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北海道上士幌町は、α'モデル(ローカルブレイクアウト)への移行とMicrosoft 365の導入をNTT東日本へ依頼。コミュニケーション活性化や業務効率化を実現し、住民サービス向上にもつながる基盤を整備しました。
Index
北海道上士幌町

(左から)NTT東日本 ビジネスイノベーション本部 公共SE部 第一自治体部門 藤田、上士幌町 デジタル推進課 主査 寺林氏、主事 小林氏、課長 梶氏、主査 山﨑氏、NTT東日本 北海道東支店 第一地域基盤ビジネスグループ 地域基盤ビジネス担当 ITコーディネータ・防災士 古坐、シニアコンサルタント 前谷
Summary

上士幌町 デジタル推進課 課長 梶氏

上士幌町 デジタル推進課 主査 山﨑氏
――α'モデルへの移行の背景をお聞かせください。
山﨑氏:行政DXを本格的に推進するため、令和2年度に企画財政課内にICT推進室を発足させ、令和4年度にはデジタル推進課へと改編しました。情報システム部門も当課へ移管し、職員が本当に働きやすい環境を基盤から見直そうという動きが加速したのが背景です。しかし、行政の三層分離構造はセキュリティこそ堅牢ですが、クラウド利用においては障壁となり、業務効率化が進みにくいという課題がありました。
梶氏:具体的な課題については、課を横断したICT推進プロジェクトチームを立ち上げ、各課の声を拾い上げました。最初は意見が出にくかったのですが、NTT東日本から派遣されていたデジタル人材の方の協力を得ながら丁寧にヒアリングを進めると、「ふるさと納税のワンストップ特例申請の手入力業務が大変」「検診票の入力で困っている」といった具体的な現場の課題が浮かび上がってきました。
――今回、α'モデルの環境構築とMicrosoft 365の導入をNTT東日本に依頼いただいた決め手は何でしょうか。
山﨑氏:総務省のガイドラインに沿おうとすると、なかなか抜本的な改革案が出にくい状況でした。そんな中、NTT東日本から提案されたα'モデルは、特定の通信のみを直接インターネットへ接続するローカルブレイクアウトの技術を採用しており、セキュリティを担保しつつクラウドへ接続できる、コストと実現性のバランスに優れた最適解でした。
βモデルやβ'モデルも検討しましたが、ネットワーク機器やサーバー類を大幅に改修する必要があるので、多額のコストがかかります。一方、α'モデルは構成変更を最小限におさえられ、コストバランスに優れていたのが決め手になりました。
α'モデルは当時まだ先行事例が少なかったのですが、NTT東日本が他自治体の事例や技術について、熱心に調べて共有してくれたので助かりました。
ローカルブレイクアウトで接続した先に入れるソフトウェアとしては、Microsoft 365を選びました。職員の端末更改のタイミングと重なっていたので、この機会に買い切り型ライセンスからサブスクリプション型のライセンスへ変更しました。Microsoft TeamsやMicrosoft Copilotなどの最新機能を使い倒し、コストメリット以上の業務改善を実現したいと考えたのです。
梶氏:NTT東日本はマルチベンダーなので多様なソリューションを扱っており、上士幌町の規模に最適なソリューションを柔軟に提案してくれました。グループ会社を含めた組織力を活かして、最適なものをスピーディに提案してくれる柔軟さやフットワークの軽さがあり、総合力に優れていると感じました。

