• 2023.5.11 (木)
    Posted by NTT東日本

【必見】自動運転における5つの課題!メリットや解決に向けた取り組みを紹介

自動運転の開発が進み、ドライバーのサポートがあれば自動走行できる段階まで研究が進められています。完全自動運転に向けてさらなる開発が行われる中、どのような課題が存在しているのか気になる方がいるのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、自動運転の実現で懸念される課題について解説します。解決に向けた取り組みやメリットを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

1.自動運転には判断をくだすAIの発展が必要不可欠

運転中に人が飛び出してきたなど、予期しないトラブルにも柔軟に対応できるよう、自動運転を行うAIの発展が重要になります。一般的なプログラムで自動運転を行う場合、たとえば交差点での減速などを想定して無数のパターンを構築しなければなりません。さまざまな状況を予測した上でプログラムに組み込む必要があり、膨大な時間がかかります。

また、すべてのパターンを想定できるわけではないため、プログラムでの自動運転はあまり現実的な方法ではないでしょう。一方でAIであれば、学習内容から分析した上で次の行動を決定できます。自動運転のための正確な判断を行うには、認識した画像を正しく鑑別したり推論したりするなどのAI技術の発展が必要になります。

2.自動運転の実現で懸念される5つの課題

自動運転の開発に向けて、自動車メーカーや企業が研究や実験を重ねています。完全自動運転に向けて技術開発が進められる一方で、いくつか課題があるのも事実です。

  • 事故発生時の責任問題
  • AIの判断ミス
  • サイバー攻撃や盗難
  • 世界共通のルールがない
  • 膨大なデータを処理できない

ここでは、それぞれの課題について詳しく見ていきましょう。

2-1.事故発生時の責任問題

自動運転車が事故を起こした場合、責任が誰にあるのかが課題になっています。自動運転が原因となる事故の責任所在が問題になる例は、以下のとおりです。

  • 「人が運転する車」と「自動運転車」の責任の所在
  • 自動運転車同士の責任はメーカーにもあるのか
  • 自動運転車の事故はシステムを提供した会社にあるのか

自動運転技術が発展しても事故をなくすことはできないため、さまざまなケースでの責任所在を想定する必要があります。

2-2.AIの判断ミス

自動車運転では正確な判断をスピーディーに下す必要があるため、AIの精度が未熟だと事故を引き起こす危険性があります。安全な自動走行を目指すには、たとえ100万回に1回であってもミスを起こさないような精度が必要です。判断ミスが起こらないよう、システムを提供する会社や自動車メーカーはAIの研究開発を続けています。絶対にミスが起こらないことを証明できるまで、完全自動運転の実現は難しいかもしれません。

2-3.サイバー攻撃や盗難

自動運転のIT化が進むことで、インターネット経由でのサイバー攻撃を受けてしまう可能性があります。また、人が乗車していない自動運転車そのものが盗難される危険性があります。そのため、ハッキングによる乗っ取りや盗難に対して情報セキュリティ対策の強化が必要です。自動車メーカーとシステムを提供する会社が共同し、分析を重ねながら技術の向上を図らなければなりません。

2-4.世界共通のルールがない

世界にはいくつか交通条約がありますが、未加盟国があったり、自動運転に適さない内容だったりと明確なルールがありません。一例として、1949年に制定されたジュネーブ道路交通条約の内容をみていきましょう。

引用元:国土交通省|ジュネーブ道路交通条約(抜粋)別ウィンドウで開きます

日本も加盟国であるジュネーブ道路交通条約では、ドライバーが乗車していなければならないと定めており、自動運転車に適した内容とは言えません。また国産の自動運転車のみを日本の公道で走行するなら問題ありませんが、海外製品を運行させる可能性があるため、世界共通のルール作りが必要です。

もちろん、国内生産された自動運転車が日本だけで走行するとは限りません。すべての自動運転車が世界中で安全に走行できるよう、新たな国際的ルールの制定と合意が求められます。

2-5.膨大なデータを処理できない

カメラなどのシステムから得た道路状況を、迅速に処理できるネットワーク環境がなければ、自動運転の安全性や精度の低下につながります。一方で、ローカル5Gの普及により大容量のデータ処理がスピーディーに行えるようになっています。ローカル5Gであれば、膨大なデータであっても低遅延で送受信できるため、高精度な自動運転システムの実現につながるでしょう。

ローカル5Gを用いて自動運転の実証実験を行っている企業があるため、どのような結果が得られているのか気になる方は、以下のリンクをご覧ください。

NTT東日本「空港における遠隔監視型自動運転に向けた通信冗長化設計による映像監視技術の実現」

3.自動運転の課題解決に向けた4つの取り組み

自動運転の走行には事故発生時の賠償責任などいくつか課題が残りますが、解決に向けた取り組みが行われています。

    • 安全性の高い制御システムの構築
    • 人間とAIの認識の誤差をなくす
    • 事故発生時の責任を明確にする
    • 膨大なデータを処理するために高度な通信技術を利用

ここでは、どのような取り組みが行われているのか詳しく見ていきましょう。

3-1.安全性の高い制御システムの構築

得られる情報が不足することで、状況を読み違える可能性があるため、安全性の高いシステムづくりが必要です。2017年には走行していた自動運転車が、トレーラーの荷台エリアを標識と間違って判断して通過しようとした事故がありました。センサーやカメラからの情報が少ない中で、適切な認識と判断が行えなかったことが原因です。

