学術情報ネットワーク機器更改を機に、構成最適化で将来コストを大幅に削減!
メンテナンス時の情報システム担当の負担軽減や運用効率化を実現

札幌医科大学では、老朽化した学術情報ネットワーク更改をNTT東日本へ依頼しました。更改前はネットワーク機器が教員居室に配置されていたため、障害時の即時対応が難しく、建物の定期メンテナンス時の電源のオン/オフ作業も負担になっていたところをEPS(電気配線シャフト)へ集約。さらにスイッチ台数を見直し、ネットワーク構成の最適化にも取り組みました。13階建ての建物で300本を超える大規模なLANの再配線工事をトラブルなく実施し、運用の効率化や将来的な機器コスト削減を実現。導入の経緯や成果について、札幌医科大学の担当者にお話をうかがいました。

札幌医科大学

  • 学術情報ネットワーク機器更改を機に、構成最適化で将来コストを大幅に削減!メンテナンス時の情報システム担当の負担軽減や運用効率化を実現

(左から)NTT東日本 北海道事業部 ビジネスイノベーション部 テクニカルソリューショングループ 第二テクニカルソリューション担当 森 啓輔、札幌医科大学 総務課情報推進室 総務・システム係 主事 桒山 廉氏、主任 堀切 圭太氏、係長 金井 智樹氏、NTT東日本 北海道事業部 ビジネスイノベーション部 テクニカルソリューショングループ 第二テクニカルソリューション担当 嶋本 守孝、北海道支店 第一ビジネスイノベーション部 地域基盤ビジネスグループ 地域基盤ビジネス担当 シニアコンサルタント 大川 一、林 泰成

導入いただいたソリューション

学術情報ネットワーク機器購入一式

ソリューション導入効果

  • ネットワーク構成および機器配置を最適化でき、将来の更改コストを削減できた
  • ネットワーク機器を教員居室からEPSへ移設し、保守運用を効率化できた
  • ネットワーク機器の台数が減り、運用管理の負担が軽減できた

NTT東日本選定のポイント

  • 大学側のニーズを理解し、適切な提案をしてくれたこと
  • 大規模な配線作業をスケジュール通りに完遂できる体制を有していたこと
  • 既存ネットワークの運用実績もあり、円滑なコミュニケーションに信頼がおけたこと

教員居室のネットワーク機器をEPSへ移設し
メンテナンスや障害対応を効率化したい!

――学術情報ネットワーク機器更改にあたり、改善したい課題はありましたか。

金井氏:今回、本学の学術情報ネットワーク機器のうち、教育研究棟Ⅲと臨床教育研究棟の機器を更改しました。臨床教育研究棟というのは、医師として診療行為も行う教員の講座があり、24時間365日、人の出入りがある棟なのですが、ここの機器は10年以上更改できておらず古いままでした。故障のリスクも高まっており、更改を機に現代的な設備に変えたいと考えていました。

具体的に改善したかった点は2つあります。1点目はネットワーク機器の移設です。これまでは教員居室の机の下などにL2スイッチやケーブルが雑然と配置されている状態でした。電源も教員居室内で確保していたので、建物の定期メンテナンスに伴う計画停電時には、早朝に出勤して電源プラグを抜き、メンテナンス後に再度接続するという作業が発生し、負担になっていました。また、教員居室はセキュリティ上、通常は施錠されているので、障害時に即座に現場で対応できないこともありました。そこで自分たちで管理のしやすいEPSに移設したかったのです。

改善したかった2点目は、ネットワーク構成の最適化です。以前は各端末に1本ずつ配線していたのでケーブル数が多く、L2スイッチにも使っていないポートがあり、台数が過剰でした。昨今は高性能なローカルハブも普及していることから、それらをうまく活用してL2スイッチの台数を削減し、適切な台数と設置位置にしたいと考えていました。

札幌医科大学 総務課情報推進室 総務・システム係 係長 金井 智樹氏札幌医科大学 総務課情報推進室
総務・システム係 係長
金井 智樹氏

――今回、NTT東日本のどのような提案内容を評価され、機器更改作業をご依頼いただけたのでしょうか。

金井氏:大学側が改善したい点がいずれも反映されたスマートな構成を提案してくれたのが一番の決め手です。機器の設置場所を変えて再配線をするので、今回は配線工事分のコストがかかりますが、ネットワーク機器の台数が半分近くに減り、今後の機器更改コストは大幅に下げられるためメリットがあると考えました。NTT東日本には既存のネットワーク保守運用も依頼していたので、更改作業において円滑なコミュニケーションが取れることがわかっていたので安心して任せられました。

