お知らせ「欧州との連携によるハイパーコネクテッド社会のためのセキュリティ技術」の共同研究開発を開始
2018年9月18日
東日本電信電話株式会社
東日本電信電話株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:井上福造)は、学校法人慶應義塾 慶應義塾大学SFC研究所(神奈川県藤沢市、所長:田中浩也)、国立大学法人横浜国立大学(神奈川県横浜市、学長:長谷部勇一)、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立情報学研究所(東京都千代田区、機構長:藤井良一)、学校法人早稲田大学(東京都新宿区、総長:鎌田薫)、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:川島祐治)と共に、欧州委員会(EC)が実施するHORIZON2020※1と連携して、国立研究開発法人情報通信研究機構が研究委託する 「欧州との連携によるハイパーコネクテッド社会のためのセキュリティ技術※2の研究開発」を2018年7月1日に受託しました。
今後、神奈川県藤沢市と本研究の一環として、2019年よりフィールドトライアルを実施する予定です。
なお、本研究では、欧州連合(以下 EU)と連携いたしますが、EUの共同研究者としては、Worldline Iberia SA (スペイン)、National Technical University of Athens (ギリシャ)、Commissariat à lʼEnergie Atomique et aux Energies Alternatives (フランス)、F6S Network Limited (アイルランド)、Tecnologías, Servicios Telemáticos y Sistemas, S.A (スペイン)、Ayuntamiento de Santander (スペイン)が参加いたします。 EUにおいては、Santander (スペイン)において、フィールドトライアルが実施される予定です。
- ※1全欧州規模で実施される、最大規模のICT社会実装研究プログラムとして2014年から2020年までの7年間にわたり実施され、予算額は800億ユーロ規模。なお、概要については、下記Webサイトに掲載されています。
http://ec.europa.eu/programmes/horizon2020/ - ※2多種多様なものがネットワークで接続されたハイパーコネクテッド社会を実現するための、IoT端末、ネットワーク終端装置、クラウドなどにおけるマルチレイヤ(多階層)セキュリティ技術(通称:M-Sec)
1.背景
スマートシティ※3を実現するためには無数の人やモノ、サービスを相互に接続して付加価値を創造する必要があり、それらの間で多様なデータを安全に流通させる必要があります。それらのデータには、行政機関や企業など特定の機関のみが閲覧権限を有するデータや、特定の個人に関する情報が含まれるデータが存在します。現在そうしたデータは各機関等で囲い込まれていたり、データベース中に厳重に保護されていたりして、円滑に流通されていません。これを実現するためには、人やモノ、サービス同士の通信においてエンド-エンドのセキュリティを多重的に保証していく必要があります。そのため、端末側のセンサやIoTデバイス、エッジ※4やクラウド側のシステム、それらを介して送受信されるデータ、および送受信に関わる様々なソフトウエアなどにおいて高度なセキュリティ技術の開発が喫緊の課題となっています。
- ※3ICTの先端技術を使い、社会インフラを高度化させた都市
- ※4端末に近いシステムのこと
2.本研究開発の目標
本研究開発では、ブロックチェーン※5・ビッグデータ・クラウド及びIoTを使用したハイパーコネクテッドスマートシティを実現する、マルチレイヤセキュリティ技術の研究開発を通じてこの問題を解決します。具体的には以下の5つの社会的および技術的目標をもってプロジェクトを進めます。
- ※5分散型管理台帳で多数のコンピュータで取引情報を共有するため、一部で改ざんされても他のコンピュータの情報により正確性が保たれる仕組みで、仮想通貨にも使われている技術
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- スマートオブジェクト※6の価値を取引可能とする新たな分散型IoT仕様を確立
多様な通信手法を介して、物理的、意味的、役割的な近接性に基づき、データの需要と供給をマッチングします。- ※6通信機能を持たせ、インターネットと相互通信することのできるモノ
- ブロックチェーンを用いてスマートシティとそのユースケースで自律的かつセキュアな技術を確立
物理的、意味的、役割的な近接性に基づきIoTデバイスを効果的に組み込む複合最適化技術を確立します。 - インターネットに代表される大規模かつ低信頼・低信用プラットフォーム上で、新たなセキュリティ、プライバシ保護技術を確立
ブロックチェーンにおいて信用保証技術を実現してセキュアなIoTデータ取引基盤を確立します。 - 次世代の分散IoTエコシステムの実装とその可能性・持続性を検証
デジタル情報財を高セキュリティ下で取引でき、収益性の高いビジネスを展開可能な、革新的なマーケットプレイスを実現します。 - プロジェクトの社会的インパクトの最大化
柔軟かつ再利用可能なビジネスモデルを構築するとともに個人情報やパーソナルデータの保護・利活用に関するベストプラクティスを蓄積します。
3.今後の予定
今後3年間(2021年6月末まで)、研究計画にもとづき、日本およびEUにおいて研究開発を進めてまいります。2018年度はプロジェクトで行うユースケースの検討を行い、実証実験の技術検討を開始します。2019年度は検討した技術を使ったツールやアプリケーションを開発し、下期に実証実験を開始します。
本研究で実現する、ブロックチェーンと多層セキュリティ技術を介したIoTデータの安全な流通は、デジタル情報財の取引を強力に促進する効果があり、これまで企業や国、地方自治体に死蔵されてきた大量のデータが市場で取引されうることとなり、データを仕入れてデータを生産する多様なサービスやアプリケーションを創出する効果が見込まれることから、自治体データのオープン化とその利活用に関する展開や、データ売買ビジネスなど民間へのビジネスモデリングに活用出来るよう展開する予定です。
- ※記載している情報は、発表日時点のものです。
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