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東京都市大学では、地震・異常気象を背景に、持続可能なシステムの構築が求められていたことから、教育研究用システムをクラウドシフトする方針を固めました。また、職員用パソコン端末については、在宅勤務など働き方改革へ対応できるゼロトラストを採用。これらの更改をNTT東日本に依頼しました。構築後は災害に強い情報システムが完成し、学生のBYOD対応や対面/オンラインのハイブリッドを想定した情報授業環境を実現。オフィスのフリーアドレス化や在宅勤務など新たな働き方改革にも対応できています。大学として教育や研究の場を災害やパンデミックなどの緊急事態でも滞りなく提供したいという使命感のもと進めた案件の経緯や成果について、東京都市大学のご担当者にうかがいました。
Index

Summary
――今回、教育研究用システムと職員用パソコン端末の更改にあたり、事前にどのような課題がありましたか。
平森氏:地震・異常気象を背景に、より持続可能なシステムが必要であり、構築を検討していました。 台風による被害もあり、教育・研究活動を確実に継続できる環境整備は大学の義務と考え、進めました。
田原氏:またコロナ禍では、職員や教員が突然の在宅ワークを余儀なくされ、リモートでもセキュアで安全な業務環境の整備が必要になりました。さらに学生の学びの環境も変化しました。たとえば以前は、学生は構内のパソコン教室でパソコンを使用していましたが、BYODの導入を決めており、こうした方針転換にも対応する必要がありました。
これらの背景から、教育研究用システムと職員用パソコン端末のいずれもMicrosoft365を中心に整備し、教育研究用システムはオンプレミスからクラウドシフトへ、職員用パソコン端末は境界型からゼロトラストへシフトして更改するという大きな方針を決めました。

――教育研究用システムと職員用パソコン端末の更改、どちらもNTT東日本に依頼いただいた理由は何でしょうか。
大野氏:NTT東日本には台風による被害時にシステムの相談をしたことがきっかけで、更改提案が拡がっていきました。教育研究用システムのクラウドシフトに当たっては、複数の会社に同時進行で話を聞いていたのですが、NTT東日本はコミュニケーションが非常にスムーズだったので安心できたのが一つです。必要があればベンダーとの打ち合わせの場を設けて不明点もすぐに解消してくれました。
大学側はクラウドシフトに関する知見はほとんどありませんでしたが、私たちが実現したいことを伝えると、こちらの意図を踏まえつつ、費用面や技術面も考慮して「こういう形なら実現できるのではないか」と実現可能性の高い提案をしてくれました。最終的には入札で決めていますが、大学側の意図をくみ取り、やりたいことを形にした提案を評価しました。とくにMicrosoft365を活用したゼロトラスト環境の構築については、NTT東日本が自社ですでに実践されているので、提案内容が一段上の印象を受けました。


――実際の導入はいかがでしたか。
田原氏:半導体不足により、教育研究用システムの更改が約1年遅れ、結果的に職員用パソコン端末更改と引き渡しのタイミングが同じになりました。そのため検証作業のタイミングなどが重なり、大変な時期もありました。
ただ、後ろ倒しになった期間を活用して、IDaaS(※5)の導入部分などは時間をかけて事前準備や検討を実施でき、運用後のトラブル回避につなげられたと思います。具体的には、Microsoft Entra ID をIdP(※6)としてSSO(シングルサインオン)を実現して利便性向上を図ったり、Microsoft Authenticatorを使った多要素認証でセキュリティ強化などをしています。
平森氏:そのほか大学にはANSYS(解析ソフトウェア)をはじめ、専門的なソフトウェアが多数あり、ライセンス管理や移行が煩雑ですが、NTT東日本はそうしたノウハウもあり、しっかりサポートしてくれました。また、ネットワーク工事も他社と調整しながら進めてくれて、最終的にシステムのクラウドシフトから、キャンパスとSINETの接続などネットワークの工事まで問題なく完了しました。
大野氏:途中、メインで担当してくれていたSEの方が異動になり、聞いた当初は不安でしたが、後任の人にしっかり引き継がれておりNTT東日本の仕事の進め方にも信頼がおけました。そもそも教育研究用のシステムと職員用パソコン端末の更改案件は担当チームが違うのですが、そこもしっかり情報が共有されており、同じチームとやりとりしている感覚でした。
※5IDaaS(Identity as a Service)とは、複数のサービスのIDやパスワード情報を統合管理できるクラウドサービス
※6IdP(Identity Provider)とは、ユーザーの認証情報を一元管理してシングルサインオンを実現する仕組み
――構築後の運用状況はいかがでしょうか。
平森氏:構築後はスムーズに授業開始ができました。BYOD化でキャンパス内のどこにいてもネットワークがつながるので、学生同士でのグループミーティングを開催しやすくなり、アクティブラーニングも推進されています。
本学には海外留学制度があるのですが、以前はセキュリティの懸念から留学中の学生は海外から教育研究用システムを使えませんでした。今回、Microsoft365の機能を使ってセキュリティ対策が整い、海外からのアクセスも可能になりました。多言語対応できるので留学生の受入れや国際化にも適しており、教育と研究の幅が広がっています。

田原氏:以前は、授業の資料をパソコン教室の端末からプリントする前提のシステムだったので、学生が自分の端末から印刷しようと思うと、ドライバーのインストールが必要で、うまく印刷できないケースもありました。今回、BYODを前提にWebベースの仕組みを整えたことで印刷も容易になり、学生からも好評です。また、Microsoft Teamsを活用して、研究室内での情報共有もしやすくなったと聞いています。
職員用パソコン端末も以前はセキュリティ対策などでメンテナンスが必要な場合、運用しながらのメンテナンスができず、深夜や休日に出勤して時には数日がかりで対応していました。それが今回、運用しながらメンテナンスができるようになり、私たち情報基盤センターのメンバーの働き方改革にもつながっています。
大野氏:実は職員用パソコン端末の更改のタイミングで、東京都渋谷区にあった法人本部が、世田谷キャンパスに移転し、固定のデスクからフリーアドレスになったのですが、それにも対応できました。気軽にオンライン会議を開催できるようになり、会議室の予約の手間も削減できました。オフラインの打ち合わせにもパソコンを持参するのが当たり前になり、ペーパーレス化も進んでいます。
出張先でも安全に使える安定した業務環境が整いましたし、在宅勤務など働き方の変化も生まれています。以前のシステムもリモートで使えていましたが、同時に大勢がアクセスするとエラーが起きるなど不安定でした。今回はリモートワーク活用による働き方改革も見越して安定した環境を整備できました。

――今後の貴学のICT基盤整備について、予定や展望があればお聞かせください。
平森氏:本学にはグループ校として幼稚園1校、小学校1校、中学校2校、高校が3校ありますが、今後はグループ全体で協力しながらICTの底上げをしていく方針です。また、大学はイノベーション創出していくことが使命ですので、DXも推進し、産官学連携などにも取り組みながらイノベーションを起こしていきます。すでにNTT東日本にも相談していますが、他大学での実績やノウハウを活かしたサポートを期待しています。
大野氏:今回、NTT東日本をパートナーとして非常によい形で更改ができました。クラウドシフトによって、今後の変化は加速していくでしょう。社会の変化やニーズに素早く対応するには、これまでのウォーターフォールではなく、アジャイル型開発へ移行し、よりスピーディで柔軟な対応が必要かもしれません。NTT東日本にはそうした変化への伴走もぜひお願いしたいと考えています。また、本学では、地域と密着しながら教育研究やまちづくりなどを推進してきました。今後もグループ校を含め、地域と連携しながら、よりよい社会の実現に貢献していきたいと思います。

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