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2016.02.01 (Mon)

キーマンズボイス(第21回)

コイニー株式会社 代表取締役社長 佐俣 奈緒子 氏

スマートフォンやタブレットを利用した安全で簡単なクレジットカード決済を日本で初めて実現した「Coiney(コイニー)」。
今までの決済の常識をくつがえす画期的なサービスで、設立からわずか2年半ながら急成長をつづける同社の設立までのエピソードやそのこだわり、これからのビジョンについて佐俣社長に伺った。

コイニー株式会社 代表取締役社長
佐俣奈緒子(さまた・なおこ)


プロフィール
1983年生。広島県出身。
2009年より、外資系決済会社の日本法人立ちあげに参画。
2012年3月にコイニーを創業。スマートフォンやタブレット端末を使ったクレジットカード決済サービス「Coiney」を開始。

実は画期的!?手数料の一律化!!

――まずはこの事業を始めようと思ったきっかけについてお聞かせいただけますか?

私は前職でも決済のサービスに携わっていたのですが、そこでの仕事を通じて、日本が(決済に関して)とても特殊な環境にあるということを感じました。
ひとつの例として支払い手段が多いということ。具体的には、クレジットカードはもちろん、SuicaやPASMOなどの電子マネー、デビットカードにおサイフケータイ、さらには代引きのようなサービスまである。にもかかわらず結局は現金決済がGDPの55パーセントを占めているというのが(その当時の)現状であり、その大きな要因として、そういった現金以外の支払い手段を導入しているお店自体が実はそれほど多くないということに気が付きました。
つまりここに非対称性が存在し、その状況を変えるようなサービスを提供することで、極端にいえば現金での決済をなくしてしまう、といった人々の生活スタイルを変えてしまうようなことができるのではないだろうかと思ったことがこの事業を始めるに至ったきっかけです。

――御社のサービスといえば決済ツールとしてスマートフォンやタブレットを利用するという点も大きな特徴だと思うのですが、そのあたりのねらいについてお聞かせください

今申し上げたような非対称性を改善していくためには、まずはお店側が導入しやすい環境を作ることが第一だと考えました。
それと並行して、私がこのサービスを考え始めた段階にあった2011年に、スマートフォンの出荷台数がいわゆるガラケー(フィーチャーフォン)の出荷台数を上回るという現象が起きました。
そうなるとこのあと世の中の多くのひとたちはスマートフォンを持ち始めるだろう、ならば、すでに持っているものを利用することがお店側の視点に立ったときに一番安いコストで導入できると考え、スマートフォンやタブレットを決済ツールとして使うかたちにいたしました。

――御社サービスの一番の強みについてお聞かせください

まっさきに挙げられるのは、従来のサービスに比べて簡単にクレジットカード決済を導入できる点だと思います。
従来のサービスでは、まず紙の申込書を取り寄せ、そこに必要事項を記入して郵送し、そこから審査が始まります。つまり手間と時間が両方かかるわけですが、私たちのサービスでは申し込みをオンラインで行うことができ、審査も最短2営業日で完了します。
さらに手数料の部分においても一律で3.24パーセントと明記いたしました。これも私たちのサービスの大きな強みだと考えています。と言いますのは、実は従来のサービスではこの部分がブラックボックスになっていることが多く、例えば業種や設立年月日、従業員数などさまざまな要件を踏まえて総合的な判断で手数料が決められていました。これではお店側の視点に立ったとき、簡単には導入を検討しづらいと思います。
私たちはその部分をクリアにすることで、より多くのユーザーが導入を検討しやすい環境を作ろうと考えました。

なぜ日本は欧米のようにカード文化が定着しないのか?

――現在は飲食店を中心とした小売業での利用が多い「Coiney」ですが、そのほかおすすめしたい利用シーンなどはありますか?

決済というものは業種を選びません。つまりビジネスを行っている以上は、お金を支払ったり受け取ったりということはどこでも発生するものです。
それは個人と個人のやり取りにおいても例外ではなく、例えば家庭教師としてピアノや英会話を教える対価としてお金を受け取るような場面でも「Coiney」を利用していただけるようになれば嬉しいですね。
あとは引っ越しや病院など大きい金額が動くにも関わらず、まだまだ現金文化が当たり前といった場面が実は意外に多くて、そのほかにもピザのデリバリーであったり、地方に行くとタクシーの支払いであったりとそういったカード文化が定着していないすべての場面でもっと「Coiney」のサービスを利用していただければ良いなと思っています。

――以前、別のインタビューで佐俣社長が欧米との決済事情の違い、日本は欧米に比べてカード文化の定着度が低いということをおっしゃっているのを拝見したのですが、そのあたりの要因などについてお聞かせいただけますか?

