日本の伝統文化「祭」を守るためIoTを活用し祭事運営の効率化をめざす
[開発中] IoT活用による地域祭事の運営効率化
NTT東日本では、日本の伝統文化を守り後世に残していくためのICTの活用にも積極的に取り組んでいます。毎年、日本各地で催される「お祭」も、実は存続が危ぶまれているもののひとつだそうで、昨今、SNSによる拡散で著名な祭事の来場者は増加傾向にある反面、安全を保つために配備する警備員の人件費など警備費の高騰などにより、予算不足から実施を取りやめる自治体が相次いでいるということです。
今回、「IoT活用による地域祭事の運営効率化」の展示では、身近な日本文化である「お祭」を残していくためのIoT活用をテーマに、2019年4月から開始した「木更津市スマートシティ化共同実証」の第2弾として、千葉県木更津市の「木更津港祭」でのIoTを活用した祭事運営の効率化の実証実験について紹介しています。実証は、「混雑状況の可視化」「仮設トイレの空席状況」「自然災害の危機管理」の3つの観点から行われ、大会運営本部に設置されたサイネージにおいても実施内容をリアルタイムに表示したとしています。
「混雑状況の可視化」ではネットワークカメラを使い、人の流れから混雑状況を分析。人流分析データの解析結果により、花火大会の開始30分前と終了30分後に最も混雑することが判明。運営側は混雑状況の可視化によって、従来のトランシーバによる音声のみの指示から、映像による的確な指示を警備員に出せるようになったことに加え、サイネージで一般の人にも映像を公開した影響で、来場者が自発的に空いている方へ流れ、自然に混雑が分散する効果もあったとのことです。
また、祭事で必ず出てくるのが非常に混み合うトイレの問題です。「仮設トイレの空席状況」の可視化の実証では、今回、木更津市が設置した150の仮設トイレのうち6つに人感センサーを付け、実際の利用頻度をデータ収集しました。その結果、花火大会前後の10分に利用が集中することが判明。また、解析データから、入り口に近い4つのトイレはほぼ90%近く使用されたのに対して、入り口から遠い奥の2つのトイレには使われていない時間帯が2時間もあったということがわかったといいます。
花火大会の費用の内訳のうち、仮設トイレの費用はその約2割を占めています。これらの情報をもとに、仮設トイレの適正な数を図ることも可能ですし、照明や動線を改善することでむだなく使用率を上げることができれば、祭事のトイレ問題はかなり軽減されるかもしれません。
木更津港祭の当日は、運悪く台風が近づいていたため風がかなり強く、実施の可否については運営本部で協議がされていました。「自然災害の危機管理」の実証では、気象情報に「株式会社HALEX(ハレックス)」のデータを使用しました。通常のインターネットで確認できる気象情報は6時間ごとの更新であるのに対して、ハレックスは30分ごとと更新頻度が高く、降水確立・気温・風速などをリアルタイムに把握できることが採用の決め手でした。ハレックスの情報を活用することで、台風接近に伴う花火大会の決行可否判断に寄与しただけでなく、断続的な気象変化も的確に把握し、事前の安全対応が可能になったということです。
今後、NTT東日本では、この実証で得られた知見をもとにシーズなる利用を可能とする「祭事運営パッケージ」(仮称)を検討するとともに、このパッケージを提供することで、地域文化である祭事のサステナブルな運営を支援したいとしています。
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