| Writer:NTT東日本 北森 雅雄(Masao Kitamori)
【解決策】働き方改革が失敗する理由5選!成功へ導く4ステップを紹介
「働き方改革の取り組みを浸透させるにはどうすれば良いのだろう」とお悩みの方が、いるのではないでしょうか。実際、働き方改革に取り組む企業の4割が「効果を感じない」と回答する調査結果があります。このことからも、改革を失敗させないための取り組みが必要です。そこで今回の記事では「働き方改革を失敗させない方法」について解説します。働き方改革がうまくいかない理由も理解できる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。
目次:
1.働き方改革の3つの柱
働き方改革とは、労働者がそれぞれの事情に応じて、柔軟で多様な働き方を自身で選択するための取り組みを指します。国が進める働き方改革の3つの柱は、以下のとおりです。
- ・年次有給休暇の時季指定
- ・同一労働同一賃金
- ・時間外労働の上限規制
働き方改革が進むことで、働く場所や時間帯を従業員が選べるようになります。通勤時間が短縮されたりなくなったりすれば、ワークライフバランスの実現につながるでしょう。ここでは、働き方改革の3つの柱について詳しく説明します。
1年次有給休暇の時季指定
年次有給休暇が10日以上付与されているすべての労働者に対して、1年に5日間は必ず取得させるよう定めています。年次有給休暇は「半年間の継続雇用」と「労働日の8割以上出勤していること」が条件で取得できます。パートや正社員など雇用形態に限らず、2つの条件を満たす労働者であれば誰でも取得できる権利です。
そのため、事業主側は年次有給休暇を付与した日から1年以内の間に、労働者ごとに年次有給休暇を取得させなければなりません。時季指定には「労働者自らの請求」「使用者による時季指定」「計画年休」の3つの方法があります。
2同一労働同一賃金
同一労働同一賃金とは、業務形態による基本給やボーナスなどの不合理な給与格差を禁止する取り組みを指します。正社員とパートやアルバイトなどの非正社員との「待遇格差の解消」が目的です。厚生労働省の同一賃金ガイドラインに、詳細が示されています。たとえば、正社員と非正社員で給与格差があった場合、待遇に差がある理由について事業主側へ説明を求められるようになりました。
そして、事業主側も従業員から説明を求められた場合、回答することが義務付けられています。同一労働同一賃金は全体としては2020年4月から、中小企業は2021年4月から施行されています。
3時間外労働の上限規制
時間外労働は月45時間、年360時間までとする上限規制が定められています。従来の行政指導のみの体制が、法律で義務付けられたことで、長時間労働の是正が期待できます。一方、特別で臨時的な事情がある場合、時間外労働を超えた残業が可能です。しかし、こちらも上限規制が設けられたので、規制内での残業を行わなければなりません。特別で臨時的な事情における時間外労働の上限規制は、以下のとおりです。
- ・休日労働を含む残業時間が月100時間未満
- ・休日労働を含む2〜6ヶ月間の残業平均時間が80時間以内
- ・年間720時間以内
- ・月45時間を超えた残業は半年間のみ可能
上限規制を超えた労働を従業員に行わせると、事業主は30万円以下の罰金か半年以下の懲役が科せられます。
2.働き方改革の現状【4割の企業が効果を感じていない】
国が推進する「働き方改革」ですが、実際どの程度の企業が取り組んでいるのでしょうか。HR総研のアンケート結果を参考に見ていきましょう。
参照元:HR総研|【図表1-1】企業規模別 「働き方改革」への取組み状況
調査結果によると、大企業(1,001名以上)は91%が、中堅企業92%、中小企業73%と高い割合で働き方改革に取り組んでいます。次に、働き方改革に取り組んだ効果に関する調査結果を見てみましょう。
調査によると、実施している働き方改革の取り組みの中で「(あまり)効果が出ていない」が5%「どちらとも言えない」が33%という結果でした。働き方改革に取り組む企業は多いものの「効果が出ない」と感じるケースが4割を占めています。
一方で「効果が出ている」と感じる企業が一定数いるのも事実です。そのため、これから働き方改革に取り組む場合、効果を実感できた企業とそうでない企業との違いを知り、自社で対策を練る必要があります。
3.働き方改革に失敗する理由5選
HR総研のアンケート結果では、働き方改革に取り組んだ4割の企業が「効果が出ていない」と感じていました。働き方改革の導入を行ったにもかかわらず、なぜ失敗してしまうのでしょうか。失敗に陥りやすい原因は、以下のとおりです。
- ・成果より労働時間を重視してしまう
- ・ペーパーレス化が進んでいない
- ・従業員への周知不足
- ・危機感が乏しい
- ・企業の課題と合っていない
自社での働き方改革を成功に導くために、失敗する理由についてしっかりと理解しておきましょう。
1成果より労働時間を重視してしまう
残業削減を目標にしても、仕事の量自体が変わらなければ、労働環境の改善にはつながりません。また「残業や休日出勤する従業員が企業に貢献する人材である」と評価されてきた「いわゆる古い価値観」がいまだに根付いている企業が多くあります。古い価値観が残存していると、従業員は「効率的に業務をこなして定時退勤すること」に後ろめたさを感じてしまいます。
また「リモートワーク=周囲にサボっていると思われるのではないか」と感じるケースもあるので、従業員を不安にさせないような対策作りが必要です。
2ペーパーレス化が進んでいない
紙文化が残っていると、出社しなければ業務が行えないケースが多く、リモートワークが浸透しにくくなります。会議書類や立案書などが紙のままであると、決裁のたびに印鑑が必要です。たとえリモートワークを進めても、会社に出勤しなければならないので意味がありません。そのため、ペーパーレス化が進まないと、長時間労働の削減は難しい傾向にあります。これからの時代は、ペーパーレス化につながるシステムの導入やルール作りが必要です。
