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大正大学は2026年の創立100周年に向けて、スマートユニバーシティの実現をめざした情報基盤の整備に取り組んでいます。その一環として、学生情報を管理する学務システムの業務要件コンサルティングと構築をNTT東日本に依頼しました。新システムでは、学務システムを中心としたシステム間のデータ連携を自動化し、発生源入力の徹底と二重入力の防止を実現。今後はIR(インスティテューショナル・リサーチ)への活用なども進めながら、さらなるDXを推進していきます。取り組みの背景や成果について、大正大学のご担当者にうかがいました。
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Summary

――学務システムを更改することになった背景をお聞かせください。
尾白氏:大正大学では2026年の創立100周年に向けて、2018年に第3次中期マスタープランを作成しました。その中で大学の魅力化構想を掲げており、魅力化推進部という専門部署が中心となって、さまざまな取り組みを進めてきました。その一つがスマートユニバーシティの実現に向けた情報基盤の整備です。ちょうどInternet Explorerのサポート終了に伴い、システムの入れ替えが必要なタイミングだったので、学務システムも刷新して業務の効率化を図ることになりました。
小幡氏:今振り返ると、以前はシステム間でデータ連携がされておらず、学生データを何度も手作業で入力するなど、かなり非効率でした。ただ、教職員にとってはそれが当たり前になっていたので、とくに課題感を抱いていなかったのが正直なところです。毎期何らかの改修やカスタマイズが発生し、ランニングコストがかさんでいる認識はあったものの、それも仕方がないことだと思っていました。
――NTT東日本へコンサルティングを依頼した理由は何だったのでしょうか。
尾白氏:大学や教育業界との連携の実績が豊富なことに加えて、製品ベンダーではないのでさまざまな製品を比較した上で本学にあった最適なシステムを選べると思えたのが、大きな決め手です。過去に本学のサーバー管理を依頼したことがあり、そのときの対応にも満足していたので、安心して任せられると考えました。
――どのように検討を進めていきましたか。
尾白氏:まずは仕様調整のもとになる仮製品を選定し、簡易Fit&Gap調査を実施しました。この調査は仮製品の標準仕様と現状業務の差異を抽出し、差異への対応を検討して、新たに要件をまとめていくものです。製品ベンダーではないNTT東日本だからできるやり方だと思うのですが、新しいと感じました。
NTT東日本とは1~2週間に一度のペースで打ち合わせを行っていました。私自身、大学でのキャリアが浅く、学務システムに関する初歩的な質問をすることもありましたが、どんな質問にも丁寧に答えてくれて器の大きさを感じました。学務システムだけでも5~6社のベンダーとやりとりがあったのですが、各社の製品の詳細機能はもちろん、組織風土などプロジェクトを進める上で参考になる情報も教えてもらえて助かりました。ベンダーとの打ち合わせにも同席してくれて、大学の業務とシステムの両方を熟知した立場から質問や確認をしてくれたのもありがたかったです。

前職の経験からシステム構築時は依頼側が要件をきっちりまとめて提示するものだと思っていましたが、学務システムはほぼ全教職員が使うため関係部署が多岐にわたり、大学側で業務要件をまとめきるのは非現実的でした。今回は、NTT東日本が各部署とのヒアリングの場を設けてくれて、各担当者はその場で質問に答えるだけで細かい部分まで整理されていく流れだったので、本来よりかなり負担が少なく進められました。仮製品の標準仕様をベースに話をするので質問も具体的で、担当者が一から説明する必要もありません。それでも通常業務の傍らでの対応なので担当者は大変だと感じたようですが、10年に1度程度のシステム更改のために情報システム部をおくのは難しく、現在の体制で何とかやれる方法を提案いただいたと思っています。もし業務要件の整理を各部署に任せていたら、1~2年はかかっていたかもしれませんが、3~4カ月と想定の半分程度で済みました。検討がスムーズに進んでいたので、そのまま構築までNTT東日本にお願いし、結果、最終的な構築完了までのスケジュールも約1年前倒しできました。
――構築フェーズで苦労されたところはありますか。
小幡氏:基本設計が大変でした。以前はシステムのカスタマイズのコストもかさんでいたので、できるだけパッケージの標準機能で運用するのも大学の方針でした。そのため基本設計では業務の棚卸や整理をして、どう効率化できるか、どんな運用ルールにするかを一つ一つ検討したのです。事前のFit&Gap調査である程度業務整理をしていたので、比較的取り組みやすかったはずです。それでもこの頃は大学としてDXに着手したばかりで、業務のやり方を変えることに抵抗を感じる人も少なくありませんでした。

尾白氏:DXに向けて仕事を変革していく重要性を伝えることが必要だと考え、NTT東日本に相談すると、職員向けのDX研修を実施してくれました。業務の流れの可視化などRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)につながる内容で、DXに向けた意識醸成の一助になったのではないかと思っています。
小幡氏:NTT東日本のプロのサポートは心強かったです。「こういうことをやりたいんだけど」と相談すれば、「パッケージの機能でこんな運用ルールなら実現できる」と的確な答えが返ってきましたし、他大学の事例も紹介してくれたり、システムのデモ環境を用意してくれたりしました。基本設計に十分な時間を使ったので開発段階での仕様変更は少なく、NTT東日本がベンダーをとりまとめてくれたので開発はスムーズに進んだと思います。
――学務システム更改の効果を教えてください。
小幡氏:目標は学務システムに関わる業務時間を3割削減することでしたが、すでに多くの部署で達成しています。システム更改前の業務時間を100%とした場合、更改後の業務時間は教務部で74.3%に、学生支援部は62.5%、総合学修支援部は44.7%、総務課は0.5%まで減っています。
データ連携ツールの導入によって、学生の氏名や住所などのデータは入試時に学生が入力したものを卒業後まで使い続けられるようになりました。変更があったときは学生自身が管理画面から修正できます。以前は、入試時のデータは使用せず、入学までに学務システムに職員が新規に入力し直していましたが、その手間や打ち間違いのリスクも削減できました。

運用の見直しによって効率化を図った業務もあります。たとえば総務課では、教室や会議室の細かい管理業務をなくしました。以前は学期始めの正式な授業教室確定までの間は教室借用受付・変更を手作業で管理していたのですが、現在はすべてシステム上で行うことにしました。また、証明書発行をコンビニエンスストアでの発行に切り替えたことで、年間数千通の発行依頼への対応時間を大幅に削減しました。ほかにも成績通知書やガイダンス資料は郵送をやめて、すべてウェブ上で確認してもらうことにして発送の手間やコストを大幅に削減しました。
職員からは「単純な作業がなくなり、考える仕事や対面で対応すべき業務に時間を費やせるようになった」「他部署からデータをもらうために待つストレスがなくなった」「仕事のやり方を変える意識が強くなった」といった声が届いています。
尾白氏:大学は3~4月や学期が変わるタイミングが繁忙期という部署が多いのですが、自動化によって労働時間を平準化でき、働きやすさにもつながっています。


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