未来は、私たちが創る
~NTT東日本とともに~
自治体職員とICTの力を結集し、
迅速かつ確実な被災者支援に挑む
2018年9月6日、北海道胆振東部地震が発生しました。厚真町鹿沼では北海道で初めてとなる最大震度7を記録。大規模な停電や土砂崩れが発生し、多くの住民が避難生活を余儀なくされました。この震災によって、全半壊した住宅が2,032棟、死傷者が804人という被害状況が内閣府より公表されています(2019年1月28日現在)。震源地に近い北海道むかわ町では、震度6強を観測。経験したことのない大地震に直面し、住民は混乱のなか災害対応を行わざるを得ませんでした。こうした状況下に、むかわ町役場に導入されたのが、NTT東日本が提供する「Bizひかりクラウド 被災者生活再建支援システム」です。「被害に苦しむ住民に、少しでも早く、確実に支援を届けたい」――。そんな思いで採用された、災害支援に特化したICTシステム。導入の経緯や活用のメリットについて、むかわ町役場の担当者にお聞きしました。
北海道むかわ町
震度6強の地震が発生!
被害状況の把握や被災者支援を迅速に進めるには?
――北海道むかわ町は、最大震度7を記録した厚真町の隣町です。むかわ町も震度6強という強い揺れを観測し、多くの住民の方々が被害に遭われたとのこと。地震が発生した当時は、どのような状況だったのでしょうか?
木村氏:傾いた電柱や亀裂の入った道路を目の当たりにし、街の光景がガラリと変わって見えました。役場内は机の上の書類やパソコンが床に散乱し、書棚は倒れ、平時とまったく異なる雰囲気だったことを覚えています。建物の損傷が激しく、避難を余儀なくされる住民も多くいらっしゃり、「まずは住民の安全を確保しなければいけない」と強く思いました。
危機対策グループ主事 木村祐太氏
――震災後は、どのような対策や支援から行ったのでしょうか?
木村氏:震災の直後は、大規模な停電でパソコンが使用できなかったこともあり、避難所の運営や被害状況の把握を主に対応していました。1週間ほど経ってパソコンが使える状況になってから、被災住民に対する支援業務を開始しました。
被災住民を支援するには、各戸の被害状況を詳細に把握することが必要不可欠です。住民の所有する建物の損壊状況などを調査・記録し、被害の程度を示すり災証明書を発行する。こうした業務を一件ずつ実施し、各住民の支援に関する手続きを進めることが必要でした。しかし、一口に「被害状況を調査する」「り災証明書を発行する」といっても、震災に対応した経験がなかったため、どういった調査項目や基準があるのか、記録の管理方法、証明書に必要な書式などが把握できていませんでした。また、扱うデータが膨大になること、課をまたいで対応しなければならない事案が多いこと、待ったなしの急務であることなども考慮し、災害支援に関するICTシステムを導入することを考えました。
熊本地震を経験した御船町職員の助けで、
スムーズにシステムを導入できた
――どのようなきっかけでNTT東日本の「Bizひかりクラウド 被災者生活再建支援システム」を知り、導入を決定されたのでしょうか?
木村氏:2018年5月に苫小牧で、NTTと自衛隊による大規模な共同防災演習があり、参加していた私の上司が、被災者生活再建支援システムの使用例を拝見しました。地震による建物の被害状況の管理や、り災証明書の発行と発行状況の把握、その後の支援に関わる業務の管理などの複数の業務を一元管理できるシステムだと知り、「実際に震災が起こったとき、こういうものが必要になるのではないか」と検討を始めていたところでした。
そういったなか、9月6日に北海道胆振東部地震が発生し、むかわ町でも災害に対応した業務を進める必要が生じました。震災が発生してすぐ、全国の自治体から応援職員の方々が多数駆けつけてくださいました。そのなかには、2016年の熊本地震を経験した熊本県御船町の職員がいらっしゃり、NTT東日本の被災者生活再建支援システムを活用していたことを話してくださいました。苫小牧での共同防災演習でシステムの概要を知っていたこと、実際に御船町で被災者生活再建支援システムが使われていたことがポイントとなり、十分な実績があるということで導入を決定しました。他に、自治体のネットワーク環境で利用でき、クラウドサービスとして提供されているため、別途サーバなどを用意せず迅速に導入できるところも強みであると思いました。
――導入後、実際にどのような機能を使われましたか?