3従業員への周知不足
「何を達成すれば良いのか」従業員自身が目的を理解していなければ、改革を進めようとしてもモチベーションにつながりません。また目標が明確でないと、形式的な導入で終わってしまう危険性があります。そのため、数値などを活用した明確な目標設定を行い、説明会を実施するなど、従業員へしっかりと周知することが大切です。
4危機感が乏しい
「働き方改革をしないといけない」という会社全体の危機感が薄いと、改革そのものが進まなくなります。現代は、一昔前のモノづくりからアイデアを生み出す「サービス産業」へ時代の流れが移行しています。労働時間ではなく生産性を重視した働き方改革は、時代の流れに合わせた道筋の1つとも言えるでしょう。
5企業の課題と合ってない
会社の課題と改革の内容そのものにずれがあると、たとえ働き方改革を行ったとしても、課題解決に向かうわけではありません。そのため、従業員の当事者意識につながらず、働き改革が失敗する可能性があります。そもそも働き方改革とは、実現そのものが目的ではなく「生産性を上げて業務が効率化でき、従業員が働き方を選択できること」が狙いです。
そのため、働き方改革を行う目的自体を履き違えないよう注意する必要があります。「やっても意味がない」と従業員に感じさせないように、会社の課題点から目的を見つけていくことが重要です。
4.働き方改革を失敗させないための4ステップ
働き方改革の推進により、副業や兼業の認可、また勤務場所や時間にとらわれない働き方に変えていこうという動きが活発化しています。一方で、ペーパーレス化が進んでいないなどの理由から、思うように働き方改革が進まない企業があるのも事実です。ここでは、働き方改革を失敗させないための方法を紹介します。特に、テレワークなどの柔軟な働き方を取り入れたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
1従業員の意識改革
働き方改革に取り入れる明確な目標を、まずは従業員にしっかりと周知させましょう。何を改善しどう取り組むのか、数値などを活用しながら明確にしてみてください。従業員と会社側で認識にズレが起きないように、定期的な目標の確認が必要です。働き方改革を行うことで、自社や従業員がどのような恩恵を受けられるのかを会社全体で共有しましょう。
2職場環境の見直し
業務内容そのものの見直しが、長年の悪習(労働時間を重視しがちなど)を変えられるなどの効果的なアプローチへつながります。以下のようなシステムづくりを行って、職場環境を見直してみましょう。
- ・ペーパーレス化
- ・管理ツールやシステムの導入
- ・リモートワークやフレックス制度の導入
- ・ルールの構築 など
一方で、職場環境を見直す上で新たなルールを作りすぎてしまうと、慣れるまでに時間を要してしまい、かえって残業を増やす危険性があります。そのため、ルールはシンプルでわかりやすい内容にすることをおすすめします。
3業務の改善
紙媒体での業務や押印など、効率性を低下させる業務を洗い出していき、業務改善を図りましょう。特に、ペーパーレス化と申請や承認を一元化できるシステムを導入すれば、テレワークが進めやすくなります。業務手順の作成やアウトソーシングの活用などもおすすめです。
たとえば、NTT東日本が提供する「AIよみと〜る」は、帳票や手書き書類の文字認証とAIを活用した電子データ化が可能です。読み取り精度が96.71%と高く操作しやすい機能なので、デジタルツールの使用が苦手な従業員も扱いやすいでしょう。書類業務の効率化を図りたい方は、以下のリンクをご覧ください。
5.失敗しない働き方改革の実現には「おまかせ はたらくサポート」がおすすめ
働き方改革の成功にはITツールの使用が必要ですが、操作が難し過ぎると従業員が苦手意識を持ってしまい、浸透しにくくなる危険性があります。そのため、操作がシンプルで使いやすく、一元管理が可能なシステムの導入がおすすめです。特におすすめなサービスがNTT東日本が提供する「おまかせ はたラクサポート」です。
「おまかせ はたラクサポート」では、業務効率を目的としたクラウドサービスを一元的にサポートできます。勤怠管理や給与計算システムなどの導入に関する初期設定や、トラブル発生時のサポート対応を行うので、ITツールを気軽に導入できます。30日間の無料お試しが可能なので、気になる方は以下のリンクをご覧ください。
6.業務改善と従業員の働き方改革を成功させよう
働き方改革とは、2019年4月から施行された「働き方改革関連法案」の一部を指します。「同一労働同一賃金」や「年次有給休暇の時季指定」などの3つの対策を掲げ、従業員の多様な働き方実現に向けた取り組みが行われています。働き方改革は、およそ9割の企業が取り組み浸透しつつありますが「効果が出ない」と感じる会社がいるのも事実です。
従業員への周知やITツールの導入など、業務改善を図りながら改革を進めることが成功への要因となるでしょう。ITツールに関しては「おまかせ はたラクサポート」や手書き書類をデータ化できる「AIよみと〜る」などのサービスとのセット導入がおすすめです。NTT東日本では、無料で体験可能な「DX無料体験プログラム」を用意しています。
ITツールの導入に興味のある方は、ぜひ以下のバナーから詳細をご覧ください。
この記事を書いた人
NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄
NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。
2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。
2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。