行政書士で開業するための完全ロードマップ 開業を成功させる秘訣

  • 2022.10.28 (金)
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「行政書士として開業するにはどんな準備が必要なの?」

「行政書士で開業したところで食べていけるの?」

行政書士の資格を取ったものの、実際に開業するとなると不安はつきませんよね。

行政書士として開業する場合の手順を示すと下記の通りです。

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開業手順は6ステップありますが、特に難しい内容ではありません。

手順が比較的簡単で開業しやすいものの、行政書士の開業では「開業したからといって稼げるとは限らない」といわれることが少なくありません。開業したからといってすぐに仕事を多く獲得できるとは限らないからです。

開業して成功するかどうかは、開業後にしっかりと集客ができるかどうかにかかっているといえます。

そこで、この記事では、開業後の集客で失敗しないための「専門ジャンル選び」や「集客方法」について解説します。

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開業後に集客ができるようにしっかりと準備を整えて、開業するようにしましょう。

この記事で分かること

  • 行政書士の開業までのロードマップ
  • 開業前のジャンル選びが重要
  • 行政書士で開業するメリット
  • 行政書士で開業するデメリット
  • 行政書士の開業でつまずきやすいポイント
  • 行政書士の開業で失敗しないための集客方法
  • 行政書士が開業するときに必要な費用一覧

最後まで読むことで、行政書士で開業するメリットやデメリット、開業の際のつまずきやすいポイントなどが分かります。

開業に必要な費用の一覧も紹介するため、スムーズに開業準備を進めるためにもぜひ参考にしてください。

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1. 行政書士の開業までのロードマップ

冒頭でも触れましたが、行政書士の手順をロードマップにまとめると以下の通りです。

行政書士として開業する手順としては、

  • 開業資金の準備(Step1)
  • 行政書士会への登録手続き(Step2~Step6)

6つのステップで進めていくこととなります。

具体的な内容は次の通りです。手続きをスムーズに進めるためにもぜひ確認しておきましょう。

1-1. 開業資金を準備する

行政書士として独立開業するには資金を準備する必要があります。必要な資金の詳細は、「7. 行政書士が開業するときに必要な費用一覧」で解説しますが、少なくとも70万円ほど、多い場合では300万円ほどの費用の準備が必要です。

費用の大きさは、「自宅開業にするか、オフィスを借りるか」「どの程度の余裕資金を確保しておくか」といった点によって変わります。

費用によっては早めに支払わなければならないものもあるため、それぞれの費用は支払いに間に合うように準備しましょう。

〈開業時に準備すべき費用の例〉

  • 事務所を確保するための前払い家賃など
    「Step3:行政書士会への登録申請」の前までに準備が必要。申請前に事務所を確保する必要があるため。自宅開業の場合は不要。オフィスを借りる場合は約80万円かそれ以上の準備が必要です。
  • 備品購入代・設備の設置費用
    「Step4:事務所調査」の前までに準備が必要。事務所調査前に備品や設備を整えておく必要があるため。15万円以上の費用がかかります。
  • 開業後3カ月間の運営費・生活費
    開業までに準備するようにしましょう。120万円以上の費用が必要です。

※費用の詳細は、「7. 行政書士が開業するときに必要な費用一覧」を参照してください。

また、開業資金を準備する方法としては、開業前に仕事をしつつお金を貯めるか、日本政策金融公庫の創業融資や自治体の開業支援融資を活用する方法が考えられます。

〈開業時に活用できる融資の例〉

  • 日本政策金融公庫の創業融資
    設備資金や運転資金として最大3,000万円の融資を受けることが可能。
  • 自治体の開業支援(自治体ごとのホームページ参照。例:中野区の創業支援資金
    自治体ごとに創業融資枠が用意されていて規程の融資を受けることが可能。

融資の場合は返済義務が伴います。行政書士の場合は、稼げるようになるまで時間がかかるため、返済義務が大きな負担となることも少なくありません。融資よりは貯金で開業資金を準備することをおすすめします。

