開業届を出さない人もいる?提出するメリット・デメリットとは

イメージ:開業届を出さない人もいる?提出するメリット・デメリットとは
公開日
2023-02-06
更新日
2026-03-04

個人事業主やフリーランスとして事業を始める際は、開業届と呼ばれる書類を税務署に提出する必要があります。

中には開業届を出さないまま事業を営む方がいるのも事実です。そのため「自分は開業届を出していいのだろうか」「開業届を出さないほうが得なのでは?」と迷っている方も多いのではないでしょうか。

本記事では開業届を出すメリットや、出さなくてもいいケースなどについて解説します。

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1.開業届とは

開業届は正式名称を「個人事業の開業・廃業等届出書」と言い、開業する際に税務署に届け出る書類です。個人事業主やフリーランスとして事業を開始する際には、この開業届を提出する必要があります。

開業届は所得税法によって定められた書類であり、開業した日から1ヶ月以内の提出が義務付けられています。

参照:[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続

1-1.開業届を出さなくてもペナルティはない

開業届は法的に定められた重要な書類ですが、出さないことによって罰金などのペナルティが課されることはありません。また、普通に事業を営む限り「開業届を出してください」といった通知が届くこともありません。

そのことから、開業届を出さないままフリーランスとして働いている人も中には存在します。しかし、開業届は任意で提出するものではなく、あくまで義務として定められているものであることを覚えておきましょう。

また、同じく開業時に提出する書類として「個人事業税の事業開始等申告書」があります。開業届が所得税に関わる書類であるのに対し、個人事業税の事業開始等申告書は都道府県税事務所に収める地方税に関する書類です。

確定申告をした際に都道府県に自動で通知されるため、出し忘れても問題にはなりません。開業届と同じく提出しなくてもペナルティはないため、提出せず知らないまま働いているフリーランスの方もいます。

参照:東京都主税局

2.開業届を提出するメリット

イメージ:開業届を提出するメリット

開業届は正しく提出することで、節税効果や社会的信用など多くのメリットが得られます。開業届を提出するメリットを6つ紹介します。

2-1.青色申告ができる

個人事業主の確定申告には青色申告と白色申告の2つの方法があります。青色申告とは、複式簿記と呼ばれる方法によって日々の売上や経費などの金額を帳簿付けすることにより、税制上のメリットを受けられる制度です。

青色申告を行う大きなメリットに「青色申告特別控除」があります。最大65万円の控除を受けることで、課税対象となる利益の金額を減らし、大きな節税効果を得られるでしょう。

なお、青色申告特別控除を受けるためには「所得税の青色申告承認申請手続」と呼ばれる書類を提出する必要があります。提出先は開業届と同じく税務署であるため、青色申告を行いたい場合は一緒に提出するとスムーズです。

参照:No.2070 青色申告制度

参照:[手続名]所得税の青色申告承認申請手続

2-2.屋号名義の銀行口座が開設できる

開業届にはビジネス用の名称である屋号を記入する欄があります。屋号の記入してある開業届の控えがあれば、屋号名義の銀行口座を開設することが可能です。

個人事業主がビジネス用の銀行口座を持つ場合は、自分の名前で開設しても構いません。しかし、お客様に請求をかける際に振込先が個人名であれば「本当に振り込んで大丈夫かな」などと、あまり良くない印象を与えてしまう可能性があるでしょう。

本格的に事業を営む際は開業届を提出することで屋号名義の銀行口座を開設し、信頼のおける事業であることを周囲に示すことが大切です。

2-3.家族への給与を経費にできる

青色申告を行う事業者が生計を1つにする家族に対して給与を支払う場合、基本的には給与は経費として認められません。しかし、以下をはじめとする条件を満たすことで経費とできる場合があります。

  • 青色申告を行う事業主と生計を1つにする配偶者や親族であること
  • 12月31日時点で15歳以上であること
  • 1年間を通じて6ヶ月を超える期間働いていること
  • 「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出していること

