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見える化した電力データのチェックポイントとは?可視化するメリットも紹介
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2023.12.01 (金)Posted by
見える化した電力データのチェックポイントとは?可視化するメリットも紹介
近年では、家庭・法人関係なく「電力の見える化」の注目度が増しています。
実際に電気代が高騰していることもあり、家庭・企業とも電気代の削減が求められているためです。
電気代を効率良く削減するためには、まず現状の電力使用状況を見える化する必要があるでしょう。
しかし、電力の使用状況を見える化するだけで終わりではありません。
専用ツールにより収集したデータを有効活用しなければ変化がありませんが、どのようにしてチェックすれば良いか分からない人は多いでしょう。
そこで今回は、見える化した電力データのチェックポイントを紹介します。
可視化するメリットも解説するため、ぜひ参考にしてみてください。
<目次>
1:電力を見える化したデータのチェック方法
2:電力をみえる化するメリット
3:電力を見える化する際の注意点
4:電力を見える化する際のポイント
5:まとめ
1:電力を見える化したデータのチェック方法
電気の見える化を実現した場合でも、具体的な課題を見つけて対策しなければ現状は変わりません。
しかし、どのように対策をすれば良いか分からない人は多いでしょう。
既に見える化ができている状態であれば、下記の流れでデータをチェックし対策するのが有効です。
【見える化の流れ】
①年間の最大デマンド値が出ているところを探す
②最大デマンド値が出た日・時間のピーク地点を探す
③電力が高くなっている機器を特定する
④電力が高くなっている原因を追求する
⑤具体的な対策を考える
年間の最大デマンド値が出ているところを確認
デマンド値とは電力需要量のことで、30分間単位で表示されることが一般的です。
まずは直近一年間の中での最大デマンド値を確認しましょう。
最大デマンドの値で契約料金と基本料金が設定されるため、この最大デマンド値を下げるだけでも年間の電気代を抑えることができます。
家庭や事務所、工場などの施設によって最大デマンド値が出る月は異なりますが、冷房の使用量が増える8月になるケースが多いです。
ただし、寒冷地などであれば冬季の方が消費電力が高くなります。
いずれの場合でも空調が占める割合は多いと考えられるでしょう。
最大デマンド値が出た日・時間のピーク地点を探す
年間の最大デマンド値が出た月を把握した後は、最大デマンド値を記録した日を特定します。
家庭・会社などによっては平日と休日によって電力消費量が異なり、特定の曜日だけ消費電力が多くなるケースも考えられます。
また、最大デマンド値が出た日を特定した後は、その中で消費電力のピークとなる時間帯を探しましょう。
電力が高くなっている機器を特定する
先程の通り、デマンド値は30分単位で把握できることが多いため、電力消費量のピーク時間を特定しやすいです。
このように、ピーク時間を特定することによって、電力が高くなっている機器を特定しやすくなるでしょう。
最大デマンド値から、消費電力が高くなっている機器を特定することで、具体的な改善策を考えられます。
電力が高くなっている原因を追求する
次に、電力が高くなっている原因を追求しましょう。
電力の消費状況を把握することにより、場合によっては機器・設備に異常が起きていたり、電気が漏れていたりすることもあります。
このような場合は、電気代が無駄に発生してしまうだけでなく、火災などに繋がる危険性もあるため早急な対応が必要になります。
他にも、機器の老朽化により無駄なエネルギーを消費している可能性もあるでしょう。
電力消費量が高くなっている時間帯に使用していた機器を特定し、さらに細かく状況を分析することによって効果的なアクションを考えられます。
具体的な対策を考える
電力の見える化を実現し、データをチェックした後は具体的な対策を講じなければなりません。
電力の消費状況を明らかにすることで、本来は不要な機器・照明などが稼働・運転しており電力を消費していることが判明するケースは多いです。
大きな会社などであれば、照明による電気代も年間の分を合算すると無視できない大きさになります。
そこで、使用していないフロアの空調や照明を小まめにオフにすることで、大きな節電効果が期待できます。
他にも、他の機器と比べて、多く電力を消費している機器があった際、場合によっては買い替えることにより、性能だけでなく省エネ効果が得られることも期待できます。
