
集合住宅向け 全戸一括 光回線インターネットサービス
フレッツ光 全戸加入プラン パンフレット

著者 上野 典行(プリンシプル住まい総研 所長)
例年、コラム記事で調査しているインターネット無料物件比率。
2026年の最新データを集計しました。今年はどうなっているのでしょう。
実は、大きな変化が見られる状況となりました。
Summary

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Index
結果は42.3%、昨年とほぼ同率の数値となりました。
2年連続で4割を超える比率。
お部屋探しをしようとSUUMOなどのポータルサイトを開けば、全国ですでに4割の物件がネット無料です。
検索する際の条件で、「お得だしネット無料の物件が良いな」となれば、6割の物件がその時点で対象外にされてしまうという事態です。

プリンシプル住まい総研株式会社調べ。全国県庁所在地最寄駅の1R・1K・1DK(戸建て賃貸除く)SUUMO掲載物件より。
(調査日:2023年7月13日、2024年6月1日~3日、2025年8月1日・2日、2026年8月2日)
築年別にみると、以下のようになりました。
全体では1%の微減ですが、新築は86.6%、築1-5年も90.7%と築浅は比率が高く、築5-10年でも77.2%と高い比率です。
新築での建設時にネット無料の賃貸がまだ浸透していなかった築10年以上では、築10-20年で29.4%、築20-30年で31.8%、築30年以上では40.1%となっています。

プリンシプル住まい総研株式会社調べ。全国県庁所在地最寄駅の1R・1K・1DK(戸建て賃貸除く)SUUMO掲載物件より。
(調査日:2023年7月13日、2024年6月1日~3日、2025年8月1日・2日、2026年8月2日)
42.3%という比率はかなり高い数字ですが、前年よりは1%の微減。
これまで毎年伸びてきたネット無料比率が、わずか1%とはいえ、下がったのはなぜでしょう。
その理由のひとつが、新築の供給が減ってきていることです。
新築・築浅物件はネット無料比率が高いのですが、その着工数に陰りが見えています。これは、中東情勢や円安により建築資材の価格が高騰し、かつ、働き方改革や高齢化など様々な要因で人件費も高騰しています。すると、賃貸物件の建築にかかる費用が高くなり、利回りが合わなくなってきているのです。
国土交通省によると、新設住宅着工戸数(貸家)は、2022年は34万4,577戸、2023年は34万4,042戸、2024年は34万2,190戸、と34万戸台でしたが、2025年は32万3,747戸に減少しました。
着工から完成まではタイムラグがありますので、2万戸に及ぶ新築着工数の減少が、ネット無料比率全体の微減に確実に影響しています。
特に、地方圏で新築供給が減っているということが調査の過程でもわかりました。上昇した建築費を、家賃に転嫁することが地方ほど難しいという事情があるからでしょう。

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プリンシプル住まい総研株式会社調べ。全国県庁所在地最寄駅の1R・1K・1DK(戸建て賃貸除く)SUUMO掲載物件より。
(調査日:2023年7月13日、2024年6月1日~3日、2025年8月1日・2日、2026年8月2日)
ここ5年、新築物件は「建設時にネット無料を導入しておくのが当然」という状態でした。
一部の新築や築浅で、居住用の分譲マンションを購入し区分所有で賃貸として提供するようなケースでは、ネット無料でない物件もあります。ネット無料導入の多くは、一棟丸ごとオーナーが所有しているケースで、まとめて契約することでコストメリットが出ますが、区分所有ではあまり価格のメリットが出ないためです。
しかし、区分所有物件だけでなく、一棟物件でも「新築でありながらネット無料を導入していない」という物件が出てきています。
新築で94.8%→86.6%。築1-5年で92.2%→90.7%と減少したネット無料物件比率には、こうした影響が出ているものと思われます。
これも、建築費の高騰が一因です。
見積を見て「高いなあ」「なんとか下げられないか」となると、時には「ネット無料を導入するのをやめれば、費用が抑えられる」といった考え方や妥協も起こりやすくなります。
実際に、「年間の家賃収入」÷「物件の建築費(もしくは購入費)」である表面利回りが悪化しています。
下記の健美家のレポートによると、収益物件アパートの価格は2025年から上昇傾向であるのに対し、利回りは上昇していないことが分かります。

一棟アパートの利回りと価格の推移
健美家株式会社「収益不動産市場動向四半期レポート2026年4月~6月期(2026年7月22日)」より

また先々、築5年、築10年と年数が経過すると、同じエリアの新築のほうが人気が出ての苦戦も想定されます。
結局、建築後しばらく経ってから「ネット無料にする」という判断をすることで、投資対効果のメリットが少なくなることもあります。
東京商工リサーチの調べによると、2026年上半期(1~6月)のハウスメーカー倒産は118件で、前年同期から約87%増加しています。2013年以来、13年ぶりの水準です。
資材や建築費の高騰が、ネット無料比率に影響を与える状況にまでなり、コスト競争がオーナーの経営・建築会社の経営・入居者の住環境にじわじわと影響を及ぼしているといえるでしょう。
一方で、築古物件は、人口減少の流れの中で空室が増えており、適切な空室対策が求められています。
特に築30年を超える物件では、バス・トイレが一体型、温水洗浄便座がない、和室や押し入れ、など、設備面で築浅物件に対する競争力が落ちているケースも少なくありません。
実はこうした築30年以上の物件で、2023年から2026年の間で、29.2%→33.9%→37.9%→38.7%と、ネット無料の比率が上がっています。
その比率は築10-20年や築20-30年の物件を上回っており、いかに、全国の収益物件オーナーが設備強化に知恵を絞っているのかがわかります。

プリンシプル住まい総研株式会社調べ。全国県庁所在地最寄駅の1R・1K・1DK(戸建て賃貸除く)SUUMO掲載物件より。
(調査日:2023年7月13日、2024年6月1日~3日、2025年8月1日・2日、2026年8月2日)
時代の潮流は常に変化します。最新の入居者の希望にあわせた設備強化もしながら、空室対策を続けていくことの重要性が、今回のデータからも読み取れます。
是非、参考にしてください。

執筆:上野 典行(うえの のりゆき)
【プロフィール】プリンシプル住まい総研 所長
1988年慶應義塾大学法学部卒・リクルート入社。リクルートナビを開発後、住宅情報タウンズ・住宅情報マンションズ編集長を歴任。現スーモも含めた商品・事業開発責任者・ディビジョンオフィサー・賃貸営業部長に従事。2012年1月プリンシプル住まい総研を設立。All Aboutガイド「賃貸」「土地活用」。日管協・研修副委員長・中国ブロック副ブロック長。全国賃貸住宅新聞連載。全国で講演・企業コンサルティングを行っている。

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