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マルチキャストとは ~1対多のIP通信方式!メリット・デメリットやおすすめサービスを紹介~

  • 2023.7.31 (月)
    Posted by NTT東日本

マルチキャストとは ~1対多のIP通信方式!メリット・デメリットやおすすめサービスを紹介~

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ICT(情報通信技術)の発展にともない、インターネットを中心とした市場活動が急速に普及しました。特に近年では、インターネットの性質を利用したマスマーケティング(不特定多数を対象とした認知拡大の手法)を実践する企業が増えています。そこで自社でも、Webサイトや動画の配信を考えている企業が多いのではないでしょうか。

インターネット上でマスマーケティングを展開する場合、マルチキャストという技術が役立ちます。そこで今回の記事では、マルチキャストの利用シーンやメリット・デメリットについて詳しく解説します。マルチキャストにおすすめのサービスを紹介するので、1対多のデータ通信を検討している企業はぜひ参考にしてください。

1.マルチキャストとは?種類や利用シーンについても解説

1.マルチキャストとは?種類や利用シーンについても解説

マルチキャストとは、1回の送信で複数の相手に同じデータを届けられる通信で、主に3種類の方式があります。それではマルチキャストが利用されるのは、どのようなシーンでしょうか。本章で、詳しく見ていきましょう。

1-1.マルチキャストとは

マルチキャストとは、1対多のIP通信方式です。マルチキャストで送信されたデータは、特定の集団(グループ)に所属する全員が受信します。またマルチキャストは、以下のように送信者と受信者で利用方法が異なるのが特徴です。

送信者 グループ所属の有無に関わらず、どこからでもデータを送信できる。送信者は、以下の手順でマルチキャストを利用する。
  • グループと紐づいたルーターに対して、データを送る。
  • データはルーターなどのネットワーク機器で複製され、グループのメンバー全員に送られる。
受信者 データを受信したい場合、グループに参加する。

上記のとおり、マルチキャストの通信はルーターを中継して行われています。

1-2.マルチキャストの種類

マルチキャストの種類は、どのような機能で通信を行うかで、以下の3つに分けられます。

種類 概要
L2 データリンク層で通信するため、同一ネットワーク内で機能するマルチキャスト。ほかのネットワークを跨いだ通信はできないが、機能が単純なため受信負荷が少ない。
L3 ネットワーク層で動作するため、異なる通信網のあいだでデータを転送できるマルチキャスト。
L7 アプリケーション層で機能するマルチキャスト。L2やL3と異なりソフトウェア的な処理によりデータを複製することで複数の受信者に同じデータを配信する。ネットワーク構成に関係なく利用できるが、受信者数に比例して送信者側の設備にかかる負荷が大きくなる。

上記のとおり、マルチキャストは種類によって機能や伝送範囲が異なります。

1-3.マルチキャストの利用シーン

マルチキャストの利用シーンは、以下のとおりです。

分野 概要
コンテンツ配信 以下のようなサービスに活用されている。
  • 動画投稿サイト
  • ライブ映像による新商品の発表
  • 遠隔授業システム
  • 支店へのデータ(顧客情報や営業資料・販促用の音楽や映像など)送信
IP放送 一方向的なやり取りで済む(1対多の)オンライン会議や研修などに利用されている。
保守 パソコンやモバイル端末、キオスク端末などの保守作業で、大容量のファイル配信が必要なOS・ソフトウェア更新を行う際に活用される。

上記のとおりマルチキャストは、さまざまな分野で活用されています。

2.マルチキャストとほかの伝送方法の違い

2.マルチキャストとほかの伝送方法の違い

IP通信方式は、マルチキャストだけではありません。ユニキャストや、ブロードキャストと呼ばれる方式があります。それでは、マルチキャストとほか伝送システムにはどのような違いがあるのでしょうか。本章で、詳しく見ていきましょう。

