★ローカル5Gの対応端末は3種類!3つの選定ポイントや導入に関する懸念点も解説
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2023.6.21 (水)Posted by
2020年春から、5Gの実用化が日本国内で始まりました。近年では、携帯通信キャリアの5G提供エリアが拡大し、事業に取り入れる企業が増えています。また、郊外や山間部で事業を展開している企業のあいだでは、ローカル5Gの導入が進んでいます。そのような状況の中、自社にもローカル5Gを導入しようと考えている方は多いのではないでしょうか。
ローカル5Gを活用するためには、専用の通信端末が必要です。従来(4G/LTE)の通信規格に対応した端末では、ローカル5Gを利用できません。そこで今回の記事では、ローカル5G対応端末の種類や懸念点について、詳しく解説します。自社に合ったローカル5G対応端末の選び方について理解できる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。
ローカル5Gとは?仕組みや導入事例も解説
ローカル5Gとは、携帯通信キャリアではなく、自治体や事業者が独自に導入・運用するシステムです。では、具体的にローカル5Gはどのような技術なのでしょうか。ここでは、ローカル5Gのしくみや導入事例について詳しく見ていきましょう。
ローカル5Gとは
ローカル5Gとは、地域の自治体や事業者が、自社の敷地内に構築・運用する第5世代移動通信システムです。Society5.0(情報通信技術により経済発展と社会的課題の解決を両立する取り組み)や公共サービスの地域格差是正などの実現に役立つことから、近年注目を集めています。
なお、ローカル5Gを構築・運用するためには、無線局免許を申請する必要があります。無線局免許により社内で周波数を占有できるため、ローカル5Gは一般消費者の通信に影響されません。そのため、ローカル5Gは輻輳(回線にアクセスが集中し、通信速度が低下・通信システムがダウンする現象)が発生せず、高速大容量通信を安定して利用できます。
ローカル5Gの仕組み
ローカル5Gは、独自のシステムと設備によって、利用者(自治体や事業者)のニーズに合った高速通信を実現するしくみです。ローカル5Gに使用されている主な技術は、以下のとおりです。
項目 | 概要 |
---|---|
ネットワークスライシング | 利用形態に適した仮想通信網を個別に構築する。 |
NR | 高周波で広帯域の電波に対応した無線アクセス技術。 |
Massive MIMO | 大量のアンテナとビームフォーミング(電波を特定方向に送受信)によって、通信混雑を解消する。 |
モバイルエッジコンピューティング | 利用者の近くでデータ処理を行い、通信の応答速度を高める。 |
なお、5GにはNSA(4Gコアネットワーク+5G基地局)とSA(5Gに対応した通信設備のみ使用)の2種類の方式があります。ローカル5Gは、高速低遅延で同時多数接続が可能なSA方式のネットワークを構築できます。
ローカル5Gの導入事例
ローカル5Gの主な導入事例は、以下のとおりです。
分野 | 概要 | 期待される効果 |
---|---|---|
空港 | 港内への自動運転導入に向けた実証実験 | 人手不足やヒューマンエラーによる車両事故リスクの軽減 |
農業 | センサーによるイチゴの病害や熟度の検知 | 農業の見える化 生産性が高い農業の実現 |
無人の自動運転農機を遠隔操作 | 省人化や生産性向上 | |
スタートアップ企業 | ローカル5Gラボやテレワーク拠点の構築 | 先駆的ビジネスの創出 地域の価値を高め人口流出を抑制 |
上記以外にも、5Gを活用したさまざまな先進的取り組みが、全国各地で進められています。ローカル5Gについてさらに詳しく知りたい企業は、ぜひNTT東日本の公式サイトをご覧ください。
ローカル5Gの対応端末は3種類
ローカル5Gで使用できる通信端末は、以下のとおりです。
- モバイル端末
- ノートパソコン
- IoTデバイス
通信端末は、それぞれ導入に適した事業内容が異なります。ここでは、ローカル5Gの通信端末について詳しく見ていきましょう。
モバイル端末
近年では、5Gに対応したスマートフォンやタブレットが登場しています。5Gの普及当初は、チップセット(システムの中核を構成するパーツ群)の開発が進んでおらず、第5世代に対応したモバイル端末は多くありませんでした。しかし、現在ではチップセットの開発が進み、さまざまな機種で5Gを利用できるようになりました。
なお、モバイル端末は持ち運びの利便性に長けています。そのため、デスクワークが多い部門ではなく、従業員の移動が多い現場での活用に向いています。
ノートパソコン
ノートパソコンのなかには、5G専用の通信モジュールを搭載した製品が発売されています。5G対応ノートパソコンは、Web会議やデスクワークへの活用がおすすめです。
また、5G対応のノートパソコンには、4G/LTEを併せて利用できる製品が多数あります。4G/LTEに対応している製品であれば、ローカル5Gのエリア(自社の敷地)外にパソコンを移動した際でも通信が途絶しません。そのため、5G対応のノートパソコンは、出張やリモートワークが多い部門への活用に向いています。
IoTデバイス
近年、5Gに対応したIoTデバイス(モノのネットワークを構築する通信端末)が実用化されました。IoTデバイスには以下のような機能が組み込まれており、幅広い分野(製造業や農林水産業など)で活用されています。
- データの取得:センサーやカメラで音や振動を感知。
- 相互通信:デバイス同士でネットワークを構築する。
- フィードバック:ネットワークを介してデータ分析や操作を行う。
