小中一貫教育の実現に向けて、校務の負担軽減を図り、
子どもの大切な情報を安全に守る環境を整備
岩手県大槌町様
- 業種
- 教育
- 児童生徒数
- 約800名(2015年12月現在)
- 所在地
- 岩手県大槌町
- 事業内容
- 公共・自治体
岩手県大槌町は、リアス式海岸として知られる三陸海岸のほぼ中央に位置し、古くから豊かな海の資源に恵まれ、海とともに発展してきた。町の眼下に広がる大槌湾には、井上ひさし氏のNHK人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルとされる蓬莱島が浮かび、同氏の長編小説「吉里吉里人」の名称を持つ地区が町の北部に位置する。東日本大震災での甚大な津波被害を経て、復興に町一丸となって取り組んでいる。
導入いただいたサービス
サービス導入効果
- 学習や成長の記録を長期間保管できるデータ保全環境の確保できた
- 切れ目ない情報を有効活用し小中一貫の教育を実践できた
- 教職員の負担軽減を通じた、子どもと触れ合う時間が増えた
選定のポイント
- クラウド基盤を支えるデータセンターの高い信頼性
- 教員へのきめ細かな研修など、サポート体制の充実
- 県全域を網羅しつつ地域に根ざした支援・営業体制
事例詳細
被災した小学校を統合して、9年間の小中一貫教育の導入を決定
岩手県の太平洋岸沿いのほぼ中央に位置する大槌町は、豊かな海の資源を生活の糧として、住民の多くが沿岸近くに住居を構え、長年にわたり歴史や文化を重ねてきました。2011年の東日本大震災では、沿岸部は甚大な津波被害に見舞われたものの、現在では、住居の高台への移転や盛土による宅地開発など、新たなまちづくりが急ピッチで進められています。
復興に向けた子どもたちの教育に関して、震災以前は町内に5つあった小学校のうち、被災した4校を1つに統合し、大槌中学校と共に新たに同じ敷地に移転して、仮設校舎による大槌学園(小学部・中学部)として授業を再開しました。現在は25の仮設団地から14台のスクールバスでの送迎を行うなど、学校は子どもたちが集う大切な場所として機能しています。
町民主体のまちづくりが進められる中で、将来を担う子どもたちに充実した教育機会を確保しようと、小学校と中学校を一体化する小中一貫教育の導入を決定。町の高台に校舎を新設して施設一体型の小中一貫教育校「大槌学園」と、吉里吉里地区に個別に校舎を構える吉里吉里学園(小学部・中学部)における施設分離型の小中一貫教育校と、町内の2拠点において小中一貫教育に取り組むこととなりました。
大槌町教育委員会では、そうした小中一貫教育の実践に向けて、9年間にわたる子どもたちの成績や成長の過程を確実に記録して教員間で共有するなど教育に有効活用する仕組みの導入や、子どもたちの大切な記録を安心・安全に保管できる環境の整備が必要と考えました。また、小中一貫教育の実践により、現場の教員の負担が増えることが想定されることからICTを活用した校務の効率化も不可欠と考えました。
そこで、先行していた町役場の自治体クラウドなどを参考に検討を重ねる中で、教育委員会が着目したのが、NTT東日本の「Bizひかりクラウド おまかせ校務」でした。
子どもの大切な記録を安全に保管し、校務の負担軽減への要望に応える
NTT東日本は、大槌町の自治体クラウド導入に際して、復興に向けた支援活動を展開する中で、「津波被害で学校が被災したことにより、情報を電子化して安全に保管する必要を、身をもって経験した」という声や、学校の統廃合により多忙な教員の負担軽減に関する教育現場からの要望、学校との効率的な情報のやりとりができる環境整備をめざす教育委員会の課題を把握するに至りました。
そこでNTT東日本では、課題解決に寄与するソリューションとして、「Bizひかりクラウド おまかせ校務」の提案活動を開始。校務システムを実際に運用している小学校への視察をはじめ、クラウド基盤を支えるNTT東日本のデータセンターの耐震設備や無停電対策、データバックアップや通信キャリアならではの強固なセキュリティなど、サービス基盤の高い信頼性についてアピールしました。加えて、実際にシステムを活用する教職員にとって重要な校務システムの機能や使い勝手について、デモ環境での実演など詳しく説明しました。
こうした提案活動について、岩手法人営業部門の担当者は「小中一貫の教育を実現するためにも校務システムは不可欠として導入をめざす教育委員会の熱意に応えるためにも、他校の見学やデモ実施など、きめ細かな提案活動を展開しました」と振り返ります。
