ECMとは?機能とメリットを知って情報資産管理の課題を解決しよう
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2023.3.03 (金)Posted by コワークストレージ窓口
「ECMとはどのようなものだろう?」
「自社での利用に適したツールなのだろうか?」
ECMについてそのような疑問をお持ちではありませんか?
簡単にいえば、ECM(Enterprise Contents Management)とは、企業活動で生み出されるさまざまなコンテンツやデータを、利活用しやすいように一元管理するための取り組みやシステム(ツール)のことです。
業務の中で多様なデータを扱っていて、その管理に課題を抱えている企業にとっては、ECMの利用は解決策の一つといえます。
あなたも、自社に点在する以下のようなデータの管理にお悩みで、ECMに関心を持たれていることと思います。
◆文書データ(帳票類、契約書など) ◆制作データ(デザインデータ、動画、CADなど) ◆Webコンテンツ(HTMLファイルなど) ◆メール ◆業務システム上で生成される各種データ |
とはいえ、ECMは安易に導入してしまうと、場合によっては機能が多様すぎて「複雑で使いこなせない」という状況に陥る恐れがあります。
せっかくコストと労力をかけてECMを導入しても、それではデータ管理の課題は解決されません。
そのような事態を避けるためには、ECMの概要を知るだけではなく、備わる機能やメリット・デメリットなど具体的なところまで理解した上で自社への導入要否を判断する必要があります。
そこで今回は、以下の内容についてお伝えします。
この記事の内容
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ECMについて詳細にご理解いただいた上で、自社に導入すべきかどうかを判断できる内容となっています。
早速読み進めて、データ管理の課題解決のための第一歩を踏み出しましょう。
1. ECMとは
冒頭でもお伝えした通り、ECM(Enterprise Contents Management)とは、企業活動で生み出されるさまざまなコンテンツやデータを、利活用しやすいように一元管理するための取り組みやシステム(ツール)のことです。
ここではまず、そのようなECMの概要を把握するため、ECMの役割や類似ツールとの違い、ECMで管理できるデータの具体例をご紹介しますね。
1-1. ECMの役割は多様なデータを効率的に一元管理すること
ECMの役割は、「社内の多様なコンテンツやデータを効率的に一元管理すること」といえます。
ECMを導入すれば、それまで各従業員のパソコン内や、個別のシステム上でバラバラに管理されていたデータを単一のシステム(ECM)上にまとめられる上、搭載する多様な機能が管理に必要な工程を支援してくれるからです。
例えば、ECMに一般的に備わる機能は、以下のようにコンテンツやデータの管理をサポートしてくれます。
ECMの機能
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どうサポートするか
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適切な状態での コンテンツ保管機能 |
あらゆるコンテンツの内容や状態、種別を見えやすい形で保管し、従業員がアクセスしやすい状態を保てる。
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高度な検索機能
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絞り込みやキーワード検索、属性検索など多様な方法による検索ができることで、迅速に必要な情報を取得できるようにする
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アクセス権の
設定機能
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限られた人だけに重要データへのアクセス権(閲覧/ダウンロード/編集する権限)を付与することで、データの機密性を高めることができる。
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情報セキュリティ
機能
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保管データや、端末とデータ間の通信経路のセキュリティを高めて、外部からの不正アクセスや、内部から情報を持ち出されるリスクを低減できる。
