現場で働く人たちの技術継承はeラーニングで実現できるのか?
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2024.11.14 (木)Posted by NTT東日本

コロナ禍をきっかけに、多くの企業がテレワークやeラーニング、オンライン研修に切り替えましたが、実技やOJT研修はどうでしょうか。
実際に製造業や建設業など作業現場で働く人たちの技術やノウハウを部下や次世代に伝えることは、企業の競争力やブランド力を高める上で欠かせません。実際、対面での指導や実習が難しい状況での実技指導やOJT研修はオンライン化できるのでしょうか。
NTT東日本では、技術継承にも活用できるeラーニングプラットフォームの提供をしています。オリジナルの動画コンテンツの配信もできるので、テキストでは伝わりづらいベテランの職人技も何度も動画で学ぶことができます。
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目次:
1実技やOJT研修をオンライン化した場合のメリット・デメリット
別のコラムでセミナー式研修やマニュアル形式の研修はオンライン化しやすいとお伝えしましたが、実際には実技の教育やOJT研修にも多くの時間や稼働などのさまざまなコストがかかります。直接コミュニケーションを取りながら理解度を計れる対面での教育は効果的ですが、教育する先輩や上司は教育に割く時間が取られ、本来やらなければならない業務に差し支えが出てしまいます。
では、実技やOJT研修をオンライン化したらどうでしょうか。動画教育やeラーニングに置き換えた場合の、メリットとデメリットをみていきましょう。eラーニングについて、さらに詳しく知りたい方は下記の関連記事も参考にしてください。
>>【eラーニングとは?】導入するメリットやポイント、留意点などを徹底解説
オンライン化のメリット
- ・1人の先輩や上司に限らず幅広い人から学べ、属人的にならない
・新人の成長スピードが向上する
・時間や場所にとらわれずに学習できる
・繰り返し何度でも学習できる
・教材の共有が容易になる
入社後や異動で配属されて間もない頃、忙しい先輩や上司にいつ質問して良いのかや、何度も同じことを聞いてしまっていないか不安になったことはないでしょうか。組織のナレッジやノウハウが蓄積されているツールがあれば、いつでも学習や確認ができ、定着するまで何度でも学習することが可能になります。
また、オンライン化によって、実技指導やOJT研修の内容や方法を見直す機会にもなります。従来のやり方に固執せずに、より効果的で効率的な教育プログラムを構築することができるかもしれません。
一方で、実技指導やOJT研修のオンライン化にはデメリットもあります。
オンライン化のデメリット
- ・現場の雰囲気や空気感を感じたりすることができない
・相互コミュニケーションが難しい
・個人の成長具合を実際に確認できない
・オンラインツールの操作やトラブル対応に時間やコストがかかる
オンライン化によって、相互コミュニケーションの機会が減ることや、成長具合を目で見て確認できないという懸念点があげられます。また、実技指導やOJT研修の質や効果が低下するリスクもあります。教える側も学ぶ側も、オンラインでは対面とは違ったスキルやマインドセットが求められます。
先輩や上司はオンライン研修だけに頼らず従来のOJT研修も組み合わせることで、新入社員のスキル向上のサポートをする必要があるでしょう。オンライン化できる実技指導やOJT研修が何かを見極めて、方針に合った教育を提供しましょう。
2実技やOJT研修をオンライン化するためのポイント
上記でメリット・デメリットをお伝えしましたが、全ての教育や研修がオンライン化に向いている訳ではありません。向き不向きを見極めて、体制を整える必要があります。 では、実技指導やOJT研修をオンライン化する際には、どのような点に注意すべきでしょうか。
目的と目標を明確にする
オンライン化する理由や目的を共有し、達成すべき目標や評価基準を設定することが重要です。また、目的や目標に応じて、オンラインだけでなく対面やハイブリッドなどの方法を柔軟に組み合わせることも重要です。オンライン上のコンテンツは予習・復習に使い、実践は対面で行うなど、両方の強みを活かしていくと良いでしょう。