1-2. 事務所住所・事務所名を決める

次に事務所の住所と事務所名を決めましょう。事務所の住所と事務所の名前は、行政書士会への登録申請の際に必要です。

事務所は、自宅を事務所とすることも可能です。ただし、行政書士の事務所住所は、日本行政書士会連合会のホームページで公表されるため、自宅住所を公表したくない場合は、自宅以外の事務所を確保するようにしましょう。事務所はレンタルオフィスでも賃貸物件でもOKです。

事務所の名前の付け方については、日本行政書士会連合会で定められた方針に従う必要があるため、下記ホームページ内の「〈参考〉事務所の名称に関する指針」を確認するようにしましょう。

例えば、「事務所名に『行政書士』という文言を入れること」「同じ地域の行政書士会に同じ事務所名がある場合は使用を避けること」などといった方針がかかげられています。方針に従って事務所の名前を決めるようにしましょう。

1-3. 行政書士会への登録申請

開業する予定の都道府県の行政書士会に、行政書士として登録申請をします。

手順としてはまず、「各都道府県の行政書士会のホームページ」を見て、提出しなければならない書類や費用を確認しましょう。

提出するものを確認して準備が整ったら、各行政書士会の窓口に持参のうえ提出します。窓口は各都道府県の行政書士会のホームページに記載されています。

例えば東京都行政書士会の場合、提出しなければならない書類や費用、申請窓口は、下記の通りです。

<東京都行政書士会の場合>

公式ページ

提出書類

  • 行政書士登録申請書
  • 履歴書
  • 誓約書
  • 東京都行政書士会入会届
  • 事務所写真(規定の写真貼付⽤紙で提出)

添付書類

  • 行政書士試験合格証など⾏政書⼠となる資格を証する書
  • 住⺠票(発⾏後3箇⽉以内、本籍記載のあるもの)
  • ⾝分証明書(発⾏後3箇⽉以内)
  • 顔写真 5枚
  • 事務所の使⽤権を証する書⾯など

登録諸費用

  • 入会金(事前振込費⽤) 225,000
  • 会費3か月分(登録申請時に現金で持参) 21,000
  • 登録免許税30,000円(登録申請時に収入印紙で支払)

申請窓口(事前予約制)

  • 東京都行政書士会事務局 〒153-0042 東京都目黒区青葉台3-1-6 電話:03-3477-2881

提出書類や費用の詳細については、各行政書士会で異なるため、提出前に必ず開業する地域の行政書士会のホームページで確認しましょう。

1-4. 事務所調査を受ける

登録申請をしてから1ヵ月ほど経つと、各行政書士会による事務所調査があります。各行政書士会の支部長が事務所を直接訪問し、調査を行います。

調査の内容は、申請書に記載した「事務所のレイアウト」通りに備品や設備が整っているかどうかチェックするというものです。このため、調査が行われるまでに、机、イス、パーティション、書類の保管庫などの備品や設備をしっかりと整えておくことが大切です。

ただし、全ての行政書士会が訪問調査を行うわけではありません。例えば、東京都行政書士会の場合は訪問による調査はなく、申請者本人が提出した事務所の写真でチェックを行います。

都道府県によっては訪問調査でなく他の手段で調査を行う場合もあるため、各行政書士会の調査方針をホームページでチェックするようにしましょう。ホームページで分からない場合は、窓口に問い合わせましょう。

1-5. 行政書士会の入会式で登録証の交付を受ける

事務所調査を無事にクリアすると間もなく、登録完了の通知と行政書士会の入会式の案内が来ます。

行政書士会の入会式は、各行政書士会の本部で開催されます。

入会式では、登録証の交付のほか、会員バッジ、規則集や名簿など多くの資料が配布されます。多くの行政書士と会うことができ、人脈を広げることのできる貴重な機会でもあるため、必ず出席しましょう。名刺交換ができるように名刺を多く持参するとよいでしょう。

入会式の後は、いよいよ開業が可能となります。

1-6. 税務署に開業届を出す

続いて、開業する地域の税務署に開業届を出しましょう。開業届は、事業を開始した日からひと月以内に行うことになっているため、開業してから提出してもOKです。

地域の税務署の所在は、国税庁のホームページから検索できます。また、開業届の書類は正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、下記国税庁のホームページから入手可能です。

「個人事業の開業・廃業等届出書」に必要事項を記入したら税務署に提出しましょう。開業届は提出すれば即受理されるため、手続きは以上です。

2. 開業を成功させるにはジャンル選びが重要!

