電子教科書導入で学生の利便性や教科書購入率が向上!
大学IRにおける学修データ活用で学生支援のさらなる拡充へ

淑徳大学は、GIGAスクール世代の学生への対応やSDGs観点でのペーパーレス化を実現し、学生が学びやすい環境を整えるため、電子教科書配信プラットフォームの導入をNTT東日本へ依頼。まずは看護栄養学部に先行導入しました。学生は荷物の量が減り、利便性が向上。電子教科書は動画等も多いため、教科内容の理解も促進されています。2025年度より順次全学部へ展開し、将来的には学修ログデータを活用した学修支援や学生生活の支援にもつなげていく考えです。取り組みの背景や成果について、淑徳大学のご担当者にうかがいました。

淑徳大学

  • 電子教科書導入で学生の利便性や教科書購入率が向上!大学IRにおける学修データ活用で学生支援のさらなる拡充へ

ソリューション導入効果

  • 持ち運びやすく、動画等が充実している電子教科書で学生の利便性や理解度が向上した
  • 教科書購入率が上がり、教員にとって授業での活用や事前・事後学修の指示が容易になった
  • データ利活用による学修支援や学生支援を推進できる環境が整備できた

NTT東日本選定のポイント

  • 使いやすく機能的な電子教科書配信プラットフォームを納得できる価格で提供していたこと
  • 電子教科書配信プラットフォーム導入からネットワーク整備までワンストップで依頼できたこと
  • 密なコミュニケーションや包括的な提案で円滑なプロジェクト進行が期待できたこと

重くてかさばる教科書が通学の負担に…
電子教科書の導入で学生の利便性を向上したい

――今回、電子教科書配信プラットフォームを導入されましたが、導入前の課題や導入を決めた背景などをお聞かせください。

米村氏:最近、東京都内の小中学校の授業を見学する機会があるのですが、子どもたちはGIGA端末を難なく使いこなし、先生もうまく活用して授業を進めています。デジタル化に関しては、現時点では大学の方が遅れているくらいかもしれません。GIGAスクール世代に対応するためにも、早期に紙の教科書から電子教科書への移行が必要だと感じていました。

よく小学生のランドセルが教科書等で重いという話を聞きますが、現役の大学生にとっても、紙の教科書の重さは負担になっています。大学生は通学時間が長めで行動範囲も広いため、重い教科書を何冊も持ち歩くのは大変です。電子教科書になれば、そうした負担を軽減できると考えました。

本学では地域創生や福祉、看護などの分野で学外実習を多く取り入れているのですが、かさばる教科書を現地に持っていくのは難しく、後から見返してもらっていました。デジタル教科書になって、現地でも教科書の内容を確認できるようになれば、より学びが深まります。

今はニュースや本もスマートフォンやタブレットで読む学生が圧倒的に多くなっていますから、教科書も慣れ親しんだ電子デバイスの方が読みやすいでしょう。学生が学びやすい環境を整え、学ぶ意欲を高めたいという思いがありました。こうした背景に加えて、「教育上、学生のためになることは優先順位を高くして取り組んでいきたい」という学長の強い意志もあり、電子教科書配信プラットフォームの導入を決めました。

淑徳大学 副学長 総合福祉研究科長 総合福祉学部 教授 米村 美奈氏淑徳大学 副学長 総合福祉研究科長
総合福祉学部 教授
米村 美奈氏

荒木氏:それ以外にはSDGsの観点からペーパーレス化を推進する上でも、電子教材の活用が必要だと感じていました。大学は書類や資料が多く、紙の使用量が多いことは以前から課題でした。

――電子教科書配信プラットフォームの導入をNTT東日本に依頼した理由は何でしょうか。

荒木氏:まず、提案いただいたプラットフォームが製品として魅力的でした。教科書だけではなく、独自の教材や「学生便覧」などの資料もPDF化して配信が可能でしたし、使いやすそうな機能が多く、今後、幅広く大学のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に活用していけそうだと思えました。また、料金的に納得できたことも決め手の一つです。

電子教科書の導入に伴い、各キャンパスのネットワーク増強や、学生が複数デバイスからアクセスすることを想定したプライベートIPアドレスの払い出しが必要になりましたが、そうしたネットワーク周りの環境整備もワンストップでお願いできたので、非常に進めやすかったです。

円滑なプロジェクト推進で数カ月での導入を実現
説明会やFD(※1)研修で、教員の理解やスキルも向上

――導入はどのように進めてきましたか。

米村氏:初年度の2024年度は、いち早く希望があった看護栄養学部の1、2年生の必修授業でのみ、利用を開始しました。翌2025年度には全学部の1年生の授業で利用開始を予定しており、以後、学年進行で導入していきます。

導入した電子教科書プラットフォームには多様な機能がありますが、あえてミニマムな機能から利用をスタートしました。というのも大学の教員は年齢や専門性も幅広く、デジタル化に積極的な人もいれば、一定のハードルを感じる人もいます。最初からすべての機能を使いこなそうとすると大変なので、まずは「紙の教科書をデジタル端末で見られるようにする」というシンプルな変化にとどめ、取り組みのハードルを下げました。また、全学部一斉スタートではなく、1学部だけ先に導入したことも結果的にスムーズに進んだ要因だったと思います。

荒木氏:実は当初は、全学部一斉に2025年度から導入予定でした。しかし、看護栄養学部は教科書が分厚くて重く、かつ大量なこともあり、少しでも早く導入したいという現場の声があったため、先に導入することになったのです。準備期間は数カ月間しかありませんでしたが、問題なく導入できました。