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ワークフロー機能
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文書データの回覧や承認、発行といったワークフローをシステム上で完結させることで、手間を削減できる。
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外部連携機能
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他の業務システムやツールと柔軟に連携させることで、それらのシステム・ツール上で生成されるコンテンツをスムーズに集約できる。
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このように、ECMの機能は、多様なコンテンツを安全かつアクセスしやすい状態で取り扱うためのプロセス(=管理工程)を多角的に支援してくれます。
ECMは、データの保管場所となるだけでなく、こういった管理工程を支援する幅広い機能を備えていることで、「社内の多様なコンテンツやデータを効率的に一元管理する」という役割を果たしているのです。
1-2. ECMと文書管理システムの違い
ECMとよく似たシステムに、業務上のさまざまな文書をデータで一元管理するためのツール「文書管理システム」があります。
ECMと文書管理システムは共通する点も多く、もしかするとあなたも、「何が違うのだろう?」と疑問に感じていらっしゃるかもしれませんね。
その疑問に端的にお答えすると、ECMと文書管理システムでは、以下の通り「管理するもの」と「外部連携の柔軟性」が異なります。
ECM
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文書管理システム
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管理するもの
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企業活動で生成されるコンテンツ・データ
(文書データを含むあらゆるデータ)
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社内の文書データ
(帳票類、社内規定、契約書などかつては紙で管理していたもの)
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外部連携の柔軟性
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業務システムやツールとの柔軟に連携が取れる
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連携を取れるケースもあるが、その柔軟性は高くはない
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このように、文書管理システムで管理するのは文書データに限られるのに対して、ECMでは文書データを含むあらゆるデータ(動画や音声など)が管理対象となります。
また、ECMで管理する幅広いデータは、さまざまな業務システムやツールで生成されるため、必然的に外部連携の柔軟性も高くなります。
一方、文書管理システムで管理する文書データは、その生成場所がある程度限られます。このため、文書管理システムにおいて、外部連携機能の搭載は必須ではなく、備わっていたとしてもECMよりは柔軟性が高くない場合がほとんどです。
こうした両者の違いをまとめると、「文書管理システムよりも、多様なデータを管理でき、そのためにより柔軟な機能を搭載したツールがECMである」ということができます。
1-3. ECMで管理するデータの例
すでにお伝えしている通り、ECMでは企業活動で生成されるあらゆるコンテンツやデータを管理することができます。
「あらゆるコンテンツやデータ」ですから、あなたが日々の業務の中で目にする情報のほぼ全てがECMの管理対象といっても過言ではありません。
とはいえ、具体的にどのようなものを指すのか、具体例を把握できた方がイメージしやすいかと思いますので、その例を以下にまとめています。
ECMで管理するデータの例
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◆文書データ(かつては紙で作成し、管理してきたもの) ・帳票類 ・契約書 ・申請書、稟議書 ・社内規定 ・提案資料 ◆制作データ ・販促物のデザインデータ ・撮影データ ・画像 ・動画 ・CAD ◆Webコンテンツ ・Webサイトに掲載するテキストや画像 ・HTMLファイル ◆音声 ・コールセンターでの顧客とのやり取り ◆メール ・顧客とのやり取り ・Webサイト経由のお問い合わせメール ◆その他の業務システム上で生成されるデータ ・日ごとの販売状況(POSシステムで生成) ・顧客情報(営業支援系ツールで生成) ・従業員の稼働状況(勤怠管理システムで生成) |
