建設業・土木業などの作業現場で導入しやすい熱中症対策事例!全6カテゴリに分けて紹介!
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2024.6.13 (木)Posted by
気温が高くなってくると、気をつけなくてはいけないのが熱中症です。熱中症は、重度の症状だと、命に関わる可能性があるので注意が必要です。
- 特に建設業・土木業での熱中症による死傷者数は、厚生労働省が発表した熱中症の業種別発生状況(2019~2023年)*1によると全業種の21%を占め最も熱中症が発生しやすい業種となっています。
- *1 出典:厚生労働省ホームページ
- そこで、今回の記事では、厚生労働省が発表している導入しやすい熱中症対策事例全6カテゴリを、実際に建設業・土木業に従事する企業で取り入れられている実例をもとにご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
1熱中症対策事例の6カテゴリについて
厚生労働省では熱中症対策事例を以下の6カテゴリに分類しています。
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(1) 作業環境管理 ①WBGT値*2の実測
②WBGT基準値に基づく評価等
③WBGT値の低減等
④休憩場所の整備(2) 作業管理 ①作業時間の短縮等
②暑熱順化
③水分及び塩分の摂取
④服装等
⑤作業中の巡視(3) 健康管理 ①健康診断結果に基づく対応等
②日常の健康管理等
③労働者の健康状態の確認(4) 労働衛生教育 ー (5) 救急措置 ー (6) 管理体制の整備 ー - *2 WBGT値:暑さ指数(Wet Bulb Globe Temperature)。気温、湿度、日射・輻射熱の3要素を取り入れ、『蒸し暑さ』を1つの単位で総合的に表した指数。
- それぞれのカテゴリにおいて、建設業・土木業に従事する企業で実際に取り入れられている、現場でも比較的容易に取り組めて活用可能な事例を以下でご紹介します。
2建設業(とび工事業・土工・コンクリート工事業)での実例
- まずは、東京都狛江市に本社があり、従業員数が10~29名の企業の熱中症対策事例をご紹介します。
- 出典:厚生労働省ホームページ
事業概要:建設業(建築工事、土木工事、とび・土工工事、ほ装工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、内装仕上工事、水道施設工事、塗装工事、防水工事)
(1)作業環境管理
- 作業現場においては原則として元請会社が冷水機、製氷機、グリーンカーテン、ミスト扇風機、業務用扇風機を用意しており、それを活用。
- 自社が元請工事の場合は上記機器の設置についてレンタルで対応。
(2)作業管理
- ●作業時間の短縮等
WBGT値が高い場合は休憩時間を調整。
例えば、午前10:00~10:30の休憩を9:00~9:10、10:00~10:10、11:00~11:10に分割。
小規模作業場であることから、作業員個人個人に適した対策を講ずるため、職長に休憩時間の変更等の権限を与え、きめ細かく体調管理を実施。
- ●水分および塩分の摂取
塩飴を会社で用意して作業者に支給。
- ●服装等
会社のロゴ入りのファン付き作業服を購入し、従業員はもとより下請作業員に対しても無償で提供。
(同じロゴ入りの作業服を支給する事で、現場作業での一体感が醸成された。)
ファン付き作業服(会社のロゴ入り)※社名はマスキング
(3)健康管理
健康診断結果に基づき有資格者一覧及び有所見者一覧表を作成し、作業員の適正配置を実施。
(4)労働衛生教育
元請会社主導により、マンガ、チェックリスト、絵、ポスター等を用いて30分程度、労働衛生教育を定期的に実施。
(5)救急処置
万一の時に備え、社員の救命技能認定*3の資格の積極的な取得を推進。
体調不良者がでた場合は、元請会社に速やかに報告して指示を仰ぎ、個人の判断で帰宅等しないように予め指示。
*3 「救命技能認定」とは、一定の講習(応急手当やAEDの使い方等)を修了すると得られる資格のこと。
(6)管理体制の整備
『過去の災害事例は会社の財産』という認識のもと、社長自ら再発防止に向け対策を実施。
3建設業(鉄筋工事業)での実例
- 次に、埼玉県三郷市に本社があり、従業員数が50~99名の企業の熱中症対策事例をご紹介します。
- 出典:厚生労働省ホームページ
事業概要:建築用鉄筋の加工・運搬・組立を行う鉄筋専門工事
(1)作業環境管理
・休憩場所はエアコンのある食堂で、冷蔵庫には麦茶、スポーツドリンク、経口補水液を、冷凍庫には保冷剤を常備。(場合によっては更衣室のエアコンも稼働)
・屋外に屋根付きの休憩場所を用意し、ミスト扇風機を設置。
・屋外の鉄筋切断機械前に簡易の屋根を取り付け、日陰を確保。
- 冷蔵庫の設置 ミスト扇風機の設置 日よけの設置
(2)作業管理
- ●作業時間の短縮等
WBGT値が高い場合は休憩時間を増やす対策を実施。
通常: 10:00~10:15、12:00~13:00、15:00~15:15(合計:1.5時間)
追加: 11:00~11:15、14:00~14:15(合計:0.5時間)
