★自動運転を実現する8つの技術!5つのレベル分けや市場動向について解説
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2023.5.11 (木)Posted by NTT東日本
自動運転車の導入において、技術の進化や市場動向が気になる企業は多いのではないでしょうか。自動運転技術は日々開発が進められており、日本でもレベル3までが実装されています。
そこで今回の記事では、自動運転に求められる技術について解説します。自動運転車のレベル分けや市場動向が理解できる内容になっているので、技術開発の現状について知りたい方はぜひ参考にしてください。
自動運転は5つのレベルに分けられている
自動運転は段階別に、以下のようにレベル分けされています。
システムによる監視 | レベル5 | 完全自動運転。 | システムが常時すべての運転タスクを実施。 |
---|---|---|---|
レベル4 | 特定条件下における完全自動運転 | 特定条件下でシステムが全運転タスクを実施。 | |
レベル3 | 条件付自動運転 | システムが運転タスクをすべて実施するが、介入を要求された場合はドライバーが適切に対応しなければならない。 | |
ドライバーによる監視 | レベル2 | 特定条件下での自動運転機能。 | 遅い車がいれば自動で追い越す。 |
車線維持を図りながら前の車について走る。 | |||
レベル1 | 運転支援 | 自動ブレーキ。 | |
車線からはみ出さない。 | |||
前の車について走る。 |
すべての自動運転が、運転手がいなくても走行できる状態とは限りません。アクセルやブレーキなど一部の操作をシステムが担う場合であっても「自動運転」と呼ばれます。日本で実装されているのはレベル3までですが、2023年4月からはレベル4が限定地域で走行可能になる予定です。
限定地域とは、自動運転車が運行しやすく設計された環境を指します。 完全自動運転は、すべての地域で走行可能な段階を指すため、レベル5に到達するにはさまざまな技術開発が必要になります。
自動運転には3つの技術要素がある【認識・判断・監視】
自動運転は認識や判断などの3つの動作を繰り返すことで、正確な走行を行います。自動運転に必要な3つの技術要素は、以下のとおりです。
認識 | 自車周囲の環境や状況を正確に把握すること。他車や人の動きを知ったり、減速しているのか把握したりする。 |
---|---|
判断 | 「認識」で獲得したさまざまな情報を使い、次に行動すべきアクションを決めること。 |
例 目の前に障害物があった場合、ビニール袋ならそのまま直進するが、段ボールの場合は減速か一時停止する。 | |
監視 | 乗車している人間の姿勢や動きなどを感知して、安全性の高い乗り心地を維持する要素。 |
例 居眠りしそうになったらアラームを鳴らすなど。 |
自車の位置や状況を適切に認識することで、危険な状況下での走行をどのようにするべきか正確に判断し、安全な運転操作や制御につなげます。
自動運転を実現する8つの技術
レベル5の完全な自動運転を目指すためには、求められる8つの技術があります。
認識 | 認識する技術 |
---|---|
位置を特定する技術 | |
通信する技術 | |
判断 | 予測する技術 |
AIの技術 | |
データ処理する技術 | |
プランニングする技術 | |
監視 | モニタリングする技術 |
前章で紹介した3つの技術要素が8つの項目に分類されるイメージです。それぞれの技術について詳しく見ていきましょう。
認識する技術
次の行動を決断するため、周辺の環境を確認した上で認識する技術を指します。カメラやレーダーなどのセンサーを活用し、道路状況や歩行者などの周辺環境をスピーディーに認識します。特にレーザー光を利用したLiDARは、人や信号などとの正確な距離把握が可能です。従来は電波を利用した認識を行っていましたが、近年は精度が高いLiDARの開発が進められています。
位置を特定する技術
位置を特定する技術には、車両の現在地を正確に把握できることが求められます。自動運転では「SLAM(スラム)」の活用で障害物との距離を把握し、回避すべきかの的確な判断が可能になります。SLAMとは、さまざまな位置把握を同時進行で行える技術です。SLAMの代表的な技術は、以下のとおりです。
- 位置の特定
- 地図作成
- 作成した地図の補正
GPSであれば数メートル範囲での誤差が生じますが、自動運転ではそのわずかな違いから事故を引き起こす危険性があります。ドローンにも搭載されている高性能なSLAMを活用することで、正確な位置特定が行えます。
通信する技術
通信する技術とは、渋滞や信号など道路情報を受信したり、他の車両に自車の動きを伝達したりするときに使用される技術を指します。期待されている通信技術に「ローカル5G」があります。ローカル5Gは、低遅延かつ高速大容量通信を安定して利用できるネットワークです。
敷地内であれば周波数を占有できるため、高速通信が可能です。また、広範囲で安定した通信環境の提供が行えるため、大容量のデータであっても迅速でシームレスな送受信が図れます。ローカル5Gの詳細を知りたい方は、以下のリンクをご覧ください。
予測する技術
予測する技術とは、天候や歩行者の動きなどから危険予測を行い事故回避する技術を指します。具体例は、以下のとおりです。
- 雨天では道路が滑りやすくなる
- 前方を走行する車両のブレーキランプの点灯で減速する
- 曲がり角で自転車や歩行者が飛び出してくるかもしれないので減速する など
