テレワークによる生産性向上

テレワークで生産性はどう変化する?
課題・対策・事例を紹介

テレワークは一人ひとりが別々の場所で働くため、業務効率や生産性にどのような影響を与えるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。テレワークは自分の仕事に集中しやすい環境である一方、コミュニケーション面やオン・オフの切り替えがしにくいなどの課題や、長時間労働になりやすい側面もあります。本記事では、業務の生産性におけるテレワークの良い面・悪い面や、その解決方法について事例を交え紹介していきます。

1. テレワークで生産性を下げがちな5つの要素

在宅勤務をはじめとしたテレワークはその性質上、オフィス勤務に比べて生産性が下がる場合もあります。生産性を下げる可能性のある5つの要素を、理由やデータを交えて紹介します。

①コミュニケーション量・質の低下

オフィス勤務では会話や相談が気軽に行われやすいため、コミュニケーションが取りやすく、業務をスムーズに進めることが可能です。一方、テレワークではWeb会議などの対面での会話は、基本的に会議の時間を事前にとることが前提であり、気軽な相談をする機会が減りがちです。

チャットツールを活用することで、オンライン上のテキストでのコミュニケーションは取りやすくなりますが、対面でのコミュニケーションに比べると相手の表情などがわかりにくく、意思疎通に苦労する場合もあります。

また、業務効率だけなく、情報共有の頻度や質の低下、アイディアの共有やディスカッションの機会も減ることによるクリエイティビティの低下など、生産性の低下につながる要素もはらんでいます。

とくにチーム間で連携・確認を取りながら進める必要のある業務は、意思疎通が少ないことで生産性の低下に直結します。細かいリアクションやニュアンスが伝わりづらく、同僚と会う頻度も減るためストレスやメンタルヘルスの問題につながる可能性もあります。

②業務の進捗状況の把握が難しい

テレワークでは、オフィス勤務に比べて業務の進捗状況の把握がしにくい傾向があります。オフィスでは気軽に進捗確認をできますが、テレワークでは意識的な報告と確認、またそれを実現させる仕組みが必要です。

③労働状況や業務プロセスの把握が難しい

テレワークでは、オフィス勤務と比べて仕事への取り組み方を把握するのが難しく、従業員の仕事への意欲の低下に気がつけず、いつの間にか生産性が低下している場合があります。オフィスで同僚や上司がいることが良い意味で監視になり、さぼりの防止になっていることもあります。

また、労働環境や業務プロセスの把握が難しいことにより、適切な評価がされているか懸念を抱く従業員も多いです。

ただし、テレワークに関して2024年7月に日本生産性本部が実施した調査によると、労働力人口の減少や就労環境の変化、働く人の価値観の多様化等に伴い、テレワークの実施率は14.8%となり過去最低となりました。しかし、現在もテレワークを実施している回答者にはテレワークによる仕事効率の向上や満足度の高さ、継続を望む声が多く見受けられています。

④仕事のオン・オフの切り替えが難しい

テレワークでは自宅で業務を遂行することも多く、仕事とプライベートのオン・オフの切替えが難しくなり、業務量に対してオフィス勤務よりも業務時間が長くなる傾向にあります。長時間労働のわりに生産量が上がらず、仕事の評価への影響や、チームでの業務での進捗を遅らせる要因になり、ワークライフバランスを崩すことで心理的な悪影響につながることも考えられます。

⑤自宅の作業環境が整っていない

オフィス勤務では会社のデスク・パソコンなどの快適に仕事ができる設備が整っていますが、在宅勤務の場合はオフィスに比べ設備が貧弱で効率が落ちるという人も多いです。

2024年7月に日本生産性本部が実施した調査によると、テレワークにおける課題として、31.3%が「部屋、机、椅子、照明など 物理的環境の整備」と回答し、36.2%「Wi-Fiなど、通信環境の整備」と回答しており、自宅の作業環境に課題をもっていることになります。

2. テレワークで生産性を上げるための4つの方法

前述した生産性が下がる要素を解消して、テレワークならではのメリットを上手に享受できるようになるための4つの方法を紹介します。

①コミュニケーションを意識的に増やす

テレワーク導入後にはどうしてもコミュニケーション量は減りがちなので、意識してコミュニケーションを増やす取り組みをしましょう。

  • 同僚やチームメンバー同士での気軽なコミュニケーションの場を、仕組みとして作る(心理的安全を担保し信頼感の低下を防ぐ)
  • 管理職・上司・リーダー・部下同士での朝礼、終礼などの実施(オン・オフの切替え、労働状況のキャッチアップ)

オフィスに出勤することが少なくなり、気軽に話せる機会が減るため、テレワークではコミュニケーションの場を意識的に作りましょう。参加するハードルが低く、参加後は自然とコミュニケーション量が増えるような、「雑談の場」などもテレワークでは非常に重要です。

②勤怠管理と評価制度の見直し

オフィス勤務時の勤怠管理と評価制度をそのままテレワークで利用するのではなく、テレワークに適したものに調整しましょう。勤務態度がまわりから見えにくくなることによる、自己管理力の低下を防いだり、評価による不満足感の解消などにつながります。