教科書販売は、年度末から年度初めに集中し、1日単位で綿密なスケジュールを組む必要があるため、とくにその調整が大変です。しかし今回は、NTT東日本が電子教科書の販売業者ともやりとりしてくれたため、大学を含めた3社でうまく連携でき、ライセンスの発行などもスムーズに進められました。

想定外だったことといえば、充電スペースが足りなかったことくらいです。看護栄養学部の学生は授業数が多く、充電できるタイミングや場所が限られていたからです。これは延長コードを用意して、すでに解決済みです。1学部だけだったので解決も容易でしたし、得られた知見は全学部への展開にも活かしていきます。

NTT東日本には、プラットフォームの整備やネットワークはもちろん、教員を対象にした説明会の実施など、包括的なサポートをしてもらえて助かりました。電子教科書の活用を盛り込んだ教育DXの動画も作成してくれたので、FD(ファカルティ・ディベロップメント)研修を実施でき、教員の電子教科書への理解も深まっています。

淑徳大学 学長室 課長 荒木 俊博氏淑徳大学 学長室 課長
荒木 俊博氏

学生の自発的な学びをサポートする電子教科書。図表も大きく表示でき、見やすい学生の自発的な学びをサポートする電子教科書。図表も大きく表示でき、見やすい

※1 FD(ファカルティ・ディベロップメント)とは、授業内容・方法の改善、向上を目的とした組織的な取り組みの総称。

学生の利便性向上やペーパーレス化に進展
将来的には学修ログを活用した学修支援や学生支援も

――現在は看護栄養学部のみの導入ですが、すでに効果を感じていますか。

荒木氏:学生からは、「教科書を持ち歩かなくてよいのがうれしい」「電子教科書は動画も多く、内容が理解しやすい」といった声を聞いています。授業アンケートでも、電子教科書に対する否定的な声はありません。1年生には入学前の昨年12月に電子教科書の使用開始を伝えましたが、とくに戸惑う声もなく、むしろ当たり前に受け入れる世代なのだと感じています。

ペーパーレス化については、来年度より「学生便覧」をPDF化して本プラットフォームで配信する予定なので、それだけでもかなりの紙の削減になると考えています。

米村氏:学生だけでなく、教員も問題なく使えています。教科書の購入率も上がったため、教員は教科書を授業に活用しやすくなり、事前学修や事後学修の指示も出しやすくなっていると思います。最近は、自分のオリジナル教科書を作りたいという声も聞くようになりました。電子教科書の導入を契機として、各教員が授業や研究の方法を見直したり、試験やレポートのあり方を考えたりするような自主的な動きが出てくるとよいと考えています。今後、電子教科書の活用は加速させていきますが、上からの押しつけではなく、現場から効果的な活用のアイデアが生まれてくることを期待しています。

――今後の貴学のICT基盤整備について、予定や展望があればお聞かせください。

荒木氏:数年かけて電子教科書の割合を増やしていきます。コロナ後は対面授業が基本ですが、最近は一部で遠隔授業を復活させており、電子教科書が役立ちそうです。学生の利便性と学びの効果とのバランスを見ながら、最適な教育環境を用意していきます。

将来的には大学IR(インスティテューショナル・リサーチ ※2)として、電子教科書の学修ログデータから学修時間やページ閲覧状況を可視化し、学修支援に活用していきたいです。また、成績データや就職先データ、退学者データなどと組み合わせることで、退学や満足度低下を未然に防ぐ、より効果的なエンロールメント・マネジメント(※3)にもつなげたいと考えています。

淑徳大学の公式キャラクターSHUKUTOKUMA(しゅくとくま)。オープンキャンパスや行事で活躍淑徳大学の公式キャラクターSHUKUTOKUMA(しゅくとくま)。オープンキャンパスや行事で活躍
上/淑徳大学創立者 長谷川良信学長の胸像。下/レンガづくりの校舎が並ぶ千葉キャンパス上/淑徳大学創立者 長谷川良信学長の胸像。下/レンガづくりの校舎が並ぶ千葉キャンパス

教育DXによって学修満足度が高まれば、大学の競争力強化にもなります。この分野においては、他大学に追随するのではなく、むしろ一歩、二歩も先をリードしていきたいです。NTT東日本にはここまで本学の教育DXの一翼を担ってもらっていますが、今後もぜひ一緒に取り組みを進めていきたいです。

※2 大学IRとは、学内にあるデータを集積・収集、分析し、そこから導き出される結果から、学内での意志決定や改善活動を立案・実行・検証するための支援を行う活動のこと。
※3 エンロールメント・マネジメントとは、入学前から卒業後まで一貫した学生支援。

*上記ソリューション導入時期は2024年4月です。

*文中に記載の組織名・所属・肩書き・取材内容などは、全て2024年9月時点(インタビュー時点)のものです。

*上記事例はあくまでも一例であり、すべてのお客さまについて同様の効果があることを保証するものではありません。

淑徳大学
学校名 淑徳大学
概要 1965年に開学した淑徳大学は、千葉、埼玉、東京に4つのキャンパスを設け、7学部13学科、2研究科、留学生別科を擁する総合大学です。2023年4月には地域創生学部地域創生学科、人文学部人間科学科を新設しました。基盤教育に力を入れており、2023年度より全学部共通基礎教育科目「S-BASIC」をスタート。データサイエンスやAI、BIツールなどこれからの社会を生き抜くために必要な力を学ぶことができます。また、学外実習やキャリア・教育支援が充実しているのも特長です。

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