「青色事業専従者給与に関する届出書」は国税庁のホームページからダウンロード・作成ができます。

また、家族への給与が経費として認められる条件は細かく定められているため、国税庁のホームページも参考に対象であるかどうか確認してください。

参照:No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除

参照:[手続名]青色事業専従者給与に関する届出手続

2-4.赤字を最大3年間繰り越せる

青色申告を行う事業で赤字が発生しても、その損失額を3年間繰り越すことができます。例えば、開業して2年目まで赤字を出していた場合には、以下の通りに赤字を繰り越すことができます。
利益 累計額
1年目 -100万円 -100万円
2年目 -100万円 -200万円
3年目 300万円 100万円

3年目で300万円の利益が出ても、1年目と2年目に発生した赤字額を繰り越しているため、100万円の利益に対してのみ所得税が発生します。

この制度は青色申告を行う事業者に対して適用されます。開業届と「所得税の青色申告承認申請手続」を提出していなければ自動的に白色申告となるため、赤字を繰り越すことができなくなります。

参照:No.2070 青色申告制度

2-5.保育園に就労証明書として提出できる

保育園を利用するためには、親が働いていることを証明する必要があります。会社勤めの場合は会社に書いてもらった就労証明書を提出しますが、個人事業主の場合は自身で就労証明書を作成します。

ただし、地方自治体によっては自身で作成した就労証明書だけではなく、開業届の提出が求められることもあります。保育園を申し込む予定があるという方はあらかじめ開業届を提出し、控えを用意することを検討してもいいでしょう。

2-6.個人事業主であることを自覚できる

「これからフリーランスとして頑張っていきたいと思っているから」といった決意の気持ちで開業届を提出する方もいます。

開業届は出さなくても大きな問題になることはありません。それでも、事業を立ち上げたり会社から独立したりといったタイミングで開業届を出すことにより、気持ちを新たにすることができます。

3.開業届の提出時に注意するべきケース

イメージ:開業届の提出時に注意するべきケース

これまで解説してきた通り開業届の提出は義務であり、提出することによってさまざまなメリットが得られます。

しかし、中には開業届を出さなくてもいいケースや、よく検討した上で提出したほうがいいケースも存在します。本項では注意するべきポイントを3つ紹介します。

3-1.事業所得でなければ提出しなくていい

開業届を提出するのは、以下の所得が発生する事業を開始する時です。

  • 不動産所得:不動産の貸付などによる所得
  • 山林所得:山林の譲渡などによる所得
  • 事業所得:それ以外の事業による所得

不動産所得と山林所得は該当する事業が限られているため、多くの方の事業は事業所得に該当します。

ただし、事業所得と混同しやすい所得に「雑所得」と呼ばれる所得があります。雑所得は事業所得ではないため、開業届を提出する必要がありません。自分の収入は事業所得と雑所得のどちらであるか、まずは判断しましょう。

事業所得 雑所得
開業届の提出 必要 不要
意味 事業を通じて得た所得 その他の所得
当てはまるケース

以下の事業から生じる所得
・農業
・漁業
・製造業
・卸売業
・小売業
・サービス業
・その他の事業

所得税法における所得の区分で、他の9種類の所得に当てはまらないもの

事業を通じて得た所得は事業所得として認識されますが、フリマアプリやポイントサイトからの所得など、継続性のないものは雑所得とすることが一般的です。

参照:所得の種類と課税方法

3-2.扶養に入っている人は注意

配偶者の扶養によって健康保険組合に入っている場合、開業時には健康保険組合のルールを確認するようにしましょう。

被扶養者である条件は各健康保険組合が定めることができます。「年収130万円まで被扶養者として認める」という場合もあれば「所得130万円まで被扶養者として認める」という場合など、さまざまです。

健康保険組合によっては「自営業の配偶者は健康保険における扶養に入れない」と定めていることもあります。この場合、開業届を提出すると自営業とみなされてしまいます。

この条件によって健康保険の扶養を外れた場合には、自分で健康保険料を支払う必要があることを覚えておきましょう。

3-3.会社を退職した人はタイミングを検討

今まで勤めていた会社を辞めて独立する人で失業保険を受ける方は、どのタイミングで開業届を提出するのかをよく検討しましょう。

失業保険の給付を受け取る条件として「再就職する意思と能力があること」が定められています。開業届を提出した場合には再就職する意思がないとみなされるため、給付が受け取れなくなる可能性があります。

