開業届のメリット・デメリットとは?注意点やよくある疑問を解説

イメージ:開業届のメリット・デメリットとは?注意点やよくある疑問を解説
公開日
2023-03-02
更新日
2026-03-04

事業を始める際に提出する開業届ですが、どのように提出すべきなのか、そもそも本当に提出する必要があるのかどうか迷っている方も多いのではないでしょうか。

開業届は開業時の提出が義務付けられていますが、提出することによってデメリットが発生する可能性もあります。

本記事では、開業届を提出しようかどうか迷っている方に向けて、開業届のメリットやデメリットについて解説します。「副業でも開業届を出すべき?」などの疑問にもお答えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

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1.開業届とは

イメージ:開業届とは

開業届とは、個人が新たに事業を始めたことを税務署に知らせるための書類であり、正式名称を「個人事業の開業・廃業等届出書」と言います。

事業を開始して1ヶ月以内に開業届を提出する必要があると所得税法によって義務付けられています。フリーランスとして働いているイラストレーターやデザイナー、飲食店や雑貨店といった店舗の経営者など、幅広い個人事業主が開業届を提出しています。

参照:[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続

1-1.開業届は出さない方がいい?

開業届は法律によって定められた重要な書類ですが、提出が遅れたり、提出しなかったりした場合にも、罰則が設けられていません。また、税務署などから「開業届を提出してください」といった催促をされることもありません。

このように開業届には曖昧な部分があり、開業届を提出しないままフリーランスとして働いている人も中には存在します。

また、開業届を提出して得られるメリットは複数ありますが、デメリットがあることも事実です。そのため、メリットやデメリットを比較し、自分の状況に基づいて開業届を提出するかどうか判断する人もいます。

2.開業届のメリット7つ

開業届のメリットを、以下の7つのポイントから解説します。

  1. 青色申告特別控除が利用できる
  2. 屋号名義で銀行口座を作れる
  3. 赤字を3年繰り越せる
  4. 家族への給与を経費にできる
  5. 小規模企業共済に入れる
  6. 就労の証明となる
  7. 個人事業主として働く決意ができる

2-1.青色申告特別控除が利用できる

イメージ:青色申告特別控除が利用できる

個人事業主が行う確定申告には、青色申告と白色申告の2つの方法があります。開業届と一緒に「青色申告承認申請書」を提出することで、青色申告が可能となります。

青色申告を行うメリットは、節税効果の高い青色申告特別控除が利用できることです。事業所得や不動産所得から得る所得金額から、最大65万円を控除することができます。

控除とは、所得金額から差し引くことで課税対象となる金額を安くすることです。65万円の青色申告特別控除を利用すれば、所得税や住民税を大幅に節税することもできるでしょう。

青色申告特別控除は65万円・55万円・10万円に分けられます。各控除と控除を受けるための条件は、下記の通りです。

申告方法 控除 条件
青色申告 65万円の青色申告特別控除

・複式簿記による帳簿付け
・電子申告

55万円の青色申告特別控除 複式簿記による帳簿付け
10万円の青色申告特別控除 単式簿記でOK
白色申告 最大10万円の控除 単式簿記でOK

参照:[手続名]所得税の青色申告承認申請手続

参照:No.2072 青色申告特別控除

2-2.屋号名義で銀行口座を作れる

開業届には、ビジネスにおける名称である「屋号」を記入する欄があります。 屋号を記入した開業届を税務署に提出し、受領印を押してもらった状態の控えがあれば、屋号名義の銀行口座を開設することが可能です。

個人名義の銀行口座を使って事業を行うこともできますが、振り込み先が個人名であれば、振り込み時に不安を感じる顧客もいるかもしれません。「本当に振り込んで大丈夫かな?」「本当に信頼のおける事業なのだろうか?」と感じさせ、良い印象を与えない可能性もあります。

