夢洲コンテナターミナル株式会社さまローカル5Gによる港湾運送事業のDX化実現に向けて ~夢洲コンテナターミナルの挑戦~
はじめに
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夢洲コンテナターミナルは、大阪港全体の国際競争力を高めるため、増大するコンテナ貨物需要や大型船の運航に対応すべく、夢洲地区に整備された国際コンテナ戦略港湾の高規格施設です。荷役作業の効率化、コンテナヤードの拡張、待機スペースの整備などを通じ、物流の滞留を防ぎ、全体のサプライチェーンの安全性を向上させています。
夢洲コンテナターミナル(DICT:Dream Island Container Terminal)
導入されたお客様
会社名 | 夢洲コンテナターミナル株式会社 |
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所在地 | 大阪府大阪市此花区夢洲東1丁目1番地 |
事業内容 | コンテナ埠頭の管理及び運営/荷役用運搬機器の保守管理及び賃貸/船舶代理店業 |
URL | http://www.dict-tml.co.jp/ |
導入いただいたソリューション
ローカル5Gソリューション
NTT東日本のローカル5Gに関する取り組みやユースケースについてく詳しくご紹介しています。
導入のポイント
・大規模なターミナル全域を隅々まで無線エリア化
・SIM認証による高いセキュリティとローカル5Gの信頼性
・現場DX化で年間最大2,700万円のコスト削減へ
お客様の声
夢洲コンテナターミナル株式会社は、大阪港・夢洲地区のコンテナターミナルの管理・運営を担っており、2004年の設立以来、西日本最長1,350mの岸壁を活用して大型コンテナ船の受け入れや効率的な荷役を実施しています。さらに、耐震強化や自動化システムの導入を進めることで、港湾物流業務の最適化を推進。国際コンテナ戦略港湾「阪神港」の中核施設として機能し、地域経済や国際貿易を支える重要な拠点となっています。
港湾運送事業のDXに向けて
ローカル5Gプロジェクトを推進している夢洲コンテナターミナル株式会社の村木さまと丸尾さまへお話を伺いました。
夢洲コンテナターミナル株式会社 事業所長 村木 亮一さま
港湾物流の重要性
日本は島国であり、輸出入の約9割が海上輸送に依存しています。港湾コンテナターミナルは、日本全体の物流インフラの要であり、その機能が停止すれば国内の品物供給に大きな混乱が生じます。特に関西圏においては、大阪港から輸入品が関西2府4県に供給されるため、効率的かつ安定したターミナル運営が極めて重要です。
また、コンテナターミナルの運用が1週間停止するだけで、1日あたり約1,000本の輸送が滞り、広域にわたる品不足や経済活動の混乱が懸念されます。我々のミッションは「物流を止めないこと」です。
導入に至る背景
夢洲コンテナターミナルでは5GHz帯アクセスシステムを利用しており、主に作業連絡やデータ伝送に利用されていました。しかし、業務現場では電波が届きにくい箇所が存在し、通信が途切れるリスクが課題として残っておりました。
コンテナターミナルでは、遠隔操作による大型機械の制御やリアルタイム映像伝送、さらには各種センサ情報のリアルタイム共有など、今後のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に向けて、従来以上のデジタル技術の活用が求められてきます。こうした新たな通信需要に対応するには従来の無線システムでは限界があり、より高度な通信基盤が必要であると考えました。また、現場作業がサイバー攻撃等の影響を受けて通信が止まってしまうと、その分作業にも大きな影響が出てしまうため、安定して途切れない無線システムかつセキュリティ面を重視して検討していく上で、ローカル5Gが良いではないかと思いました。
ローカル5G導入への取り組み
夢洲コンテナターミナルの挑戦
ローカル5Gには当初から興味を持っていましたが、広大な屋外の敷地、かつコンテナが日々移動するなどの条件下で無線が本当に使えるのだろうかという不安がありました。これまで誰もやったことがありませんでしたので。その後、NTT西日本側より現場で実証をしてみたいと提案を受け、我々としてはこの話に乗るしかないなと思いました。実は港湾業務におけるローカル5Gは全国的にも注目をされており、夢洲コンテナターミナル以外の全国ターミナルでも同じ現場課題を抱えておりましたので、我々が先頭になってこの取り組みを成功させれば普及は間違いないと思っておりました。
