領日の属する事業年度終了の日の翌日から2か月経過した日 |
決算に関する作成書類 |
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現金取引等に関して作成または受領した証憑書類 |
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取引証憑書類 |
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有価証券の取引に関して作成された証憑書類 |
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資産の譲渡等又は課税仕入れ若しくは課税貨物の保税地域からの引取りに関する帳簿 | 課税期間の末日の翌日から2か月経過した日 | ||
課税仕入れなど税額の控除に関する帳簿および請求書 | |||
給与所得者の源泉徴収に関する申告書 |
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申告書の提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日 | |
源泉徴収票 | 法定申告期限 |
参考:
じん肺法 | e-Gov法令検索
粉じん障害防止規則 | e-Gov法令検索
法人税法施行規則 | e-Gov法令検索
No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁
所得税法施行規則 | e-Gov法令検索
国税通則法 | e-Gov法令検索
2-6. 5年保存する文書
分類
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書類
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起算日
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総務・庶務 | 事業報告 | 定時株主総会の日の1週間前の日 取締役会設置会社は2週間前の日 |
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提出日 | |
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産業廃棄物管理票(マニフェスト)の写し | 受領日 | |
産業廃棄物処理に関する委託契約書 | 契約終了日 | |
人事・労務 | 従業員の身元保証書・誓約書 | 作成日 |
各種健康診断個人票 | ||
長時間労働に関する面接指導の結果記録 | ||
ストレスチェックの結果記録 | ||
面接指導の結果記録 | ||
経理・税務 | 監査報告書 |
定時株主総会の日の1週間前の日 取締役会設置会社は2週間前の日 |
会計監査報告書 | ||
会計参与による計算書類 | ||
会計参与による附属明細書 | ||
会計参与報告 |
参考:
会社法 | e-Gov法令検索
労働安全衛生規則 | e-Gov法令検索
昭和八年法律第四十二号(身元保証ニ関スル法律) | e-Gov法令検索
会社法 | e-Gov法令検索
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則 | e-Gov法令検索
2-7. 4年保存する文書
分類
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書類
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起算日
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人事・労務 |
雇用保険の被保険者に関する書類 |
従業員の退職・解雇・死亡の日 |
雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿 |
参考:
雇用保険法施行規則 | e-Gov法令検索
労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則 | e-Gov法令検索
2-8. 3年保存する文書
分類
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書類
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具体例
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起算日
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総務・庶務 |
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提出日 |
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人事・労務 |
賃金台帳 |
最後の記入日 |
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労働者名簿 |
従業員の退職・解雇・死亡の日 |
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雇入れに関する書類 |
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従業員の退職・解雇・死亡の日 |
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解雇に関する書類 |
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退職に関する書類 |
