ローカル5G
NTT東日本のローカル5G総合サイトです。豊富な構築実績や、産学協同の検証環境である「ローカル5Gオープンラボ」の紹介など、ローカル5Gを活用して作り出す新しい未来の可能性を、ここから発信していきます。

導入いただいたソリューション:ギガらく5G セレクト
Summary

創業150年の歴史と実績を誇る西松建設株式会社は、土木・建設の両輪で社会基盤を支える総合建設会社です。伝統ある技術力と先進のノウハウを融合させ、新しい価値を創造し、ダムやトンネル等のインフラ整備から、環境配慮型の建築、都市開発まで幅広く展開しています。DXやサステナビリティ推進にも注力し、人々の暮らしを支え、次世代へと続く「安心して暮らせる持続可能な社会」の実現をめざしておられます。
※ロゴについては西松建設株式会社さまよりご提供いただきました。
| 会社名 |
西松建設株式会社 |
|---|---|
| 本社所在地 |
東京都港区虎ノ門一丁目17番1号 虎ノ門ヒルズビジネスタワー |
| 事業内容 |
建設事業・開発事業・不動産事業 ほか |
| 導入拠点/所在地 |
西松建設株式会社 N-フィールド / 栃木県那須塩原市高林下川原701番地8 |
| URL |

西松建設山岳トンネル技術開発拠点 「N-フィールド」
公共土木工事も多く手掛けており、中でもトンネルに強いゼネコンとして名を馳せる西松建設さま。しかし、得意の山岳トンネル工事の現場は特に危険度が高く、過酷な環境で行われる現場だそう。この課題解決のため、ローカル5GとIOWNを導入して建機の遠隔操作による現場無人化に挑む西松建設さまに、導入の背景や効果、そしてめざす未来についてうかがいました。

西松建設株式会社 技術研究所 土木技術グループ グループ長 山本 悟さま
――まず、山岳トンネル工事の特徴について教えてください。
山本さま:
山岳トンネル工事では「NATM(ナトム)工法」が一般的に用いられます。爆薬や建機を使って掘っていくのですが、掘ったままだと崩れてしまうので鋼製支保工や吹付けコンクリート、ロックボルトと呼ばれる鉄の棒などの支保部材を使って崩落を防ぎながら掘っていく工法です。
――なるほど。その現場にはどのような課題があって、どのような解決策をお考えだったのでしょう?
山本さま:
まずは現場の安全面です。掘削の最前線である「切羽(きりは)」では、建機と作業員が近い距離で作業を行いますし、岩盤の崩落などのリスクもあります。また、工程が多いために建機がトンネル内を行き来する場面も増え、人や建機同士が接触する危険性もあります。さらに、トンネル内部は粉じんや騒音が多く、作業環境としても厳しくなりがちです。
加えて、山間部など人里離れた場所で行われることが多く、工事期間中は現場に赴かなければならないため、人材確保も大きな課題になっています。
こうした背景から、私たちは山岳トンネル工事の無人化をめざして技術開発を進めてきました。

N-フィールド内の模擬トンネル施設。実際の工事現場の切羽では建機とともに作業員が働く
――その取組みの中心となるのが「Tunnel RemOS」ですね。
山本さま:
はい。「Tunnel RemOS(トンネルリモス)」は、Tunnel Remote and automated Operation Systemの略で、私たちが開発・実装を進める、遠隔操作(無人化)技術・自動化技術を組合わせた無人化施工システムです。
その先駆けとなる遠隔操作技術では、建機にカメラと通信機器を搭載して、現場映像を操作室に送信、オペレーターが複数のモニターを見ながら、コントローラーで建機を操作します。先ほどお話したように、現場は、掘削・土砂搬出・支保工設置・コンクリート吹付けなど、複数の工程を繰り返しながら進んでいきます。その中では油圧ショベルやブレーカー、ホイールローダー、吹付機、ドリルジャンボなど、さまざまな建機が使われます。これらすべての遠隔操作をまずは実現し、さらにはその先の無人化、自動化をめざしています。
その実現のため、私たちは栃木県那須塩原市に「N-フィールド」という実験施設を設けており、模擬トンネル環境の中で遠隔施工の検証を行っています。
――実験専用の施設を独自に作られたのですね。どういった経緯で設立されたのでしょうか?
山本さま:
「Tunnel RemOS」の第一段階である「遠隔操作」の検証を、実際の現場で行うのは難しいんです。まだ開発段階のものなので、どうしても人が乗った方が早かったり、1つの現場にまとめてすべての建機で試してしまうと、現場の作業サイクルを邪魔してしまったり。ですので全国に散らばる現場で少しずつ分散して検証してきましたが、ある程度完成度が高くなってきました。
今後必要になってくる、遠隔操作の先の自動化・自律化の検証を控えていることもあり、現場に影響を出さずに検証を加速させる研究施設が必要になってきたのです。