行政書士の開業は、手続き自体は特に難しいわけではありません。順に手続きを進めていけば開業できるため、行政書士の開業のハードルは比較的低いといえます。

しかし、「行政書士は開業しても儲からない」とよくいわれるように、開業さえすればうまくいくというわけではありません。

そこで行政書士で開業する際には、今後自分の強みとなる専門ジャンルを選ぶことをおすすめします。開業を成功させるにはジャンル選びが大切です。

専門ジャンルを持つことをおすすめする理由は

  • 行政書士は開業しやすく新規参入者が多いため、専門ジャンルを持つことで差別化を図る必要がある。強みを明確にすることで、利用者に選んでもらいやすくなる。
  • 行政書士は、扱える範囲が広すぎるため、全ジャンルの法令知識やスキルを身につけようとしてもなかなか身につかない。熟練度の低い「なんでも屋」では集客が見込みにくい。

といった理由からです。

利用者の立場から考えてみても、依頼したいジャンルに強い行政書士に相談したくなることは明らかといえるでしょう。開業を成功させるためにはまず専門ジャンルを持つようにしましょう。

専門ジャンルを選ぶ際には、特にニーズの高いジャンルを選ぶことがおすすめです。ニーズの高いジャンルでの専門性を磨くことが、安定的な顧客確保につなげやすいといえます。

以下では、特に需要が多いと見込まれるおすすめのジャンルを紹介します。

以下で内容をよく確認して、手がけたい専門ジャンルを選ぶようにしましょう。

2-1. 「建築・産業廃棄物」は最も需要の多い分野

「建築・産業廃棄物」のジャンルは、最も需要の多い分野といわれています。具体的には、建設業許可申請・産業廃棄物許可申請などの書類作成・手続きを行います。

1件当たりの報酬額の例は、下記の通りです。

【「建築・産業廃棄物」の1件当たりの平均報酬】

  • 建設業許可申請(個人・新規・知事許可):約12万円
  • 建設業許可申請(個人・更新・知事許可):約6万円
  • 建設業許可申請(法人・新規・大臣許可):約17万円
  • 建設業許可申請(法人・更新・大臣許可):約12万円
  • 一般廃棄物収集運搬業 許可申請:約10万円

※件数は令和2年の調査回答数
出典:日本行政書士連合会「令和2年報酬額統計調査の結果」

1件当たり10万円以上の案件が多くあります。

件数についても、建設業許可業者の数は年々増加傾向にあり、今後も需要が見込めるといえるでしょう。例えば、20223月末時点では建設業許可業者は4年連続で増加しています。(出典:国土交通省「~令和4年3月末現在の建設業許可業者の現況~」

建設業者は都会・地方を問わずどこにでもあるうえ、建設業許可は5年に一度更新手続きが必要です。また、建設業許可から派生して必要となる申請(入札に必要な「経営事項審査申請」など)も多いため、建設ジャンルには非常に多くの案件があるといえます。

一社と契約できるとその後継続的な仕事に繋げることができるといった利点もあります。

需要が高い分、ライバルも多く参入しているという難点もありますが、安定的に収入を得たい場合には「建築・産業廃棄物」はおすすめのジャンルです。

2-2. 「運輸・交通」は新規参入でも顧客が取りやすい

「運輸・交通」は専門性がそれほど高くないため、初心者でも参入しやすいジャンルです。具体的には、貨物運送事業許可申請・車庫証明申請・道路使用許可申請などを扱います。

1件当たりの報酬額の例は下記の通りです。

【「運輸・交通」の1件当たりの平均報酬】

  • 自動車登録申請:約8千円
  • 登録車車庫証明:約1万円
  • 道路使用許可申請:約5万円
  • 特殊車両通行許可申請(電子申請含む):約4万円
  • 一般貨物自動車運送事業経営許可申請(運輸開始届出書含む) :約45万円
  • 貨物自動車運送事業営業報告書の作成:約3万円