木村氏:おもに建物被害認定調査の調査結果登録機能、り災証明書発行機能、被災者台帳管理機能の3つを利用しました。複数の情報をひとつのシステムにまとめて一括管理できるので、被害や支援の状況が把握しやすく、使い勝手の良さを実感しています。
――震災の混乱のなかで新たなシステムを導入し活用するというのは大変なことなのではないかと思うのですが、運用はスムーズに進んだのでしょうか? 円滑な運用を行うためのポイントのようなものはありましたか?
木村氏:御船町の職員の方々の支援が最大のポイントだと思います。時間がない状況のなか、1回は操作研修を行うことができ、そのあとは御船町職員の方々が、熊本地震の経験を活かしつつ業務のなかで画面を見ながら使い方を教えてくださいました。また、熊本以外にも岡山、広島、新潟などの災害で導入実績があり、NTT東日本の方の知識が豊富だったことにも助けられました。各被災地のさまざまな使用例を教えてくださり、一緒に、むかわ町に合った使い方を考えてくれました。親身に、かつ素早い対応に驚きました。御船町、NTT東日本から多大なるご協力をいただいたことで、大きな滞りがなく各種震災対応の業務を始めることができました。
応援職員の効果的な配置や予算管理にも役立った
――導入後に感じた効果やメリットについて、詳しくお聞かせください。
木村氏:建物被害の調査の進捗具合や、り災証明書の発行件数などの数値が具体的に見えるようになったことで、災害対応におけるむかわ町の職員、各自治体からの応援職員の配置を効率よくできるようになりました。他にも、被災者台帳管理機能による義援金の受給状況の管理や、り災証明書をもとにしたその後の支援に関わる予算を割り出したりと、さまざまな面で役立っています。
――今後はどのように活用したいとお考えでしょうか?
木村氏:被害状況調査やり災証明の発行は収束傾向にありますので、今後はおもに被災者の生活再建支援業務に対して利用することになると思います。また、震災の混乱で記入しきれなかった情報などがあるので、それらを少しずつシステムに入力し蓄積していくことを検討しています。震災の被害調査から生活再建支援に至るまでの一連の業務に関してシステムにデータを残していければ、と考えています。
被災者生活再建支援システムを実際に使用することで、調査結果登録、り災証明書の発行、証明書発行後の対応に関わる被災者台帳管理といった、調査から被災者支援に関わる業務までを一元管理できることがわかりました。もし万が一、再び災害が起こるようなことがあった場合は、早い段階からより有効に活用していきたいと思っています。
*導入サービス:「Bizひかりクラウド 被災者生活再建支援システム」(2018年導入)
*文中に記載の組織名・所属・肩書き・取材内容などは、全て2019年2月時点(インタビュー時点)のものです。
*上記事例はあくまでも一例であり、すべてのお客さまについて同様の効果があることを保証するものではありません。
導入サービス | Bizひかりクラウド 被災者生活再建支援システム |
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導入時期 | 2018年 |
組織名 | 北海道むかわ町 |
組織概要 | 2006年3月27日に穂別町・鵡川町が合併し、新町「むかわ町」が誕生しました。むかわ町のキャッチフレーズは「人と自然が輝く清流と健康のまち」です。2016年3月27日には、合併10周年の節目として「町民憲章」の制定、「人と自然が輝く清流と健康のまち」を宣言しました。2017年12月13日、世界の恒久平和を願いむかわ町は「非核平和の町」を宣言しました。 |
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