上記のようなさまざまな条件下でもシステムとAIが連動し、事故回避につながるような安全な操作を行います。
AIの技術
AIとは、人間の代わりを担う人工知能を活用した技術を指します。信号や路面標示の指示に従ったり、障害物を避けたりなど「認識技術」を使い、運転操作を決定します。従来はアルゴリズムをベースに学習した分析が行われていましたが、最近は「ディープラーニング」による識別や解析が進められています。
ディープラーニングとは別名「深層学習」と呼ばれる、人の手を借りずにデータから特徴を自動抽出するシステムです。経験が蓄積されることで、例えば年齢を重ねたり見た目が変わったりしても「人間である」と識別が行えます。AIは人間であれば当たり前に行っている認識や判断を、学習を積み重ねることで実践できる重要な技術と言えます。
データ処理する技術
自動運転には、データ処理する技術が必要です。データ処理する技術とは、大容量のデータを高速で処理する技術を指します。自動運転車1台あたりのデータ量は、1テラバイトで、スマホでは62台、DVDでは211枚分に相当します。
安全な走行に結びつけるために、正確でスピーディーなデータ処理を行わなければなりません。そのため、大容量ストレージや高速処理が可能なCPUといった高性能な記憶装置やデバイスが必要になります。
プランニングする技術
プランニングとは、別名「ルート最適化技術」と呼ばれ、走行するルートの調整や決定を下す技術を指します。工事や渋滞情報を考慮し、より安全な走行ルートの選択が可能です。
システムがルート判断を下す自動運転では「横断歩道の前に人が立っていたら止まる」といった、人間が自然に行っている対応が難しいです。AI技術を併用して活用することで、安全で確実に目的地到着ができるルート設定が求められています。
モニタリングする技術
レベル3まではドライバーが必要なため、居眠りしていないかといった監視するためのモニタリング技術が必要になります。モニタリング技術を用いれば、たとえば居眠りを感知したらアラームが鳴るなどの対応が可能です。
一方で、レベル4以降はドライバーが不要なため、居眠り防止機能は必要ありません。ただし、乗り心地を快適にしたり安全かどうか動きを見守ったりする機能に活用できるため、モニタリング技術の新たな発展が期待されています。
自動運転技術の現状
自動運転技術の発展に伴い、法律や市場がどのように変化しているのか理解しておきたい方は多いのではないでしょうか。
- 道路交通法の改正
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- 市場の動向
- 自動運転に関連する法律や市場の動きについて解説しますので、現状を把握しておきましょう。
道路交通法の改正
2022年4月の国会では、レベル4に関する道路交通法の一部を改正する法律が公布されました。特定条件下における完全自動運転と定義されているレベル4は、法整備により2023年4月から実装開始となる予定です。レベル4の実装に伴い、警察庁でも自動運転車の許可制度を創設し、運用ルールを整備しています。
自動運転技術の普及が渋滞緩和や交通事故の低減につながるため、実用化に向けた動きが積極的に進められています。レベル4相当の自動運転が可能になれば、人員不足の解消やヒューマンエラーによる車両事故のリスク軽減が期待できます。どのような実験が進められているのか、詳細な取り組み内容や実証イメージを知りたい方は、以下のリンクをご覧ください。
NTT東日本「空港における遠隔監視型自動運転に向けた通信冗長化設計による映像監視技術の実現」
市場の動向
日米欧中では自動運転システムの標準搭載が進められています。株式会社矢野経済研究所によると、2030年には79,153,000台の搭載数になると予測されています。
引用元:株式会社矢野経済研究所|ADAS/自動運転システムの世界市場規模予測
2022年から市場が最も拡大したのはレベル2やレベル2+の自動運転車です。レベル1の自動運転車が市場規模のトップを占めていますが、2024年にはレベル2が上回ると予測されています。
レベル3に関しては、ホンダが2021年に自動運転車を100台限定でリース販売するなど、徐々に標準搭載が進められている状況です。2027年以降からは、レベル3が標準搭載された自動運転車の台数が増えると予測されています。
一方レベル4は、矢野経済研究所の表からもわかるとおり、商用車向け販売は現状では行われておりません。商用車向けの研究は進められているため、2030年以降から市場規模が増える可能性があります。
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NTT東日本では、資格の取得を含めた一元的なサポートが可能です。ギガらく5Gに興味のある方は、以下のリンクからお申し込みください。
まとめ
自動運転は5つのレベル分けがされており、AIや位置特定など8つの技術が求められます。現在はレベル2の自動運転車が市場を占めていますが、2027年以降からはレベル3搭載車が増える見込みです。また2024年4月からは、限定地域におけるレベル4の実装が可能になるため、自動運転車を遠隔操作するための安定したネットワーク環境が必要になります。
大容量のデータ通信を行う自動運転車には、ローカル5Gの活用が重要です。ローカル5Gであれば、低遅延な高速通信環境が安定して利用できます。ローカル5Gの詳細を知りたい方は、以下の資料ダウンロードをぜひご覧ください。
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