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災害補償に関する書類 |
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補償終了日 |
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賃金その他労働関係に関する重要な書類 |
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従業員の退職・解雇・死亡の日 |
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年次有給休暇管理簿 |
休暇期間の満了日 |
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労災保険に関する書類 |
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従業員の退職・解雇・死亡の日 |
|
労働保険料に関する書類 |
|
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派遣元管理台帳 |
契約終了日 |
||
派遣先管理台帳 |
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各委員会の議事録 |
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作成日 |
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労働安全衛生法・同施行令・労働安全衛生規則に規定される機械について行う定期自主検査の記録 |
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雇用する労働者が障害者だと明らかにできる書類 |
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従業員の退職・解雇・死亡の日 |
参考:
労働基準法 | e-Gov法令検索
労働基準法施行規則 | e-Gov法令検索
労働者災害補償保険法施行規則 | e-Gov法令検索
労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則 | e-Gov法令検索
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律
労働安全衛生規則 | e-Gov法令検索
労働安全衛生法 | e-Gov法令検索
労働安全衛生法施行令 | e-Gov法令検索
障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則 | e-Gov法令検索
障害者の雇用の促進等に関する法律 | e-Gov法令検索
金融商品取引法 | e-Gov法令検索
2-9. 2年保存する文書
分類
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書類
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具体例
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起算日
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人事・労務 |
雇用保険に関する書類 ※被保険者に関する書類は4年保存 |
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従業員の退職・解雇・死亡の日 |
健康保険に関する書類 厚生年金保険に関する書類 |
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参考:雇用保険法施行規則 | e-Gov法令検索、健康保険法施行規則 | e-Gov法令検索
2-10. 1年保存する文書
分類
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書類
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起算日
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人事・労務 |
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提出日 |
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3. 法定保存文書にあたらない書類の保存期間の決め方
目的の書類を「2.【2022年度版】法定保存文書の保存期間一覧」に見つけられなかった場合、それは法定保存文書以外の書類です。しかし法定保存文書にあたらない書類だからといって、全て破棄する必要はありません。
法律に定められていなくても、会社にとって大切で、取っておくべき書類もあるからです。取っておきたい書類は、保存しておきましょう。必要があれば、保存期間の社内ルールを作るという手もあります。
書類の保存期間を決めるためには、まずどの書類を保存するかを決めなくてはなりません。会社にとって重要な資料かどうかを選別するための作業です。
保存期間を決めるに至るまでの一連の流れを見てみましょう。
3-1. 書類を「必要なもの」「不要なもの」「判断に迷うもの」の3つに分ける
まずは書類を以下の3つに分けます。
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3つに分けた書類は、それぞれ扱い方が異なります。ここから流れに沿って解説していきます。
3-1-1. ①「必要なもの」に分類した書類の扱い方