出典:日本行政書士連合会「令和2年報酬額統計調査の結果」

単価については、1件当たり数千円の案件から、約45万円の大型案件まであります。

1件当たりが少額でも、顧客は個人から法人まで非常に多く、案件が確保しやすいジャンルといえます。特に、法人の顧客の場合は、「許可申請」のほか、申請後の「営業報告書」や「事業報告実績書」を作成する案件(1件あたり3万円前後)も多くあるため、継続的に仕事を請け負うことも可能です。

安定的な収入を得やすい分野のため「運輸・交通」はおすすめです。

2-3. 「外国人在留資格」はライバルが少なめ

在日外国人が増加傾向にあるため、「外国人在留資格」の分野もおすすめです。具体的には出入国在留管理庁で就労ビザ申請(在留資格申請)などの手続きを行います。

1件当たりの報酬額の例は下記の通りです。

【「外国人在留資格」の1件当たりの平均報酬】

  • 在留資格認定証明書交付申請(就労資格) :約11万円
  • 在留資格認定証明書交付申請(居住資格):約11万円
  • 在留資格変更許可申請(就労資格) :約10万円
  • 在留期間更新許可申請(就労資格) :約5万円
  • 永住許可申請:約13万円

出典:日本行政書士連合会「令和2年報酬額統計調査の結果」

単価は、1件当たり10万円前後のものが多く見られます。在留資格は、定期的な更新が必要となるため、同じ顧客から継続して仕事が見込めるジャンルともいえます。

また、在留資格の申請を行うためには、「申請取次行政書士」という資格が別途必要となるため、参入者が比較的少ない点も利点です。

「申請取次行政書士」の資格は、所定の研修を経て試験を受けることで取得可能です。(研修の詳細は、「日本行政書士会連合会「申請取次関係研修案内」で確認できます)

外国人在留資格の分野は参入者も少なく、収入を見込みやすいためおすすめです。

2-4. 「遺言・相続」は弁護士とのコネがあると有利

高齢化の進展で「遺言・相続」分野のニーズが高まっています。この分野は民法や税法についての深い知識が必要なケースが多いため、弁護士とのパイプがある場合におすすめです。

1件当たりの報酬額の例は下記の通りです。

【「遺言・相続」の1件当たりの平均報酬】

  • 遺言書の起案及び作成指導:約7万円
  • 遺産分割協議書の作成:約7万円
  • 相続人及び相続財産の調査 :約6万円
  • 遺言執行手続 :約38万円

出典:日本行政書士連合会「令和2年報酬額統計調査の結果」

単価は1件当たり7万円前後です。遺言執行手続きとは、遺言を執行するために不動産や預貯金、株などの名義変更などを行なうことです。この手続きでは40万円近くの報酬額となります。

高額の報酬が期待できますが、「遺言・相続」の分野では、多くのケースで高度な法律知識が必要となり、単独で仕事が受けられないことが少なくありません。そのため、「遺言・相続」のジャンルで活躍するためには、弁護士と連携して仕事を受けることが大切といえるでしょう。

「遺言・相続」ジャンルの仕事は弁護士とのコネがある場合におすすめです。

2-5. 「飲食店」は専門性は高いが特定エリアで効率的に活動できる

「飲食店」のジャンルは、専門性は高いものの、繁華街の近くなど特定エリアに事務所があれば効率的に集客ができ、収入をあげることができます。

「飲食店」における業務としては、飲食店営業許可申請・深夜酒類提供飲食営業許可申請などがあります。

1件当たりの報酬額の例は下記の通りです。

【「飲食店」の1件当たりの平均報酬】

  • 飲食店営業許可申請 :約5万円
  • 酒類販売業免許申請:約14万円

出典:日本行政書士連合会「令和2年報酬額統計調査の結果」

単価は5万~14万円です。

飲食店関連の申請書の作成には、飲食業特有のルールに従った図面作成をしなければならないなど専門性の高い作業が必要です。かなり複雑で専門的な作業が必要であるにもかかわらず、営業開始日までに申請を終えなければならないため、早急かつ正確な対応が求められます。

