求人難で社宅に高速ネット環境整備進む。人事施策としての、社宅設備強化

更新日
2026-01-28

コロナ禍を経て、求人環境は厳しく、そう簡単に人材が採用できなくなっている昨今。
福利厚生の改善で、他社より一歩先を行こうという企業が増えてきました。
そこで今回は、企業の社宅におけるネット環境の向上について、レポートします。

空前の採用難。求人倍率は増加傾向に

表:空前の採用難。求人倍率は増加傾向に

株式会社インディードリクルートパートナーズ「第42回 ワークス大卒求人倍率調査(2026年卒)」より

人が採用できない。
株式会社インディードリクルートパートナーズの調査によると、コロナ禍でやや減った大学生の求人倍率は、2023年卒の1.58倍から、2024年卒1.71倍、2025年卒1.75倍と上昇しています。2026年卒では1.66倍とやや下がりましたが、全国の民間企業の求人総数は76.5万人。学生の民間企業就職希望者数は46.1万人で、民間企業就職希望者数に対して、求人総数が30.4万人の超過需要となっています。

特に、従業員300人未満の企業に対する求人倍率は、以下の図のように、8.98倍。
インフレ・物価高という社会情勢も反映し、学生の中小企業に対する就職志向はかなり減退しており、採用難度が高くなっているのが実情です。

■ 従業員規模別 求人倍率の推移

表:空前の採用難。求人倍率は増加傾向に_3

注1:いずれも比較可能な期間における値。従業員規模別4区分は2010年3月卒より集計を開始
注2:2021年3月卒の求人倍率について、企業調査は2020年6月に実施されている。よってコロナ禍の影響を企業側が考慮した統計となっている。
   一方で従業員規模別・業種別の求人倍率集計に必要な学生側のデータは、2020年3月時点の調査を使用しており、コロナ禍の影響が必ずしも反映されていない。
   つまり、コロナ禍の影響で学生が就職希望先などを変更しているケースが反映されていないため、解釈に注意が必要である

株式会社インディードリクルートパートナーズ「第42回 ワークス大卒求人倍率調査(2026年卒)」より

採用難を反映し、大卒初任給は6割の企業で増加

必要人数の採用が難しくなっている企業側では、初任給が「前年より増える」と回答した企業の割合が56.6%と半数以上を越えています。
この傾向は、業種や企業規模別で見ても同様で、どの分野でも50%を越えています。採用を強化するために募集条件を良くしよう、という企業が増えているのは明らかです。

■ 2025年4月入社の大学生の初任給の状況

表:空前の採用難。求人倍率は増加傾向に_4

■ 大学生の初任給が「前年より増える」と回答した企業の割合(直近3年)

表:空前の採用難。求人倍率は増加傾向に_5
注1:集計対象は、各年4月入社の新卒採用実施企業
注2:業種別については、上記6区分以外に「その他」があるため回答社数の合計と全体が一致しない

株式会社インディードリクルートパートナーズ「第42回 ワークス大卒求人倍率調査(2026年卒)」より

「転勤が嫌」で退職。企業の約3割が経験

イメージ:「転勤が嫌」で退職。企業の約3割が経験
2025年の東京商工リサーチの調査によると、企業の約3割で、直近3年で「転勤」を理由にした退職があったことがわかっています。(下図、全企業の「正社員・非正規社員であった」「正社員のみであった」「非正規社員のみであった」の合計)

特に、全国に複数拠点を置くような大企業は転勤があるケースも多く、異動範囲が全国に及ぶほど、転勤を理由とした退職も増えるようです。
テレワークなどの働き方改革も進んできた中で、生活環境が一変する「転勤」には、かなり従業員の抵抗感が高くなっていることが伺えます。

■ 転勤や配置転換、グループ会社への転籍を理由とした従業員の退職が直近3年でありましたか?(転勤がある企業対象)

イメージ:「転勤が嫌」で退職。企業の約3割が経験_2
イメージ:「転勤が嫌」で退職。企業の約3割が経験_3

東京商工リサーチ「2025年 企業の転勤に関するアンケート調査」より

採用力アップ・離職率ダウンのため 、社員寮・社宅に再注目

イメージ:採用力アップ・離職率ダウンのため 、社員寮・社宅に再注目
大企業ほど転勤が多く、その転勤を理由に離職してしまう社員が多いという現状に、人事側がいま着目しているのが、社員寮・社宅の改善です。

2000年以降、建物の老朽化に伴う修繕や建て替え、固定資産税といった費用負担が大きい社員寮や社宅は売却が進み、通常の民間借家を借り上げて社宅とする企業も多くなりました。ですが昨今、求人難と転勤に伴う離職リスクの対策として、保有する社宅のリノベーションが注目されています。

社員の福利厚生のため、社宅をより良い環境にして、採用時のアピールポイントにもしていこう。
また、いざ転勤になっても「こんな素敵な環境ならば」とポジティブに考えてもらおう、というわけです。
たとえば、横浜ゴム株式会社では、社員寮を福利厚生の目玉としています。社員寮のひとつ「シエント武蔵小杉」では、パーティーができる共有ラウンジ、広々とした共有キッチン、静かな空間で学習や在宅勤務ができる共有ライブラリー、カーシェアも備えています。オートロックでセキュリティも万全、外観も内装もとてもスタイリッシュです。
横浜ゴム株式会社 社員寮紹介より)

こうした魅力ある社員寮は、採用の武器としても、そして転勤時の離職防止のキーポイントとしても活躍しているのです。

「期間工」は、「工場」+「社宅・寮」での求人力が重要

イメージ:「期間工」は、「工場」+「社宅・寮」での求人力が重要

「期間工」とは、就業期間が定められている、企業が直接雇用契約を結ぶ契約社員のことです。
期間社員や臨時工とも呼ばれ、主に工場などの決められた製造ラインで働きます。企業にもよりますが、日給換算で1万円前後、諸手当を加味した月給の目安は2535万円ほどです。

日本の製造業では、こうした工場での製造に頼っています。
例えば、日本の主要自動車メーカーの多くでは、期間工の寮費・水道光熱費が無料となっています。

「期間」が定められている就労ですから、社員寮は家具家電付き、共同浴場や卓球台などのレクレーション設備があるケースもありますが、今、注目されているのが「高速インターネット無料」の社員寮です。

一定期間で就労場所が変わるため、新天地で都度ネットの契約をするよりは、社員寮に最初からネットがついていると快適、というわけです。
インターネットはもはやインフラのひとつ。期間工の皆さんが社員寮で過ごす時間、ネットでの動画視聴などを楽しむのにも、速度が遅い回線では満足度は下がります。光回線の高速ネットが、部屋ごとにあらかじめ引かれているタイプの寮が、歓迎されているのです。

採用の武器、そして、離職防止に向けた、社宅・寮の再注目。
快適な住環境の整備には、ネット環境の向上が大きなポイント言えるでしょう。
写真:執筆:上野 典行(うえの のりゆき)

執筆:上野 典行(うえの のりゆき)

【プロフィール】プリンシプル住まい総研 所長

1988年慶應義塾大学法学部卒・リクルート入社。リクルートナビを開発後、住宅情報タウンズ・住宅情報マンションズ編集長を歴任。現スーモも含めた商品・事業開発責任者・ディビジョンオフィサー・賃貸営業部長に従事。2012年1月プリンシプル住まい総研を設立。All Aboutガイド「賃貸」「土地活用」。日管協・研修副委員長・中国ブロック副ブロック長。全国賃貸住宅新聞連載。全国で、講演・執筆・企業コンサルティングを行っている。

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