• 2023.5.01 (月)
    Posted by NTT東日本

【完全版】自動運転におけるAIの3つの機能と7つの役割【課題も解説】

自動運転機能が搭載された車を、テレビCMや店頭などで目にしたことがある方は多いでしょう。わたしたちが、運転時に当たり前のように行っている判断を代わりに行うのが、自動運転におけるAIの役割です。「自動運転のどのような場面で、AIが活用されているのかを具体的に知りたい」という方がいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、自動運転におけるAIの機能と役割について解説します。開発が進められる中で浮き彫りになっている課題についても理解できる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。

1.自動運転におけるAIの3つの機能

AIは自動運転を制御するテクノロジーであり、学習した内容から現状を分析したり、先々を予測して行動できたりします。開発がさらに進めば、初めて遭遇する予期しない状況が発生しても、柔軟な対応が図れるようになるでしょう。ここでは、自動運転におけるAIにどのような役割があるのかを詳しく紹介します。

1-1.判断する

AIはカメラ映像などのデータから状況を読み取り、自車が次に行うべき操作について意思決定を行います。信号機が赤になったら減速しながら停止するなど、人間が日頃当たり前のようにとっている行動を、AIも同じように行えるようになります。運転操作にはスピーディーで正確な判断が必要なため、より高度なAI開発が必要です。

1-2.予測する

AIは前方車両や歩行者の動きなどを予測し、自車をコントロールする役割を担います。さまざまな道路環境で予測される人や物の動きを割り出し、正確な判断を行います。「交差点から人が飛び出してくるかもしれない」といった周囲の動きを予測することが、自車の行動決定につながります。「予測する」役割は、自動運転車の判断や制御には欠かせない機能です。

1-3.画像を解析する

自動運転における画像解析とは、カメラやレーダーなどのデータを元に「これは信号」「あれは人」などと区別・分類して解析する役割を指します。AIは通行人や信号機など、データに何が映っているのか正確に解析できるよう、人間の脳のような役割を担います。データ数が多くなるほどにAIの学習機会が増えるため、判別の精度が向上していくでしょう。

2.自動運転で活用されるAIの7つの役割

技術開発が進み、2021年には国内メーカーがAIを運転主体とする自動運転車を販売しています。AIは、自動運転のさまざまな場面で活用されます。

    • 最適なルート選択
    • 道路状況の識別
    • 情報セキュリティ
    • コミュニケーション
    • 危険予測
    • リアルタイムでの3次元マップ作成
    • ローカル5Gでのデータ処理

ここでは、AIが自動運転のどのような場面で活用されるのか、その役割について詳しく見ていきましょう。

2-1.最適なルート選択

AIを活用することで、目的地や中継地に合わせ、最適な経路選択を行います。走行時の周囲の工事状況や渋滞情報をリアルタイムで獲得し、ルート選択に活かせます。また選択経路の事故発生率など、走行する上で危険性がどの程度あるのか把握することも可能です。AIの機能により、安全性を重視した効率的な経路選択が行えます。

2-2.道路状況の識別

どの道路が空いているのか、どこに歩行者や車両がいるのかなどの判断を行い、分類と検出を行います。分類とは、画像に映っているものが車両なのか標識なのかなど、何が表示されているのか識別する機能を指します。一方で検出とは、獲得した画像データが街や道路などの「どこを映しているのか」を判別する機能です。分類と検出をAIが繰り返すことで、街や道路全体を正確に識別できるようになります。

2-3.情報セキュリティ

大容量のデータから、情報セキュリティへの脅威を瞬時に判別するために、AIを活用する動きが広がっています。自動運転では、インターネットを活用して情報データの送受信を行うため、サイバー攻撃への対応を図らなければなりません。AIであれば、たとえ数十億のデータを取り込んだとしても、危険なファイルやアドレスなどのデータを最短数秒で分析できます。