2-1.ユニキャストとの違い

ユニキャストは、1対1のIP通信方式です。
サイト検索やインターネットショッピング、ネットバンキングなど、普段のWeb閲覧では主にユニキャストが使われます。
ユニキャストではTCP(データを正しく受信できたか逐次確認しながら送信する方法)を利用できます。

マルチキャストでは同時に複数の受信者にデータを届けるためTCPは利用できず、UDP(受信側に逐次確認を取らずにデータを送信する方法)を利用します。

なお、ユニキャストで受信者が複数名存在する場合は、個々の受信者に対してに1対1の通信を行います。そのため、L7マルチキャストのようにユニキャスト通信を利用して1対多の配信を行うと、受信者数の分だけデータ転送量が増え、送信側の負担が大きくなります。

2-2.ブロードキャストとの違い

ブロードキャストは、マルチキャストと同様に1対多のIP通信方式です。そのため、1回の送信で複数名の受信者にデータを送れます。

ブロードキャストのデータ転送は、ネットワークに接続しているすべての機器が対象です。マルチキャストでは同じネットワーク内の機器であっても、グループに参加していない機器にはデータを送りません。マルチキャストではデータが必要な受信者にだけ届けることができるので、ブロードキャストと比較して余計な通信を削減できます。

3.マルチキャストのメリット4選

3.マルチキャストのメリット4選

マルチキャストのメリットは、以下の4つです。

  • 送信負荷が少ない
  • 通信の遅延が少ない
  • アドレス管理が容易
  • 時間的・金銭的コストを低減できる

特徴を事前に理解しておくことで、マルチキャストが自社の事業内容に適しているか判断できるようになります。本章で、マルチキャストのメリットについて詳しく見ていきましょう。

3-1.送信負荷が少ない

マルチキャストは、送信者の回線にかかる負荷が少ないIP通信方式です。なぜならマルチキャストは、ネットワーク機器がデータを自動的に複製し、1回の送信ですべての受信者に情報を届けられるからです。そのため、送信先が膨大でも輻輳(回線が圧迫され、通信速度が低下したりネットワークが利用できなくなったりする現象)が発生せず、大容量データを効率良く配信できます。

3-2.通信の遅延が少ない

マルチキャストでは主にUDPで送信を行います。UDPでは送信した情報の乱れや欠損の有無を確認せずに送信を続けるため低遅延かつ高スループット(時間当たりのデータ転送速度)を実現できます。
高精細な映像をライブ配信する場合や、大容量のファイルを多拠点に届けたい場合に適しています。

3-3.アドレス管理が容易

マルチキャストは、アドレス管理が容易なIP通信方式です。なぜならマルチキャストは、グループに割り当てられたアドレス宛てにデータを送信する仕組みだからです。

例えばユニキャストの場合は、受信側が変わるたびに宛先のアドレス設定を変更する必要があります。一方でマルチキャストは、所属するメンバーが変わってもグループに割り当てられたアドレスは不変です。そのため、マルチキャストは宛先アドレスの管理に手間がかかりません。

3-4.時間的・金銭的コストを低減できる

従来、1対多をユニキャストで実現する場合は、配信は高スペックで大規模な設備(サーバーやネットワーク機器)を用意する必要がありました。しかし、マルチキャストは送信者の負荷が少ないため大規模な設備を揃える必要がなく、低予算で配信を行えます。

加えてマルチキャストは1回の送信で多数の受信者にデータを届けられるので、時間的コストを低減できます。その結果、作業や待ち時間が短縮され生産性が向上します。

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4.マルチキャストのデメリット3選

4.マルチキャストのデメリット3選

マルチキャストのデメリットは、以下の3つです。

  • 設定が複雑
  • 情報セキュリティリスク
  • 信頼性を高める工夫が必要

デメリットを事前に理解しておかないと、自社の事業内容に合わないシステムを構築したり企業の信頼性を低下させたりします。本章で、注意すべき点について詳しく見ていきましょう。