なお、近年のIoTデバイスは、機能の細分化や低価格化が進んでいます。
ローカル5G対応端末の選定ポイント3選
ローカル5G対応端末の選定ポイントは、以下のとおりです。
- 使用環境に適した製品であるか
- 既存の社内システムとの相性は問題ないか
- 価格とスペックのつり合いは取れているか
本章で、詳しく見ていきましょう。
使用環境に適した製品であるか
ローカル5Gをどのような環境で使用するか、事前に確認しておきましょう。場合によっては、ローカル5G対応端末が正常に動作しない(あるいは不具合や故障を引き起こす)可能性があります。使用環境について事前に確認しておくべき点は、以下のとおりです。
項目 | 概要 |
---|---|
場所 | 室内外(半屋外)のどこで使用するか |
湿度 | 想定される上下限はどのくらいか |
気温 |
なお、端末は許容環境に余裕のある製品を選びましょう。余裕がない製品の場合、予期しない事態(湿度や気温の上下・端末の処理過多や通信過負荷による発熱など)に対応できない可能性があります。
既存の社内システムとの相性は問題ないか
通信端末と既設社内システムの専用機器や設備の相性が悪くないか確認しましょう。相性が悪い端末では、導入効果を充分に発揮できない可能性があります。相性について確認すべき主な点は、以下のとおりです。
- 通信端末と社内システムのOS
- 社内システムのAPI(ソフトウェア同士が連携するための接点)
- 通信端末のファームウェア
なお、社内システムがSOA(複数のソフトウェアを部品のように組み合わせる手法)で作られている場合は注意が必要です。システムを構成するソフトウェア一つひとつの相性を確認する必要があります。
価格とスペックのつり合いは取れているか
複数のローカル5G対応端末を導入候補に挙げておき、購入費用とスペックを見比べましょう。通信端末は、価格とスペックのバランスが重要です。価格のみを重視してしまうと、導入目的を達成できない場合があります。
また一方で、スペックを上げれば利便性は向上しますが、事業内容に対して過剰な性能の端末を導入してしまう可能性があります。通信端末の機能に対して価格が高すぎる場合は、ほかの製品の導入を検討しましょう。
ローカル5G対応端末の導入に関する2つの懸念点
ローカル5G対応端末の導入に関する懸念点は、以下のとおりです。
- セキュリティリスク
- 端末管理の煩雑さ
懸念点を事前に確認しておかないと、導入後に不正アクセスされたり不具合を修正できなくなったりしてしまいます。本章で、導入に関する懸念点についてしっかりと見ていきましょう。
セキュリティリスク
ローカル5Gは、閉域網(公衆回線から分離されたネットワーク)にシステムを構築します。そのため、ローカル5Gはセキュアな通信を実現可能です。ただし、通信端末にセキュリティホール(システムの技術的欠陥)が存在すると、悪意ある第3者の侵入ポイントになってしまいます。そのため、通信端末に以下のような情報セキュリティ対策を施す必要があります。
項目 | 概要(機能) |
---|---|
モバイルデバイス管理 |
|
アカウント権限管理 | 以下のような項目を管理する
|
ウイルス対策ソフトの導入 | マルウェア(悪意を持って作られたソフトウェア)の感染防止 |
上記の情報セキュリティ対策をしっかりと行い、事業に重大な損害を与えかねないシステムの脆弱性を解消しましょう。
端末管理の煩雑さ
ローカル5Gの特性(同時多数接続)を物流や製造に活用する場合、端末数が膨大になります。接続数が増えると、端末の管理や把握を即座に行えません。端末の把握が遅れると、システムに異常が発生した際の原因特定や解決作業に遅れが生じてしまいます。そのため、効率良く端末管理を行えるように、以下のような対策が必要です。
項目 | 概要 |
---|---|
管理や分析ソフトウェアの導入 | 以下のような機能を持つ製品を利用する
|
使用ルールの策定 | 以下のような項目を決める
|
なお、ローカル5GをIoTに活用する場合、特に端末数が膨大になります。IoTを導入する企業は、上記の対策を忘れずに行いましょう。
ローカル5Gを導入するならNTT東日本の「ギガらく5G」がおすすめ
ローカル5Gの導入を検討している企業には、低コストで高速通信を導入できるNTT東日本の「ギガらく5G」をおすすめします。「ギガらく5G」は、SA方式の5Gをシステム設計から運用まで一括でアウトソーシングできるサービスです。「ギガらく5G」の接続検証済み端末は、以下のとおりです。
端末 | 種類 |
---|---|
ルーター | モバイル |
据え置き型 | |
マルチキャリア型 | |
屋外用ゲートウェイ | |
モバイル端末 | スマートフォン |
タブレット | |
IoT端末 | AIカメラ |
USBドングル |
上記のとおり「ギガらく5G」は、さまざまな通信端末に対応しています。「ギガらく5G」なら、自社のニーズに合わせて多様な通信端末を選べるので、ぜひ導入をご検討ください。
まとめ
ローカル5Gとは、自治体や企業が独自に構築・運用する第5世代移動通信システムです。ローカル5Gは、自社で周波数を占有できるため、安定した高速大容量通信を利用可能です。加えてローカル5Gは、通信キャリアのサービス提供エリア外に通信網を構築できます。近年では、モバイル端末やIoTデバイスがローカル5Gに対応しています。
なお、ローカル5Gの導入を検討している企業には、NTT東日本の「ギガらく5G」がおすすめです。「ギガらく5G」なら、導入から運用まで一括で外注できます。また、低価格(月額約30万円)で導入できるため、ローカル5Gに多額の予算を割けない企業にもおすすめです。