電子請求書発行システムを導入する必要性とは?法改正など注意点も解説!
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2023.6.15 (木)Posted by 北森雅雄
「電子請求書発行システムを導入する必要性とは?」
「電子請求書発行システムを導入するときに注意すべき法改正を知りたい」
と考えてはいませんか。
2023年10月施行のインボイス制度により、適格請求書の発行/受領業務が業務に組み込まれる想定です。この新たな業務によりバックオフィス業務が煩雑化する想定であるため、早期に業務効率化を目的とした打ち手の検討が求められています。
当記事ではバックオフィスの業務効率化に電子請求書発行システムの導入が有効であること、電子請求書発行システムを導入する際に注意が必要な法改正までをご紹介します。
電子請求書発行システムを導入する際に押さえておくべき論点が網羅されていますので、ぜひ最後までお読みください。
1.バックオフィスの効率化に電子請求書発行システムの活用が有効

2023年10月に施行されるインボイス制度による業務負荷増加に対して、電子請求書発行システムの導入が推奨されています。では、なぜ電子請求書発行システムの導入が推奨されているのか順を追って解説をします。
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2023年10月にインボイス制度が施行される
2023年10月に適格請求書等保存方式(通称、インボイス制度)が施行されます。インボイス制度とは消費税に関わる法律であり、2023年10月以降は国に登録された適格請求書発行事業者が発行した適格請求書を受領しなければ仕入税額控除ができなくなるのです。
仕入税額控除とは、商品の販売やサービス提供等の際に受領した消費税から、仕入時に支払った消費税を控除し、二重課税にならないようにする仕組みです。
2023年10月以降、適格請求書発行事業者以外から請求書などを受領すると、この仕入時に支払った消費税の控除ができなくなるため、支払うべき消費税額が増大します。
つまり、コスト増が見込まれるため、多くの事業者が適格請求書を受領できるように取引先と調整を進めているのです。
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インボイス制度によりバックオフィスの業務が煩雑になる
多くの事業者が適格請求書発行事業者になることを選択し、2023年10月に向けて対応準備を進めています。しかし、インボイス制度に対応しようと考えると、バックオフィス業務の負荷が高くなる点に注意が必要です。
適格請求書の発行側、受領側いずれにおいてもバックオフィス業務の負荷増加が見込まれています。
適格請求書の「発行側」の負担
インボイス制度では、発行する適格請求書に一定の記載要件を求めています。逆にいえば、記載要件さえ満たしていれば必ずしも、請求書である必要はなく、なおかつ、債務者側が請求書等を発行する必要もなく、また、複数帳票での発行でも認められているのです。
つまり、取引先毎に2023年10月以降、どのような方法で適格請求書等をやり取りしていくのか、調整が必要になります。この調整結果を元に帳票のレイアウトを修正していく必要があるため、業務負荷が一時的に増えると予想されているのです。
「帳票のレイアウトを変えるくらい大した負荷でもないのでは・・」と疑問に感じるかもしれません。しかし、システムの構成によるところもありますが、レイアウトを変えるだけで安くないコストと手間がかかり、想定以上の負荷がかかる場合があるので注意が必要です。
適格請求書の「受領側」の負担
上述した通り、取引先ごとに異なる方法で適格請求書が発行される場合がありますので、各取引先ごとに帳票上の記載要件を満たしているのかなどをチェックする必要があります。
また、発行された適格請求書が適格請求書発行事業者によるものなのかなど、確認が漏れてしまうと、仕入税額控除ができないものもありますので、丁寧な確認業務が求められています。
したがって、適格請求書の受領側でもバックオフィスの業務負荷増加が懸念されているのです。
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バックオフィス業務の効率化に電子請求書発行システムの導入が有効
2023年10月のインボイス制度施行後、バックオフィスの業務負荷が上がる点は上述の通りです。では、この業務負荷増加に対してどのように対処するか。対応方法の一つとして電子請求書発行システムの活用があります。
電子請求書とは?