テレワークを実施する以前の習慣として、従業員の勤務態度をオフィスでその都度目視でチェックしていたのであれば、業務内容報告のひな形を作成して確認するなどの仕組みをつくるのも有効です。評価制度も勤務態度による評価を減らして、成果物重視に変更するなどできるだけフラットな仕組みにできれば、生産性向上につながるでしょう。

③自社に最適なITツールの導入

現在テレワークに必要なITツールを利用していない場合、導入を検討しましょう。ITツールを導入しているもののうまく活用できていない場合は、自社にあったITツールやサポート体制が強いベンダーへ切り替えるなどの見直しを行い、同時にITツールを利用する際のルールづくりも行いましょう。

代表的なITツールとしては、以下が挙げられます。

  • Web会議・Web商談用のビデオチャットツール
  • データ共有用のオンラインストレージ
  • 社員やチームメンバー用のビジネスチャット
  • 勤怠管理や労務管理システム
  • ワークフロー承認システム
  • オンライン新人研修システム
  • 社内Q&A作成ツール

また、担当する業務や部署によって、テレワークでの生産性向上につながるツールもあります。

  • 営業:SFA(営業支援システム)、CRM(顧客関係管理システム)
  • マーケティング:MA(マーケティングオートメーション)
  • 事務、総務、経理:電子契約、経費精算ツール

基本的にどのツールも対面で業務を行う非効率さを解消するためのツールであり、テレワークとの相性は抜群で、これらを導入することで、テレワーク環境での生産性向上が見込めます。

④業務プロセスなどの可視化

オフィス勤務では明文化しなくても当たり前に行っていた業務プロセスを、テレワークではしっかりと可視化することが大事です。

オフィスではメンバー間での仕事の割り振りなどを臨機応変に行える一方で、属人的な作業になりがちでしたが、テレワークでは分業化することで作業範囲が明瞭になり遅延リスクの低下につながります。

新人教育やジョブローテーションなどによる人材育成は、オフィス勤務よりもまだハードルが高いですが、ドキュメントや動画などで形式知化されたものがあればスムーズに行うことも可能です。

業務プロセスや進捗状況を管理できるITツールを導入すれば、状況をデータで管理できるため、業務状況の把握はむしろオフィス時代よりも、定量的かつ正確になる可能性もあります。

3. テレワークで生産性はどう変化するか

2020年から新型コロナウイルス感染症の影響で外出自粛が続いていましたが、それからの1年で少しづつ生産性に関する調査やデータが増えてきました。

テレワークでの生産性は上がるケース・下がるケースの両方があるようで、テレワークというオフィス環境とは違う働き方に企業・部署単位でどのように適応できるかが、鍵となっています。

①テレワークとオフィス勤務それぞれの良さ

テレワークとオフィスワークではそれぞれ別の観点から、生産性が上がる要素を持っています。

(1)テレワークの生産性

テレワークは働く場所が自由に選択できるため、通勤時間の減少やストレス低下などによるワークライフバランスの向上や、そこからの好影響で生産性の向上にも期待できます。

従業員単位だけでなく社会全体でみても、育児や介護との両立や地方や海外在住者への雇用創出につながり、全体的な生産性向上が期待されます。

(2)オフィス勤務の生産性

一方で、従来のオフィス勤務も、テレワークにはないメリットがあります。

  • 仕事環境が自宅より整備されている
  • 細かなコミュニケーションがしやすい
  • 社員教育がしやすい
  • 企業文化が醸成されやすい
  • アイディア共有などによる新しい取り組みが生まれやすい

(3)テレワークとオフィス勤務を組み合わせる

2024年7月に日本生産性本部が発表したデータによると、テレワーカーの2021年4月時点でのある一週間のうちの「出社日数」は以下となっています。

0日 1〜2日 3〜4日 5日以上
18.4% 31.3% 31.3% 19%

テレワークを実施している人の82%は週に1日以上出勤している計算になります。テレワーカーといえど、ほとんどの人はテレワークとオフィスワークを併用しており、テレワークとオフィスワークがそれぞれ持つ生産性へのメリットを生かすことができれば、新しい働き方のモデルになり得ます。

②テレワークでの生産性に関する事例

コロナ禍になって数年が経過し、生産性に関する事例が発表されていますので紹介していきます。

イギリスの事例

ロックダウン以前と以後の労働時間あたりの生産量の変化について調査した、イギリスのデータを紹介します。ロックダウン後の生産性について、ロックダウン以前より1時間あたりで「少し」または「はるかに多く」の作業を終わらせられていると答えた回答者は全体の54%で、ロックダウン前と変わらないと回答した人を合わせると90%近くが生産性を維持または向上したとのことです。

同調査では、生産性の高さとメンタルヘルスの高さの関連性についても指摘しており、最も生産性の高い人のメンタルヘルススコアは最低の生産性の人の2倍もあるとのことです。

4. まとめ

本記事ではテレワークにおいて生産性が下がる5つの要素と、対策として4つの方法、事例などを紹介していきました。

テレワークとオフィス勤務はそれぞれメリットとデメリットがあり、良いところをうまくハイブリッドさせることで生産性の向上が見込めます。

しかしながら、十分な対策もなくテレワークを開始してしまうと悪い面が先に出やすく、生産性が落ちかねません。

テレワーク導入には、しっかりとした手順と信頼できるパートナーが必要です。

本記事や以下のリンクからダウンロードできる「テレワーク導入ガイドブック」を、ぜひ参考にしてみてください。

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