2023年最新【製造業・工場の関係者必見!】再エネ賦課金について分かりやすく解説
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2023.7.10 (月)Posted by
2023年最新【製造業・工場の関係者必見!】再エネ賦課金について分かりやすく解説
2012年7月に導入された再エネ賦課金についてご存じでしょうか?
私たちが毎月負担しなければいけないお金で、何のために支払っているのか分からないという方も多いでしょう。
特に、製造業や工場などでは、経営にダイレクトに影響してくるものなので、しっかり把握しておく必要があります。
そこで本記事では、再エネ賦課金について分かりやすく、その仕組みや計算方法、メリットやデメリット、
再エネ賦課金の最新情報に至るまで、詳しく解説していきます。
<目次>
1:再エネ賦課金とは
2:再エネって何?
3:再エネ賦課金の仕組み
4:再エネ賦課金の製造業におけるメリットとデメリット
5:再エネ賦課金の最新情報
6:再エネ賦課金で知っておくべきこと
7:まとめ
1:再エネ賦課金とは
製造業や工場のように、大量の電力を消費する業種の場合、電気料金に余分な負荷がかかる再エネ賦課金は、その経営に大きな影響を及ぼしかねません。
再エネ賦課金とは、日本のエネルギー政策において、再エネの普及促進や研究開発などを支援するために導入された制度で
正式名称を「再生可能エネルギー発電促進賦課金(はつでんそくしんふかきん)」と呼びます。
この賦課金は、電気料金に加算される形で課金され、再エネの普及に関する様々な取り組みに充てられています。
具体的には、太陽光発電や風力発電などの再エネ発電設備の導入や、研究開発、普及啓発活動、教育・人材育成などの支援が行われます。
電力会社によって異なりますが、消費電力量に応じた従量課金方式であり、電気料金に割り増し料金として請求されます。
課金額は、再エネの普及目標や需要予測、導入コストなどを考慮して、政府が定めた基準に基づいて計算されます。
経営の視点から見ると、再エネ賦課金はコスト面での負担ではありますが、再生可能エネルギー関連の製品の開発や製造、
再エネ技術やエネルギー効率向上技術への投資により、新たなビジネスチャンスの開拓ができる制度と捉えることもできるでしょう。
この問題に積極的に取り組むことで、経費削減だけでなく持続可能な経営を目指すことができます。
再エネ賦課金は、電気消費が大きい産業である製造業や工場にとって、非常に重要な問題です。
そのため、細部にわたりしっかり把握しておくことで、企業経営に大きな役割を果たしてくれることになります。
再エネ賦課金の特徴
再エネ賦課金の課金額は、電気を使う人全員が負担することが義務付けられており、全国一律の価格になっています。
また不平等が出ないように、電気利用量に比例して徴収され、太陽光発電などの再エネ利用分には再エネ賦課金を徴収しないという特徴があります。
ただし、製造業の再エネ賦課金については、年間の使用電量でもっとも高騰しているピークを基準として電気料金算出に用いられるため、
大きな負担となっていることが問題となっています。
そのため製造業においては、使用電量のピークをいかに抑えることができるかどうかが重要になってくるため、
現場の状況を把握・見える化してくれるDX化が必要になってくるでしょう。
また再エネ賦課金に関しては、課金額が高くなりすぎて電気料金の負担が増えることや、賦課金の使途が透明性を欠いていることを
指摘されることも多く、課金の適正性や使途の透明性についての改善に取り組んでいますが、未だに問題が解決される様子がないのが現状です。
2:再エネって何?
再エネとは、再生可能エネルギーとも呼ばれ、石油や石炭、天然ガスなどの有限な化石燃料の使用を減らし、太陽光、風力、水力、地熱生ごみ発酵など、
どこにでも存在していて枯渇しない持続可能なエネルギーの事です。
これらを利用したエネルギーは、環境に対する負荷が比較的低く、地球温暖化や大気汚染の削減に影響するため、世界で普及・促進が進められています。
エネルギーの自給自足を目指す上で重要な取り組みとなっています。
製造業や工場にとっては、自らが生産した再エネを自家消費することで、再エネ賦課金の負担を軽減することができ、電力を自前で生産することで、
消費量を減少させることができるでしょう。
FIT法について
FIT法とは、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で電力を買い取る制度をいいます。
再生可能エネルギーの普及を促進するために始められた制度で、持続可能なエネルギー供給の実現に貢献しています。
この買取費用は、電力会社から支払われるわけですが、それをすべて負担するのは容易ではありません。
そこで活用されているのが、再エネ賦課金になります。
つまり再エネを作る側は、おのずと再エネ賦課金を受け取っているということになり、
毎月の電気代と合わせて支払う再エネ賦課金は、再生可能エネルギーによって発電された電気を買い取る際のお金として、一部使われています。
電力を多く使用する製造業や工場にとっては、自社で再エネ発電を行うことにより、電力コストを削減することが可能になるだけでなく、
企業の社会的責任(CSR)を果たすことになり、企業のイメージ向上にもつながります。
3:再エネ賦課金の仕組み
再エネ賦課金は、再エネ発電事業者、電力会社、製造業や工場、家庭などの電気需要者、国の指定期間の4者によって成り立っています。
再エネ賦課金の仕組みは以下の通りになります。
①再エネ発電事業者から電力会社が電力を買い取る
②電力会社が買い取った電力を電気使用者に供給する
③電気使用者は電気使用量に応じて、再エネ賦課金を電力会社に支払う
④電力会社は再エネ賦課金を国の指定した機関に納付する