学習能力を活用すれば、未知のネット攻撃に適切な対応が可能です。そのためAIは、情報セキュリティの維持に必要不可欠な存在と言えるでしょう。

2-4.コミュニケーション

AIがドライバーの代わりとしてコミュニケーションを図ることで、乗員の希望に沿った運転が可能です。自動運転車では、人間のドライバーが乗員の状況を把握できません。AIの音声認識技術を活用すれば「そこのコンビニに寄って欲しい」という乗車した人間の声を聞き入れて、要望に答えてくれます。さらに乗車した人間同士の会話を参考にするなど、臨機応変な対応が可能になります。

2-5.危険予測

急に歩行者が飛び出してきたなど、予期しない状況が起きた場合に「減速するべきか」「ハンドルを切るべきか」といった判断を行います。たとえば信号が赤になったら減速して止まるといった行動を、AIに繰り返し学習させることで危険予測の精度は向上します。GPSとは違い、歩行者の未来の動きを予測した行動決定が行えるため、安全性の高い走行が期待できるでしょう。

2-6.リアルタイムでの3次元マップ作成

静的情報(路面やビルなど)と動的情報(渋滞や信号など)を組み合わせ、より正確な3次元マップ生成を行います。自動運転では、SLAMを活用したリアルタイムでのマップ生成に役立てられています。SLAMとは、車両の現在地の特定と地図の生成を同時進行で行える技術です。

SLAMを活用し、道路標識や構造物が示す意味を読み取りラベリングすることで、3次元での地図作成が可能になります。3次元マップ作成を行うことで、リアルタイムでの道路状況が把握できるため、快適で安心した走行が実現できます。

2-7.ローカル5Gでのデータ処理

自動運転は、大容量のデータ生成と分析を常時行うため、クラウド経由での処理が求められます。そのため、スピーディーに安定した通信が提供できるネットワークシステムが必要です。ローカル5Gであれば、通信が安定した状況で膨大なデータ処理が迅速に行えるため、自動運転に適したネットワークと言えます。実際、自動運転の実証実験でもローカル5Gが活用されています。

実証実験の詳細を詳しく知りたい方は、以下のリンクをご覧ください。

NTT東日本の「成田国際空港での自動運転レベル4相当の導入に向けた実証実験」はこちら

3.自動運転のAIにおける3つの課題

完全自動運転をめざし、さまざまな自動車メーカーや企業がAI開発を行っていますが、いくつか課題が残っています。

  • 法的な責任
  • ネットワークの整備
    • 正解のない状況判断

どのような課題が浮き彫りになっているのか、詳しく見ていきましょう。

3-1.法的な責任

自動運転車で事故が発生した場合、責任を誰が負うのかという議論が続けられています。車内に人がいない場合やハッキングされた場合など、さまざまなケースに応じた責任の所在について国内でも議論が行われています。ドライバーが乗車している場合には運転士の責任になりますが、AIシステムが走行するケースでの法律は、まだ定められていません。

  • 自動運転車の所有者
  • 自動車メーカー
  • システム開発会社

上記のうち「どのような状況の場合」に「誰が責任をとらなければならないのか」が課題となっています。自動運転車のハッキングが原因で事故につながった場合や自損事故に対しても、明確な法整備が必要になります。

3-2.ネットワークの整備

さまざまなデータを集め、AIによる迅速で正確な判断を行うためのネットワーク整備が必要です。自動運転の開発が進み、AIの技術が向上するほどに大容量のデータをリアルタイムで処理し、走行につなげなければなりません。ローカル5Gであれば、高速で安定した通信環境の構築が可能です。

ローカル5Gを利用したさまざまな事業や技術があり、自動運転の拡充に向けた実証実験も続けられています。ローカル5Gの詳細を知りたい方は、以下のリンクをご覧ください。