実際に、古い機器・設備は老朽化に伴いパフォーマンスが低下している傾向にあるため、無駄な電力を消費しやすいです。
新しい機器の方が省エネ性能は高くなっているので、思い切って変えた方がお得になることも少なくありません。
※「具体的な対策」について詳しく知りた方はコチラ→「事業所における待機電力はどれくらい?発生する原因や対策も紹介」
2:電力をみえる化するメリット
電力を見える化する最大のメリットは電力の使用状況を把握した上で無駄を削減し、電気代などのコストを削減することです。
リアルタイムに電力使用状況を把握することにより、削減すべき電力が分かり、先程説明したように節電のためのアクションを取りやすくなります。
企業であれば単に「節電しましょう」と周知するよりも、「毎年、〇月は消費電力が多くなるから、節電を意識しよう」といった方が効果的でしょう。
特に従業員数が多い企業であれば、一人ひとりの行動が変わることにより、大きな節電効果に繋がる可能性は高いです。
それぞれが具体的なアクションを起こすことにより、省エネの実現度も高まるでしょう。
他にも、企業が節電など省エネに取り組むことで、CO2排出量を削減し社会貢献に繋がります。
近年では世間がCO2の削減や環境配慮を重視しているため、省エネに取り組むことで社会的なイメージも良くなりやすくなります。
場合によっては環境に配慮した経営をしていることで、自治体などから補助金が出たり、融資を受ける際の金利が優遇されたりなど、特定の条件を満たすことで得られるメリットもあります。
※「環境経営のメリット」について詳しく知りた方はコチラ→「環境経営を行うメリットとは?取り組む際の注意点も紹介!」
家庭の場合でも、電気代を削減することにより家計の負担を軽減できるでしょう。
1ヶ月だけでなく1年間と長い間隔で実施することで、節約効果はより大きくなります。
3:電力を見える化する際の注意点
電力の見える化する際の注意点・デメリットは、専用の機器を設置するために費用がかかることです。
例えば、電力の見える化を実現するためには、電流などの状況を計測できるセンサーなどを設置し、専用のソフトを使用して計測・観察・分析します。
これらのツールは種類によって費用は変わりますが、設置する敷地面積が広いほど多くの台数が必要になるため、導入費用も比例して高額になります。
また、センサーなどのツールが仮に1万円としたとき、1つの企業で100台必要になれば100万円の費用が必要です。
他にも、導入したツールを有効活用する必要があるため、専門知識を持つ人材が必要になることも注意点です。
場合によってはデマンド計測機器を使いこなすための研修を実施するケースもあります。
このように、電力の見える化を実現するためには費用と手間がかかるため注意してください。
※「センサー」について詳しく知りた方はコチラ→「実録!電力センサーを使った省エネ例」
4:電力を見える化する際のポイント
電力を見える化する際に、最初から大規模に専用機器を導入すると先程の通り、手間と費用がかかります。
そのため、ある程度電力消費が大きいメインの機器・設備に絞り、小規模から導入を開始するのが有効です。
場合によっては少ない導入台数でも、消費電力が大きくなっている根本の原因を改善でき、大きな効果を得られることもあります。
徐々に台数を増やしていくことにより、企業がかかえる単月の経済的な負担も軽減しやすくなるでしょう。
規模が大きな工場の場合は、既に生産状況を管理している生産システムを活用しているケースがほとんどであるため、見える化を実現する際は既存の環境に適応できるものを選ぶのがおすすめです。
※「電力の管理方法」について詳しく知りた方はコチラ→「IoTによる電力管理とは? DIYで探る電力の実態」
家庭の場合で電力を見える化する場合、それぞれの電化製品に機器を取り付ける必要があります。
もし電力の見える化に関心がある人は、電力使用状況をスマートフォンアプリなどで観測できる家電を選ぶようにすると良いでしょう。
5:まとめ
この記事では、見える化した電力データのチェックポイントを紹介しました。見える化したデータが手元にある場合は、まず最大デマンド値を記録している月を探しましょう。
そこから、電力消費量が大きい日・時間帯と細かくチェックしていき、電力消費量が大きい時間帯に使用していた電化製品・機器・設備を特定していきます。
このように、電力消費量が大きい機器を特定することにより、電気代が高くなっている原因を追求できるでしょう。
電力を見える化することにより、場合によっては電力関連の異常・トラブルを早期に発見・対処できます。
家庭の場合でもスマートフォンのアプリと連携して消費電力を計測できるものもあるため、次に買い替える電化製品から電力の見える化を意識してみると良いでしょう。