色々なタイプのコンテンツやデータを挙げましたが、これらはあくまでECMで管理可能なデータのごく一部に過ぎません。
デジタルデータの活用が当たり前になっている現代の企業活動では、日々多様で膨大な量のコンテンツやデータが生成されており、その全てがECMの管理対象となり得るのです。
2. 企業におけるECMの重要性は高まってきている
企業活動において生成されるあらゆるコンテンツ・データを効率的に一元管理することのできるECMですが、その重要性は年々高まってきています。
というのも、全世界で扱われるデジタルデータの量が年々増え続けているためです。
2020年に公表された予測によれば、2011年時点で1.8ZB(1.8兆GB)だった世界におけるデジタルデータ量は、2025年には175ZB(175兆GB)に達するとされています。
出典: Intel ArchitectureDay2020プレゼンテーションスライド を元に作成
当然企業においてもこうした傾向があるはずで、私たちが業務で取り扱うデータ量は今後もますます増加していくと考えられます。
業種によっては、扱うデータのタイプも多様化していくことになるでしょう。
そのように、扱うデータが増大・多様化すれば、その分管理も煩雑になり、とても人力では捌ききれなくなります。そうした状況が、ヒューマンエラーや情報漏えいにつながることは想像に難くないかと思います。
にも関わらず、そのような状態を放置すれば、ますます社内のデータは点在化し、データの紛失や漏えいリスクは高まる一方です。
こういった問題を解消してくれるのが、多様なデータをひとところにまとめて、その管理を効率化してくれるECMなのです。
データに限らず、例えば毎日のスケジュールも、1日にさまざまな予定が何件もある状態が続けば、頭では管理しきれなくなりますよね。それを細やかに管理して、しっかり予定をこなそうと思えばスケジュール帳というツールが必要になります。
それと同じで、扱うデータの量の増加や多様化が進めば進むほど、ECMの必要性・重要性も高くなっていくのです。
3. ECMに備わる6つの主要な機能
取り扱うコンテンツやデータが増大し、多様化する中で、それらの効率的な一元管理をサポートするECMが重要性を増していることをお話ししました。
この重要性は、ECMが有する具体的な機能や、その機能がどう役立つのかを知ることで、より明確に把握していただけるかと思います。
そこでここでは、ECMに備わる多様な機能のうち、主要なものをピックアップしてご紹介します。
ECMの主要な機能
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それぞれ順番に見ていきましょう。
3-1. 適切な状態でのコンテンツ保管機能
ECMには、適切な状態でコンテンツを保管する機能が備わっています。
具体的には、以下のようなことを可能にする機能を指します。
◆データ保管時の属性付与 …所在、データ種別、作成者、更新日時、有効期限/保管期限などの属性情報を付与した上でデータを保管することができる。属性情報の付与を自動で行える場合もある。 →属性が付与されていることで、必要なデータを飛躍的に探しやすくなる。 ◆バージョン管理 …更新履歴を記録・参照でき、更新前の旧版データもアーカイブとして残せる。 →データの更新状況を把握でき、いつでも最新のデータにアクセスしやすくなる。以前のバージョンも参照できる。 ◆ECM上でのデータ参照 …一般的な書類はもちろん、動画やデザインデータなどをECM上で参照(プレビュー)できる。 →従業員のパソコンにデザインや動画再生用のアプリケーションが入っていなくても、閲覧が可能になる。 |
こういった機能により、あらゆるコンテンツの内容や状態、種別が見えやすい形で保管できるようになり、従業員は必要な情報を参照・活用しやすくなるのです。
3-2. 高度な検索機能
ECMには、データにスムーズにアクセスするための高度な検索機能も備わっています。
例えば、以下のような要素で検索をかけることが可能です。
◆ファイル名 ◆データ属性(所在、データ種別、作成者、更新日時、有効期限/保管期限など) ◆データの中身に含まれるキーワード(全文検索、イメージ検索) ◆上記を組み合わせた複合検索 |
このようにさまざまな要素で検索をかけられるため、データをすばやく見つけやすくなります。