法定保存文書以外で保存する必要のある書類はほぼないでしょう。法的な決まりがない文書を保存しておくメリットはあまりないからです。
それでもその会社にとって保存しておくだけの価値があると考えられる書類があれば、「必要なもの」に分類しましょう。
ただし、原本が別にあるコピーや電子データが残っている場合には、保存の必要はありません。
3-1-2. ②「不要なもの」に分類した書類の扱い方
全ての書類を取っておく必要はないので、最低限の線引きが必要です。現在使っておらず、取っておく必要もなさそうな書類は、早めに処分しましょう。
例えば以下のような書類は、処分してしまっても特に問題ありません。
処分しても問題ない書類
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3-1-3. ③「判断に迷うもの」に分類した書類の扱い方
①の必要な書類と、②不要な書類の判断は付きやすいはずです。
一方で迷いが生じるのが、現在使っていなくても、「いつか使うかも…?」と思って、廃棄するのをためらってしまう書類ではないでしょうか。
そこで参考になるのが書籍『トヨタの片づけ』内で紹介されている、トヨタ式の整理術です。
トヨタでは必要かどうか判断が付かないものを「いつか使うもの」と定義して、「いつか」の期限を設けた上で、判断を保留するという方法を取っています。
この考え方にならい、①必要なもの、②不要なもののどちらにも入れられないものは、③判断に迷うものとします。
判断に迷う書類は仕分ける時点では処分せず、期限を設けて、判断を保留しましょう。期限はなるべくタイトにし、設定した期限まで使わなかった書類は、思い切って処分してください。
反対に期限内に必要となる書類があれば、「①必要なもの」の可能性があるため、再検討します。
3-2. ①に仕分けた「必要な書類」を収集する
①に仕分けた必要な書類は、内容や発生頻度・量を確認するため、一定期間を置いて集めます。この時点では、まだどのくらいの保存期間が必要なのか、判断するのが難しいからです。
基本的には数か月~1年ほどかけて、書類を収集します。期間は書類の発生量によって異なるので、時間をかけて様子を見ましょう。ある程度の量を集めて初めて「その書類は本当に保存に値するのか」の判断材料となります。
収集過程で「やっぱり保存に値しない」と思えば、これまで集めた書類は処分してしまって構いません。
3-3. 保存期間を決める
3-2で収集した書類を改めて精査したら、いよいよ保存期間の決定段階に入ります。
個人事業主や、職場で判断を一任されている立場にある場合は、自分で保存期間を決定します。1人で決められない場合などは、必要に応じて組織内で意思決定の場を設け、書類の保存期間を決めましょう。
もし◯年と明確に決められないなら、以下のように大まかな分類をするだけでも大丈夫です。
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一度保存期間を決めたからといって、厳密にその期間を守り続ける必要はありません。ここで決めた期間は、法的な拘束力のない、単なる社内ルールだからです。あくまでも「目安」程度の認識でいましょう。
途中で考えや方針が変わったのなら、その都度見直しを行います。結果として保存を中止したり、期間を変更したりするケースも考えられます。
4. 保存期間がある書類は電子データとして保管するのがおすすめ
ここまで書類の形態を「紙」という前提で解説してきましたが、今後、保存期間がある書類を保管するなら、電子データで行うのがおすすめです。なぜなら「電子帳簿保存法」という法律によって、一定の要件を満たした書類は「電子データ」での保存が認められているからです。
従来、各税法で保存が義務付けられている帳簿・書類は、紙での保存が原則でした。しかし2022年1月に「電子帳簿保存法」が改正し、特定のデータに限っては、紙での保存が禁止されることになりました。
今回の法律改正はペーパーレス化推進の追い風ともなり、今後は書類を電子データで保管するのが主流となっていくともいわれています。時代に取り残されないためにも、電子データ保存のシステム化を検討するのに、よいタイミングだと考えられます。
4-1. 2022年1月に改正された「電子帳簿保存法」とは
「電子帳簿保存法」は、1998年に施行された法律です。各税法によって保存が義務付けられている国税関係の書類や帳簿について、電子データでの保存を認め、詳しいルールなどを定めています。
「電子帳簿保存法」は2022年1月に改正され、大幅な見直しが図られました。特に書類の保管・保存に深く関わるのが、電子取引のデータ保存についての改正点です。
①の電子帳簿と②の画像データについては、紙と電子データどちらで保存してもよいとされたのに対し、③の電子取引に限っては、データの保存が義務化されました。
①
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「電子的に作成した帳簿・書類をデータのまま保存」すること。 自分で作成した帳簿や書類などを「電子データのまま」保存する。 ⇒現状、紙でも電子データでもOK |
②スキャナ保存
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「紙で受領・作成した書類を画像データで保存」すること。 受け取った請求書や領収書などを「スキャニングして」保存する。 ⇒現状、紙でも電子データでもOK |
③電子取引データ保存
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「電子的に授受した取引情報をデータで保存」すること。 データで受け取った領収書や請求書は、データのまま保存する。 ⇒2022年1月から電子データの保存が義務化 ※2024年12月までは猶予期間 |
参考:経済産業省 中小企業庁「どうすればいいの?「電子帳簿保存法」」
3つのデータの業務上の流れは、以下のフロー図を参考に、イメージしてみてください。
参考:国税庁「電子帳簿保存法が改正されました」
