監修 公認会計士・税理士 大橋誠一
税理士試験と公認会計士第二次試験の双方に合格し、さまざまな規模や業種の企業で税務監査・財務諸表監査に従事してきた経歴を持つ。
そして税理士・公認会計士出身の民間専門家として国税審判官に任官され、法人税・所得税・相続税・消費税・加算税の審査請求事件の調査・審理に従事することにより、税務署長・国税局長による課税処分を取り消すか否かの判断を行った経験を有する。
監修日:2023年2月7日

監修 公認会計士・税理士 大橋誠一
給与所得者の所得税の確定作業である、年末調整の手続きは、企業の総務人事担当や従業員で提出する必要のある書類が多く大変です。国としても負担を軽くするために電子化を推進しています。
年末調整の電子化ですが、電子申請について義務化されているのでしょうか。結論から書くと、ほとんどの場合は義務化されていません。
今回の記事では、年末調整を電子化することについて簡単に紹介しながら、電子化が義務となるケースや電子化の手順等について説明します。
Index
年末調整の電子化は、2020年10月から可能となっています。ただし義務ではありません。
これまでの年末調整では、担当者が各種控除証明書を税務署から受け取り従業員に配布し、従業員は個人で必要書類(保険料控除申告書や住宅ローン控除申告書など)を手に入れます。必要事項を記入し給与担当者などに書面で提出、その後の検算なども必要で、最終的に税務署への書類提出が必要という手間のかかる手続きでした。
年末調整を電子化すると、控除証明書などをデータで取得可能です。金額も自動で計算されます。給与担当者などに提出後、給与システムと連携すれば自動でチェックされて所得税の年税額を計算でき、オンラインでデータを提出できるのです。
年末調整の電子化が可能になったことで、従業員が必要な書類を集める手間が大幅に削減されました。
2022年10月現在で従業員が電子データで取得できるようになった書類は以下のとおりです。
2022年10月現在で従業員が電子データで会社に提出できる書類は以下のとおりです。
従来であれば郵送されたハガキなどが必要でしたが、電子データで取得・提出できるようになり、負担の軽減が期待されます。
電子化した場合の流れは大きく4つです。
①従業員が保険会社からの保険料控除証明書や、また住宅ローン控除関連の特別控除証明書などデータで取得データで取得できるだけでなく、年税額の計算も自動的に行われるため、年末調整担当者の負担の軽減も期待されます。

冒頭で触れた通り、年末調整の電子化は義務ではありません。しかし、一部の企業においては電子化が必要なケースがあります。
理由としては、法定調書については2021年からe-Tax等による提出が義務化となっているからです。e-Taxのサイトによると、「法定調書の種類ごとに、前々年の提出すべきであった当該法定調書の提出枚数が『100枚以上』であるものについては、e-Tax又はCD・DVDなどの光ディスク等による提出が必要です。」とあります。
例えば、2年前の給与所得の源泉徴収票が100枚以上だった場合、上記の要件に該当しますので電子による提出が必要です。このように、年末調整に関係する法定調書がそれぞれの種類ごとに100枚以上となった場合は、年末調整の電子化を志向すべき環境となっています。

従業員側のメリットとしては以下のようなものが挙げられます。
このように、かなりの工数削減や負担の軽減につながります。
企業側・年末調整担当者側のメリットとしては以下のようなものが挙げられます。
年末にかけて従業員への書類の配布・回収などの手間は電子上でやりとりできるためテレワーク中でもある程度は業務可能で、また、順調に運用できれば、対象人数料量が多く高い精度が求められる計算・検算作業の負担が軽減されます。
年末調整の電子化にあたり、保険会社や金融機関から控除証明書のデータを取得するためのシステム「マイナポータル」を従業員が利用する必要があります。また、後述する年末調整ソフトへの自動連携をする場合にはマイナンバーカードや読み取るためのICカードリーダーが必要です。
ただしマイナポータルは個人の行政手続や通知の確認がオンラインで行えるようになるサービスであり、年末調整のために強制力をもって従業員に登録してもらうのはやや困難ではあります。
国税庁の提供する「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」(年調ソフト)などのソフトを導入します。年調ソフトとは、従業員が控除証明書などをデータで取得した後に、勤務先に提出する電子書類を作成できる、国税庁が提供するソフトウェアです。
パソコン・スマートフォンともにソフトウェア・アプリの利用が可能です。
従業員向けに年末調整を電子で行うマニュアルを作成し、
ちなみに、国税庁は、年末調整手続の電子化に関するパンフレットを制作しており、この中には「従業員の方への配布用資料」というパワーポイント資料も用意していますので、これを適宜カスタマイズする方法もあります。

RPAとはロボティクスにより人間がパソコン上で行っている定型
AI-OCRとRPAを活用した場合の年末調整では、以下のような業務連携が期待できます。
1.従業員から紙で提出された書類をスキャンしてPDFなどで保存
2.その画像データからAI-OCRが必要な箇所をデジタル文字化
3.システムや表計算ソフトへの入力はRPAが自動で行う
担当者は確認業務に集中することができ、大幅な業務効率の向上が期待できます。
実際に部分的な電子化を実現した事例を紹介します。
ある物流会社では総務系書類の業務効率化の一環として、年末調整等の業務でNTT東日本のAI-OCRの「AIよみと〜る」とRPAを導入・連携しました。
月に約1000枚ある紙の書類のデータ入力時間は、月あたり約150時間かかっていたものを約30時間に削減できたそうです。
AI-OCRのメリットとして、多様な種類の帳票類でもある程度の簡単な設定で文字の読み取りが可能な点が挙げられます。入力時間が削減できるだけでなくOCRによる自動化の設定業務も簡易化できます。
今回の記事では年末調整業務の電子化は基本的には義務ではないという点と、電子化をする場合のメリットや方法、部分的な電子化の具体例について説明していきました。
年末調整の電子化は2020年からスタートしたばかりなので完全電子化というのはまだ難しいケースが多いです。部分的な電子化を行って業務効率を向上させていくのが実利のある方法でしょう。
事例で紹介したNTT東日本の「AIよみと〜る」については以下のリンクから資料や無料デモについてご覧いただけます。年末調整以外にも活用可能ですので、ぜひ一度チェックしてみてください。
監修 公認会計士・税理士 大橋誠一
税理士試験と公認会計士第二次試験の双方に合格し、さまざまな規模や業種の企業で税務監査・財務諸表監査に従事してきた経歴を持つ。
そして税理士・公認会計士出身の民間専門家として国税審判官に任官され、法人税・所得税・相続税・消費税・加算税の審査請求事件の調査・審理に従事することにより、税務署長・国税局長による課税処分を取り消すか否かの判断を行った経験を有する。
監修日:2023年2月7日

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