難易度が高いため、参入者が比較的少ない点がメリットといえます。「飲食店」はニーズが高くライバルが少ないため、安定的な収入を狙えるおすすめのジャンルです。

3. 行政書士で開業するメリット

行政書士としての開業を検討する際には、開業後「こんなはずじゃなかった」ということのないように、開業のメリットやデメリットをあらかじめよく把握したうえで、判断するようにしましょう。

まず、行政書士で開業するメリットは次の通りです。

それぞれ詳しく見てみましょう。

3-1. 自分のライフスタイルに合わせて働くことができる

自分のライフスタイルに合わせて働くことができる点は、開業のメリットといえます。

開業すると、売上目標の達成ペース、勤務日、勤務時間などを自分自身で決めることができるため、自分のライフスタイルにあった働き方をすることができます。

例えば、家族との時間をしっかり確保するために少し仕事の量を制限したい、将来の貯えを増やしたいから仕事を増やしたいといった場合に自由に対応することができます。

自分で事業を運営する方針を決め、自分のペースで仕事を進めていける点が大きなメリットです。

3-2. 好きな年齢まで働くことができる

定年がないため、好きな年齢まで働くことができる点も、開業のメリットです。

行政書士として開業した場合、一般的に定年といわれる60歳を迎えても、まだまだ働きたい場合には働き続けることができます。また、逆に定年より少し早く引退したいという場合も、自分の判断で60歳より前に引退することも可能です。

開業した場合は、年齢に関係なく仕事ができ、自分で働く期間を決められるという利点があります。

3-3. 知名度が上がると活動の幅が広がるチャンスがある

開業すると事業主である自分の判断で、動画や書籍、SNSなどを使って自由にPR活動ができます。そうしたPR活動で知名度が上がると、活動の幅が急激に広がっていく可能性があることも大きなメリットといえます。

例えば、行政書士として、お役立ち情報をYouTubeTikTokなどで配信したり、Twitterやブログへ投稿したりするうちに知名度が上がることがあります。知名度があがると、その後、テレビ・雑誌などメディアへの露出や自著の出版などにつながり、活動の幅が急激に広がることがよくあります。

また、一度メディアで取り上げられたり本を出版したりすると、さらに知名度が上がり、ますます活動の幅は広がっていきます。知名度の高さと幅広い活動により、実力のある識者としての社会的評価も得られ、集客につなげていくこともできます。

開業により、知名度が上がり活動の幅が広がる可能性があることは、非常に大きなメリットといえます。

3-4. 弁護士・税理士など他士業に比べて開業のハードルが低い

弁護士・税理士など他士業に比べて開業コストが低い点が行政書士の開業のメリットといえます。

弁護士や税理士などは、そもそも資格取得のための試験の難易度が高いうえ、開業には実務経験が求められます。また弁護士の場合は、開業時から事務員を抱えることが多く、開業コストが行政書士より高くなる傾向です。

一方の行政書士の場合は、試験の難易度は弁護士ほど高くはなく、開業に実務経験も必要ありません。開業時は一人で自宅開業することが多く、弁護士の開業ほどコストはかかりません。開業手順も比較的簡単です。