教材とツールを工夫する
オンラインでは視覚的な教材や動画などが有効です。また、実技指導やOJT研修に特化したオンラインツールも存在します。例えば、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などの技術を使って、現場の状況や操作感を再現したり、リアルタイムに指導したりすることができます。
コミュニケーションとフィードバックを強化する
オンライン化ではコミュニケーションやフィードバックが不足しがちです。指導者側は、受講する側の理解度や進捗状況を確認し、適切なアドバイスやフィードバックを行うことが必要です。受講者も、自分の疑問や課題を積極的に伝え、教える側や同僚と協力し合うことが大切です。
実技指導やOJT研修をオンライン化する際には、ポイントを押さえ効率的に進めていき、定期的に見直しながら運用することをおすすめします。
3指導者の人材不足による技術継承の不安
これまでは企業における研修について触れてきましたが、現在の日本では、ブルーカラーと呼ばれる製造業や建設業界を熟知したベテラン指導者の高齢化と少子化に伴う現場の作業者の減少により、技術継承が困難になってきています。
技術継承とは、伝統的な職業や技術を次世代に伝えることです。これまで培ってきた技術や技能を継承していくことは、文化や歴史の保存など、重要な役割を担っています。しかし、前述のとおり、後継者の不足、技能の低下、経済的な困難など、技術継承に直面する課題も多くあります。そこで、eラーニングやオンライン教育といったデジタル技術の活用が注目されています。
eラーニングやオンライン教育などのデジタル技術を使って技術継承を行う場合、以下のような方法が考えられます。
- ・技術者が自分の技術やノウハウをビデオやテキストで記録し、eラーニングのコンテンツとして公開する
・技術者がオンライン上で実演や指導を行い、見学者や学習者が積極的に質問をする
・技術者と学習者がオンライン上で1対1のメンタリングやコーチングを行う
・技術者と学習者がオンライン上で共同作業やプロジェクトを行う
インターネットを介したオンライン教育をすることによって、後継者の募集や選抜が容易になり、地域や国境を超えて教育を提供することができます。また、教育にかかるコストや時間の削減も見込め、教育の効果測定も可能になるのでメリットは多くありますが、オンライン教育にも課題はあります。
技能伝承には実践的な指導やフィードバック、多くのコミュニケーションが必要ですが、オンラインではそれが難しくなる場合があります。また、技能伝承には師弟関係や共同体験が重要ですが、オンラインではそれが希薄になる可能性があります。オンラインコンテンツ上で言語化されていない技術や手法がある場合、それを伝承することも困難になります。
全ての工程や作業を言語化し、1対1でコミュニケーションやフィードバックを行う機会を設けるなど、工夫が必要になります。 さらに、オンライン教育には安定したインターネット環境、適切な機器や知識が必要ですが、それらが整っていない場合は準備が必要です。
オンライン教育は、技術継承にとって有効な手段であると同時に、新たな課題をもたらす可能性も含まれています。オンライン教育を活用するには、そのメリットとデメリットを把握し、適切な方法で実施することが必要になります。
私たちの文化や伝統を守り、今後の経済を発展させるためにも、技術継承は重要なことになります。オンライン教育は、多くの守るべき技術継承を支える1つのツールであると考えられます。eラーニングやオンライン教育を活用して、技術継承をより効果的に行うことができれば、私たちの社会にとって大きな貢献になるでしょう。
4まとめ
全ての実技指導やOJT研修がオンライン化に適しているという訳ではありません。オンライン化にすることのメリット・デメリットを考慮し、最適な教育を実践していきましょう。NTT東日本では、オンライン化した実技指導やOJT研修の動画や資料を配信できるツールを提供しています。配信ツールやeラーニングのプラットフォームをお探しの方は、ぜひ一度お試しください。