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  • 2025.6.09 (月)
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収益物件をお持ちのオーナーは、複数のマンションに住戸単位で区分所有をされている方と、一棟もので建物を所有されている方、あるいはその双方をお持ちの方がいらっしゃいます。初めて収益物件を所有される方も含めて、区分所有と一棟保有のメリット・デメリットを整理し、これからどう資産を増やしていくか、戦略を考えてみましょう。

■防犯カメラは?宅配ボックスは?人気設備対策は一棟所有のほうが選択の幅が広がる

一棟物件を所有するということは、建物全体の大家さんになるという事です。一棟ものはそれだけ高額になりますから、土地を所有していないケースや、これから物件を買い増していこうとする場合には、多額の投資が必要です。

なおかつ、建物全体の修繕に関する、大きな決断も必要となってきます。
大家ですから、例えば、防水シートの張り替えや貯水槽の清掃、あるいは壁面タイルの補修などの大規模修繕工事等も、自ら経営判断をすることになります。

「高額なうえに面倒臭そうだな」と感じるかもしれませんが、例えば、古くなった外観やエントランスで人気が落ちてきている物件。空室が気になりだしたら、大家さんという立場で、入居率の改善に向け修繕投資をするという事もできます。

区分所有の場合、建物全体にかかわる共有部は、マンション管理組合の決議事項となります。雨漏りがするから直そうよ、玄関の郵便BOXが壊れたままだから直そうよ、入口の花が枯れているから変えようよ、と思っても、全て管理組合で投票して決議しなければなりません。例えば「隣のビルがうるさいるので、二重サッシを入れて対策しよう」と考えても、窓は共用部のため、管理組合での決議が必要となってしまいます。

人気設備でいえば、オートロック・防犯カメラ・宅配ボックス・外壁塗装などは、共用部に手を入れるため、一棟所有オーナーでなければ決断できません。
つまり、世帯数が減少し競争が激しくなる今日、物件の劣化やメンテナンスで共有部に手を入れるつもりがあるのであれば、一棟保有のほうが自分の才覚で運営できる、ということになります。

言いかえれば、修繕積立金や共益費の決裁権限を持つという事でもあり、収益還元も高く、賃貸経営の醍醐味を味わうのであれば、一棟を保有してその経営を切り盛りする方が面白いと言えるでしょう。

■リスクを分散・軽減できる「区分所有」

一方、区分所有の魅力はリスクを分散できるということです。

一棟所有は、全住戸分の投資を行うわけですから、リターンが大きい分リスクも高まります。例えば、近隣大学や企業・工場の移転などがあると、棟全体の空室率が上がり、大きな収益ダウンとなります。あるいは、土壌汚染や液状化、震災や台風等の被害も一棟がまるごと受けることになります。事件や居住者の不幸などのいわゆる「事故」があった場合、物件の入居希望者が減るということもあり得ます。

一方で、例えば10部屋の物件を一棟ではなく、異なる複数の物件で合計10部屋を所有するとなれば、そういったリスクを分散する事が出来ます。
株で例えれば、ひとつの株式銘柄を保持して経営に参画する醍醐味はないものの、たくさんの株式に分散して投資をすれば、様々な変動リスクを抑える事ができるというわけです。

■エリア分散投資

我が国では、地震・台風などの災害が多く、たとえば先祖代々の隣接する土地にアパートマンションを複数建てて賃貸経営をすると、なんらかの自然災害の際にすべての棟が被害を受けるというリスクがあります。
また、大学や企業の移転などの外部環境変化は入居率・家賃維持に直撃しますが、同じエリアに物件を所有していると、同様に全棟で空室増や家賃下落を呼びかねず、ダメージが大きくなってしまうのです。

そこで、投資の考え方としては、異なるエリアに物件を所用することが望ましいのです。「都心に1棟、地方に3棟」など、複数拠点での賃貸経営をしていくことがこれからの資産活用では重要となってきます。
一棟所有を例にあげましたが、エリア分散の有効性は区分所有でも同様です。

