ローカル5Gの周波数帯はミリ波・Sub6の2種類!それぞれの特徴を解説
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2024.11.06 (水)Posted by NTT東日本
近年、ローカル5Gは産業や商業への活用が注目されています。通信キャリアによって提供エリアの拡充が進んだことで、自社のオフィスや工場にもローカル5Gを導入しようと考えている企業は多いのではないでしょうか。
ローカル5Gの周波数帯にはミリ波とSub6の2種類あり、それぞれに特徴があります。そのため、電波の特徴を理解し、自社の利用方法に適した周波数帯を選ばなければいけません。
そこで今回の記事では、ローカル5Gで使われている周波数帯について解説します。ローカル5Gの導入におすすめのサービスを紹介するので、郊外にオフィスや工場がある企業の方はぜひ参考にしてみてください。
1.ローカル5Gの特徴とは?
ミリ波やSub6は、ローカル5Gで使われている周波数帯です。では、5Gとはいったいどのような通信技術なのでしょうか。本章では、ローカル5Gの特徴や利用シーンについて詳しく解説します。
5Gとは
5Gは、移動通信システムの第5世代を指します。そして通信システムの世代は以下のとおり、1〜5まで存在します。
世代 |
概要 |
1 |
アナログ通信の携帯電話が登場。 |
2 |
デジタル通信によって、インターネット接続が可能となった。 |
3 |
通信方式が世界的に標準化された。また、携帯電話の多機能化が進んだ。 |
4 |
通信速度が大幅に向上し、動画視聴やオンラインゲームが可能となった。 |
5 |
4Gに比べて、速度・遅延・接続台数が大幅に改善された。 |
参照元:「総務省|令和2年版 情報通信白書|移動通信システムの進化とその影響」
(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd111220.html)
1〜4Gは、携帯電話を中心として通信技術が発展しました。一方で5Gは、携帯電話への応用に加えて、さまざまな社会的課題解決への活用が期待されています。
5Gの特徴
5Gの特徴は、以下のとおり3つあります。
特徴 |
メリット |
4Gとの性能比較 |
eMBB(高速かつ大容量の通信) |
大容量データの高速伝送が可能。動画やライブ配信の視聴が快適になる。 |
10倍以上の速度 |
URLLC(遅延が少ない通信) |
自動運転や遠隔操作が可能になる。 |
1/10程度の遅延 |
mMTC(同時に多数の接続が可能な通信) |
IoT(モノのネットワーク)の発展に役立つ。農林水産業や工業の生産性向上につながる。 |
約10倍 |
ローカル5Gの特徴
ローカル5Gとは「高速大容量(10Gbps)」「超低遅延(1ミリ秒程度の遅延)」「多数同時接続(100万台/k㎡の接続機器数)」といった特徴をもつ「第5世代移動通信システム」を企業や自治体が携帯通信キャリアに依存せずに、自社の敷地に自ら構築・運用できる独自の5Gネットワークを指します。パブリック5Gのエリア展開が進まない地域でも、独自に5Gシステムを構築・利用できます。
ローカル5Gの主な特徴としては、以下の3つです。
- 免許に守られ、かつ自社専用のため、干渉や他の利用者影響がなく「高速大容量通信を安定的」に利用できること
- 上り・下りの速度比率をカスタマイズできること
- SIM認証により強固なセキュリティの下でネットワークを利用できるということがあげられます。将来的には、超低遅延、多数同時接続といった技術の実装も見込まれています
ローカル5Gの主な利用用途としては、「リモートモニタリング(4Kなどの高精細映像を用いた遠隔作業支援、現場の映像監視)」、「オートメーションアシスト(自動運転向け遠隔監視やAGVなどの集中制御)」、「リモートコントロール(ロボットや建設機械の遠隔制御)」などがあげられます。
2.ローカル5Gの利用シーン
ローカル5Gの利用シーンは、多岐にわたります。この章では、業種や目的ごとにローカル5Gの利用シーンを紹介します。
製造業
製造業でローカル5Gを利用するシーンは、以下があげられます。
- 遠隔作業支援・遠隔監視
- AI検品
- AI作業分析
- ロボット制御
- 工場内のワイヤーカット
それぞれの利用シーンごとにくわしく解説します。
遠隔作業支援・遠隔監視
ローカル5Gを用いることで4Kの高精細映像の安定伝送を可能とし、遠隔からの現場状況の把握や作業指示などの高度化や、現地への駆けつけ稼働及び故障時のダウンタイムの軽減、人手不足対策などを実現します。
AI検品
製造現場の検品作業でAIを活用して自動化することで、検品作業の省人化や検品品質の平準化、検品時間短縮などを実現します。
※ローカル5Gにより高精細映像を安定に伝送できるため、AIの精度を向上させることができます。