本格的に事業を営んでいることを示すのであれば、屋号名義の銀行口座の方が望ましいと言えるでしょう。

また、事業を行う上では経理業務を行う必要がありますが、プライベート用の口座と事業用の口座を分けて入出金を明確に区別することが一般的です。

事業用の口座は個人名義でも構いませんが、せっかく新しく事業用の口座を作るのであれば、開業届を出して屋号名義の口座を作ることを検討してもいいでしょう。

2-3.赤字を3年繰り越せる

開業届をして青色申告をすると、事業によって発生した赤字を最大3年繰り越せるようになります。

例えば、1年目と2年目にそれぞれ50万円の赤字が出て、3年目に100万円の黒字が出たと仮定して考えてみましょう。各事業年度の利益と通算の額は、以下のようになります。

3年目に100万円の黒字が出ますが、それまでに繰り越していた赤字の合計額で相殺すると、3年目に課税対象となる利益は0円です。青色申告を行うことでこのような措置を受けることができ、節税効果につながります。

上記の例で白色申告を行った場合には、赤字を繰り越すことができず、3年目の100万円が通常の利益としてみなされます。

2-4.家族への給与を経費にできる

生計を1つにしている家族を従業員として雇う場合は「家庭内でお金が循環しているだけ」と認識されるため、給与が経費として認められません。しかし、以下の条件を満たすことで家族への給与を経費とすることも可能です。

  • 青色事業専従者に支払う給与であること
  • 「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出していること
  • 届出書に記載されている方法、金額の範囲内で支払われていること
  • 給与の額が労務の対価としてふさわしいこと

条件の中にある「青色事業専従者」とは、給与を経費として扱いたい対象の家族を指します。

その他にも、青色事業専従者として認められるためには細かな条件があるため、国税庁のホームページなどを参考に対応しましょう。

参照:No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除

2-5.小規模企業共済に入れる

小規模企業共済とは、個人事業主や経営者などが廃業したり、退職したりする時に、積み立てた金額に応じた給付金をもらえるものです。一般的な会社員が退職した時にもらえる退職金の代わりのような位置付けとして考えられています。

個人事業主が小規模企業共済に加入するためには、確定申告書の控えが必要です。しかし、開業したばかりでまだ一度も確定申告をしていないという場合には、開業届の控えでも構いません。

小規模企業共済への加入を早めに検討したいという方は、開業届の控えを使って手続きしましょう。

参照:小規模企業共済

2-6.就労の証明となる

保育園の申し込みの際は、働いている証明として「就労証明書」を提出する必要があります。会社員やアルバイトなどである場合には、勤め先の会社に記入・押印をしてもらいますが、個人で働いている場合には自分自身で記入します。

しかし、自分自身で記入すると信憑性に欠けるため、開業しているという証明として開業届や確定申告書の控えを提出することもあります。

2-7.個人事業主として働く決意ができる

開業届を提出することで、個人で働いていくという決意ができるメリットもあります。「これから独立して仕事をしていくんだ」という気持ちの切り替えになったという人も少なくありません。

3.開業届のデメリット3つ

開業届を出すことでかえって損をしてしまうケースもあるため、提出の際はよく検討することが大切です。本項では、開業届を提出することで被るデメリットを3つ紹介します。

  1. 扶養に入れなくなる可能性がある
  2. 失業給付を受けられない可能性がある
  3. 帳簿付けの手間が増す

3-1.扶養に入れなくなる可能性がある

配偶者などに扶養されている場合には、各健康保険組合が定める加入条件を確認するようにしましょう。

扶養者の健康保険組合に加入していれば、健康保険料を払わなくても健康保険に加入できます。しかし、扶養として認められるための条件は各健康保険組合が定めることができるという点に注意が必要です。

所得金額で条件を定めているケースもあれば「個人事業主は扶養対象と認めない」としているケースもあります。開業しても変わらず健康保険に加入していられるかどうか、健康保険組合に詳細を確認しましょう。

