テレワークによるネットワーク遅延をSD-WANが解消!
老舗味噌メーカーが全国33拠点のネットワークを全面更改
コロナ禍で全社的にテレワークへシフトしたマルコメ株式会社では、トラフィック増加による帯域不足で業務に支障がでるようになり、NTT東日本へ相談。全国33拠点(当時)のネットワークをIP-VPNから「Managed SD-WAN」へ切り替えました。その結果、各拠点からインターネットへ直接接続できる「インターネットブレイクアウト」機能を利用することで、Web会議システムを使った業務の円滑化を実現。同時に、東日本拠点と西日本拠点で異なっていたネットワークを統合して保守運用を最適化し、クラウドを活用した工場管理の推進などへ弾みをつけました。ネットワーク更改の経緯や今後の展望について、マルコメ株式会社のご担当者にうかがいました。
【目次】
マルコメ株式会社
ソリューション導入効果
- コロナ禍で進めたテレワークで安定かつ高速な通信環境を確保できた
- 全国33拠点のネットワークを一元管理でき、拠点増減時のネットワーク設定が簡易になった
- 今後のクラウド利活用を後押しするセキュアで強靭なネットワーク基盤を構築できた
NTT東日本選定のポイント
- 抱えていた課題を少ない稼働で効率的に解決できる提案をしてくれたこと
- 全国33拠点の作業を短期間で実施できる体制を整えていたこと
- 今後のクラウド利活用推進に向けたさらなるICT化への提案も期待できること
コロナ禍で急きょ始まったテレワーク
トラフィック増でWeb会議の音声や映像が遅延
――会社の事業内容や最近のトピックを教えてください。
町田氏:マルコメというと、みなさん味噌のイメージが強いと思いますが、この10年は新規事業として、糀事業や大豆事業にも注力してきました。味噌の原料を使って新しい美味しさをお届けしたいと考え、米糀でつくる甘酒や大豆のお肉(大豆ミート)を開発しています。また、2021年7月には三重県の商業施設に発酵カフェ「糀茶寮 Produced by 魚沼醸造」と全国の味噌を量り売りする「蔵乃屋 VISON店」をオープン。2022年4月には大阪の阪神梅田本店に惣菜専門店「発酵DELICATESSEN」を開くなど、新たな価値の創造にも取り組んでいます。
2024年で創業170周年を迎える老舗の味噌メーカーですが、この10年はベンチャー企業のようなスピード感とお客さま目線で開発に取り組んできました。おかげさまで売上も利益も順調に推移しています。
――今回、ネットワークを更改した背景をお聞かせください。
赤羽氏:当社は、コロナ前は出社勤務が基本。テレワークというと、たまに営業担当者が社外での商談時や出張先から社内ネットワークに接続することがあった程度でした。しかし、コロナ禍で状況は一変。工場勤務のようなどうしても出社しなければ仕事ができない人を除き、全社員がテレワークへ移行しました。2020年4月の入社式も急きょリモートで実施しています。
荒井氏:結果的に通信量が一気に増え、ほどなくしてネットワーク遅延が発生するようになりました。とくにWeb会議では「音声が聞こえない」「画面が映らない」といったトラブルが多発。Web会議システムは商談でも利用していたので、業務にも支障が出ていました。情報システム課へは、毎日のようにさまざまな部署から問い合わせが入る状況。抜本的なネットワーク改善が急務でした。
全国33拠点のネットワークをわずか数カ月で更改
情報システム課の構築稼働が大幅削減
――「Managed SD-WAN」へネットワークを切り替えることはどうやって決まったのでしょうか。
荒井氏:それまでもネットワークとしてNTT東日本のIP-VPNサービス「フレッツ・VPNワイド」を利用していたので、困ったことがあればすぐに相談していました。営業担当がいつも親身になってくれますし、トラブルにも迅速に対応してくれていましたので、この時もまずはNTT東日本へ相談するのがベストだと考えたのです。
NTT東日本が提案してくれた「Managed SD-WAN」は、従来のようにデータセンターを経由することなく、各拠点から直接インターネットへ接続できる「インターネットブレイクアウト」を行えるものです。
全国に33拠点(当時)あった当社にとっては、トラフィックを分散するのに最適な提案でした。加えて東日本拠点と西日本拠点で別々だったIP-VPNサービスを統合でき、他社のデータセンターに残っていたファイヤーウォールも今後は移設することで、全国のネットワーク管理の一元化および最適化が図れることも評価しました。
費用は1拠点あたり月額数千円程度の増額に抑えられたので、社内稟議もスムーズに通りました。社内ではネットワーク改善は最優先事項になっており、素晴らしい提案に感謝しています。
――実際のネットワーク構築作業はいかがでしたか。
荒井氏:短いスケジュールの中、トラブルもなく、スピーディーに調整や作業を進めてくれて大変助かりました。