AI作業分析
製造現場の従業員の作業管理においてAIを活用することで、人手・目視に頼った従業員の作業の品質監視(作業時間のバラつきや、作業ミス・手順抜けなどの管理)を自動化し、作業品質の向上、管理者負荷の軽減を実現します。
※ローカル5Gにより高精細映像を安定に伝送できるため、AIの精度を向上させることができます。
ロボット制御
複数台のAGV・AMRなどの集中制御や遠隔操作により、作業の自動化による人手不足への対応、従業員の負担の軽減、労災リスクの軽減を実現します。
※ローカル5Gにより複数台ロボットの安定した制御、ロボットにカメラを搭載した大容量データ伝送が必要な利用シーン(監視・AI検品など)においても安定利用を実現します。
工場内のワイヤーカット
製造ラインの組み替えが頻繁に発生する工場の場合は、LANケーブルを引いたり繋ぎかえたりする作業に手間がかかります。また、故障時においても有線の場合断線箇所の特定などに時間を要し、製造ラインの停止時間が長くなり大きな損害にもつながるおそれがあります。ローカル5Gを活用して無線接続が可能になれば、製造ラインの組み替えをスムーズかつ効率的に行えます。
農業
農業でローカル5Gを利用するシーンは、以下があげられます。
- 農機の自動運転遠隔監視・制御
- 遠隔からの営農支援
- AIを用いた収穫予測
それぞれの利用シーンごとにくわしく解説します。
農機の自動運転遠隔監視・制御
トラクターやコンバインなどの農機の自動運転による大幅に労働力を軽減する事ができます。ローカル5Gは自動運転技術を支える農機の遠隔監視、遠隔制御に関する安定通信を担保します。
遠隔からの営農支援
ローカル5Gとスマートグラスや固定カメラ、ロボットの車載カメラなどの高精細映像を用いることで、遠隔から現地の状況を把握し、的確な指導を実現します。従来、現地への駆けつけ稼働を軽減できた分、小まめに手厚い指導が可能となり、新規農業従事者であっても安心して農作業に取り組めます。
AIを用いた収穫予測
ロボットの車載カメラやドローン空撮の画像をAIで解析する事で日々の収穫予測や病害虫の発生個所を迅速に特定し生産性の向上を実現する事ができます。
医療
医療でローカル5Gを利用するシーンは、以下があげられます。
- 地域医療連携・遠隔医療
- 院内業務効率化
それぞれの利用シーンごとにくわしく解説します。
地域医療連携・遠隔医療
地方の病院では専門医が不足しており、他の医療機関と連携し遠隔医療を実現できれば改善につながります。遠隔地にいる専門医とリアルタイムに検査データと高精細映像を用いて患者情報を共有する事で、現地病院内にいる医師や看護師への指示(診療やリハビリ指導など)が可能です。
ローカル5Gを用いることで4Kの高精細映像の安定伝送を可能とし、患者の顔色や血液の色などHD映像だと把握できなかった状況を、より正確に把握する事が可能となります。
院内業務効率化
センサーや映像による患者の見守り・バイタル測定やロボットを活用した患者の移動手段の提供(電動車いすの自動運転)、清掃・自動消毒など院内において、多数のセンシング機器やロボットをローカル5Gで接続し自動化させることで、院内業務の効率化を実現します。また、院内においてセキュアな環境かつ安定的(院内Wi-Fiとの干渉リスクがない)な無線ネットワークが利用可能となります。
建設業
建設産業における人手不足、中でも若年労働者の確保と育成が課題となっている中、建設機器の遠隔制御の導入、および現場作業に習熟した労働者から若年労働者への知見・ ノウハウの継承が必要となっています。
ローカル5Gを活用した建設・工事における重機・建機の遠隔制御やARなどグラスを使用した遠隔作業指示により建設産業が抱える課題の解決に寄与します。
スタジアム
スタジアムでローカル5Gを利用するシーンは、以下があげられます。
- 自由視点・臨場感のある映像中継
- 広報活動における現場画像の伝送
それぞれの利用シーンごとにくわしく解説します。
自由視点・臨場感のある映像中継
コロナに伴う来場者数の減少や、魅力あるコンテンツ不足による非来場者からの収入の伸び悩みなどがスタジアム運営において大きな課題となっています。ローカル5Gとドローンや360°カメラ、4K・8Kカメラなどを用いることで、来場者や非来場者に対し、自由視点での映像や臨場感のあるダイナミックな映像中継がつなげます。
また、それらの映像データを活用したデジタルトレカ(デジタル化された選手のトレーディングカード)や、オンラインギフティング(オンライン上で応援している選手にギフトをおくる)など、新たな観戦体験・応援スタイルの提供の実現が可能です。
広報活動における現場画像の伝送
現在の報道活動においては、写真などビジュアルコンテンツの配信スピードが求められており、スポーツイベントなど多くの注目を集めるイベントでは高速で確実な写真送稿が重要となります。