行政書士は開業時のコストも手間も、他の士業より安く抑えることができる点が利点です。

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4. 行政書士で開業するデメリット

行政書士で開業する際には、開業のデメリットにも気を付けるようにしましょう。

行政書士で開業する際のデメリットは次の通りです。

詳しく見てみましょう。

4-1. 経営と通常業務の両方を行う必要がある

独立開業すると、経営と通常業務の両方を行わなければならない点がデメリットといえます。

開業するとなると、目前の申請手続きといった業務だけに集中していればいいというわけにはいきません。自ら経営計画を立て、事業を成長させていかなければなりません。

通常業務でも法改正のために常に学ぶ必要があって忙しいうえ、経営面でも不況に負けない対策を考えるなど多忙になります。

経営と通常業務の両方を行うため仕事量もプレッシャーも大きくなる点がデメリットといえます。

4-2. クライアントを自分で確保しなればならない

クライアントを自分で確保しなければならない点もデメリットといえます。

開業すれば当然、自分でクライアントを確保しないと仕事はありません。いくら正確かつ効率的に業務をこなせていても、顧客を継続的に確保できなければ収益は上がりません。

会社や事務所のように先輩や同様から顧客を引き継ぐということもないため、常に顧客を確保しなければならない点が開業のデメリットといえます。

4-3. 確定申告の手間が発生する

行政書士として開業すると、確定申告の手間が発生します。

行政書士の開業では、個人事業主として開業するケースが多いため、自分で確定申告を行わなければなりません。会社や事務所勤めの場合には、特別な事情がない限り、確定申告の必要はありませんが、開業すると確定申告を行い税金を正しく収める必要があります。

開業すると確定申告の手間が発生する点がデメリットといえます。

4-4. 専門ジャンルによっては不景気の影響を受けやすい

行政書士で開業する場合、専門ジャンルによっては不景気の影響を受けやすいといえます。

例えば、会社設立や許認可といった会社を相手にした専門ジャンルの場合は、不景気にはコストカットや倒産などの影響で、仕事の単価を下げられたり、仕事を得られなかったりすることがあります。

行政書士の専門ジャンルによっては不況のあおりを受けやすい点に注意が必要です。

5. 行政書士の開業でつまずきやすいポイント2つ

行政書士として開業する人は、年々増加していますが一方で廃業する人も少なくありません。

例えば、2020年の行政書士の登録者数は約5万人程度で、新規登録者数は2623人、死亡者を除く廃業者は1480人います。(参考:総務省「行政書士の登録状況(令和2年度)」)新規参入数の約6割に相当する人が廃業を余儀なくされている状況です。

廃業者数の多さから見ても、決して行政書士の開業が簡単でないことが伺えますが、この行政書士の開業でつまずきやすいポイントとしてよく挙げられるのは次の2点です。

【行政書士の開業でつまずきやすいポイント】

  • 集客が思っていたほどうまくいかなかった
  • 運営資金が足りなくなった

詳しくは次の通りです。

5-1. 集客が思っていたほどうまくいかなかった

開業したものの、思っていたほど集客ができずに廃業に追い込まれるケースは少なくありません。

2. 開業を成功させるにはジャンル選びが重要!」で紹介したようにニーズの強い専門ジャンルのスキルを持っていても、周囲に知られていないと集客につながらないということがよくあります。

開業で失敗しないためには、行政書士を利用したい人に、自分の事務所の存在を知ってもらうための営業、集客活動を常に行う必要があるといえます。

具体的な営業、集客方法については「6. 行政書士の開業で失敗しないための集客方法4つ」で解説しますので、ぜひ参考にしてください。

5-2. 運営資金が足りなくなった

事業が廃業に追い込まれる理由でよく見られるのは、「運営資金が底をついて事業継続ができなくなった」というものです。

行政書士の開業においても、事業が軌道に乗りきらないうちに運営資金が足りなくなって、事業を維持できなくなるケースが少なくありません。

こうしたケースを防ぐためにも、開業前に運営資金を十分に準備しておくことが必要です。

7. 行政書士が開業するときに必要な費用一覧」で事前に十分準備しておきたい資金の詳細などを紹介しますので、行政書士の開業でつまずかないためにもぜひ参考にしてください。

6. 行政書士の開業で失敗しないための集客方法4つ

行政書士の開業において、集客活動が大切であることを先にお伝えしました。ここでは、具体的な集客活動の方法について紹介します。

行政書士の開業で失敗しないために特におすすめしたい集客方法は下記の4つです。

それぞれ以下で詳しく見てみましょう。

6-1. ホームページを活用する

最も手軽で効果も見込める集客方法は、ホームページでの集客です。

行政書士を利用したい人も、まずインターネットで近所の行政書士を検索することが多いといえます。そのためにもインターネット上に、開業した事務所の情報を掲載しておくようにしましょう。