山岳トンネル工事に必要な建機が並ぶ
――遠隔操作の実現において、課題はありましたか。
山本さま:
いちばん大きかったのは通信遅延です。建機の遠隔操作では、オペレーターが見ている映像と建機の動きがリアルタイムで一致している必要があります。しかし従来の通信環境では、遠隔地から操作すると約1秒程度の遅延が発生することがありました。
実際の現場で1秒の遅れは致命的なんです。トンネルという狭い空間の中で多くの大型建機が動くわけですから。特にホイールローダーのように動きの速い機械は、とてもじゃないけど狙ったところに行けません。これではちょっと導入は難しい。
またトンネル工事では、前方だけでなく複数のカメラ映像を確認しながら作業を行う必要があります。ちょうど私の後ろの画面にいっぱい映像が映っていると思いますが、正面だけでなく、サイドやバックの映像も送らないと安全性を担保できません。そのため、大容量かつ安定した通信環境が不可欠でした。
――そこでNTT東日本のローカル5GとIOWNを導入したのですね。
山本さま:
はい。ローカル5GとIOWNを組み合わせることで、通信性能は大きく向上しました。例えば、約200km離れたNTT東日本さんの「ローカル5Gオープンラボ(東京都調布市)」に設置させてもらっているコックピットから操作する場合でも、通信遅延は約0.2秒程度に抑えられています。これはもう、まったく大きな変化かなと思っています。
人間が映像を認識して反応するまでの時間は0.2秒程度といわれていますので、このレベルであればオペレーターはほとんど遅延を感じることなく操作できます。実際、もう現場にいる感覚なんですよ。物理的には離れているのに、逆にそれが違和感というのが素直な感想ですね(笑)。

ローカル5Gオープンラボ (東京都調布市) 内に設置されたコックピットから約200km離れたN-フィールドの建機でも現場感覚で動かせる
――通信品質の面でも変化はありましたか。
山本さま:
そうですね。お話ししたように、複数のカメラ映像を同時に確認する必要があったのですが、以前の通信環境では、映像1つ分しか送れず、それでも約1秒遅延してしまうようなレベルでした。しかしローカル5Gを利用することで、複数の高品質映像をリアルタイムで安定して伝送できるようになりました。
また、建機に搭載する通信機器の構成もシンプルになりました。以前は複数の通信機器や何本ものアンテナが必要でしたが、ローカル5Gの導入により機器構成を1つのシステムにまとめることができました。協力会社の方々からも、機器構成がすっきりしたと非常に好評です。

建機に取り付けられた遠隔操作システムの機器
――なぜNTT東日本を選んだのでしょうか。
山本さま:
IOWNのプレスリリースを見たのがきっかけでした。それまでNTT東日本さんとはお付き合いがなかったので、問い合わせのメールを送ったのですが、そこから動き出しました。
じつは当初、お願いするのはIOWNだけで、ローカル5Gは考えていなかったんです。5、6年前に一度試したのですが、うまくいかなかった経緯があって。けれど、当時よりも進化したローカル5Gでのご提案をもらって、じゃあ一緒にやってみよう、と。
――導入はスムーズに進んだのでしょうか。
山本さま:
社内的な話ですが、新しいものを導入するときには、やっぱり稟議が必要です。その際、ローカル5G、IOWNともに評価が高く、業界の中でも先進的な取組みをいち早く進めるためにも積極的に導入していこうと、とても順調でした。
一方で、技術面ではハードルもありましたね。
――その技術面での課題とはどのようなものだったのでしょうか。
山本さま:
ラストワンマイルの通信は、Wi-Fiをはじめさまざまなものを試してきました。今でもこの建物の屋根には多様な機器が入っていますが、ネットワークのシステム構成もそれらに準じたものになっていました。これをローカル5G用のネットワークシステムに組みなおすのがいちばんハードルが高かったですね。
システムを構築してくれている協力会社さん含め、我々はネットワークの専門知識があるわけではありません。自分たちがやれる範囲で対応してきた中でローカル5Gがやってきて、正直よくわからない状態になってしまいました。そんな時、通信のプロであるNTT東日本さんからいろいろとご提案をいただいて。最終的に、我々はそれ通りにやっただけ、でしたね、はい(笑)。

