製造業の人手不足解消に期待、ウェアラブルデバイス
近年、製造業の現場で「ウェアラブルデバイス」の活用が進んでいます。工作機械やロボットでは代替できない手作業が求められる工程で、身に着けて使えるデバイスが高度な作業のサポートをしているのです。工程の自動化のように直接効率化するのではなく、人を介した間接的な効率化に寄与するウェアラブルデバイスの製品情報や活用事例を紹介します。
「人材不足」をウェアラブルデバイスがサポート
経済産業省、厚生労働省、文部科学省が共同で取りまとめた「2020年版ものづくり白書」によると、国内の製造業が抱える経営課題の第2位は、企業規模に関わらず「人材不足」でした。国内の製造業就業者数は20年間で11.6%も減少しており、今後も少子高齢化の進行に伴い減少していくと予測されています。
なかでも深刻なのが、技能人材の不足です。一般労働者の作業であれば、その一部を工作機械やロボットに置き換えられますが、熟練の技術や判断が必要となる複雑な作業領域には職人の手が欠かせません。高度な専門知識と技術を持った技能人材は、自動化が進むこれからの製造現場においても重要な存在なのです。「主力製品の製造において重要な作業には、5年後も熟練技能が必要である」と回答した企業は5割以上。工作機械やの導入では解決できない課題への対策として、数少ない技能人材を有効活用することが急務となっています。
そんな中、技能人材の作業効率化や育成に一役買っているのが、ウェアラブルデバイスです。音声で操作してテレビ通話ができるヘルメット装着型のデバイスや、発声した言葉をリアルタイムで翻訳するスマートグラス(眼鏡型デバイス)用のソフトウェアが次々と開発され、現場作業中の若手や外国人労働者への熟練者による遠隔指導や、トラブル時の相談に活用されはじめています。
技術者の遠隔支援、グローバル化対応、健康管理…現場に生かせる事例を紹介
では、実際どのようなウェアラブルデバイスが製造現場に向けて開発、導入されているのでしょうか。いくつかの事例をご紹介します。
音声で操作できるヘルメット装着型スマートグラス「HMT-1」
HMT-1はアメリカのRealWear社が開発した、音声のみで操作できるヘルメット装着型のウェアラブルデバイス。労働者はデバイスに映し出される映像を見ながら、遠隔地のスタッフや熟練者とZoomやTeamsといったソフトウェアを使ってテレビ電話で相談したり、搭載されたカメラの映像をリアルタイムで相手に送って指示を仰ぎながら作業ができます。また、自動車製造や食品製造の現場では、デジタル化した作業指示書をデバイスに投影して品質検査に利用されています。
翻訳や聴覚障がい者のサポートも、スマートグラス用ソフトウェア「EdaGrass」
シーイーシーが開発したスマートグラス用ソフトウェア・EdaGlass(エダグラス)は、高度な音声認識機能が特徴。発声した言葉をスマートグラスのディスプレイにテキスト表示できるほか、リアルタイム翻訳機能を備え、外国人労働者や聴覚障がい者との対話補助に活用されています。試験導入した自動車部品メーカーでは、聴覚障がい者への座学研修にかかる時間を、56時間から33時間に短縮できました。EdaGlassは山本光学やセイコーエプソンなどのスマートグラス端末で使用できます。
現場労働者の熱中症リスクを判定する時計型デバイス「みまもりWatch」
IoTやネットワーク事業を幅広く手掛けるオプテージは、労働者の体調管理を目的とした腕時計型ウェアラブルデバイス・みまもりWatchを開発。装着すると、周囲の温度情報から暑さ指数を算出し、労働者のバイタル情報と合わせて熱中症リスクを判定します。製造業は高温下や屋外での作業が多く、熱中症リスクが特に高い業種です。自分自身の体調の悪化に気づかず働き続けると、結果的に作業効率が下がり、最悪の場合は倒れてしまうといった事態につながることもあります。みまもりWatchを活用すれば、大切な人材に、健康かつ安定的にパフォーマンスを発揮してもらうことができます。
作業動作の改善点を教えてくれる、スーツ型ウェアラブルデバイス
日立製作所はドイツ人工知能研究センターと共同で、労働者が現場作業を行っている際の身体負荷を測定し、可視化するスーツ型のウェアラブルデバイスを開発しています。このデバイスでは、着用者の30カ所以上の関節部位の動作をセンサーで計測し、AIが分析。その結果を、あらかじめ計測しておいた同じ作業の模範データと比較することで、身体負荷の大きな箇所を判定します。労働者の安全確保や健康維持のほか、動作のウィークポイントが可視化されることで無駄な動きを減らし、作業効率化につなげる効果も期待できます。
コロナ禍でさらに広がる需要、今後は用途拡大に期待
ウェアラブルデバイスによる遠隔地から現場労働者への支援ニーズは、新型コロナの拡大によってさらに高まっています。これまで全国各地の工場を飛び回って指導や研修をしていた熟練者が現地に行けないことも増えている現在、作業状況を共有しながらリアルタイムで現場にアドバイスできる装着型のデバイスは、より活用されていくことでしょう。また、これまでは「先端技術を用いたデバイスを導入しても十分に使いこなせない」「一部の現場労働者のなかに先進機器に対する根強い抵抗感がある」などの課題がありましたが、テレワークの浸透に伴い、遠隔操作機器やネットワーク機器、ZoomやTeamsといったソフトウェアを使う機会が増加。先進機器を扱うことへの抵抗感が薄らいできました。
こうした状況を踏まえると、ウェアラブルデバイスの活用が製造業にとどまらず、人手不足の業界に広がっていく可能性は大いに考えられます。作業中、身に着けられることを生かしたデバイスの、さらなる進化と活用の広がりを今後も注視していきたいところです。
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