課題
野生鳥獣による農作物被害額は、全国で170億円前後で推移※。全体の約7割がサル・シカ・イノシシですが、特にイノシシは25年で3倍に増加しています。
- ※農林水産省 農村振興局 鳥獣被害の現状と対策(2019年1月)
木更津市ではイノシシ被害が深刻で、稲の収穫間近に食い散らかす被害をはじめ、イノシシの臭いが作物に移り出荷ができなくなることも急増。一方で、イノシシを捕獲する狩猟従事者の高齢化や担い手不足により、捕獲や駆除が困難な状況となっています。
取り組み
2019年度の実証成果
① センサーによる罠の侵入検知を使って見守り回数を削減
遠隔からリアルタイムで確認ができるため、猟師の巡回稼働が毎日から週1回程度に大幅な削減が可能となりました。
② カメラ確認により捕まえた害獣の処理機関への連絡もスムーズに
事前にかかっている獲物がイノシシか、そうでないか確認することが可能に。 さらに獣道や罠の付近に動体検知をすると自動で撮影されるカメラを設置して、画像による捕獲状況の監視やイノシシの生態状況の把握を図りました。
③ ジビエ化を通じた地域経済への貢献と継続
捕獲したイノシシの情報は、猟師から民間のジビエ加工業者に共有し、効率的な処理にも貢献しました。 鳥獣害対策には、センサーと映像を活用したICTが有効です。
木更津市では、小学生の登下校の見守りや高齢者の避難所での安否確認など、農業以外への広がりも予定され、ICTによる地方版スマートシティモデルに向けた取り組みが続けられています。ICTを活用することで、鳥獣害であるイノシシを地元の資源として有効活用し産業化。そして今後はそのノウハウや知見を農業や林業、観光や福祉、防災などに役立てることまでを意図しています。
本実証のスコープと体制