開業によって扶養から外れてしまえば、保険料が自己負担となってしまうため注意しましょう。

3-2.失業給付を受けられない可能性がある

失業保険は失業者が次の仕事を見つけるまでの支援を行う保険であり、個人事業主は基本的に対象ではありません。開業すると「再就職の意思がない」とみなされて、失業給付を受けられなくなる可能性があります。

会社を辞めて個人事業主として独立する方で、失業給付を受け取りたいという方は、開業のタイミングに注意しましょう。また、タイミングややり方次第では失業給付を受けられる可能性もあるため、ハローワークに問い合わせて最終的な判断を行うようにしましょう。

3-3.帳簿付けの手間が増す

経理業務における帳簿付けには「単式簿記」と「複式簿記」の2種類があります。本記事でも解説した青色申告特別控除の制度を利用して65万円もしくは55万円の控除を受けるためには、複式簿記での帳簿付けが必要です。

複式簿記は「借方・貸方」 などのルールに基づいて帳簿付けを行うものであり、複雑に感じる方もいるかもしれません。そのような事務作業が苦手な方であれば、ストレスを感じることもあるでしょう。

しかし、開業届を提出して青色申告を行う場合にも、10万円の控除で構わないという場合には単式簿記による帳簿付けも可能です。

単式簿記は複式簿記に比べてルールがシンプルで、お小遣い帳や家計簿のような感覚で帳簿付けを行うことができます。

複式簿記による帳簿付けをどうしてもやりたくないという方は、まずは単式簿記で10万円の青色申告特別控除を利用してもいいでしょう。

参照:No.2072 青色申告特別控除

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4.開業届のQ&A

イメージ:開業届のQ&A

最後に、開業届に関するよくある質問と、それに対する回答についてまとめて紹介します。

4-1.副業でも開業届を出す?

開業届は「事業所得・不動産所得・山林所得」が発生する事業に対して提出するものです。一般的な事業は事業所得に該当しますが、副業の場合には基本的に雑所得や一時所得として扱われます。

「事業所得」に該当するのは、以下の全てに当てはまっている状態である所得です。

  • 反復継続性がある
  • 営利性・有償性がある
  • 自己の計算と危険において独立して営まれている
  • 事業として客観的に成立している

つまり、本格的に行っている事業は「事業所得」に、それ以外の副業は「雑所得・一時所得」に該当する可能性が高いということです。

本記事でも説明した65万円の控除を受けるためには、事業所得もしくは不動産所得である必要があります。副業が雑所得もしくは一時所得とみなされれば、65万円の控除が受けられません。

本業が別にある状態で開業届を提出しようと思っている方は、この点を押さえた上で提出を検討しましょう。

参照:所得税法における「業務」の範囲について

4-2.開業届を出したら会社にバレる?

「開業届を出せば会社に副業がバレるのではないか」と考える方もいますが、開業届の提出が副業がバレる直接の原因となることは考えにくいでしょう。

会社に副業がバレる原因となりやすいのが、住民税の天引きです。確定申告時に住民税の項目で「給与から天引き」を選択してしまうと、給与と副業による収入の両方に対する住民税が会社に知られてしまいます。

「住民税が多すぎるのではないか」と不審がられて、副業がバレる原因となりやすいため注意しましょう。

また、開業届を出していなくても確定申告で「給与から天引き」を選択すると、副業がバレる可能性が高まります。

4-3.開業届をさかのぼって提出することはできる?

開業届は事業を開始してから1か月以内に提出するものと定められていますが、提出が遅れても罰則を受けることがありません。そのため、実質的には古い日付の開業届を出すことも可能となります。

「古い日付の開業届を税務署に提出しても、受け取ってもらえた」という方も実際に存在します。過去の開業届を出したいという方は、遅くなっても提出するようにしましょう。

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5.まとめ

開業届は提出することで青色申告できるようになったり、屋号名義の銀行口座が作れたりなどのメリットがあります。反面、開業届を出すことでかえって損をしてしまうケースもあります。

開業届の提出は義務ではありますが、提出の際は本記事で解説したポイントをよく確認するようにしましょう。

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