とくにメリットだと感じたのは、我々が構築のために現地へ出向かずに済んだことです。現地作業は、既存ルーターとCPEと呼ばれる専用VPNルーターを置き換えるだけ。私たちは長野にいながら、NTT東日本が遠隔で設定作業をするのを見守り、最後の疎通確認をしたくらいです。あまりにラクで「これだけでいいの?」と驚くほどでした。
これまでのネットワーク更改は、情報システム課の現地立ち合いが必要だったので、メンバーで手分けをして弾丸ツアーのように北海道から沖縄まで全国をまわり、かなり大変でした。全国に30カ所以上拠点があるため、前回のネットワーク更改は全拠点の作業完了までに1年ほどかかっています。それが今回は、遠隔で3~4拠点を同時に作業できることもあって非常に効率良く進められ、調整から数カ月で作業を完了させることができました。
各拠点の作業の所要時間は1~2時間ほど。基本的に作業のトラブルはなく順調でした。一部、機器の初期不良がありましたが、機器交換もスピーディーに行ってくれました。作業は、営業拠点は業務終了後の夕方以降、本社は工場が動いていない日曜日に実施しましたが、全拠点でその日のうちに作業を完了させることができました。
全自動化された衛生的な生産ライン。1日に約400トンの味噌を製造している
ロングセラーのだし入りみそをはじめ、液みそ、即席みそ汁など商品ラインアップは豊富
SD-WANの安定したネットワーク品質に満足
今後はクラウドを使った工場管理も推進
――「Managed SD-WAN」への切り替えによって、どのような成果がありましたか。
荒井氏:通信速度は劇的に速くなり、テレワークやWeb会議をストレスなく円滑に進められるようになりました。ネットワークのようなインフラは「使えて当たり前」なので、遅延が解消したからといって改めて感謝されることはないものの、問い合わせは激減しました。我々も一日も早くネットワークを改善したいと考えていましたから、効果が出たことに安堵しています。
赤羽氏:一部、ハブのバージョンが古く、対応速度が不十分な箇所もありますが、ハブの交換を順次進めていますので、そうしたボトルネックも解消されていくはずです。SD-WANへ切り替えた後、新たに営業拠点を追加したのですが、そのときも我々が現地へ行く必要はなく、簡単にネットワーク構築ができました。情報システム課の稼働負荷が大幅に削減できたことをあらためて実感しています。東日本拠点と西日本拠点で異なっていたネットワークも統合でき、全国の拠点の一元管理が可能になりました。
――今後の貴社のICT活用について展望などをお聞かせください。
町田氏:当社は海外とのやりとりもありますから、コロナ終息後もWeb会議などは継続して利用していきますし、今後はクラウドサービスの活用もさらに推進していきます。いずれは基幹システムや業務システムのクラウド化も行いたいと考えています。取り扱うデータ量はさらに増えていくでしょうから、SD-WANのような安定かつ高速なネットワークは不可欠です。
赤羽氏:昨今は、サイバー攻撃も激化しているのでセキュアな信頼性の高いサービスを利用することの重要性も増していくでしょう。「Managed SD-WAN」を利用しながらより安全なインターネット接続ができる「セキュアインターネット接続サービス」の利用など、さらなる情報セキュリティの確保も検討していきたいです。
クラウドの活用に関しては、すでにクラウド上へのデータベースの移行などを進めています。今後は工場の生産ラインのデータを収集してクラウドへアップし、リアルタイムでのトラフィック監視も実施したいと考えています。問題を未然に把握し、解決することで、工場の改善や生産性向上へつなげたいのです。NTT東日本からは、こうした我々の取り組みを加速させるようなICTに関する幅広い提案を今後も期待しています。
NTT東日本のクラウド型ロボットプラットフォーム「ロボコネクト」に対応した「マルコメ君」オリジナルロボット
NTT東日本 東京南支店 第一ビジネスイノベーション部 水上 元
*上記ソリューション導入時期は2021年5月です。
*文中に記載の組織名・所属・肩書き・取材内容などは、全て2022年3月時点(インタビュー時点)のものです。
*上記事例はあくまでも一例であり、すべてのお客さまについて同様の効果があることを保証するものではありません。
企業名 | マルコメ株式会社 |
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企業概要 | ふんわりふっくら、丸い大豆の“◯”、ふわふわしっとり、米糀の“米”が、社名の由来です。1982年に業界に先がけてだし入り味噌を発売、2009年には「液みそ」を市販化するなど、1854年の創業以来、味噌カテゴリーのトップ企業として走り続けてきました。近年は味噌事業のほかに、大豆事業や糀事業などの新規事業に取り組んでいます。海外にも現地法人を設け、MISO文化を提案。和食という世界が認めた価値を、発酵食品を通じて長寿の長野県から世界へ発信しています。 |