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■投資家として考えると「区分」→「一棟もの」

こう考えると、まずは区分所有で、違うエリアや違う街で、投資を分散して始める方が初心者向きといえます。

株式投資でも、いきなり、大量の株を一社で買って勝負をかけるよりも、分散して少しずつ様々な業種の株を買ったり、投資信託等の運用から始めたりするほうがいいと言う話に似ています。そして、20戸位の区分所有を持つようになった所で、10戸を売却して1棟物件に切り替えて行くような投資の仕方をして、少しずつ増やして行く方がリスクは少ないのではないでしょうか。

災害や事故のリスクも少なく、一棟所有に比べれば投資コストも少なくなりますから、最初は区分でいろいろなエリアで経験を積むという考え方は、「分散投資」「経験値をあげる」というメリットがあります。

■買い増しで考えると、「一棟もの」→「区分も買い増し」

ところが不動産投資では、「親からマンションを相続した」「先祖代々の土地にマンションを建てよう」と、「いきなり一棟の大家」になることがあります。こうしたケースは初心者がいきなり会社経営をするという事に近く、リスクは大きくなります。

しかし、各種オーナーセミナーに参加すると、こうした収益物件オーナーは少なくありません。まずは一棟ものでオーナー業に乗り出した。そして余裕が出てきたところで、区分所有を買い増して行くというわけです。

一棟もので大家業とはなにかを体験していますから、例えば、郊外でアパート経営をしていて人口減少もありかなり苦労もしたが、軌道にのり別エリアの都心部に少しずつ区分を購入し、分散投資にもなっていく。区分所有は入居がなければ収支リスクはありますが、収益の基本が一棟ものでしっかりあるため、区分所有の出入りはいわばボーナス的に考えられ、全体収支が安定します。

■「一棟もの」で有効な空室対策が、 なかなか「区分所有」では打てないことも

一棟もので収益が安定したところで、都心の築古物件を区分で購入したとして、思わぬ落とし穴に気づくことがあります。
前述したように、区分所有では共用部に手を出せないのは織り込み済みですから、防犯カメラがない、宅配ボックスがない、エントランスが古い、エレベーターがないなどはある程度許容するとして、困るのが「ネット無料」です。

近年、人気の設備ランキングで上位となっているインターネット無料は、「一棟まるごとの契約で通常よりも安価に提供」され「大家さんが負担している」ことで実現しています。

ネット無料ではない物件を区分所有で購入し、「この辺りなら、自分でネットを引いてネット無料にすれば、家賃を2,000円上げても入居が決まるだろう」などと思っても、一部屋だけネットをひくのでは一般的な料金と変わらず家賃を上げても高くついてしまう。
エアコンなども同様で、自腹でエアコンを購入してエアコン付きでPRしても、台数が1台では、入居者が購入する金額と大差がなく、ボリュームディスカウントもないため、設備費は高く工事費も市場価格で、あまり利回りは改善しないのです。

このように区分所有では、賃貸投資に不利となる要素があります。ともあれ、そうした不利も一棟ものと比較して経験済みであれば、分散投資としてはよい考え方でしょう。

それぞれの特徴を理解したうえで、収益物件を運営していきましょう。

  • 執筆:上野 典行(うえの のりゆき)

    【プロフィール】プリンシプル住まい総研 所長

    1988年慶應義塾大学法学部卒・リクルート入社。リクルートナビを開発後、住宅情報タウンズ・住宅情報マンションズ編集長を歴任。現スーモも含めた商品・事業開発責任者・ディビジョンオフィサー・賃貸営業部長に従事。20121月プリンシプル住まい総研を設立。All Aboutガイド「賃貸」「土地活用」。日管協・研修副委員長・中国ブロック副ブロック長。全国賃貸住宅新聞連載。全国で、講演・執筆・企業コンサルティングを行っている。

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