• 2023.9.12 (火)
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■ついに 賃貸物件の3部屋に1部屋は ネット無料に!!

前号で分析しましたように、全国1道1都2府43県の県庁所在地最寄の単身物件について、SUUMOに掲載されている物件がインターネット無料かどうかを、プリンシプル住まい総研で調べました。(2023年7月13日スーモ掲載物件・一戸建てを除くRCおよびアパート)

今回は、各県庁所在地別のランキングを発表したいと思います。

■ネット無料物件比率

第1位は鹿児島。2位は徳島。 3位名古屋、4位熊本、5位札幌、 6位神戸、7位松山、8位金沢、9位千葉、10位新潟。

2023年7月13日スーモ掲載物件による、単身物件(1R・1K・1DK)の県庁所在地駅最寄りの物件(一戸建てを除く)ネット無料物件比率ランキングトップ10はこのようになりました。
いかがでしょう? 
こうしたランキングをすると、なにかと「東京が進んでいるのは当たり前」といった順位になりがちですが、決してそんな順位ではありません。名古屋や千葉といった大都市もランキングに入っていますが、地方都市も堂々のランクインです。

もはや空室対策として定番となった「ネット無料」。1位鹿児島・2位徳島・3位名古屋・4位熊本・5位札幌・6位神戸までは、なんと、SUUMO掲載物件の半数以上がネット無料です。

ランキング上位のエリアでは、その地の不動産会社が、空室対策として熱心にネット無料の提案に取り組み、かつ、その地のオーナーが入居者のネット代を一括で負担をされるという英断をしたという傾向があります。東京など都心では「そこまでしなくても入居者が確保できる」といった事情もあり、実は、先進的なネット無料物件への投資が十分進んでいるというわけではないのです。地方都市の頑張りに収益物件オーナーは学ぶべきところがあるのではないでしょうか。

また、ネット無料物件の比率は、「大学のキャンバスが近く、オンライン授業対策やオンライン面接のためにも」といった要因も影響します。また、「新築が多いと当然ネット無料物件比率も高くなる」という傾向があります。鹿児島はこの調査のタイミングで新築物件の掲載が多く、数字が引っ張られたという傾向があります。

こうしてみると、全築年数で、ネット無料物件比率の高い「徳島」では、かなり意識的にインターネット無料による空室対策が進んでいることがわかります。

■ネット無料は 「西高東低」?

続いて、11位から30位までのランキングはこちらです。ここでも地方のネット無料物件の比率の高さに驚きます。16位に大阪・梅田がランキングされるものの、地方都市が多く、「空室に困っている」からこそ「ネット無料」という空室対策を講じているということがわかります。

また、上位に西日本の都市が多いことも特徴的です。ネット無料物件は昔、調査したときも西日本で普及が早いという印象がありました。ネットの利用料金が「タダ」というお得感が、入居希望者に響きやすいという実感値を持っているのかもしれません。

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■ランキング31位-47位

ランキング31位から47位はこのような状況です。ということは、こうしたエリアでは、まだまだ「ネット無料」は希少価値があり、空室対策としての有効性が高い、ということが言えます。「周辺の物件がまだまだネット無料にしていないから、様子を見よう」というよりも、「全国の潮流をみて、先んじて手を打とう」と考えるほうがよいでしょう。

■築30年以上の物件で ネット料物件が5割を超える 徳島・金沢・佐賀・高松

さて、今回は日本人が大好きな「ランキング」で並べてみましたが、新築・築浅は総じて全国でネット無料。しかるに新築物件比率が高ければランキングが上位になるという傾向も伺えました。

そこで、今回、「築30年以上の物件でのネット無料物件比率」でもランキングをしてみました。当然、建築したときには、ネット無料などという概念はなく、あとから、ネット無料にして空室対策を試みたというランキングです。

すると、徳島・金沢・佐賀・高松では、築30年以上の物件で、ネット無料物件が半数を超えています。こうした地方都市の不動産会社、ならびに収益物件オーナーが、空室対策としてネット無料に取り込み、競争の激しさを象徴しています。一方で、都心や大阪では、「そこまでしなくても決まる」という好立地なのでしょうか、築30年超でのネット無料物件比率はまだまだ少なく、工夫の余地がありそうです。少なくとも、「徳島・金沢・佐賀・高松よりもネットを使わない」とはいえないエリアでしょう。

ネット無料は、始まって5年程度の空室対策の施策です。それが一気に拡がるところが、賃貸経営の難しさ。まだまだ新しい技術革新が、新しい住環境を切り拓いていくのでしょう。

  • 執筆:上野 典行(うえの のりゆき)

    【プロフィール】
    プリンシプル住まい総研 所長

    1988年慶應義塾大学法学部卒・リクルート入社。リクルートナビを開発後、住宅情報タウンズ・住宅情報マンションズ編集長を歴任。現スーモも含めた商品・事業開発責任者・ディビジョンオフィサー・賃貸営業部長に従事。20121月プリンシプル住まい総研を設立。All Aboutガイド「賃貸」「土地活用」。日管協・研修副委員長。全国賃貸住宅新聞連載。全国で、講演・執筆・企業コンサルティングを行っている。

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