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元気な企業はどこが違う?成功企業の戦略とは(第55回)
ひらかたパークは、USJと真逆のプロモでV字回復
- 公開日
- 2025-12-24

大阪府枚方市にある老舗遊園地のひらかたパークは、現在営業中の遊園地では最も古いものといわれています。入場者数の最盛期は1974年の約160万人でしたが、レジャーの多様化や、同じ大阪府にユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下USJ)が開演されるなどの環境変化に押されて、2011年には90万人を割るまでに減少し、経営も苦しい状態でした。
その窮地を脱したのが、「ひらパー兄さん」というキャラクターを起用したプロモーションです。2009年から始めたプロモーションで話題作りを行ない、やがて入場者数の回復へとつながります。そして2014年には入園者数を100万人台までに回復させました。遊園地などの業績を回復するには、新しいアトラクションを投入するといった億単位の設備投資が定番と考えられています。そのような設備投資を行わずに、どのようなプロモーションでひらかたパークはV字回復を成し遂げたのでしょうか。
日本最古の遊園地が迎えた苦境
ひらかたパークは、明治時代の1910年に開業と、現存する日本の遊園地の中では最も長い歴史を誇っています。現在、大阪府ではUSJに次ぐ入場者数となっている遊園地です。
そんなひらかたパークですが、レジャーの多様化やバブル崩壊などで少しずつ入場者数が減少。さらに2001年のUSJ開業も加わり、2000年代には入園者数の減少に拍車がかかります。
危機感を覚えたひらかたパークは、プロモーションによって話題を提供して、入場者数の回復を目指すという施策を取ります。そのプロモーションとは、大阪人が見逃すことのできないようなボケを含んだ広告でした。さらに2009年にはお笑いコンビブラックマヨネーズの小杉竜一氏をCMキャラクター「ひらパー兄さん」として起用し、その広告展開を加速させます。このプロモーションが、大阪人にひらかたパークの存在を思い出させるきっかけとなったのです。
しかし、小杉氏の登場するCMや広告は「面白い」「愛きょうがある」などの話題を集めた一方で、入園者数の回復には結びつきませんでした。ひらかたパークと小杉氏の存在感は高まったのですが、ひらかたパークにあるアトラクションやイベントなどに行ってみたいという動機づけに直結しなかったため、2012年には入園者数の減少がとまらずに87万人までに落ち込みました。
小杉氏によるプロモーションは2013年で終わりましたが、2代目のひらパー兄さんとしてアイドルグループV6の岡田准一氏を起用したことが、さらなる話題となりました。岡田氏は地元枚方市出身で、ジャニーズのアイドルグループに所属する大スター。そんな岡田氏のひらパー兄さん就任のニュースは「まさか!」という大きな驚きとなりました。
「ひらパー兄さん」の萌芽は以前からあった?
岡田氏によるひらパー兄さんのプロモーションは、小杉氏のときとは少し違っていました。岡田氏のものは、自身が主演した映画や大河ドラマなどのポスターにあるタイトルやキャッチコピー、写真をパロディにしたようなもので、その中で出身地にあるひらかたパークへの愛をアピールするものでした。
さらに岡田氏によるプロモーションは、遊園地全体のイメージだけでなく、アトラクションやプールといった施設に関するものも登場します。これによりアトラクションも楽しそうというイメージが広がったことが、入場者増加に繋がったのです。
その結果、減少傾向にあった入園者数は回復に転じ、2013年に94万人、2014年には109万人、さらに2016年は121万人となりました。
しかし岡田氏の自虐的なパロディの面白さだけで、入場者の増加に繋がったわけではありません。岡田氏を起用していない小規模のプロモーションでも、大阪人に「おもろそう」と思わせることを意識したキャッチコピーやイベントづくりを行うことで、ひらかたパークには「おもしろそう」がいっぱいあるというイメージを定着させます。このように、それぞれのプロモーションが機能したからこそ、入場者数が伸び続けているのです。
ナンバーワンに勝てないときの戦い方
大阪府の遊園地やテーマパーク業界では、USJがあまりにも大きな存在として立ちはだかっています。2016年USJの入場者数は、ひらかたパークの約12倍である1460万人を記録しています。訪日外国人客だけでもUSJは200万人を突破しており、ひらかたパークは太刀打ちができません。
ひらかたパークはUSJに大差をつけられた2位ですが、近年は全国の遊園地では数少ない前年度を超える入場者数を記録しています。マーケティング戦略における法則を述べた書籍『マーケティング22の法則』によると、ナンバーワンと張り合えるようになるには、正反対の属性を探すべきだと書かれています。ナンバーワンの持つ属性を真似するのではなく、独自の属性を持たなければいけない、ということです。
この法則をひらかたパークと、ナンバーワンであるUSJに当てはめると、USJの属性は、全世界的な知名度と万国共通のおもしろさです。対して、ひらかたパークの属性は枚方市への地元愛と大阪的な面白さというローカル性になります。
巨大なライバルに市場を独占されて、閉塞感から業績が右肩下がりとなる企業は少なくありません。そのなかでも、ナンバーワンにない独自性を確立することで、お客さまの心を掴み生き残る道があるということを、ひらかたパークのプロモーション戦略は証明してみせたのです。
※掲載している情報は、記事執筆時点(2018年1月17日)のものです。
【参考書籍】
河西智彦『逆境を「アイデア」に変える企画術 ~崖っぷちからV字回復するための40の公式~』宣伝会議
アル・ライズ、ジャック・トラウト『売れるもマーケ 当たるもマーケ マーケティング22の法則』東急エージェンシー出版部
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大福 汁粉/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)塾講師、マーケ系情報コンサル等を経てフリーライターへ。企業のオウンドメディア、英語学習サイト、ニュースサイトを中心に執筆している。
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