表や図からも分かるように、電子取引というのは、紙ではなく電子データによって情報の取引を行うことです。これまではデータで受け取った情報であっても、プリントアウトした紙による保存が認められていました。
しかしこれからは、メールで受け取ったり、ネット上からダウンロードしたりした領収書や請求書などのデータについては、紙での保存ができなくなります。電子データとして受け取ったものは、電子データのまま保存しなければなりません。
電子取引データ保存は、「電子帳簿保存法」の改正により、2022年1月から義務化されています。しかし企業の対応が想定通りに進まなかったため、2024年12月までは猶予期間が設けられることとなりました。
遅くとも2024年12月までには、電子取引のデータ保存ができる体制を整えておかなければなりません。
4-2. 将来的に書類の保管は電子データで行うようになる可能性がある
2022年1月の「電子帳簿保存法」改正で義務化されたのは、電子取引データ保存のみでした。しかし将来的には、電子帳簿や画像データも、義務化される可能性があります。
このように法律が変わるのは、紙から電子データに切り替えるメリットが大きいからです。中でも特筆すべきメリットは、紙の書類を保存する上で発生していたコストを削減できる点です。
業務の効率化やコスト削減といった観点から、今後は社会全体で、電子データ保存の必要性が高まっていくでしょう。将来的には紙の書類の保存は必要なくなり、電子データに置き換えられる可能性も考えられます。
電子取引のデータ保存義務化は、社内の書類データ保存のシステム化に踏み切るのに、ぴったりのタイミングではないでしょうか。
4-3. 電子データの主な保存方法
電子データの保存にはさまざまな方法やツールが用いられています。その中で会社のデータを保管するために使われる方法は、大きく2つに分けられます。
①記録メディア
電子データを保存しておくための媒体。代表的なものとして、CDやDVDなどの光ディスクのほか、SDカードやUSBなどのフラッシュメモリ、HDDなどのハードディスクがあります。 |
②文書管理システム
電子化した紙の書類データを含む、社内における全ての電子データを一括管理するためのシステム。 自社にサーバーを設置し、情報システムを構築するオンプレミス型と、インターネット上に構築されたシステムを利用するクラウドストレージ型の2つに分けられます。 |
さらにこの2つの保存方法は、5つに細分化できます。5つの保存方法について、平均寿命とメリット、デメリットを比較してみましょう。
電子データの主な保存方法5つの比較
保管方法
|
メディア
|
平均寿命
|
メリット
|
デメリット
|
|
①記録メディア |
ハードディスク |
HDD |
3~5年 |
リーズナブル 大容量 |
衝撃に弱い |
光ディスク |
CD DVD |
10~30年 |
安価 持ち運びしやすい |
衝撃に弱い 耐久性が低い |
|
フラッシュメモリ |
SDカード USB SSD |
5~10年 |
衝撃に強い 持ち運びに便利 |
紛失しやすい 耐久性が低い |
|
②文書管理システム |
オンプレミス型 |
(5年) |
自由度が高い |
管理・運用の負担が大きい |
|
クラウドストレージ型 |
なし |
導入・運用しやすい 多機能 |
インターネット環境が必要 |
電子データの保存にSDカードやUSBメモリー、外付けHDDのような記録メディアを使っている方は多いのではないでしょうか。しかしこれらの記憶装置は、会社の扱うデータを長期間保存するのには向いていません。いずれも劣化による寿命があり、定期的な更新やメンテナンスが必要となるためです。
今後、保存すべき書類を全て電子データで管理するなら、文書管理システムの導入が現実的でしょう。
文書管理システムの1つであるファイルサーバー型は、一般的に約5年ごとに入れ替え(リプレイス)が必要です。寿命の点だけ見ても、中小企業で導入するハードルが低いのは、クラウドストレージ型です。
5. 書類の保管にはセキュリティに強いクラウドストレージがおすすめ
書類のデータを保管するなら、クラウドストレージがおすすめです。システム化の立ち上げや、その後の管理・運用の負担が軽く、中小企業で初めて使う文書管理システムにぴったりだからです。
クラウドストレージを使うメリットは、他にもいくつかあります。中でもセキュリティ機能の高さは、機密性の高い文書を扱う会社にとって、嬉しいポイントではないでしょうか。
5-1. 書類の保管にクラウドストレージを使うメリット
クラウドストレージは、インターネット上に構築されたデータの保存場所です。インターネットを介して使うという特性上、記録媒体の寿命を考えずに使用でき、電子データの長期保存に向いています。
さまざまな事業者(ベンダー)がサービスを提供しており、会社向けのビジネスプランも各社の規模感から選べます。データやファイルを保管するだけでなく、共有や編集の機能を併せ持つサービスもあります。
書類の保管にクラウドストレージを使うメリット
|
|
システム導入のハードルが低い
|
書類の電子保存のシステム化には、多大な時間と労力がかかる。特に新しいシステムを構築するのは困難。クラウドストレージなら構築済みのシステムを導入するため、ハードルが低くて済む。 |
管理・運用の負担が軽い
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電子保存のシステムは、導入後も継続した管理と運用が必要。クラウドストレージは導入から運用まで、ベンダーのサポートが受けられる。 |
機能性が高い
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書類の検索や共有、編集機能のほか、登録から廃棄までを一括管理するライフサイクル機能。承認、決裁のできるワークフロー機能がある場合も。 |
中小企業の場合、人手が足りておらず、情報システム担当者が1人だったり、兼務していたりというケースもよく見受けられます。そのような状況で、大きな負担がかかる書類の電子保存のシステム化に取り組むのは、至難の業です。