4-1.設定が複雑

マルチキャストは設定が複雑で、導入のハードルが高いIP通信方式です。例えば異なるネットワーク間でマルチキャストを行う場合、通信経路に存在する機器の複雑なルーティング(PIMやDVMRPなど、データの配送を制御するプロトコル)設定を行う必要があります。

マルチキャストの設計や実装などに失敗すると、正規な受信先にデータが届かなかったり不正な相手にデータを送信したりします。そのためマルチキャストの導入には、ネットワークに関する適切な理解が必要です。

4-2.情報セキュリティリスク

マルチキャストを利用する際にはネットワーク構成やルーターなどの設定が不十分であると、以下のような情報セキュリティリスクにさらされます。

  • 通信内容の盗聴や改ざん
  • 機密データの漏えい

マルチキャストでデータを配信する場合、取り扱う情報に合わせて暗号化や真贋確認など適切な処理を行わないと、途中の経路で内容を盗聴または改ざんされる可能性があります。

また、ネットワーク機器の設定が不適切であったり、マルチキャスト通信に利用する通信事業者の通信網が十分なセキュリティを担保しない場合、本来は参加できるべきでない第三者が不正にマルチキャストグループに参加し、データを不正に受信されてしまう可能性があります。
通信事業者によっては、あらかじめ指定した受信者以外へのマルチキャスト配信を制限する仕組みを提供していますので、そのような機能を活用することもセキュリティ対策として有効です。

上記のような通信内容の改ざんや漏えいは企業の信頼度低下につながり、高負荷攻撃は業務効率や事業の持続性に悪影響を及ぼします。

マルチキャストを利用する際にはセキュリティを担保できるネットワーク機器や通信事業者を選択し、正しく設定する必要があります。

ときには専門知識やスキルをもつ者に相談することも重要です。

4-3.信頼性を高める工夫が必要

マルチキャストは、データ転送においてUDPを主に使用しており、データ送信元から複数の受信者へ同時に送信することが可能です。しかし、双方向通信の場合、通信経路を確立するために、また、データが正しく送信されていない場合に再送する制御を実装することが求められます。そのため、双方向通信にはユニキャストの方が適していると言えます。
信頼性を高めるためにもマルチキャストだけではなくユニキャストとの併用など工夫が必要になります。

5.「フレッツ・キャスト」なら高速大容量でセキュアなマルチキャストが可能

5.「フレッツ・キャスト」なら高速大容量でセキュアなマルチキャストが可能

マルチキャストの導入を検討している企業には、NTT東日本が提供する「フレッツ・キャスト」をおすすめします。「フレッツ・キャスト」は、フレッツ光やコラボ光(NTT東日本から委託された代理店の光回線)を利用して、インターネットを介さずにデータを送受信するサービスです。
また「フレッツ・キャスト」は、以下のような導入メリットがあります。

  • 情報セキュリティリスクが低い
  • 大容量低遅延配信が可能
  • 大規模な光回線を対象に配信可能
  • ユニ・マルチキャストの2種類を利用可能

なお、動画や音楽のコンテンツ配信を考えている企業は「フレッツ・キャスト」がおすすめです。
ライブ配信や多拠点間通信の構築を考えている企業は、ぜひ併せて導入をご検討ください。

6.まとめ

6.まとめ

マルチキャストは1対多のIP通信方式で、コンテンツ配信サービスや映像データを表示するアプリケーションに活用されています。マルチキャストのメリットやデメリットは、以下のとおりです。

メリット デメリット
  • 送信負荷が少ない
  • 高スループット
  • アドレス管理が容易
  • コスト軽減
  • 双方向通信に向かない
  • 設定が複雑
  • 情報セキュリティリスク

なお、マルチキャストの導入を検討している企業には、NTT東日本の提供する「フレッツ・キャスト」をおすすめします。「フレッツ・キャスト」なら、セキュアで大容量低遅延かつ広範囲にコンテンツ配信を始められます。ご興味のある企業の担当者さまは、ぜひNTT東日本へお問い合わせください。

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