実証実験から実運用へ
実証実験では、ターミナル内の照明塔にローカル5G基地局13基を設置し、実際のターミナル現場で電波測定や通信品質の評価が行われました。コンテナ同士の隙間や大型の現場設備の影響下でも、十分なエリアカバー率と通信速度が確認され、コンテナターミナル全域で運用が可能であることが実証実験で確認できました。2024年9月からはローカル5Gによる実運用が開始され、段階的に現場作業へ導入されました。クレーン周辺でも安定した通信が確保できていることが確認され、現場作業員からは「これなら作業が中断される心配がなくなった」との声が上がりました。
従来は現場内でエリアごとに複数の無線アンテナを切り替える必要があり、切り替え時に通信が途切れてしまうリスクがありました。しかし、ローカル5Gは広大なターミナル全体を一つのネットワークとして構築しているため、遠隔操作やリアルタイム映像伝送においても遅延やズレが発生しにくく、安定した環境を実現しています。その結果、通信品質が向上しました。
現場のDX化で年間最大2,700万円のコスト削減を実現へ
実際の運用として、遠隔操作でクレーンの動きをリアルタイムで確認しながら、トレーラーのGPSデータと連動した情報伝達を実施しています。トレーラー入場ゲートでのコンテナチェックは従来、コンテナの損傷などが見つかると連絡を受けた担当者が管理棟から約1km離れたゲートまでデジタルカメラを持って自転車で駆けつけて確認しており、その間の作業は停滞しておりました。現在はゲートでのチェック作業にハンディ端末を活用し、撮影した画像データをローカル5Gでサーバへ伝送し、関係者間で共有しております。これにより、従来と比べてコンテナの入出庫作業や、積み込み順のプランニングがよりスムーズで対応時間も大幅に短縮することができました。
また、従来紙ベースで行われていたコンテナの積み降ろし作業指示や検査記録も、ローカル5Gによるリアルタイム映像伝送を活用することで、即時共有・確認が可能となり、担当者間のコミュニケーションが向上し、ヒューマンエラーの低減にも寄与しています。
プランニングデータ(コンテナの荷上げ計画書)の電子化により、業務の効率化が図れます。これに伴い、印刷経費の削減、オペレータによる事前確認や作成業務の負担軽減、プラン変更時の対応工数の削減が期待されます。また、スマートデバイスを活用したコンテナダメージチェックを各ゲート・本船荷役などに展開することで、年間最大2,700万円のコスト削減が見込まれています。
夢洲コンテナターミナル株式会社 パース調整部 課長 丸尾 明さま
今後の展望
今回のローカル5G導入は、夢洲コンテナターミナルにおける業務改善のスタート地点と思っています。今後は安定した通信インフラを活かし、高度な遠隔作業技術の導入やAIによるプランニングデータの自動更新・最適化システムの構築を目指し、港湾全体の効率化・安全性向上に取り組んでいきたいと思います。
あのとき、NTT西日本から実証実験を提案がなければ、どこかのターミナルで同様の実験をやってくれないかと待っているだけでした。また、利用ができる期間まで5GHz帯アクセスシステムを使い続けていたと思います。
我々が取り組んできたことを全国の港湾事業者にも展開していきたい。ローカル5Gシステム導入を促すモデルケースとなり、全国の港湾物流業務の効率化・安全性向上に寄与していきたいです。
令和5年度「電波の日」近畿総合通信局長表彰
広域無線LANソリューション
広大な敷地を保有するお客様向けに、広域カバレッジ、高速大容量の安定通信を特長とするローカル5Gによって、ベーシックな通信環境が実現可能です。特に製造業や物流業、エネルギー、プラントといった分野では、広範囲に渡る施設や設備が点在しており、安定した通信環境の確保が課題となっています。
よくある広大な敷地での無線課題
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課題①電波干渉による不安定な通信