総計30分休憩時間を増やす。
- ●暑熱順化
- 暑くなる前に、暑さに体を慣らす工夫(発汗を促すような運動等)を心掛けるよう職長が声掛け実施。
- ●水分及び塩分の摂取
・従業員入社時に個人用の水筒を支給し、現場での飲水を促すことにより、水分補給を実施。
(麦茶は食堂に無料で用意されており、製氷機も完備している。)
・始業前に塩飴を口に含むことにより、塩分も摂取するよう工夫。
(以前は梅干しを用意していたが、外国人技能実習生にも受け入れやすいよう塩飴に変更。)
- ●服装等
・通気性の良い衣服や、ファン付き作業服を支給。
・ヘルメットに日よけ用の布を採用。 - ヘルメットに日よけ用の布
- ●作業中の巡視
・工場長が1時間おきに作業巡視を行い、顔色や汗の量を目視で確認。
・声掛けを行い、反応を見て異常がある場合は、休憩場所で保冷剤等を使って体を冷却する等、適切に対応。
(3)健康管理
- ●日常の健康管理等(労働者の健康状態の確認、身体の状況の確認を含む)
・本社事務所入り口に、サーモグラフィー体温計を設置。
・毎日、朝の挨拶や朝礼で健康状態を確認。
『朝食を食べましたか?』『昨夜はよく眠れましたか?』というような単純に「はい」「いいえ」で答えられる質問ではなく、『朝食に何を食べましたか?』『昨夜は何時に寝ましたか?』のように、より対話ができるよう問い方を工夫。
(4)労働衛生教育
仲間同士互いに助け合うことの必要性や休憩を多めにとるのは熱中症対策として有効であることを理解するよう教育。
(5)救急処置
- 体調の異変に気付いたときは、
- ①休憩場所に移動させ、保冷剤で体を冷却
- ②経口補水液を飲ませる
- ③速やかに工場長他、職長に報告・相談する
- という応急措置についての知識を徹底共有して、重症化を防ぐ取り組みを実施。
(6)管理体制の整備
- ・社長を先頭に『熱中症は事故ではなく疾病、それも死に至る事もある大変恐ろしい疾病である』という認識のもと作業場所だけではなく、従業員全員で熱中症対策への取り組みを実施。
・小規模事業者ならではの良さを生かし、熱中症防止のため、従業員へこまめに対応。
・朝の出社時の挨拶や朝礼等で、管理者の方から積極的に、日々密にコミュニケーションを取ることにより、従業員の体調管理を徹底するとともに、従業員が自らの体調不良を申告しやすい雰囲気になるような関係性、職場作りを実施。
・小規模事業所であることによる良好な関係性を強みとして、従業員同士が助け合う意識を挨拶時や朝礼などで日頃から共有し、お互いの体調管理への理解を徹底。
4熱中症対策に「Warable Connect(ウェアラブルコネクト)」
- いかがだったでしょうか?作業現場で導入できそうな熱中症対策事例はありましたでしょうか?
- これまでにご紹介した熱中症対策に加え、近年では作業現場の生産性向上・業務効率化・働き方改革などのための現場DX推進の動きに伴い
- ウェアラブル端末による熱中症対策が注目されております。
- NTT東日本が提供しているサービス「Wearable Connect(ウェアラブルコネクト)」*4 *5はウェアラブル端末やセンサーと接続して、従業員のバイタル情報と作業場所の温度・湿度から熱中症のリスク管理が可能です。
また、転倒や転落など何か事故が起きた場合、他の従業員へさまざまな手段を使って知らせてくれる機能も備わっています。
- 「Wearable Connect(ウェアラブルコネクト)」を活用することで、熱中症対策などの健康・安全管理の効率化が期待できます。具体的な機能イメージを知りたい方は、こちらの資料もぜひ参考にしてみてください。
「ウェアラブルプラットフォーム「Wearable Connect」を活用した安全・体調管理×業務DXソリューションのご紹介」資料DL
- *4 「Wearable Connect(ウェアラブルコネクト)」は、富士フイルムデジタルソリューションズ(株)が提供するクラウドサービスにおいて、NTT東日本用にカスタマイズしたサービス名称です。
- *5 本端末は医療機器ではありません。本ソリューションで提供されるデータ・通知内容は、医療目的に利用されることを意図したものではなく、いかなる病気の診断、治療、予防を目的とするものではありません。
5実例を参考にして万全な熱中症対策を!
- 熱中症の症状はさまざまで、最悪の場合、臓器に障害が出たり命を落とす可能性があります。
- 特に、建設業・土木業は全業種の21%を占め最も熱中症が発生しやすい業種であることは前述の通りですが、熱中症による死亡者数に関しては全業種の42%*6と更に割合が高くなっている状況です。そのため、日頃からこまめな水分・塩分補給や日陰で作業を行うなど従業員が自主的に対策を行うことに加え、企業側も熱中症対策を積極的に行うことが非常に重要となっております。
- *6 出典:厚生労働省ホームページ
- 今回ご紹介した熱中症対策事例やウェアラブル端末による熱中症対策を参考にしていただきながら、熱中症による死傷者を発生させず従業員が快適に作業ができるよう、万全な熱中症対策を行いましょう。
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