確かに欧米は日本に比べてカード文化が深く定着しています。しかしカードの発行枚数自体はというと、実はそこまでの違いはありません。日本でもすでに発行枚数は3億枚を超え、一人平均で3枚近くを持っている計算になります。
ではなにが一体欧米と違うのかというと、やはり導入の際の審査についての考えかたが違います。日本はまず入り口で審査をして、その時点である程度のハードルをクリアしなければ導入自体ができません。しかし欧米では明らかに駄目なものを除いてはとりあえず間口を開けてくれます。そのうえで実際の取引を見ながらそれぞれのサービス内容を決めていくのです。
例えば一旦導入をしても取引内容が良くなければ契約を解除したり、リスクが高いと感じた場合には契約者からデポジットを預かったりとリスクをあとから取るようなかたちになっています。これはもちろん文化の違いもあるとは思いますが、そういった違いが導入店舗の拡大やカード文化の定着度に大きく影響を与えているのだと思います。
逆に私たちとしてはそういったところにサービス提供をすることで市場全体を広げたいという想いがあるので、最近ではまた審査の体制を見直し今までならお断りしていたようなケースにおいても少しずつサービス提供をできるようなかたちを作ろうとしているところです。

「Coiney」が目指す、これからのビジョンとは!?

――御社では現在NTT東日本と連携してサービスを提供されておりますが、NTT東日本のどのような部分に強みを感じられたのか、アライアンスを組むメリットについて教えてください。

私たちは設立から2年半あまりの若い会社です。ですから認知度や会社に対する安心度においては正直まだまだ足りていないと感じています。そういった部分でNTT東日本さんのような誰もが知っている企業の持つ安心感や信頼感というものを、アライアンスを組んでサービスを提供することで私たちのサービスに関しても持っていただければという想いはあります。
特に私たちのようなお金を扱うサービスにおいてはお客さまが安心感という部分をほかのサービス以上に重視されますから、その点で「NTT東日本」というブランドの力を感じる場面は多いですね。

――技術的な部分においてはいかがでしょうか?

今の私たちのサービスはもっとも“シンプル”に作っています。それに対しお店側から運営をしていくうえでそれに追加したいサービス、例えば“レジ機能が欲しい”“POSで分析をしたい”といった要望があった場合に、今の時点で私たちではそういったニーズにダイレクトでお応えすることはできませんので、その点を(そういった)サービスをお持ちのNTT東日本さんと組ませていただくことで総合的なパッケージとしてお店のかたにサービス提供できる点も大きなメリットだと考えています。

――これからのビジョンについてお聞かせください

まず大きな目標として“キャッシュレスな世界を作る”というゴールがあります。
そのためには進化させていくべきたくさんの部分があると思っていて、例えば今のクレジットカードサービスで提供しているのは(支払いの)1回払いだけですが、それ以外のさまざまな支払い方法にも対応していきたいと考えています。
さらにお店側のサービスについてもお金の受取方法やスピード感などあらゆる面でもっともっと利便性を向上させていかなければならないと思っています。
また現在の、コイニーリーダーを端末のジャックに挿してそこにクレジットカードを通すという決済方法に関しても将来的に変えていくことを視野に入れています。

――といいますと?

そもそもこの「Coiney」というサービスを始める時点で、クレジットカードの読み取り方法について、ほかにもさまざまな候補がありました。例えばスマートフォンのカメラで読み取る方法や超音波でカードのデータを受け取る方法などです。しかしいろいろと考えた結果、今申し上げたような方法の場合、今までにないやりかたゆえにカードを使うお客さまに不安感を与えてしまうのではないかということに気が付きました。
クレジットカードというものはやはりとても大事なものですから、一番大事なのは使う側に安心感を与えることなので、その点を重視し「Coiney」の読み取り方法は従来のクレジットカード決済のかたちと大きく変わらないようにしてサービスをスタートさせました。
しかし今後それとは違ったかたちが定着することや、「Coiney」というものが安全だという認識が広まった場合には、今挙げたような別の候補も含め次のフェーズへと進んでいくべきではないかと考えております。

迷ったらレアなほうを選べ!?

――佐俣社長ご自身のルーツや、譲れないモットーなどについてお聞かせいただけますか?

人生のモットーとしては“迷ったらレアなほうを選べ”という考え方だと思います。昔から私自身人生における大きな選択をすべき場面、例えば進路などを決めるときにも迷ったら選んでいるひとが少ないほうを選ぶようにしてきました。

――そこにはなにか理由があるのでしょうか?

もしかしたら両親からの教育が影響しているのかもしれませんね。両親からは小さいころから常に“自分が良いと思ったら集団から外れても良いから自分だけで行動しなさい”と言われてきました。これはつまり“自立した人間になれ”という意味だと思うのですが、そういった両親からの教育の影響なのか、決断に対してひとと違うことを恐れないという考えは昔から一貫していると思います。
学生時代に聴いていた音楽などでも、その当時流行っていたメジャーなものよりインディーズの音楽のほうが好きでしたし、世の中がまだ知らないけれど実は良いというものを自分の感覚で見つけだすということが好きな人間なのだと思います。

――最後に他の経営者の方々に佐俣さまからひとことメッセージをお願いします

私たちのサービスは業種を一切選びません。まさに誰とでも、あるいは誰にでもサービス提供できる可能性があると考えておりますので、私たちはコイニーという会社をとてもオープンなものにしていきたいと考えております。それはサービスの提供先だけでなく、パートナーという意味も含まれております。
日本を“キャッシュレスな世界にする”という理想に賛同いただけるようなパートナーさんと積極的に組んでお仕事をしていきたいと考えております。

――ありがとうございました。

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