Wi-Fiでは、周辺環境の影響により電波干渉が発生し、通信が低速となってしまったり、通信が途絶されてしまうことがある
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課題②電波が届かない
敷地が広大なため、電波が弱い・届かないエリアが発生し、業務効率が低下する
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課題③配線・配管・電源工事が高額
敷地が広大であると、エリアカバー範囲も広いため、無線設備も多くなり、配線などの構築工事費用が高額になってしまう
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解決①自社専用で安定・高速大容量通信
ローカル5Gでは、免許で守られた電波のため、干渉や他ユーザのトラフィック利用にとらわれることなく、高速大容量の安定利用が可能
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解決②広域なエリアカバレッジ
ローカル5Gは無線を利用したいエリアに合わせて個別構築することが可能なため、キャリア電波が届かない場所でも電波を利用することが可能
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解決③自社の投資で5Gシステムを構築可能
選択するWi-Fiによっては、敷地が広域であればあるほど広域カバレッジのローカル5Gにコストメリット
業務改革に向けた様々なDXツールとの組み合わせへの先行投資
ローカル5Gは広範囲にわたる施設や設備を効率的に管理し、生産性向上やセキュリティ強化を図りたい企業様にとって最適なソリューションです。広域なエリアを保有する企業様の運用効率化やデジタル化推進に大きく寄与し、スマートファクトリー化や施設管理の基盤強化を支援します。
ローカル5Gが企業の現場DXを加速させる
少子高齢化や人手不足に伴うDXニーズの高まりに伴い、大容量のデータ伝送や4K・8K映像の配信、リアルタイムでの通信などが求められるようになった昨今、ローカル5Gは地域課題を解決する無線ネットワークとして、多くの企業や自治体から注目されています。
ローカル5Gは、免許制のためWi-Fiのように電波干渉の影響がなく、また自ら5Gシステムを構築・運用するため、パブリック5Gにように他のお客さまの利用影響を受けないことから高速大容量通信を安定的にご利用することが可能です。また、お客さまが5Gシステムを構築・運用することから上り・下り速度比率をカスタマイズすることができ、特に上り速度に偏重することで、これまでアップロードできなかった、もしくはアップロードに時間を要していた大容量データの伝送が可能となります。これにより、4K・8K等の高精細カメラを複数活用した遠隔作業支援や遠隔監視による現場把握の高度化等を実現します。
キャリアグレードな本格的機能を兼ね備えた「ギガらく5G」
NTT東日本の「ギガらく5G」は、キャリアグレードの本格的な5Gスタンドアローン機能と月額30万円から申請手続き・設計・システム構築・運用まで一括で委託できるサービスです。
ローカル5Gは導入する企業によって利用方法や利用エリアが大きく異なりますが、NTT東日本では、高品質かつ低廉なサービスの提供や多数の構築実績からお客さまのニーズやユースケースをしっかりヒアリングした上で、ご要望を反映したサービスの提供することができます。低コストでローカル5Gの導入を検討中のお客さまは、ぜひNTT東日本へお問い合せください。
関連情報
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WebLOCAL 5G Web | NTT東日本
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Webローカル5Gオープンラボ | NTT東日本
お問い合わせ先
東日本電信電話株式会社 (NTT東日本)
ビジネス開発本部 無線&IoTビジネス部 5G/IoT企画担当
Email:local5g-openlab-ml@east.ntt.co.jp
具体的なご利用シーンや導入メリット、活用事例などをわかりやすくご紹介してます。