ホームページには下記のような情報を掲載すると、利用者が利用を検討しやすくなるためおすすめです。

<ホームページに記載したい内容>

基本情報

  • 専門ジャンル・サービス概要
  • 実績
  • 料金
  • 行政書士の経歴
  • 事務所連絡先

お役立ち情報コンテンツ

  • 行政書士のブログ記事など

ホームページには、基本情報は最低限載せておくようにしましょう。利用者が利用を検討するために必要です。

基本情報を載せるほか、ブログやSNSで情報発信をすることもおすすめです。「飲食店開業において必要な手続き」など専門ジャンルに基づいたお役立ち情報を発信すると、利用者からの注目度や信頼度もあがり、集客に繋げやすくなります。

6-2. 地元のタウン誌などに広告を出す

地元のタウン誌などに広告を出すこともおすすめの集客方法です。

地元のタウン誌は、病院や市役所、図書館などにおかれているほか、フリーペーパーであれば家庭にも店舗にも広く配布されています。地元の特に年齢の高い人の目に留まる機会が多く、その世代の集客につなげやすいといえるでしょう。

広告掲載費の相場は、タウン誌の発行部数にもよりますが、A416分の15cm×7cm)のサイズで3万円前後からあります。タウン誌は、下記のようなフリーペーパーの検索サイトなどで調べることができます。

地元紙は年齢の高い人のニーズを拾いやすく、「遺言・相続」「飲食店」など様々なジャンルの集客につながるため活用するようにしましょう。

6-3. 人脈を使って顧客を紹介してもらう

人脈を使っての集客も効果的な集客方法です。

例えば、同業者である行政書士から、仕事を回してもらうケースも少なくありません。行政書士同士で互いに手が回らない時は、仕事を融通しあうことも多く見られます。

また、弁護士や税理士といった別の士業とコネクションを持っておくと、手が足りない時などに仕事を斡旋してもらえるケースも多くあります。

そもそもそうした人脈を確保する方法としては、同業者の参加するセミナーにマメに参加したり、弁護士事務所や税理士事務所に営業をかけたりする方法が挙げられます。

人脈を使って集客できるように、日ごろから人脈を広げておくようにしましょう。

6-4. セミナーを開催する

セミナーを実施することも集客に役立ちます。

セミナーで、会社設立や相続のお役立ち情報を解説するなど、利用者のお困りごとを解決するような解説セミナーを行うことがおすすめです。

セミナーの開催は、リアルな会場でなくとも、YouTubeやオンライン上で解説を配信することで手軽に行うことができます。

セミナーの開催は、利用者からの注目度や信頼度もあがるため集客につながるよい方法です。

7. 行政書士が開業するときに必要な費用一覧

5. 行政書士の開業でつまずきやすいポイント2つ」で、開業後に運営資金がショートして困ることのないように、十分な資金を準備しておく必要があることを紹介しました。

行政書士の開業を成功させるためには、開業前にこれらの必要な資金についてしっかりと確認し、確保しておくようにしましょう。

行政書士が開業するときに必要な費用について、改めて記載すると次の通りです。

【行政書士が開業するときに必要な費用一覧】

費用項目
金額
補足
行政書士会への登録料
約30万円
登録料内訳】
※都道府県によって異なる
入会金:約20万円
登録手数料:2万~3万円
会費(3か月分):約2万円
登録免許税:約3万円
事務所家賃
自宅開業:追加0円
オフィス賃貸:80万円~
敷金・礼金・仲介手数料・家賃6か月分
設備費
2万円~
電話工事・電気工事など
備品
5万~20万円
机・いす・キャビネット・応接セット・金庫・文具
名刺・印鑑など
2万~4万円
職印・ゴム印など
書籍・資料費
20万円~
業務に必要な書籍購入費
書式セット
5万円
各業種の実務で使える書式のセット集
宣伝費
1万~6万円
ホームページ製作費
看板
1万円~
看板製作費
小計
自宅開業:約70万円~
オフィス:約150万円~
開業後の運営費・生活費を含まない場合
先3か月分の運営資金
45万円~
光熱費・通信費・会費・家賃など
先3カ月分の生活費
75万円~
開業後の生活費
合計
自宅開業:約190万円~
オフィス:約270万円~
開業後の運営費・生活費を含む場合