上士幌町 デジタル推進課 主事 小林氏

上士幌町 デジタル推進課 主査 寺林氏
――構築にあたって苦労した点はありますか。
小林氏:ローカルブレイクアウトによるクラウド接続は利便性が高い反面、セキュリティ対策は不可欠です。今回、データの無害化やプライバシーの保護、運用方針の見直しなどが必要となり、構築に時間を要しましたが、NTT東日本が間に入って既存ベンダーとの協議もリードしてくれたので助かりました。
α'モデルへの移行に伴うセキュリティポリシーの変更もNTT東日本からアドバイスをもらいながら進められました。外部監査についても全面的にサポートしてもらい、スムーズに対応できました。運用面では、SOC(Security Operation Center)も提供してもらっており、導入から運用までのトータルでセキュリティ対応を任せています。
山﨑氏:特に大変だったのはネットワーク構成の整理です。職員の異動で引き継ぎが十分にできておらず、構成がブラックボックス化していました。紐解いてみると全容はかなり複雑で、ここまでかと驚いたほどです。NTT東日本、既存ベンダー、役場が協力して整理できたのは大きな成果でした。
――職員のみなさんへの定着はどのように進めましたか。
小林氏:NTT東日本にMicrosoft 365のハンズオン研修を全職員対象に複数回実施してもらいました。加えて、上士幌町の若手職員チーム「かみしほろワークイノベーターズ」(通称KWI)のメンバーが、各課でサポート役となり、操作方法を広めました。最初のうちは、「慣れている前のツールのほうが良かった」という声もありましたが、研修やサポートを重ねることで新しいツールが着実に浸透していきました。今では「従来よりも便利になった。導入前には戻れない。」という声が挙がるまでになりました。

α'モデルの移行とMicrosoft 365の導入、パソコンの小型化により、自席に縛られない自由な働き方が実現

令和4年度に発足したデジタル推進課がDXを主導してきた

上士幌町庁舎。今後、3階部分を減築して耐震化を図り、隣接する旧消防庁舎を解体して町民ホールを新築する予定
――移行後、どのような効果がありましたか。
小林氏:Microsoft 365の導入により、職員間のコミュニケーションが活性化しました。Microsoft Teamsのチャットで気軽に連絡しあうようになり、体感として電話連絡が半分以下に減っています。複数人やチーム全体へ一斉に発信しやすいのも便利です。現在は庁内の連絡のみですが、今後庁外でも使えるようになると、さらに活用が広がりそうです。
また、これまではLGWAN接続系とインターネット接続系の端末が物理的に分かれていたため、メール確認のために席を移動したり、データを移すためにUSBメモリや転送システムを使ったりする必要がありました。今はLGWAN端末だけでそれらが完結するため、職員からも「業務が楽になった」という声が寄せられています。
山﨑氏:ちょうど端末の更改タイミングでしたので、端末の小型化と無線化も同時に行いました。これにより、パソコンを会議室や外部施設へ持ち運べるようになり、会議資料のペーパーレス化が進むと同時に、印刷や配布の手間も省けています。
運用面でいうと、Microsoft 365にはセキュリティ対策からチャットツールまで集約されているため、管理が効率的です。今後Microsoft SharePointへファイル管理を移行する予定なので、Microsoft 365をさらに活用しやすくなり、コストパフォーマンスも高まると考えています。
またクラウド化を推進すると庁内にサーバーを置く必要がなくなり、電力消費の削減にもつながります。上士幌町は脱炭素先行地域としてSDGsを推進しており、その取り組みにも貢献できます。
梶氏:デジタル推進課では先行してMicrosoft CopilotのAI活用を始めています。オンライン会議の議事録作成などを自動化しており、現時点でも職員が本来の業務に集中できる時間が増えて、非常に助かっています。
パソコンの持ち運びができるようになったことで、管理業務の負担も減りました。これまでは席ごとの設定が必要で、異動のたびにパソコンを置いていく必要がありましたが、今は自分の端末を持って異動先ですぐに業務を開始できるため、再設定の手間がなくなりました。
寺林氏:既存のローカルActive DirectoryとMicrosoft 365のIDを紐づけて一元管理できるようになり、ID管理も非常に楽になりました。
――今後の展望をお聞かせください。
梶氏:今後は、整備したα'モデルの基盤上に、住民向けの情報発信・サービス基盤である「かみしほろスマートパス」を連携させ、住民と行政のプラットフォームを一本化していきたいと考えています。将来的な庁舎の減改築も見据えており、たとえば町民ホールなどの施設予約を、住民も職員も同じシステムで確認・管理できるようにしていきたいです。NTT東日本には、グループの総合力を活かした最適なソリューションの提案を期待しています。
山﨑氏:行政DXは、職員の働く環境の改善も重要ですが、最終的には住民サービスの向上につながらなければ意味がないと思っています。ローカルブレイクアウトにより情報を外部に出しやすくなったことで、住民サービスをより便利に、高度にしていけるでしょう。住民にとって住みよい、幸せな地域にしていきたいと思います。
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