ラックに実装されたIOWN APNの回線終端装置
――遠隔操作の普及によって、働き方にも変化がありそうですね。
山本さま:
そうですね。トンネル工事の切羽作業では、通常5人程度の作業員が必要になります。遠隔操作と自動化・自律化を組み合わせれば、将来的にはその5人から2〜3人程度まで減らせる可能性があります。
加えて1つの拠点から、複数の現場の建機を操作することができるようになるのも大きいですね。例えばここ、那須塩原から北海道の現場でも宮崎の現場でも建機を操作することができます。このおかげで物理的な移動をしなくて済むだけでなく、時間的な効率化も図れます。これまでは建機に乗り込んで操作する必要があったので遠い現場に赴かなければならず、さらに建機を使わないほかの作業をしているときはオペレーターの空き時間になってしまっていましたから。その時間を調整すれば、この時間は北海道の現場、この時間は宮崎の現場と、1人のオペレーターが複数の現場作業を行えるようになるのも大きなメリットです。
――ほかにも役立ちそうな用途はあるのでしょうか。
山本さま:
まず思い浮かべられるのは災害復旧工事ですね。災害直後は宿泊施設やインフラが不足することが多く、多くの作業員を現地に派遣するのが難しい場合があります。遠隔施工が実現すれば、オペレーターと少人数の現地スタッフで工事を進めることが可能になり、復興作業のスピードも上げられると思います。

1つの拠点から遠く離れたいくつもの現場の建機を動かす。そんな未来が目の前に
――人材面での期待もありますか。
山本さま:
はい。まずは現在、遠くの現場に行かなければならないことで躊躇しているような若い方々が、近くで作業できるならと検討してくれるようになれば、人手不足の解消にも役立つのではないかと期待しています。
また、これは今すぐではないのですが、遠隔操作はモニターを見ながら操作する感覚がゲームに近い部分があります。実際にeスポーツ経験者が非常に高い操作技術を見せることがあり、業界団体の大会が開かれたりもしています。将来的には、ゲームが得意な若い世代がオペレーターとして活躍するようなこともあるかもしれませんし、こういったローカル5GとIOWNの組み合わせが、新しい働き手を生み出す可能性を広げていくのではないかと期待しています。
――今後の展望を教えてください。
山本さま:
我々は2030年までに切羽無人化を実現することを目標にしています。そのためには、クリアしなければいけない課題もあるんです。直近では、遠隔操作のスピードをもっと上げていきたい。ネットワークの速度は申し分ないのですが、例えば機器側のエンコード・デコードの処理速度であったりはまだ改善の余地があります。
また、その先の無人化を実現するためには、どうしても物理的な作業が残ってしまうんですね。ちょっとスイッチを押しに行く、ネジを締めに行くといった小さな作業でも、200km先の現場に行かねばなりません。また、トンネル掘削に必要なダイナマイトから出ている紐を結ぶといった必要な作業も今後自動化していかなければなりません。そういった新しい技術を支えるにも、ローカル5GやIOWNは必要になってくるんだと思います。
実際、弊社のダム・建築といった他部門でも検討が進んでいるようですよ。

施設の事務所の屋根にはローカル5G基地局装置が設置されている
――最後にメッセージをお願いします。
山本さま:
ローカル5GやIOWNのような次世代通信が普及することで、遠隔施工の技術もさらに進化していくと思います。これらの普及が進んで、市場が大きくなっていけばコストも下がるんじゃないかと(笑)。
意外にも、人里離れた山間部でも都市間をつなぐために光ファイバーが張り巡らされていたりもします。そういった情報やノウハウをNTT東日本さんはお持ちなので、今後も相談したいと思っています。
こうした技術革新を進めることで、建設業の安全性や生産性、そして働き方が大きく変わっていくことを期待しています。
少子高齢化や人手不足を背景にDXニーズが高まる中、大容量データ伝送や4K・8K映像配信、リアルタイム通信への対応が求められています。ローカル5Gはこうした要求に応える無線ネットワークとして、地域課題の解決に向け多くの企業・自治体から注目を集めています。
ローカル5Gは免許制であるため、Wi-Fiのような電波干渉の影響を受けにくく、また自ら5Gシステムを構築・運用することで、パブリック5Gのようにほかのお客さまの利用状況に左右されることなく、高速・大容量通信を安定的に利用することが可能です。さらに、5Gシステムを自営で構築・運用することで、上り・下りの通信速度比率を用途に応じてカスタマイズでき、特に上り通信を重視した設計とすることで大容量データの伝送が可能となります。これにより、4K・8Kなどの高精細カメラを複数活用した遠隔作業支援や、遠隔監視による現場把握の高度化を実現します。

左から茨田(NTT東日本)、山本さま(西松建設)、佐藤(NTT東日本)、中村(NTT東日本)

ローカル5G
NTT東日本のローカル5G総合サイトです。豊富な構築実績や、産学協同の検証環境である「ローカル5Gオープンラボ」の紹介など、ローカル5Gを活用して作り出す新しい未来の可能性を、ここから発信していきます。

ローカル5Gオープンラボ
国立大学法人東京大学とNTT東日本が産学共同で設立した、国内初となるローカル5Gの検証環境です。パートナー企業様が先端技術の実証、ユースケースの共創を可能とする環境を提供し、ローカル5Gの社会実装を加速させていきます。

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