しかしクラウドストレージなら、システムの導入・管理・運用の負担が軽いため、書類の電子保存化が現実的に考えられます。
導入時に、自社に合った機能を持つサービスを選べば、これまで紙で行っていた業務の効率化が進み、業務負担の軽減も期待できます。
5-2. クラウドストレージはセキュリティ機能が高いものを選ばなくてはならない
クラウドストレージを使うなら、セキュリティに強いサービスを選びましょう。インターネット上でデータを管理するクラウドストレージには、情報漏えいなど、セキュリティ面のリスクが付き物だからです。
しかしセキュリティ対策に重点的に取り組んでいるサービスを選べば、リスクは確実に軽減できます。
例えば以下のようなセキュリティ機能の付いたサービスを選ぶとよいでしょう。
クラウドストレージが提供する主なセキュリティ機能
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アクセス制御・権限設定
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使用するデバイスや利用者の位置情報などから、アクセス範囲を限定します。また従来のIDとパスワードだけではなく、多要素認証の設定ができる場合も。不正アクセスを防ぐ効果があります。 |
ウイルススキャン
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アップロードするデータをスキャンし、マルウェアなどのコンピュータウイルスへの感染を防ぎます。 |
暗号化
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通信経路やデータを暗号化し、内容の解読ができないようにします。情報の流出、改ざんや悪用を防ぎます。 |
データのバックアップ
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最新のバックアップが自動的に作成されるため、データが失われてしまっても復元が可能です。 |
クラウドストレージが提供する主なセキュリティ機能
|
コワークストレージは、ニーズに応じた自由度の高い機能から、特に中小企業に選ばれています。さまざまなメリットがある中でも、以下の3つがおすすめポイントです。 ①社内のファイルサーバーと変わらない使いやすさ ②シンプルで必要十分な機能性 ・複合的な検索機能 ・柔軟なアクセス権限の設定 ・社内外のデータ共有 ・Officeファイルの編集 ③安心してデータを任せられるセキュリティの高さ ・世界最高水準の暗号化技術 ・セキュリティを強化する認証機能 ・データの自動複製とバックアップ このように中小企業のデータ保存のシステム化には、コワークストレージがおすすめです。コワークストレージを導入すれば、デリケートな情報管理にも安心して取り組めますよ。 30日間の無料トライアルも可能なので、この機会にお試しください。 |
6. まとめ
書類には法律で保存が義務付けられている「法定保存文書」と、それ以外の二種類があります。「法定保存文書」ではほとんどの場合、法令による保存期間が設けられています。
今回は10の保存期間ごとに、法定保存文書を一覧表にまとめました。
法定保存文書一覧
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書類の管理や整理をしていて迷った時には、ぜひ参考にしてくださいね。
「2.【2022年度版】法定保存文書の保存期間一覧」にまとめた法定保存文書以外の書類には、保存期間の定めがありません。法律の定めがない書類を保存しておきたい場合、社内で保存期間を決める必要があります。
以下のステップを踏み、保存期間を決めましょう。そうすれば、残すべき書類だけに適切な保存期間を設けることができます。
法定保存文書以外の書類の保存期間の決め方
|
紹介したステップを踏んでも明確な保存期間が決められない場合には、短期(目安1〜3年)・中期(目安5年)・長期(目安6〜10年、それ以上)のように、大まかな分類をするだけでもよいでしょう。
保存期間のある書類のうち、各税法で保存が義務付けられている帳簿・書類について、2022年1月に改正された「電子帳簿保存法」で、電子取引データの保存が義務化されました。
この流れを受けて、今後ますます電子データ保存の動きが高まっていくと予想されます。
そこで電子データ保存の主な方法をまとめました。今後書類を電子データで長期保存することを考えているのなら、以下のような方法を検討してはいかがでしょうか。
電子データの主な保存方法5つの比較
保管方法
|
メディア
|
平均寿命
|
メリット
|
デメリット
|
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①記録メディア |
ハードディスク |
HDD |
3~5年 |
リーズナブル 大容量 |
衝撃に弱い |
光ディスク |
CD DVD |
10~30年 |
安価 持ち運びしやすい |
衝撃に弱い 耐久性が低い |
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フラッシュメモリ |
SDカード USB SSD |
5~10年 |
衝撃に強い 持ち運びに便利 |
紛失しやすい 耐久性が低い |
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②文書管理システム |
オンプレミス型 |
(5年) |
自由度が高い |
管理・運用の負担が大きい |
|
クラウドストレージ型 |
なし |
導入・運用しやすい 多機能 |
インターネット環境が必要 |
※記載されている会社名、サービス名、商品名は、各社の商標または登録商標です。
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