そのため、AIの学習を超える状況が発生した場合には、複数の制御システムを組み合わせることで、正確で安全な判断につなげる必要があります。

3-2.人間とAIの認識の誤差をなくす

認識の誤差が少なくなれば、ドライバーがAIを信頼できるようになります。潜在的な危険に対するAIと人間の判断において、ドライバーの運転技術や経験による誤差が生まれるケースがあります。

潜在的な危険とは、たとえば見通しの悪い交差点から人が飛び出してくる場合です。見通しの悪い交差点での飛び出し事例において、AIが行う操作に対しドライバーがどのような反応を示すのか見ていきましょう。

AIが交差点の壁の切れ目や動きから人が飛び出してくると危険を判断し、減速したケース

熟練ドライバー

人が飛び出してくるかもしれないとあらかじめ予測して減速するため、あまり違和感を感じない。

経験の浅いドライバー

なぜAIが減速するのかわからないため違和感を感じる。


このように、同じドライバーであっても、運転経験の違いによってドライバーの捉え方には違いが生まれます。そのため、飛び出してくる対象物に対し、フロントガラスに赤マークで表示するなどの対策を図れば不安がなくなります。ドライバーとAIの判断に対する誤差が減れば、より快適な乗り心地につながるでしょう。

3-3.事故発生時の責任を明確にする

画像などを利用したオンライン診断、遠隔での制御・監視機能を搭載するなど、車両情報を正確に把握して責任所在を明確化する必要があります。たとえば、欧米ではすでに通信システムを活用した「テレマティックス保険」が導入され始めています。テレマティックス保険とは、インターネットを使った車両のモニタリングを図ることで、ドライバーの安全性を評価できる保険です。

車両情報をベースにした保険なため、被保険者と保険会社双方にとって納得ができる信頼の高い商品といえます。責任の所在が誰にあるのか車両情報をもとに明確化できるため、事故発生時の賠償責任を的確に解決できるでしょう。

3-4.膨大なデータを処理するために高度な通信技術を利用

自動運転システムの運用に必要となる膨大なデータを迅速に処理するためには、ローカル5Gの活用が必要になります。ローカル5Gとは、低遅延なだけでなく高速での大容量通信が安定して利用できるシステムです。特定エリア内であれば周波数の占有が可能なため、電波干渉を受けにくく、場所や移動の影響で不安定さを感じることがありません。

ローカル5Gは、エリア内を移動する自動運転車の通信に必要なシステムと言えます。ローカル5Gの詳細を知りたい方は、以下のリンクをご覧ください。

https://business.ntt-east.co.jp/solution/local5g/

4.自動運転の導入により得られる3つのメリット

自動運転の課題が解決に向かい、普及化されれば、さまざまなメリットが得られます。

  • 渋滞の緩和
  • 高齢者の移動手段の確保
  • 交通事故の低減

自動運転の導入で私たちの生活がどのように変わるのか、詳しくみていきましょう。

4-1.渋滞の緩和

クラウドを利用することで、自車だけでなく周囲の車両位置や道路状況を把握できるため、効率的なルート走行が可能になり渋滞の緩和につながります。人間のドライバーが判断するよりも、はるかに大量のデータをもとにスピーディーな分析ができるため、ベストなルートで走行できるでしょう。目的地までスムーズに辿り着けるため、渋滞の影響で乗車中にイライラすることがなくなり、快適な移動が期待できます。

4-2.高齢者の移動手段の確保

自動運転車は、高齢化が進む地域やへき地など、交通が整っていない地域での移動手段になります。移動手段がないことで、やむを得ず運転していた高齢者にとって、自動運転車の普及はライフラインの確保につながります。また、高齢者が運転する車による交通事故の低減につながるだけでなく、免許返納者が増えるかもしれません。高齢化の進む日本にとって、必要不可欠な移動手段となるでしょう。

4-3.交通事故の低減

自動運転により、ヒューマンエラーに起因する事故原因を低減できます。ヒューマンエラーに起因する5つの事故要因は以下のとおりです。

  • 居眠り
  • 前方不注意
  • 飲酒運転
  • 脇見運転
  • 判断ミスや確認不足

自動運転であれば、カメラやレーダーを使ったセンサーで迅速に対応できます。人間が視認して行動に移すよりもスピーディーな判断がくだせるため、事故の発生を大幅に減少できるでしょう。

5.NTT東日本では自動運転の実証実験を行っています

NTT東日本では、人員不足や事故発生のリスクを低減するために、自動運転の実証実験を行っています。実証実験ではローカル5Gを使い、ドライバーがいない自動運転車を遠隔監視し運行する検証が行われました。ローカル5Gは、大容量のデータであっても低遅延な状態で、スピーディーな通信が可能です。

自社のエリア内であればシームレスで柔軟なネットワーク環境が構築できるため、安全な自動運転が行えます。AI技術を活用した、さまざまな課題解決が可能になるでしょう。自動運転の導入に欠かせないローカル5Gに興味のある方は、以下のリンクをご覧ください。

NTT東日本「LOCAL 5G」

6.まとめ

自動運転が導入されれば、渋滞緩和や事故数が減るなど、さまざまなメリットが得られます。一方で自動運転は、事故発生時の責任が誰にあるのかなど、いくつか課題が存在するのも事実です。そのため、課題解決に向けて、安全性の高いシステムの構築やAI技術の開発が進められています。

また、低遅延で安定した通信環境が確保できるローカル5Gを活用すれば、自動運転の課題解決に取り組みやすくなります。ローカル5Gについて詳しく知りたい方は、まずは資料ダウンロードをお申し込みください。

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