また、「A社に4月か5月に送った見積書」「製品BのPR用の3DCG動画に使った3DCAD」という風な大まかな情報だけでも目当てのデータに辿り着くことができるので、データの利活用もしやすくなるはずです。
3-3. アクセス権の設定機能
一般的に、ECMには、細やかにアクセス権を設定する機能が備わっています。
この機能では、フォルダごと(もしくはデータごと)に、アクセスできる人や操作できる範囲を制限することができます。
例えばシステムの仕様書に対して、
◆閲覧できるのは開発部署のメンバーのみ
◆編集できるのはプロジェクトのリーダーのみ
といった制限をかけることが可能となります。
このようなアクセス権の設定機能があることでデータの機密性が高まり、以下のような事態が起こりづらくなるはずです。
△従業員が不正にデータを持ち出し、競合企業に流出させる
△機密情報を誤って取引先に送付してしまう
△研究データや技術資料の改ざん
3-4. 情報セキュリティ機能
ECMは、情報セキュリティ機能も幅広く備えています。
具体的には、以下のような機能や仕様によって、データの安全性を高めているのです。
◆保管されているデータの暗号化 ◆データにアクセスするための通信経路の暗号化 ◆システムログイン時の多要素認証 ◆アクセスログ(操作履歴)の記録 ◆アクセスログの集計・分析 |
データ・通信経路の暗号化やログイン時の多要素認証は、外部から不正アクセス防止につながりますし、アクセスログの記録と集計・分析は、社内の不正に対する抑止力となります。
このように、情報セキュリティ機能は、社内外のさまざまなリスクからデータを守ってくれます。
3-5. ワークフロー機能
ECMは、業務のフローを効率化・自動化できるワークフロー機能を備えていることも多いです。
どのようなワークフローをどこまでカバーできるかはシステムによって異なりますが、例えば次のようなことが可能です。
◆取引先に対する書類発行の上長承認を得られる ◆承認が得られた書類を取引先へ自動で送付できる ◆承認・決裁の依頼を通知できる ◆契約書や稟議書などの決裁をシステム内で得られる ◆書類の社内回覧 |
こうしたワークフロー機能があることで、リモートワークや出張により決裁が滞ることもなくなりますし、遠隔地にある事業所間での書類の回覧もすぐに行えます。
このようにワークフローを適切にすばやく回せることは、書類データの管理効率アップに直結するはずです。
3-6. 外部連携機能
他の業務システムやツールとの連携を可能にする外部連携機能は、ECMが備える重要な機能の一つです。
すでにお伝えした通り、ECMで管理されるコンテンツやデータはさまざまなシステム・ツールにおいて生成されます。そのため、基本的に、ECMの外部連携機能は非常に柔軟性が高いです。
そのような柔軟な外部連携機能によって、ECMとPOSシステム(日々の売上や販売した商品をデータ化して管理するシステム)や会計システムを連携させると、例えば
「各システムから出力された帳票データの保管先としてECMを選択する」
といったことができるようになります。
もし、連携機能が備わっていなければ、POSシステム/会計システムから出力された帳票データを、一度USBなどの記録媒体やデスクトップ上に保管した上でECMへ移行する、という二段階の手順が必要です。
外部システムやツールと柔軟に連携を取れる機能は、そのような二度手間を省いてくれるのです。
業務で使用するシステム・ツールが多いほど、この恩恵は大きくなるはずです。
4. ECMを導入する4つのメリット
ここまでで、ECMがどういったものかが掴めてきたのではないでしょうか。
そこで次に気になるのが、導入することでどのようなメリットが得られるのか、というところですよね。
そのメリットとして、以下の4つがあります。
● 業務効率の向上につながる ● グローバル化に対応しやすい ● コンプライアンス強化に貢献する ● 部門間の連携を強化できる |
それぞれ詳しくご紹介しますね。
4-1. 業務効率の向上につながる
ECMを導入することは、従業員の業務効率向上につながります。
高度な検索機能が備わっていることで、必要なデータをすぐに見つけることができ、さまざまな場所を探し回る無駄な時間を大幅に削減できるためです。
あなたも日々の業務の中で、どこかに保管されているはずのデータを探すために時間を費やしているのではありませんか?もしかすると、誰かに「◯◯のデータを持っていませんか?」と尋ねることもあるかもしれませんね。
そのような時間が、例えば1日で合わせて20分程度の時間だったとしましょう。すると1ヶ月ではおよそ7時間もの時間をデータ探しに費やすこととなるのです。
ECMを導入することで、この時間を大幅に削減でき、その分従業員は別の業務に取り組めるようになります。