そうして大槌町教育委員会では、複数の校務システムの比較などの検討を経た結果、NTT東日本の「Bizひかりクラウド おまかせ校務」を用いて、小中一貫教育を視野に入れ、町内4つの小中学校を対象に校務の情報化を推進することとなりました。
災害時にも重要な情報資産を守り、事務処理の効率化や負担軽減に寄与
大槌町が導入を決めたNTT東日本の「Bizひかりクラウド おまかせ校務」は、クラウド基盤上に教育委員会と学校で手軽に情報共有が可能なグループウェアや、複数の教職員の意見を取り入れて児童・生徒を適正に評価できる成績管理機能、職員室や保健室で児童・生徒の健康状態を適切に把握できる保健情報管理機能など、校務に役立つ多彩な機能を信頼性の高い情報ネットワークを介して利用できるサービスです。児童・生徒に関する情報はデータセンターで保管するため、大規模災害時のBCP対策としても活用できます。導入に際してソフトウェアやハードウェアの購入が不要で初期費用を抑えられ、ネットワーク経由で常に最新のアプリケーションを利用できます。また教職員への操作説明会や専用ヘルプデスクの設置などの手厚いサポートで安心・安全に利用できる導入実績豊富な校務システムです。
大槌町へのシステム導入に際して、町内で同一の教育環境を提供したいとの考えに基づき、大槌学園(小学部・中学部)と吉里吉里学園(小学部・中学部)への同時導入や、教員の負担増とならないよう、成績表などの帳票類は従来と同様な形式で出力することが求められました。そこでNTT東日本では、岩手法人営業部門とビジネス営業部及びソリューションエンジニアリング部、開発ベンダで緊密に連携して、スムーズな導入、帳票のカスタマイズや教職員への研修を実施しました。導入作業についてNTT東日本の担当者は、「NTT東日本に寄せられた期待や信頼に応えるためにも、スムーズなシステム導入を経て、データ保全の信頼性向上や教育現場の負担軽減の実現など、町の将来を担う児童・生徒の教育に貢献したいと考えました」と振り返ります。
こうして大槌町では、NTT東日本の「Bizひかりクラウド おまかせ校務」を用いて、子どもの成績や成長に関するデータをクラウド上で安全に守り、校務の負担軽減にも寄与する環境を整備できました。
小中一貫教育や郷土学習において、ICTの効果的な利活用に期待
大槌町の4つの小・中学校では、児童・生徒の毎日の出欠状況や健康状態を手軽に確認して養護事務に役立てているのをはじめ、教員間の情報共有や、各学期の通知表作成に向けた指導要録の作成などに本システムを活用しているといいます。
なお、現在仮設校舎で授業を行っている「大槌学園」は、2016年9月に竣工する新たな校舎への移転を機に、学習・生活両面での小中連携をさらに強化します。そして、国が新たに定める小中一貫校「義務教育学校」に移行して、従来の小中「6・3制」の学年区分を「4・3・2制」に変更し、中学移行期前後の学力の強化、いわゆる「中1ギャップ」への対処など、地域や子どもの実態により根ざした教育を実践していく考えです。
また大槌町では、小中一貫教育の本格導入に合わせて、郷土の文化、自然や防災について学ぶ郷土学習「ふるさと科」の授業を本格化するなど、町独自の試みに積極的に取り組んでいます。「ふるさと科」では、例えば町の文化や歴史について学ぶ際に、タブレット端末を携行して町中を訪ね歩き、かつての町の姿を動画や写真で確認したり、インターネット検索で詳しい情報を入手したりと、ICTの有効活用が期待されています。
NTT東日本では、引き続き「Bizひかりクラウド おまかせ校務」の機能強化や県内他地域への導入を図るとともに、「ふるさと科」での効果的な授業の実現に向けて、校内のWi-Fi環境の整備をはじめ、今後のまちづくりに最適なソリューションを提案するなど、復興を推進する大槌町の歩みに寄り添い、さまざまな角度からサポートしていきます。
- ※文中記載の会社名および製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
- ※文中記載の組織名・所属・役職・サービス名などはすべて2015年12月時点のものです。
- ※上記事例はあくまで一例であり、すべてのお客さまについて同様の効果があることを保証するものではありません。
(2013年10月導入)