一方、スタジアムの環境では、Wi-FiやLTEなどの無線環境は観客の利用や電波干渉の影響を受け、安定した写真伝送に課題がありました。電波干渉や他の利用影響受けない特徴をもつローカル5Gを活用し、フィールド内で撮影した写真データをその場からリアルタイムにアップロードすることで、情報のスピードが求められる報道活動を実現します。
イベント
イベント会場など大勢の人が一度に集まる場所では、Wi-FiやLTEが来場者の利用や電波干渉の影響を受け、運営側の業務用通信が安定的に利用できない可能性があります。そこで、ローカル5Gを活用することで、来場客の利用や干渉に左右されずに安定した通信を確保でき、業務が滞りなく行えます。
また、ローカル5GとAIを用いた侵入検知やロボットを活用した巡回など、省人化を図りながら警備強化も可能です。さらに、4K・8K映像やAR・VRなどの最新技術を用いた体験型サービスを会場に設置できます。次世代のイベント会場運営を実現できるでしょう。
上記のとおり、5Gはさまざまな分野への活用が見込まれています。5G実用化の具体的な取り組みについて詳しく知りたい方は、ぜひNTT東日本のローカル5G構築・検証事例をご覧ください。
NTT東日本によるローカル5G実用化の具体的な取り組みの詳細はこちら
3.ミリ波・sub6はローカル5Gに割り当てられた周波数帯
ローカル5Gに使われている周波数帯には、以下のようにミリ波やSub6などの名称が付けられています。
名称 |
定義 |
周波数帯 |
ミリ波 |
波長がミリ単位の電波※1 |
28.3-29.1GHz |
Sub6 |
周波数が6GHz未満の電波 |
4.6-4.9GHz |
※1:ミリ波(EHF)は厳密には30〜300GHzを指す。28GHzは本来マイクロ波に属する電波。日本では、28GHz帯の電波が30GHzに近いため、ミリ波と呼称している。
上記のとおり、ローカル5Gに使われている電波は、それぞれに周波数帯が異なります。
4.3種類のローカル5G周波数帯の特徴
ローカル5Gに使われている周波数帯は、以下のとおり2種類あります。
- ミリ波
- Sub6
- 4G転用
周波数帯それぞれに、どのような特徴があるのでしょうか。本章で、周波数帯それぞれの特徴について詳しく解説します。
ミリ波
ミリ波の特徴は、以下のとおりです。
メリット |
デメリット |
|
|
上記のとおり、ミリ波はローカル5Gに求められる性能(高速大容量・同時多数接続)を実現できる周波数帯です。しかし、ミリ波は電波が減衰しやすく直進性が高いため、通信範囲が狭い・障害物に弱いなどの弱点があります。
Sub6
Sub6の特徴は、以下のとおりです。
メリット |
デメリット |
|
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上記のとおり、Sub6は通信領域が広く障害物に強い周波数帯です。ただし、Sub6の帯域幅はミリ波に比べて狭いため、通信速度が遅いという欠点があります。
5.ローカル5GならNTT東日本の「ギガらく5G」がおすすめ
ローカル5Gを導入したい企業には、NTT東日本の「ギガらく5G」をおすすめします。「ギガらく5G」は、ローカル5Gの導入から運用まで一括でアウトソーシングできるサービスです。そのため、社内に技術者や専門家がいてもいなくても、ローカル5Gを利用できます。加えて「ギガらく5G」の利用料金は、導入企業のニーズに合わせてサブスクリプション型と一括型の2種類が用意されています。
「ギガらく5G」の利用料金
支払い型 |
月額料金※ |
一時金 |
サブスクリプション |
30万6,900円 |
- |
一括 |
11万3,300円 |
1,159万4,000円 |
※:「ギガらく5G」の利用にはフレッツ光の契約が別途必要。
また「ギガらく5G」は、利用者のニーズに合わせて柔軟にシステムを設計できます。「低コストでローカル5Gを導入したい」「社内に情報インフラの専門家がいない」という企業は、ぜひ「ギガらく5G」の導入を検討されてはいかがでしょうか。
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6.まとめ
ローカル5Gは、第5世代移動通信システムを指します。また、ローカル5Gの通信には、以下のとおり2種類の周波数帯が利用されています。
- ミリ波:高速通信可能。遮蔽物に弱い。
- Sub6:ミリ波より通信速度は劣るが、遮蔽物に強い。
ローカル5Gの導入を考えている企業には、NTT東日本の「ギガらく5G」がおすすめです。「ギガらく5G」なら、手頃な価格で導入から運用まで一括でアウトソーシングできます。社内に技術者や専門家がいない企業の方は、NTT東日本にお気軽にご相談ください。
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