電子請求書とはデータ化された請求書全般を指します。例えば以下のような請求書が電子請求書に該当します。
- ●メールに添付された請求書データ
- ●Webシステム上からダウンロードされた請求書データ
- ●EDI経由でやりとりされた請求書データ など
電子請求書といっても、やり取りする方法はいくつかありますので、電子請求書を活用するのであれば、自社にとって都合のよい方法を選択して活用ください。
事業者番号の自動突合機能などバックオフィス業務の効率化を期待できる点がメリット
電子請求書配信システムは上述の中でも「Webシステム上からダウンロードされた請求書データ」に該当します。
電子請求書配信システムを利用することで、相手方へ請求書を配信し、相手方は請求書の受領用サイトから電子請求書をダウンロード可能です。
メール添付やEDIによる手段と異なる点は、電子請求書配信システムであれば、インボイス制度や後述する電子帳簿保存法など、電子請求書活用で必要となる機能を多数搭載している点といえます。
例えば、インボイス制度対応で必要となる事業者番号の突合について、電子請求書配信システムであれば、機能として自動突合機能が搭載されている場合があり、業務の効率化を期待できるのです。
したがって、電子請求書を活用するのであれば、電子請求書配信システムの活用をおすすめしています。
2.電子請求書配信システムを活用するときの注意点

電子請求書配信システムを活用することで、バックオフィス業務における業務効率化を期待できます。一方で、電子請求書を利用する場合にはいくつか注意点がありますので、ご留意ください。
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電子請求書を利用する場合電子帳簿保存法への対応が必要
電子請求書は電子とはいえ、”請求書”ですので、各種税法に基づいて保存が必要です。対応が必要な法律の一つとして電子帳簿保存法があります。
電子取引要件を満たして保存する必要がある
電子帳簿保存法とは電子的に帳簿や書類を保存しても良いと認めた法律です。2022年1月に改正法が施行され、電子的にやり取りした文書は電子保存が必須になりました。
※宥恕措置により2024年1月までは紙保存による対応が認められています。
もし、保存要件を満たさずに保存している旨を国税調査時に指摘された場合、青色申告の承認取り消しのリスクがあるため、注意が必要です。
電子請求書が満たすべき電子帳簿保存法の要件は電子取引要件です。電子取引要件では以下2つの要件を満たした保存を求めています。
- ●要件①:真実性要件
- ●要件②:可視性要件
要件①:真実性要件
真実性とは、電子請求書を授受した後に改ざんされていないことを証明する要件です。以下3つの選択肢があり、いずれか1つの方法を選択して対応することが認められています。
- ●タイムスタンプの付与、または、タイムスタンプが付与された後に授受する
- ●訂正削除履歴が考慮されたシステムの利用、または、訂正削除ができないシステムの利用
- ●訂正削除の防止に関する事務処理規程の作成、および、運用
要件②:可視性要件
可視性とは、整然、明瞭かつ速やかに特定の文書を見つけ、提示することを求める要件です。可視性の要件はいくつかありますが、特徴的なのが検索性の要件です。電子帳簿保存法 電子取引要件の検索性では以下による検索を求めています。
- ●取引年月日
- ●取引先名
- ●取引金額
ただし、ダウンロードの求めに応じる場合のみ上記の主要三項目のみでの検索でよいとされています。もしダウンロードの求めに応じることが難しい場合には、加えて以下による検索が必要です。
- ●範囲検索
- ●複数条件検索
電子取引要件では必ずしも相手方に送付したファイルそのものの保存は必要ない
電子請求書配信システム上で請求情報をデータとして保存できるのであれば、請求情報をデータとして保存しても問題ありません。
よくある勘違いですが、相手方に送付した電子請求書事態をPDFファイルで必ずしも保存する必要はないのです。
問 40 自社が発行した請求書データの保存について、当該データに記載されている内容が事 後的にわかるものであれば、データベースにおける保存でもよいでしょうか。 【回答】 発行した請求書データの内容について変更されるおそれがなく、合理的な方法により編集 された状態で保存されたものであると認められるデータベースであれば問題ありません。 |
ただし、以下のように実際に相手方に送付したフォーマットに出力できることを推奨していますので、実際にデータベース上で対応する場合には所轄税務署への確認が必要になるでしょう。
なお、税務調査の際には、実際に先方へ提供したフォーマットに出力して確認をさせていただくこともありますのでご協力ください。 |
3.まとめ バックオフィスの業務効率化に電子請求書の活用がおすすめ
インボイス制度が施行されることでバックオフィス業務の負荷は著しく上がると想定されています。したがって、バックオフィスの業務効率化はほぼ必須であると言える状況ですバックオフィスの業務効率化には電子請求書配信システムの活用がおすすめです。
電子請求書を活用する場合、電子帳簿保存法 電子取引要件への対応も必要になりますので、電子帳簿保存法対応が可能、かつ、インボイス制度に対応した機能を搭載したシステムを選ぶようにしてください。
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この記事を書いた人
NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄
NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。
2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。
2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。