テレワークを導入可能な意外な業種①

製造業・建設業や銀行が「テレワークできない」は思い込み?導入事例をご紹介

更新日
2026-01-28

編集 NTT東日本編集部

イメージ:製造業・建設業や銀行が「テレワークできない」は思い込み?導入事例をご紹介

在宅勤務が難しい業務であることから「テレワークはできない」と、導入を見送っている場合でも、すべての業務が不向きとは限りません。テレワークは在宅勤務に限ったものではなく、「場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」を意味するものです。
たとえば、現場仕事が中心となる製造・建設業などでも、テレワークが導入されています。また、銀行などの金融業や企業の経理業務でも、セキュリティや情報漏えいリスクにさまざまな対策を講じたうえで、導入が進められています。

今回はテレワーク導入が難しいとされてきた業種での「テレワーク導入実績」を、事例を交えてご紹介いたします。

「銀行はテレワークできない」は過去の話?導入が進む金融業界

窓口業務や現金・個人情報の取り扱いなどがあり、テレワークができないと思われがちな銀行でも、メガバンクから地方銀行に至るまで、テレワークの導入が進んでいます。では、どのような業務にテレワークを活用しているのでしょうか?

地方銀行のテレワーク導入事例

イメージ:地方銀行のテレワーク導入事例

地方銀行でのテレワーク導入の実例としては、以下のような例があります。

  • タブレット端末やモバイルパソコンを導入して、対象とする従業員に貸与し、行内イントラネットにアクセスできる環境を整備
  • 「業務報告書・資料作成」「業績評価・人事考課」「人材育成」などの業務について、在宅勤務やサテライトオフィス勤務での対応ができるルール作りを行う
  • 本部社員を対象にシンクライアントパソコンを貸与。外部から「企画立案」「会議・報告資料の作成」を行える環境を整備

少しずつテレワークの導入が進められている状況にありますが、今以上に対応可能な業務を広げるためには、銀行特有の「紙文化」「ハンコ文化」からの脱却が重要な課題といえるでしょう。
また、銀行と同様の事情でテレワークが難しいとされる企業の経理業務においても、書類の電子化やシンクライアントパソコンを使ったリモートアクセスに対応することで、テレワークが可能な環境づくりができると考えられます。

シンクライアントパソコンとは

  • ハードディスクを持たず、ファイルやソフトを端末内に保存しないパソコン型機器。ネットワーク経由でサーバーに接続し、サーバー内にあるソフトやデータを操作する用途に用いられます。
    端末内に記憶装置がないため、データの流出や紛失といったデータ漏えい事故を防ぐことができるというメリットがあります。

現場作業が多い製造業・建設業は、テレワークできない?

イメージ:現場作業が多い製造業・建設業は、テレワークできない?

製造業の場合、社員の職種はおおむね「技能系」「事務系」「技術系」の3つに分類されます。
このうち、製品の組み立てや品質管理を行う「技能系」は、設備のない社外での作業が難しく、反対に人事や総務などオフィスワークが中心となる「事務系」の職種はテレワークへの切り替えも比較的スムーズです。
商品研究や開発を行う「技術系」では、情報漏えいリスクに加え、実験設備や実験環境の整備などクリアすべき課題は多いものの、ルールの徹底化により情報漏えいを防ぐことで、実験データの解析や報告書の作成、実験協力者とのコミュニケーションといった一部業務をテレワークにすることができそうです。

また、建設業の場合は「オフィス系」と「現場作業系」の2つに分類できます。
オフィス系でも、BIMソフトを使う設計部門では、家庭用パソコンのスペックでは対応できないことからテレワークが困難と言われてきました。しかし、クラウド製品の登場により、インターネット接続環境があればパソコンのスペックに関係なく作業環境が整うことから、現在はテレワーク化が進んでいます。

一方、現場作業系は「現場でしかできない作業」だけでなく、工事写真の整理や日報作成といったデスクワークもあります。これら業務の一部は、写真をクラウドに上げて共有する、自宅でレポート作成をする、などのテレワーク化が可能です。

製造業でのテレワーク導入事例

イメージ:製造業でのテレワーク導入事例

東京都が中堅・中小企業を対象に実施した「テレワークの活用促進に向けたモデル実証事業」では、複数の製造業者が参加しています。事業の参加期間中、これら企業では「在宅勤務」を実施したほか、一部企業では「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」も導入していました。