このことが業務効率の向上に直結するというのは、お分かりですよね。
4-2. グローバル化に対応しやすい
ECMの導入は、企業のグローバル化にも役立ちます。
ECMの中には、海外からのアクセスにも耐えうる処理能力や速度を持ち、多言語対応しているタイプもあるからです。
海外に拠点を構えるとなると、データはますます点在化しやすくなってしまいますが、そのようなグローバル対応のECMを活用すれば、海外拠点で生成されるデータも含めた一元管理が実現します。
また、ECMを介して国内外での情報共有が行いやすくなることで、例えば以下のような利点も生まれます。
◆国外拠点へのノウハウ・ナレッジの共有により、現地従業員の研修が行いやすくなる ◆トラブル発生時の動画マニュアル共有により、国外の工場設備に不具合があっても現地で迅速に対応できる ◆あらゆるデータが共有できることで本社と国外拠点の従業員が共同作業を行いやすくなり、国をまたいだプロジェクトチームを結成できる |
このようにECMによって国内外のデータを一元管理し、あらゆる情報を共有することは、企業のグローバル化に大いに役立つのです。
4-3. コンプライアンス強化に貢献する
ECMでデータを適切に管理することは、コンプライアンスの強化にもつながります。
コンプライアンスとは、「法令や社会規範を守りながら公正に企業活動を推し進める」といった意味合いを持ちます。
コンプライアンスに則れば、企業が扱うデータは、情報セキュリティを高めて、漏えいが起こらないように管理されなければなりません。
ECMに備わるアクセス権の設定機能や、情報セキュリティ機能は、まさにこれを実現するための機能といえるのです。
アクセス権の設定機能によって機密性の高い状態で重要データを保管できますし、情報セキュリティ機能があることで、社内外の情報漏えいリスクを低減させられます。
このようにECMは、データ管理におけるコンプライアンスの強化に大きく貢献してくれるのです。
4-4. 部門間の連携を強化できる
ECMによって、さまざまなデータが社内で広く共有されることで、部門間の連携を強化することができます。
ECMを導入することで、社内のあらゆるコンテンツ・データがECM内に集約され、他部署や他グループの持つ情報も有効活用できるようになるためです。
例えば、営業部の使う営業支援ツールには顧客データが保管されていますよね。ツールによっては、商談の詳細や顧客の反応、オンライン商談の録画動画などが保管されている場合もあるはずです。
ECMがあれば、こういった営業部でしか活用してこなかったデータもECMを介して共有され、商品開発や広報を担う部署でも活用できるようになります。
このことで、顧客のより高いニーズを満たす商品・サービスを開発したり、顧客により刺さりやすいPR手法を判断したり、といったことも可能になるのです。
このように、ECMによって部門間での情報連携が強化され、各部門は、より的確に業務上の判断を行いやすくなるはずです。
5. ECMの2つのデメリット
ECMを導入し、活用することでさまざまなメリットを得ることができますが、その一方でデメリットも存在します。
そのデメリットは主に以下の2つです。
● コンスタントにコストがかかる ● 導入・運用担当者の労力負担が大きい |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
5-1. コンスタントにコストがかかる
ECMを活用するためには、コンスタントなコスト負担が必要となります。
ECMは、ソフトウェアとして提供される場合もあれば、クラウドを介したサービスとして提供されることもあります。その他、要件に合わせて独自にシステムを構築して提供されるケースも考えられます。
提供形態はツールや提供事業者によってさまざまですが、どのような提供形態であれ、基本的に活用するには以下のような料金を定期的に支払わなければなりません。
◆クラウド型のサービスの場合 ・月額利用料 ◆ソフトウェア/独自に構築した場合 ・ライセンス料 ・サーバーの買い替え費用(自社サーバーで運用する場合) ・保守費用 |
その費用感は提供事業者により異なりますが、例えばクラウド型のECMとして活用できるboxの「Business Plusプラン」であれば、3,300円/1ユーザー※の月額利用料が必要です。
1000名で利用するのであれば、毎月330万円の出費となります。
また、より多くの機能を求めるのであれば、上位プランを選択する必要があり、その利用料はさらに高額になります。
このように、コンスタントに決して安くはない費用が発生するのは、デメリットと言わざるを得ませんよね。
※ご利用にはインターネット接続環境が必要です。
5-2. 導入・運用担当者の労力負担が大きい
