NTT東日本グループのアセットを活用した取り組み
眠れるアセットを活用し、地域の活性化をめざす
NTT東日本では、さまざまなアセット(経済資源・資産)を多数保有しています。たとえば社用車などの「モビリティ」が約8,000台、通信ビルなどの「スペース」が3,000棟、人・スキルなどの「ヒューマン・リソース」75,000人などがそれにあたります。社用車などの「モビリティ」についていえば、平日は当社の社員が活用していますが、土日になるとまったく稼働していません。「スペース」も同様です。NTT東日本では、こうした稼働していないアセットの地域活用とシェアリングシティ推進をめざした取り組みも行っています。
今回は「アセットマネージメント」をキーワードに展示されたブースから関連する3つの取り組みについてレポートします。
次世代施設園芸を通じた地域活性化
まずは、NTT東日本のグループ会社として新たに発足した株式会社NTTアグリテクノロジーの取り組みについてです。
NTTアグリテクノロジーは主な事業として、次世代施設園芸を通じた地域活性化をめざした2つの事業があります。ひとつは、「農業×ICT」による地域活性化と街づくりをめざした「次世代施設園芸」の創成。もうひとつは、次世代施設園芸ソリューション確立に向けた「自社圃場の運営」です。
「次世代施設園芸」では、大規模なビニールハウス(植物工場)のコンサルティングおよび設計・建設し、それを農業法人様にご提供していくことにより、「次世代施設園芸」として、地域の雇用創出、周辺インフラの整備、物流の活性化、地域エネルギーの活用、定住人口の増加、耕作放棄地の有効活用、関連産業への経済効果での好循環を作り出すことを目的としているということです。
一方、「自社圃場の運営」は実証実験をする「実証ファーム」として自社の大規模ビニールハウスで圃場を運営し、IoT/AIを活用した農産物の生産を行いながら、実験を通じて次世代施設園芸におけるICTの課題や使い勝手のよいものを探し、それを「次世代施設園芸トータルソリューション」として農業生産者に提供することを目的としています。
山梨県にある農業法人「株式会社サラダボール」との協業を通じて、NTTアグリテクノロジーでは、今後は大規模な農業法人化をめざす方々に対して、ハウスの設備環境の整備や栽培面でのコンサルも提供していく計画だということでした。NTT東日本グループが自社圃場で実際に農業を研究しているなんて皆さんもご存知なかったのではないでしょうか。
シェアリングシティの推進による地域課題解決への貢献
NTT東日本では、稼働していないアセットの地域活用とシェアリングシティの推進をめざしていくために「シェアリング・エコノミー協会」に特別会員として入会し、あわせて協会よりシェアリングシティ推進パートナーの認定を受けて、自治体のシェアリング活動を推進しています。
現在具体的な取り組みとしては、2つあります。ひとつは「カーシェアリング」、もうひとつは、「スペースの活用」です。「カーシェアリング」は、NTT東日本の社用車の電気自動車(EV)化を進めるとともに、月曜日から金曜日は自社の営業車として使用し、土曜・日曜日は地域のみなさまに「カーシェアリングサービス」として提供する活動で、すでに神奈川支店の川崎北ビルで実証データを取得しているほか、城南信用金庫様と組んでNTT東日本のカーシェアリングサービスを活用していただく企画を進めているとのことでした。
「スペースの活用」として、NTT東日本の所有する遊休地を「車中泊スペース」としてシェアし、観光客やインバウンドの誘引に活用していただく活動を行っているそうです。車中泊する方々が集まっているプラットフォームを運営する「Carstay株式会社」のマッチングプラットフォームに我々の通信ビルなどを登録することで、地域観光を活性化するとともに利用データ分析により観光振興を促進かることを目的としています。
また「宅配ボックス」や「モバイルバッテリー」「自転車」のシェアリングなど、ジェアリングを通じて、さまざまな事業者と連携しながら地域の課題解決に取り組んでいく計画もあるようなので、今後の活動が楽しみです。
NTT東日本の「EV100」の取り組み
NTTグループは、2018年10月に「EP100(Energy Productivity 100)」と「EV100(Electric Vehicles 100%)」に加盟しました。電気通信事業者の加盟は世界で初めてであり、「EP100」「EV100」の同時加盟についても世界初となります。このブースではその中で、NTT東日本の「EV100」の取り組みについて紹介しています。
EV100とは、温室効果排出量削減を目指す国際環境NPO 「The Climate Group(英)」が、2017年9月に発足・運営する企業による電気自動車の使用や環境整備促進をめざす国際イニシアティブで、電気自動車(EV)への移行を促進し、2030年までに世界運輸部門において電気輸送の増加を目指す企業が集まるグローバルな取り組みです。
NTT東日本の「EV100」の取り組みでは、大規模・長期の停電が発生した地域において、民間企業保有の平時アセットを社員が設置・提供することにより、地域の資産として活用することをめざしているとのこと。それらはスマートシティの実現に向けて、電力の供給および災害時の対応を行政と事業者にのみ依存しない地域社会共助モデルとしての活用が見込まれています。
たとえば、各地域の自治体と協力して「EV充放電器」を整備するとともに、災害時には充電したNTTの社用車(EV車)を地域のバックアップ電源として活用する取り組みです。「EV充放電器」は充電・放電ができ、化石燃料とは違って電気エネルギーなので循環できることが特徴で、電気が完全に止まってしまった地域があった場合、このEV車一台で一般家庭の約3日分の電力がまかなえます。NTT東日本では、2019年の台風15号・19号による千葉県内災害発生時に社用EV車を活用して地域福祉施設や避難所へ電力を供給し、被災者を支援しました。
今後、NTT東日本では、社用車を順次EV車へ更改し、2030年までには環境負荷低減を目的にNTT東日本グルーブ全体で一般車両の100%EV車化をめざす計画だとしています。
ご来場いただきました皆さま、誠にありがとうございました。
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