行政書士の開業では、自宅を事務所とする場合には約70万円~、オフィスを借りて開業する場合は約150万円~の費用がかかります。

ただし、これは、開業時だけの費用です。開業後3カ月程度稼げなかった場合に備えて、3か月分の運営費や生活費を確保した場合には、自宅を事務所とする場合は約190万円~、オフィスを借りて開業する場合は約270万円~の費用がかかるといえます。

開業後、すぐに売上が上がらず資金不足に陥ってしまう可能性に備えて、少なくとも3カ月分の運営資金(45万円~)や生活費(75万円~)を別途確保しておくようにしましょう。

開業で失敗しないためには、事前に資金を十分に準備しておくことが大切です。

8. IT環境を整えるときは「コワークストレージ」がおすすめ

行政書士で開業した際は事務所の備品やシステムなど環境を整備する必要があります。

開業後も収益が安定的に確保できるまで、運営費は極力抑えたほうがいいといえるでしょう。

お客様の大事な文書やデータを保存するストレージを検討する際は「コワークストレージ」もぜひご検討ください。

コワークストレージはNTT東日本が提供するクラウドストレージサービスで、あらゆるデータをクラウド上で保存することで外出先からもアクセスが可能で、行政書士には欠かせない高い情報セキュリティも兼ね備えています。

それではコワークストレージを活用する2つのメリットについて解説していきます。

  • ペーパレス化・省スペース化に効果的!社内・社外で簡単ファイル共有
  • 見慣れた画面で操作も簡単

【ペーパレス化・省スペース化に効果的!社内・社外で簡単ファイル共有】

コワークストレージを利用すると、クラウド上に文書やデータを安全に保管することができます。

文書やデータをクラウド上におくことで、社内だけでなく外出先からデータを利用することができ、社内の複数メンバーで文書を共有することもできます。

また、文書を電子化するためペーパレス化が進み、事務所内の文書保管スペースを減らすことも可能です。空いたスペースを有効活用して作業効率を上げたり、事務所のスペースを小さくして家賃を削減したりといったことが可能となります。

【見慣れた画面で操作も簡単】

コワークストレージは、使いやすさにも定評があります。

クラウド上のファイルには、使い慣れた「エクスプローラー」と同じ感覚でアクセスすることができます。新たな操作を覚える必要もなく、誰でも操作可能です。ITに詳しい人材を確保する必要もありません。

さらにコワークストレージは、価格もリーズナブルです。

コワークストレージでは、中小企業のニーズに合わせて、さまざまな料金プランを用意しています。

【料金プラン紹介】

プラン名
対象
データ容量
月額利用料金
スタート
小規模で始めたいお客様に適したプラン
100GB/5ID
¥2,750(税込)
(¥550/1ID相当)
スタンダード
従業員10名程度のお客様に適したプラン
1TB / 10ID
¥6,600(税込)
(¥660/1ID相当)
アドバンスト
利用容量が多く、従業員30名程度のお客様に適したプラン
3TB / 30ID
¥23,100(税込)
(¥770/1ID相当)
プロフェッショナル
多人数・動画などの大容量利用におすすめのプラン
5TB / 50ID
¥39,600(税込)
(¥792/1ID相当)

※別途インターネット接続サービス初期費用、インターネット接続サービス月額利用料、プロバイダサービス月額利用料が必要になります。

自社の規模やニーズにあったプランを選択することで、価格を抑えて効率的に業務を進めることができます。現在1ヵ月の無料トライアルが利用できるため、社内のIT環境の整備を検討している場合には、試してみてはいかがしょうか。

まとめ

行政書士の開業について紹介しました。開業の手順は下記の通りです。

開業をする際には、専門ジャンル選びも大切です。開業後、集客に困ることのないように、ニーズの高い専門ジャンルを選び、顧客獲得の見込みをつけてから開業するようにしましょう。

また、行政書士の開業にはメリット・デメリットもあるため、開業においてはメリット・デメリットをしっかりと意識したうえで、準備を進めていくようにしましょう。

開業後に役立つ集客方法や、開業にかかる費用も紹介したため、開業を成功させるために併せて参考にしてください。

行政書士の開業にあたっては、専門ジャンルの知識やスキルを磨いたり、費用の確保したりするなど十分な準備をして望むようにしましょう。

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