ECMを導入・運用するためには、コストだけでなく労力も必要となります。
ECMはその多機能さゆえ、導入してもすぐに活用できるというわけではないからです。
例えば、ECMの使い方を把握する労力が全従業員にかかるのはもちろん、ECMの導入・運用の担当者にはさらに以下のような負担が発生します。
◆ルール(活用の仕方)整備 ◆ECMの設定(ログインできるユーザーの設定、アクセス権の設定など) ◆従業員への活用の仕方・操作方法の教育(説明会の実施、FAQ集の作成など) ◆業務においてECMを活用する文化の醸成 |
こうした労力を割いて、やっと社内でECMが活用されるようになるのです。
6. ECMの導入がおすすめなケースとおすすめできないケース
ここまでで、ECMがどういったものかはお分かりいただけたかと思います。
ただ、自社にECMが適しているかどうかの判断はなかなか難しいですよね。
そこでここでは、ECMの導入がおすすめなケースとおすすめできないケースをご紹介します。
それぞれのケースごとに説明しますので、自社にECMを導入すべきかどうかの判断に役立ててくださいね。
6-1. ECMの導入がおすすめなケース
ECMの導入がおすすめなのは、一言でいえば「ECMを持て余すことなく使いこなせる」場合です。
これまでお伝えしてきた通り、ECMはありとあらゆるコンテンツ・データを一元管理するツールであり、そのために幅広い機能を備えています。
ECMをおすすめするのは、その幅広い機能について用途が見出せて、ECMを使いこなせる企業です。
具体的には以下のケースに当てはまる場合には、導入をおすすめします。
多様なデータをすぐに探し出せる状態にしたい
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ECMを活用すれば、社内に存在する文書・動画・制作データ・図面などの多様なデータを一元的に管理できるし、充実した検索機能で従業員がスムーズに参照できるようになる。 |
データを活用した成長戦略・ビジョンがある
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「多様で膨大な量のデータを解析にかける、AIに分析させる」などの高度な取り組みを効率的に進めるために、社内で保有するあらゆるデータの一元的な管理が必要となる。 |
複数の業務システム内に点在するデータを共有して有効活用したい
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ECMの持つ柔軟な外部連携機能によって、さまざまな業務システム内のデータを集約することができ、従業員が幅広いデータを活用しやすくなる。 |
このように、ECMを単なるデータの保管場所としてではなく、きちんと「ECMとして」使いこなせそうなら、ECMの導入を強くおすすめします。
6-2. ECMの導入をおすすめできないケース
ECMの導入をおすすめできないのは、おすすめするケースとは逆で「ECMを持て余してしまう」場合です。
多様なコンテンツを管理できるという特性や、幅広い機能を持て余すのであれば、ECMはベストな選択ではない可能性が高く、導入はおすすめできません。
その具体的なケースとして、以下のようなものが挙げられます。
データの保管・共有を行いたい
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「データを保管するための十分な容量を確保」「ZIPファイルの添付ではない方法でデータ共有」ができれば良い場合は、外部連携機能やワークフロー機能を持て余す可能性が高い。 |
社内で扱うデータのタイプが限られている
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データ管理は一元化・効率化したいけど、社内で扱うデータが限られているなら、多様なコンテンツを管理できるECMを持て余す可能性が高い。 |
50人以内の規模で拠点が一ヶ所のみ
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規模が小さく、単一拠点しか持たない場合、使用する業務システムや扱うデータのタイプ・量はさほど多くないはずなので、ECMの特性や外部連携機能、検索機能を持て余す可能性が高い。 |
このように、ECMを持て余すであろうケースにおいては、導入はおすすめできません。
こういったケースでは、管理するデータの種類や目的をECMよりも絞ったツールが適している可能性が高いです。
そのため、ECMを持て余しそうな場合には、文書管理システムや、ファイルの保管・共有を効率的に行えるクラウドストレージを検討してみてください。
クラウドストレージなら「コワークストレージ」がおすすめ!