13階建ての臨床教育研究棟で300本以上の再配線を実施
半導体不足で納期が遅延するも前倒しで作業を完遂

――実際のネットワーク機器更改作業はスムーズに進みましたか。

堀切氏:今回、再配線に苦労したのは、臨床教育研究棟です。先ほどもお話ししたように、教員は医師としても勤務するため、教員居室は24時間365日使います。L2スイッチは居室内にあったため、業務に支障がでないようタイミングを教員と相談しながら、工事の日程を調整するのが大変でした。教員の都合もあり、隣り合った部屋を順々に作業できるわけではなかったので、一つの部屋で作業が終わったら、まったく違う階の部屋へ工具を持って移動することもあり、NTT東日本側の作業も通常より時間を要したと思います。加えて建物が古く、かつ教員の居室なので、周辺には教員の資料等も置かれており、物理的にも作業しにくかったはずです。臨床棟は地下1階から13階まであり、新たに敷設し直したLANの配線は300本以上に上りました。膨大な再配線でしたが、NTT東日本はグループ一体となって進めてくれて、大きなトラブルなく完了させてくれました。

金井氏:今回、世界的な半導体不足でメーカーの納期が長く、それを見据えて工期は長めにとっていたのですが、それでも納品はギリギリでした。ただ、NTT東日本は万が一間に合わない場合の代替案なども早々に検討してくれていたので、そこまで大きな不安はなかったです。

また、工期が短かったものの、作業は計画的に進めてくれていたので構築中も安心感がありました。納期が短い案件では工期の終盤に夜間作業などをして何とか間に合わせるようなケースもあると思いますが、焦るとミスが心配です。最終的にネットワークがつながったという結果が同じでも、やはり信頼感が変わってきますから、工事の過程も評価しています。結果的に当初のスケジュールより少し早めに終えることができました。

札幌医科大学 総務課情報推進室 総務・システム係 主任 堀切 圭太氏札幌医科大学 総務課情報推進室
総務・システム係 主任
堀切 圭太氏

臨床教育研究棟では300本以上のLANの再配線を実施、スイッチやケーブルは教員居室からEPSへ移設臨床教育研究棟では300本以上のLANの再配線を実施、スイッチやケーブルは教員居室からEPSへ移設

将来の更改コストと運用・メンテナンス稼働を削減
今後はクラウド時代を見据えたネットワーク整備へ

――更改後の運用状況はいかがでしょうか。何か効果を実感されていますか。

金井氏:当初改善したかった課題はいずれも解消しました。ネットワーク機器をEPSに移設したことで、メンテナンス作業も日中帯にできるようになり、以前のようにビルの定期メンテナンスに合わせて早朝に出勤する必要がなくなりました。運用の負担は大きく軽減しています。

ネットワーク構成の最適化によって、今後の更改コストを大幅に下げられたことも良かった点です。本学にはほかにも研究棟や病棟などが多くありますが、この先、別の棟でネットワーク機器を更改する際にも今回の構成を参考にできます。運用保守はNTT東日本に依頼していますが、スイッチの台数などが大幅に減ったので、監視画面が見やすく、故障発生箇所も認識しやすくなるなど、結果的に安定した運用にもつながっているようです。

桒山氏:新しいシステムを入れたわけではないので、大きく目に見えるような効果があったわけではないですが、トラブルなく、これまで同様にネットワークを使い続けられていることが成果だと思います。また、教員の居室もすっきりしましたし、以前は仮眠室にL2スイッチがある部屋もあり、教員から「音が気になる」という声も一部で聞いていましたが、非常に静かになったのではないかと思います。また、教員が物を落とすなどして誤ってネットワーク機器を壊してしまうような不測の事態も避けられます。これも長い目で見れば安定運用につながるだろうと思います。

――貴学のICT基盤整備について、今後の展望をお聞かせください。

金井氏:2025年度には学内のネットワークシステムを切り替える予定があり、クラウド利活用も進めています。これまで病院ではインターネットにつながるサービスをほとんど利用していなかったので、一時的にネットワークが切断されることがあっても、事情があればやむをえないと捉えていました。しかし今後、コミュニケーションツールやデータストレージとしてクラウド利用が前提になれば、ネットワークも24時間365日稼働が必須になり、それを踏まえたネットワーク設計や構築が必要になってきます。NTT東日本は、外部接続回線から学内ネットワークまで一括して任せられるのがありがたく、今後も時代やニーズに合った提案やサポートを期待しています。

札幌医科大学 総務課情報推進室 総務・システム係 主事 桒山 廉氏札幌医科大学 総務課情報推進室
総務・システム係 主事
桒山 廉氏

スイッチのほかに無線アクセスポイントも新しい機器に置き換えたスイッチのほかに無線アクセスポイントも新しい機器に置き換えた

*上記ソリューション導入時期は2024年4月です。

*文中に記載の組織名・所属・肩書き・取材内容などは、全て2024年9月時点(インタビュー時点)のものです。

*上記事例はあくまでも一例であり、すべてのお客さまについて同様の効果があることを保証するものではありません。

札幌医科大学
学校名 北海道公立大学法人 札幌医科大学
概要 札幌医科大学は、1945年に設立された北海道立女子医学専門学校を前身とする医療系総合大学です。併設している札幌医科大学附属病院は厚生労働省から「特定機能病院」として認定されており、大学では附属病院と連携した臨床実習を行っているほか、卒前・卒後を連結させるキャリア支援も実施しています。イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE)」が「THE世界大学ランキング2025」においては国内大学31位タイで、教育や研究の質が高い評価を受けています。

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