参照:東京発!都内企業に学ぶテレワーク実践事例集|東京都産業労働局

たとえば、自動車のソフトウェア開発を行っている企業では、社員全員を対象に、テレワークを導入。週1回の在宅勤務に加え、臨機応変にモバイルワークを活用するスタイルとしました。
以下は取り組みの内容です。

  • テレワーク導入概要

    • 支給したパソコンにテレビ電話やチャットができるアプリケーションを入れておく
    • 営業や技術系の社員にスマートフォンを支給
    • パソコンには二重のパスワード認証などのセキュリティ対策を実施
    • 街中でのフリーWi-Fiの使用、社外での印刷を禁止とした

    テレワーク導入効果

    • 外出先・客先近辺での資料作成が可能になり、業務効率の向上につながった
    • 家族と過ごす時間が増えるなど、従業員満足度の向上につながった

また、化粧品メーカーでは、本社の複数の部署から、育児による時間の制約がある6名の社員を選定。2名は在宅勤務、4名は在宅勤務とサテライトオフィス勤務を併用するスタイルで実施しました。

  • テレワーク導入概要

    • 全社員を対象にチャットツールの利用喚起を行い、利用頻度の低かった部署でも円滑なコミュニケーションができるように働きかけた
    • サテライトオフィスを設け、商談先から次の商談先に向かう間のスキマ時間を活用して資料作成などをできるようにした
    • セキュリティが強固なVPNでサーバーにアクセスすることで、データを安全に運用できる仕組みを取り入れた

    導入効果

    • 始業時間を1時間早めた在宅勤務者からは、家族との過ごす時間が増え、モチベーションアップにつながったという声が上がった
    • 集中して業務ができるようになり、作業効率の向上につながった
    • サテライトオフィスを活用することにより、時間の有効活用ができるようになった

これらの実証結果を確認すると、商品の製造を行う工場勤務者のテレワークは難しくても、管理を行う部署や本社従業員などの場合、部署ごとの業務内容にあわせたテレワーク導入の検討をする余地があることがわかります。

建設業でのテレワーク導入事例

イメージ:建設業でのテレワーク導入事例

建設業界でも、テレワークへの導入を促進する動きが見られます。しかし、現場主義が強いこともあり、思うように導入率が上がらないという現状があるようです。
この現状を打破するヒントが、東京都産業労働局発行の『TELEWORK活用ヒント(建設業向け)』にありました。

参照:テレワーク業界別ハンドブック「TELEWORK活用ヒント」|東京都産業労働局

注目したいのは、従業員数50人以下の企業がテレワーク導入により売り上げを伸ばしている点です。

この企業では、テレワークをすることにより業務効率が上がった結果、時間に余裕が生まれました。これを利用して、資格取得の勉強会を開催。取得資格が増えたことで、社員の仕事に対するスキルとモチベーションが向上したといいます。
さらに、入札条件の資格所有者が増えたことで、大型案件の受注がしやすくなり、売り上げが2倍に。その増加分を社員に還元するという好循環が生まれています。

以下は取り組みの内容です。

  • テレワーク導入概要

    • 各現場に作られた事務所をサテライトオフィスとして使用
    • 在宅勤務はその都度相談を受けて承認

    導入効果

    • 自分の現場でなくても自宅近くにある事務所を仕事場にできるため、移動時間が短縮された
    • 移動時間の短縮によりガソリン代の抑制、車の老朽化や事故リスクを軽減できるようになった
    • 在宅勤務は社員個人のスキルに応じて作業できる業務を決めるため、それぞれがスキルアップをめざすようになった
    • 職場環境が改善し、女性社員の人数が増えた

この企業では、システムや制度を導入するだけでなく、ICTスキルが向上するように講習などでのサポートも行っています。こういったサポート体制も、見習いたいポイントといえるでしょう。なぜなら、現場担当者がテレワークを利用する際の心理的なハードルが下がれば、テレワークを積極的に受け入れやすくなるからです。

将来的にテレワークが可能な業務が増える可能性も!

イメージ:将来的にテレワークが可能な業務が増える可能性も!

今回は「テレワークできない」と思われていた銀行や、製造業・建築業などの業種でも、業務内容により、テレワークの活用が可能になることを事例を交えてお伝えしました。

しかし、技術が進歩するにつれて、自宅から製造ラインを操作したり、遠隔地から研究開発の実験を行うことができたりと、時間や場所の制約がもっと少ない働き方が登場する可能性もあります。
現場の状況・課題に合わせて新技術を取り入れ、より快適に働ける環境を整えていく――。そんな時代が、近い将来に訪れるかもしれません。

イメージ:NTT東日本編集部

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