NTT東日本「LOCAL5G」

3-3.正解のない状況判断

人間側で結論が出ていない問題に関しては、AIでも解決できません。代表的な結論が出ない問題として、以下のようなものがあります。

トロッコ問題

人間であっても正解が出せず、解決できない問題

不完全知覚問題

AIだけでさまざまな状況判断ができるとは言い切れない問題

トロッコ問題の事例として、道路に数人が飛び出し、歩道に1人歩行者がいた場合の対応が挙げられます。道路上の人を避けてハンドルを歩道側に切るべきか否かという問いに対しては、いまだ答えは出ていません。一方で、不完全知覚問題の事例には、実際に起こった事故が挙げられます。

自動運転車が、トレーラーの荷台エリアを標識と誤って判断し、荷台下を通過しようとして衝突事故を起こしたことがありました。人間でも答えが出なかったり認識を誤ったりする状況がある限り、AIであっても常に正しい判断はくだせません。

4.自動運転でAIを活用したいなら「ローカル5G」を導入しましょう

カメラなどセンサーで獲得したデータをAIでスピーディーに認識し判断させるには、広範囲で安定した通信環境を構築できるシステム活用が不可欠です。ローカル5Gを利用すれば、自社の敷地内で安定したネットワーク環境が作れるでしょう。自動運転と人間のシームレスな情報共有が可能になるため、AIによる安全な走行が実現できます。NTT東日本では、LOCAL 5Gの提供を行っています。

ローカル5Gの利用に必要な資格取得から、運用までのサポート体制が万全なため、安心して導入できるでしょう。「LOCAL 5G」の詳細を知りたい方は、以下のリンクをご覧ください。

NTT東日本「LOCAL 5G」

5.まとめ

自動運転で活用されるAIは、画像データから周囲の状況を判断し、次の行動を決定するまでの重要な役割を担います。自動運転は世界全体で開発が進められており、AI機能は欠かせない技術と言えます。一方で、AIによる判断を迅速に行うためには安定したネットワーク通信の確保が欠かせません。

ローカル5Gを使った、低遅延で膨大なデータ送受信が可能なローカル5Gを使えば、リアルタイムでAIが機能するため、安全な自動運転が実現できるでしょう。ローカル5Gの詳細を知りたい方は、NTT東日本が提供する「ローカル5G」の資料をまずはお申し込みください。

ページの先頭へ

ギガらく5Gのトップに戻る

資料ダウンロード

  • ギガらく5G/ローカル5G関連チラシ

               マネージド・ローカル5Gサービス「ギガらく5G」サービス概要チラシと、ローカル5G関連チラシがダウンロードいただけます。

  • ローカル5Gスマートファクトリー&ロジスティクスラボ 紹介チラシ

               弊社「ローカル5Gスマートファクトリー&ロジスティクスラボ」の施設紹介チラシがダウンロードいただけます。

  • ローカル5Gユースケースチラシ  (農業・漁業)

    農業・漁業でのローカル5G活用例のチラシがダウンロードいただけます。

  • ローカル5Gユースケースチラシ(製造・物流・プラント・建設・港湾)

    製造・物流・プラント・建設・港湾業でのローカル5G活用例のチラシがダウンロードいただけます。

  • ローカル5Gユースケースチラシ(教育・医療・防犯・防災)

    教育・医療・防災・防犯でのローカル5G活用例のチラシがダウンロードいただけます。

  • ローカル5Gユースケースチラシ(鉄道・空港・自動運転)

    鉄道・空港・自動運転でのローカル5G活用例のチラシがダウンロードいただけます。

  • ローカル5Gユースケースチラシ(eスポーツ・サーキット・観光・エンタメ)

    eスポーツ・サーキット・観光・エンタメでのローカル5G活用例のチラシがダウンロードいただけます。

  • ローカル5Gユースケースチラシ(その他ビジネス)

    働き方改革や新規ビジネスでのローカル5G活用例のチラシがダウンロードいただけます。

「ギガらく5G」の料金詳細、導入にあたり不安なことなど、 いつでもお気軽にご相談ください!

経験豊富なスタッフが分かりやすくお答えします。

フォームでのお問い合わせ

お問い合わせフォーム別ウィンドウで開きます

ページ上部へ戻る