課題
近年の災害や経年劣化による文化財消失等のリスクや文化伝承の担い手不足などに起因し、「有形無形を問わず地域の文化芸術を守りたい」という地域のニーズが高まっています。
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からも、先進技術を活用した新たな芸術鑑賞の楽しみ方が求められています。
取り組み
文化財のデジタル化
文化芸術分野に注力した新会社「株式会社NTT ArtTechnology」を設立し、自治体や博物館、企業などが所蔵する絵画や彫刻といった貴重な文化財を、協業パートナーの保有する画像処理技術を活用することで、原作の魅力を忠実に再現した高精細なデジタルデータ(所蔵元認定)として保管いたします。また、今後は無形文化財のデジタル化にも取り組んでいきます。
NTT東日本の強み
NTT東日本通信ビルや高速ネットワークの「閉域網でセキュアな環境」「低遅延」「耐災害性」という特性を活かし、確実にデータをお守りするとともに、様々な場所へ配信し、これまで文化芸術の鑑賞が難しかった場所での鑑賞も可能にします。また、特定の場所への集中を避け、分散してお楽しみいただくことにより、新型コロナウィルスの感染拡大防止にも貢献します。
ICTを活用した新しい鑑賞体験+つなぐ
AR/VR/サイネージ/3D/プロジェクションマッピングなどの先進技術を活用して、新しい鑑賞体験を提供します。
またこのような活動を通じて、地域と地域、さらには日本と世界をつなぎ、地域の活性化に貢献してまいります。
本取り組みをさらに強化し、推進していく観点から、2020年12月に文化芸術分野における新会社「NTT ArtTechnology」(NTT東日本100%出資)を設立しました。
具体的な取り組みについて
1. 地域の文化財のデジタル化による新しい美術展の開催(事例:千葉市美術館さま)
千葉市さまが掲げるニューノーマル下での新たな文化鑑賞を実現するため、 NTT東日本では千葉市美術館さまが所蔵する浮世絵の素晴らしさをインタラクティブに楽しめるデジタルミュージアム「Digital×浮世絵」の開催に伴う事業を受託をしました。
今回の取り組みでは、市が保有する資産である文化芸術の魅力を分かりやすく発信し、楽しみながら理解を深めていただくことを通じて、地域社会に対する市民の誇りを醸成することもめざしました。
所蔵作品の高精細デジタル化
千葉市美術館さまが所蔵する世界に誇る浮世絵5作品を20億画素の高精細なデータにデジタル化※しました。
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※株式会社アルステクネの特許技術により実施。
高精細デジタル化
全コンテンツ非接触のデジタルミュージアム
「浮き上がる絵画」や「ムービングアート」など先進技術を駆使した新感覚・オールタッチレスでの鑑賞環境を実現しました。
非接触のデジタルミュージアム
千葉市内やその他の地域への配信
千葉市内の病院にも配信することで、来館できない市民にも市が誇る文化財を楽しむ場を実現しました。また、東京・西新宿の文化施設NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)内のシアター、秋葉原UDXへのオンライン配信などを通じて、千葉市内の芸術作品の魅力を広く発信することで、千葉県外からの集客にも貢献しました。
他拠点への発信
2. 生活における文化芸術との新しい接点のご提供
高精細デジタル絵画をオンラインで配信することで、美術館などの現地に行かなくても、身近な場所でニューノーマルな鑑賞を楽しめる分散型ミュージアム(Satellite Museum)を展開しております。
介護施設
介護付き老人ホーム「ヒルデモア」さまでは、コロナ禍において、外出や外部講師によるアクティビティを自粛せざるを得ない状況がありました。感染拡大を気にすることなく、入居者さまに美術館での鑑賞と同じように絵画を楽しむ喜びを味わっていただくため、オンラインデジタル絵画を設置いたしました。
入居者さまが飽きずに長く楽しんでいただけるよう、配信により、遠隔から毎月コンテンツを切り替えています。「部屋から出て少し歩いて見に行こう」というポジティブなきっかけを創出しています。
オフィスビル
時間や空間に縛られずに「デジタル×アート」を発信し、文化芸術の魅力にあふれるオフィス空間を構築することで、オフィスビルの価値向上をしたいという声をいただき、秋葉原UDXの5Fエントランスにてオンラインデジタル絵画を設置いたしました。
オフィスワーカーや来館者をはじめ、多くの方に作品の魅力を発信することで、日本文化の伝承や発展に貢献することもめざしています。
医療施設
NTT関東病院において、診察や検査に訪れる患者さまの緊張を解きほぐしたり、ストレスを軽減したいという声をもとに、院内3か所にオンラインデジタル絵画を設置いたしました。
患者さまや家族の方がほっとしたり、癒しが得られる場づくりに取り組む施策の一つですが、職員からも「心を落ち着かせ、癒やしになる」と好評をいただいております。
3. 文化芸術を活用した新しい空間づくり・街づくりのご提案
各地域の文化財をデジタル化し、新しい鑑賞方法を提供することで、文化財の鑑賞体験がより豊かになり、地元の方に文化財の魅力が再認識されると同時に、これまで触れる機会のなかった別の地域の方にも興味をもっていただくことが期待できます。
この利点を活かして、人が行き交う施設などの空間づくりや地域の街づくりに貢献ができると考えております。
- 商業施設やオフィスビルの設計段階からデジタル絵画やインタラクティブなムービングアートを組み込むことにより、利用者に新たな魅力を提供し、豊かな空間を創造することが可能となります。
- ICTの力で、それぞれの地域の文化芸術がもつ新たな魅力を引き出すとともに、それらを中心に据えた新しい企画が可能となります。
また、オンラインで様々なエリアに配信することにより、多くの人々にその地域の魅力を知っていただき、集客力を高めることにつなげられると考えています。これらを通じて町おこしや観光振興に貢献してまいります。
ぜひ美術展「Digital×北斎【破章】」をご体験ください
東京オペラシティタワー4階にあるICC内のギャラリーにて、体験型美術展「Digital×北斎【破章】」を開催しています。20億画素の超高精細デジタル記録と3次元質感画像処理技術※により、和紙の繊維の一本一本から微細な刷りの凹凸まで、オリジナルを再現した葛飾北斎『冨嶽三十六景』(山梨県立博物館所蔵)全47作品、歌川廣重『東海道五拾三次』(大阪浮世絵美術館所蔵)全56作品を、展示用マスターレプリカで一堂に展示しています。所蔵元が認定する品質の高さをぜひご覧になってください。
また、絵画の世界の中に入りこんで作品を鑑賞する「3Dダイブシアター」やゴーグルなしで楽しめる「裸眼VR」など、デジタル技術を駆使したインタラクティブな作品も多く展示しております。また、安心してご鑑賞いただけますよう、すべての作品を非接触でお楽しみいただけます。
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※株式会社アルステクネの特許技術
詳細はこちら:「Digital×北斎【破章】北斎VS廣重 美の技術の継承と革新」
非接触で楽しめる仕掛けづくり
- プロジェクションマッピングを活用した3Dダイブシアター
- センサーを活用した裸眼VR
- ムービングアート
- 浮き上がる絵画(非接触パネル)
新型コロナ対策
- カメラによる混雑検知
- ロボットによるご案内
- オール非接触