⑤国の機関から電力会社に、買取にかかった費用を納付する
基本的な流れはこのような仕組みになりますが、この流れから分かるように、再エネ賦課金は電力会社の利益になるわけではありません。
そしてもう一つ分かることが、私たちは再エネ発電を使用しており、その為、再エネ賦課金が課せられているということが分かります。
このことからも、電力を多く利用する製造業や工場などは、経営に大きな影響を及ぼしかねないということになります。
再エネ賦課金の計算方法
再エネ賦課金は、一カ月の電気使用量×再エネ賦課金で決められ、再エネ賦課金単価は全国一律となっており、電気の使用量が増えれば、
それだけ再エネ賦課金は増えるという仕組みになっています。
2023年度の再エネ賦課金は1.40円/kWhで、つまり一般家庭で一カ月に200kWh使用する場合、280円の再エネ賦課金が課せられるということになります。
しかし製造業になると、高圧電力が必要な規模の工場の場合、一カ月で10万kWhという電力を使用する企業もあります。
年間で考えると、電気料金だけで経営に大きな負担がかかるということがお分かりいただけると思います。
そのため、エネルギーの使用状況をリアルタイムで把握し、効率的な使い方をすることが重要になってくるでしょう。
工場内のエネルギー消費を可視化するシステムを導入し無駄な電力消費を削減することで、再エネ賦課金を抑えることにつながってきます。
4:再エネ賦課金の製造業におけるメリットとデメリット
それでは、製造業における再エネ賦課金のメリットとデメリットについて詳しくご紹介していきます。
電力を多く使用する製造業では、どのような問題や効果があるのでしょうか。
再エネ賦課金のメリット
大きなメリットとしてあげられるのは、国が推奨する再エネへの貢献です。
再エネ賦課金は、環境に優しい再生可能エネルギーの普及を支援する制度で、製造業が再エネを活用し、持続可能なエネルギーの利用を
進めることで、環境に対する負荷の低減やCO2排出の削減に貢献することができます。
これにより、企業のグリーンイメージ向上や企業の社会的責任活動の一環としての役割を果たすことができるでしょう。
また、再生可能エネルギーを積極的に利用する企業との取引を積極的に行うことで、自社の環境に配慮しつつ、再エネ普及にも貢献することができ、
中長期的にはブランド力向上やビジネスチャンスにもつながってきます。
再エネ賦課金のデメリット
一方で大きなデメリットとしてあげられるのは、電力コストが上昇することです。
再エネ賦課金は、電力料金に加算される形で請求されますが、特に電力を多く消費する製造業は、再エネ賦課金の増加が
事業費用に大きく影響を及ぼす可能性があるでしょう。
そのため企業は、様々な戦略を構築し、経済的負担を軽減するための努力が必要であり、エネルギー消費を最適化するシステム導入は必須といえます。
5:再エネ賦課金の最新情報
再エネ賦課金は、2013年から値上がりを続け、制度が施行された2012年は0.22円/kWだったものが、2022年には3.45円/kWまで
一時期約15倍に値上がりしましたが、2023年には1.40円/kWhにすると経済産業省から発表があり、制度施行以来初めての値下がりとなりました。
理由として、化石燃料の価格高騰があげられています。
再エネ賦課金は、(買取費用等−回避可能費用等+広域的運営推進機関事務費)÷販売電力量によって決められています。
回避可能費用等は、内訳は明らかにされていませんが、化石燃料の価格上昇により回避可能費用が大幅に増加したことにより再エネ賦課金が大きく減少しました。
つまり、再エネ賦課金の減少は、化石燃料の価格高騰によりそれに比例して電気代が高騰したことで、電力需要者側がそれに対応して、
省エネ等を通じて電力会社からの電力消費を抑えた結果ということになります。
しかし、この状況が長く続くとは限りません。その理由が、ロシア・ウクライナ状況です。
様々な影響を及ぼしかねないこの世界的問題は、日本の再エネ賦課金高騰に拍車をかける一つの要因になりかねません。
日本の電力エネルギーは海外からの化石燃料にほぼ頼っている為、このような世界情勢は、さらなる化石燃料の価格高騰をもたらすことになりかねません。
再エネ賦課金の低減を考えている方、特に電力を多く必要とする製造業や工場は、いつどのような状況に陥ってもいいように、
今のうちに、その対策を考える必要があるでしょう。
例えば、電力消費量が見える化できれば、電気代は当然抑えることができるわけです。
前述でもご紹介しましたが、電力の使用状況を把握・見える化することができるDX化というのはそのためにも必要ということになるのです。
6:再エネ賦課金で知っておくべきこと
再エネ賦課金は、電気の使用量に応じて必ず生じるもので、なるべく節約したい費用といえます。
ただし、再エネ賦課金は再エネの普及促進を目的としている制度のため、再エネを利用して生活、または、一部の産業用施設や
大手企業の自家消費施設などは、その対象外となることも覚えておきましょう。
また、再エネ賦課金は2023年7月段階では、継続の見込みとなっており、電力中央研究所が出している見解では、2030年時点での
再エネ賦課金は約3.5~4.1円/kWhになると予想されています。
今後の再エネ賦課金の上昇に備え、何らかの対策を検討するべき必要があるでしょう。
7:まとめ
この記事では、再エネ賦課金について詳しく解説しました。
再エネ賦課金は、再エネを普及・促進するために電気使用者が負担している費用で、国が定めているため減額することはできません。
そのため、再エネ賦課金を安く済ませたいなら、電気の使用量を抑える必要があります。
そのため電力量が多い製造業は、経営を圧迫しかねない大きな問題といっても過言ではありません。
なるべく負担を抑えるための対策を、企業として考えていく必要があるでしょう