しかし、同じ雇用保険の給付の1つである「再就職手当」は開業届を提出しても受け取れる可能性があります。再就職手当を受け取れる条件の中に「7日間の待機期間満了後に、就職または事業を開始したこと」という文言があるためです。

会社の退職後に開業届を提出する際は、失業手当や再就職手当に関するルールをよく確認しましょう。

参考:再就職手当のご案内

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4.開業届の提出方法

開業届は、開業してから1か月以内に税務署へ持参・郵送・オンラインのいずれかの方法で提出する必要があります。

持参もしくは郵送を行う場合は、国税庁のホームページや税務署などから開業届を入手して記入します。オンラインでは電子申告システムの「e-Tax」や、freee株式会社の「freee開業」から入力・提出ができます。

前述した「青色申告承認申請書」や「青色事業専従者給与に関する届出書」など、税務署に提出する書類があれば同じタイミングで提出するといいでしょう。

4-1.開業届を出さないと白色申告になる

開業届を出さないで確定申告をすると、自動的に白色申告になります。また、開業届を出しても青色申告承認申請書を提出しなければ白色申告となります。

青色申告承認申請書には提出期限があるため、青色申告による確定申告を検討している方は注意が必要です。1月16日以降に開業した場合は事業を開始した日から2ヶ月以内、それ以外の場合は3月15日までに提出する必要があることを覚えておきましょう。

参照:[手続名]所得税の青色申告承認申請手続

4-2.開業届はさかのぼって提出できる

これまで解説してきた通り開業届は開業から1ヶ月以内に提出する必要がありますが、提出しなかった場合と同様に、提出が遅れた場合もペナルティはありません。

そのため、開業日から1か月を経過しても受理してもらえる可能性が高いでしょう。開業届の提出が遅れてしまっても、気づいた時点で提出するようにしましょう。

5.開業届に関するよくある質問

イメージ:開業届に関するよくある質問

最後に、開業届に関して疑問に感じやすいポイントを解説します。

5-1.開業届は収入なしでも提出した方がいい?

収入がない場合も事業所得が発生する事業であるなどの条件に該当する際には、開業届の提出が必要です。

青色申告を認められた事業者であれば最大3年間赤字を繰り越すことができるため、収入がない場合や赤字になる場合にも開業届を提出するメリットがあると言えるでしょう。

5-2.開業届を出さないフリーランスもいる?

開業届を出さなくても確定申告はできるため、開業届を出さないまま働いているフリーランスの方も存在します。

しかし、開業届を出さなくてもペナルティがないからと言って、出さなくていいわけではありません。開業届の提出はあくまで義務であることを覚えておきましょう。

5-3.開業届を出したら帳簿付けが必要?

開業届を出すと、日々の売上や経費などを帳簿に記録する必要があります。 特に、節税効果の高い青色申告で確定申告する際は、複式簿記と呼ばれる方法で帳簿づけを行います。

複式簿記とは、1回の取引で「借方・貸方」に分けて記載する方法です。例えば、100万円の売上が普通預金に振り込まれた時は以下のような帳簿付けを行います。

借方 貸方
普通預金 1,000,000 売上 1,000,000


また、控除額の少ない方法や白色申告で確定申告する場合には、単式簿記と呼ばれる簡易的な方法で帳簿付けを行うことができます。

いずれにしても、近年は会計ソフトを使って効率的に帳簿付けを行うことができるため、開業届の提出後は適切な方法で帳簿付けを行うようにしましょう。

参照:No.2072 青色申告特別控除

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6.まとめ

個人事業主として事業を開始する際は、開業届を税務署に提出する義務があります。しかし、提出しなくても罰金などのペナルティがないことから、つい後回しにしてしまっているというケースもあるでしょう。

開業届を提出することで節税などのさまざまなメリットが得られます。提出していないという方は、今からでも提出しましょう。

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