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もし、「ECMよりもクラウドストレージの方が適しているかも…」とクラウドストレージの導入をご検討されているなら、コワークストレージがおすすめです。 コワークストレージなら、コストも労力も抑えて導入・運用できるため、ECMよりも気軽に活用いただけます。その魅力をもう少し詳しくお伝えします。 気軽に活用しやすいコワークストレージの魅力
①リーズナブルで導入しやすい料金プラン コワークストレージでは、ユーザー数に応じたリーズナブルな料金プランと、ユーザー/容量の追加オプションをご用意しています。 企業規模や管理したいデータ量によって、以下から無駄のない最適な料金プランをお選びいただけます。 ◆スタート/月額利用料2,750円(100GB・5ID) …小規模で始めたいお客さまに適したプラン ◆スタンダード/月額利用料6,600円(1TB・10ID) …従業員10名程度のお客さまに適したプラン ◆アドバンスト/月額利用料23,100円(3TB・30ID) …利用容量が多く、従業員30名程度のお客さまに適したプラン ◆プロフェッショナル/月額利用料39,600円(5TB・50ID) …多人数・動画などの大容量利用におすすめのプラン ◆追加オプション ・10IDごと…3,300円 ・5TBごと…5,500円 ※上記記載の価格はすべて税込みです。 ※ご利用にはインターネット接続環境が必要です ②デスクトップと同じ感覚で使える操作感 ※画像はイメージです コワークストレージは、誰もが使い慣れているデスクトップやローカルドライブと同じような感覚で操作できる仕様となっています。 このため、ECMを導入する場合とは違い、導入・運用担当者が操作方法の教育に労力を割かずに済むのです。 また、従業員にも煩雑な操作を覚えるストレスがかかりません。 ③安心して利用できる強固な情報セキュリティ コワークストレージは、クラウドストレージではありますが、アクセス権の設定機能や情報セキュリティ機能についてはECMに引けを取りません。 ◆柔軟なアクセス権の設定 ◆アクセスログの記録・分析 ◆世界最高水準の暗号技術によるデータや通信経路の暗号化 ◆国内データセンターでのデータ保管 など、お客さまのデータを守るための強固な情報セキュリティ対策を講じています。 ④30日間の無料トライアルが可能 新たなツールを導入する際に、そのツールが本当に自社に適しているかどうかを判断するには、「実際に使ってみる」ことが確実です。 |
7. ECMの活用事例
「ECMがおすすめなケース」に当てはまり、導入を前向きに検討しているなら、他の企業でECMをどのように活用しているのかも参考までに知っておきたいですよね。
そこでここでは、ECMの特性と事前のルール策定が業務効率に貢献した、日本プロジェクトマネジメント協会の事例をご紹介します。
日本プロジェクトマネジメント協会では、プロジェクトマネジメント専門書の編纂業務を効率よく進めるためにECMを導入しました。
この編纂業務は、数十名の執筆者と編集者でうまく連携を取りながら進める必要がありますが、以下のような課題によりなかなか共同作業が捗りませんでした。
◆原稿データのフォーマットが執筆者によって異なり、確認が煩雑
◆メールや郵送でコミュニケーションを取っていたため、確認漏れや遅延が発生
こうした課題を解決するため、ECMを導入。運用を開始するにあたって「ECM上でどのように各データを管理していくか」をマニュアル化し、全ての執筆者・編集者に共有しました。
定めたマニュアルに従って、ECM上では、執筆マニュアルや、執筆に必要な図表などの素材、執筆原稿、参考資料・データなどを細かく分類しながら管理していきました。
その結果、各課題に対して以下のような効果が見られたのです。
ECMの導入効果
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◆原稿データのフォーマットが執筆者によって異なり、確認が煩雑 →共有されたマニュアルによって作業方法が統一化された ◆メールや郵送でコミュニケーションを取っていたため、確認漏れや遅延が発生 →ECM上で執筆原稿の共有が可能になり、さらに原稿がアップロードされると編集者に通知されるため、編集者は進捗を細やかに確認できるようになった
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ECMでさまざまなデータを一元的に管理できることや、ワークフローを効率化する通知機能が、作業効率の向上に貢献していることが分かりますね。
また、ECMの活用の仕方についてマニュアルを作成し、周知させるという運用面での工夫も、こうした効果を得るためのポイントとなっています。
8. ECMの導入を成功させるポイント
他社事例も見ていただいたところで、あなたの会社でもECMの導入を成功させるためのポイントについてご紹介しておきます。
それが以下の3つです。
● ECMの導入目的を明確にする ● 自社要件を洗い出す ● スモールスタートさせる |
ECMを導入して、データ管理上の課題を解決するためには、これらのポイントは確実に押さえておくようにしましょう。
それぞれのポイントについて、詳しく説明します。
8-1. ECMの導入目的を明確にする
まず一つ目のポイントは、ECMの導入目的を明確にすることです。
ECMの導入によって何をどのように解決・改善したいのかという目的意識をはっきりさせておくことで、目的達成のための手段として最適なECMを選びやすくなるからです。
例えば、目的が明確になっていれば以下のように、搭載する機能にどれほどの柔軟さや精度の高さが必要かが分かってきます。
◆目的:部署ごとの業務システムに点在するデータを集約して全社的な利活用を進めたい ↓ より柔軟な外部連携機能が必要。 ◆目的:画像やデザインデータなどを含めて一元管理し、それぞれ活用しやすい状態で保管したい ↓ データに対応する専用アプリが無くても、ECM上でさまざまな形式のデータを参照できる必要がある。 また、柔軟な属性付与や精度の高い検索が行えることも重要。 |
このように、目的を明確にし、その目的を達成するために最適なECMがどのようなものかを検討した上で導入に踏み切ることが、ECMの導入を成功させる上では欠かせません。
8-2. 自社要件を洗い出す
自社要件を洗い出すことも、ECMの導入を成功させるためには重要です。
ここでいう自社要件とは、例えばどれくらいのコストや労力なら捻出できるか、ECM上の実質的なデータの保管場所はどこになるか(国内か国外か、あるいは社内か社外か)、といった機能面以外での条件を指します。
こうした要件を事前に洗い出しておくことで、自社の体制に見合ったECMを選択できるようになるのです。
このことで、例えば
「システム基盤の刷新に想定以上のコストがかかってしまった」
「自社のキャパシティを上回る導入工数が必要だった」
などの事態を回避しやすくなります。
課題を解決できるだけでなく、自社の体制とマッチしたECMを導入するために、システム選定前に自社要件を洗い出すようにしてくださいね。
8-3. スモールスタートさせる
3つ目のポイントは、まず部署ごと、業務ごとなどの単位でECMを導入し、スモールスタートさせることです。
まずは小規模に導入することで、トライ&エラー的に運用することができ、大きな問題が発生する前にトラブル回避のための対策を打ちやすくなります。
一方で、突然全社でECMを導入してしまうと、各所で混乱が発生し重大な失敗が起こりかねません。
そのような混乱をフォローしたり、失敗をリカバーできるだけの体制が整っていないのであれば、まずは小さくスタートを切り、社内での適切な運用方法が確立してから導入範囲を拡張するようにしてください。
9. まとめ
ECMがどのようなものかはお分かりいただけたでしょうか?
最後に今回の内容をまとめておきます。
まず、ECM(Enterprise Contents Management)とは、企業活動で生み出されるさまざまなコンテンツやデータを、利活用しやすいように一元管理するための取り組みやシステム(ツール)のことです。
多様なデータの管理を支援するために、一般的に以下のような機能が備わっています。
ECMの主な機能
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デジタルデータの量は年々増加しており、データの種類も多様化しています。
そういった状況を背景に、ECMの重要性も高まってきているのです。
実際にECMを導入すれば、以下のようなメリットが期待できます。
● 業務効率の向上につながる ● グローバル化に対応しやすい ● コンプライアンス強化に貢献する ● 部門間の連携を強化できる |
その一方で、次のようなデメリットには注意が必要です。
● コンスタントにコストがかかる ● 導入・運用担当者の労力負担が大きい |
このようなメリット・デメリットがあるECMですが、「ECMを持て余すことなく使いこなせる」のであれば、導入することをおすすめします。
反対に、ECMの特性や幅広い機能をうまく使えず、「ECMを持て余してしまう」可能性があるなら、導入は踏みとどまった方が良いでしょう。
ECMを導入する際には、以下のポイントを押さえて、うまくデータ管理上の課題を解決に導きましょう。
● ECMの導入目的を明確にする ● 自社要件を洗い出す ● スモールスタートさせる |
今回の内容が、あなたの会社におけるデータ管理の課題解決に役立てば幸いです。
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